有価証券報告書-第73期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

【提出】
2020/06/26 13:44
【資料】
PDFをみる
【項目】
152項目

研究開発活動

当連結会計年度における当社グループの研究開発活動は、材料から製品までの一貫した開発体制を活かした高付加価値製品の開発や、より高い品質レベルの追求、環境負荷の更なる低減、新規事業の創出に向けた基礎研究などに重点をおいて取り組んでまいりました。
当連結会計年度の研究開発費の総額は4,161百万円であり、主な研究開発活動は次のとおりであります。
(コンデンサ)
ターゲット市場の技術動向を分析し、用途に最適化した新製品開発を推進致しました。
自動車業界では“CASE”(Connected, Autonomous, Shared and Services, Electric)に代表される次世代型モビリティ社会の実現を目指して急速な変革が進められており、車載用電子部品に対しても一層の技術革新が求められております。こうした動向を背景に、当社は車載市場を引き続き戦略市場に位置付け、車載製品の積極的な開発に取り組みました。具体的には、電動車両の48Vシステム向けに好調な導電性高分子ハイブリッドアルミ電解コンデンサの高性能化やバリエーションの拡充を図ったほか、ADAS(先進運転支援システム)を構成する機器に向けては、チップ形アルミ電解コンデンサ「MHSシリーズ」に小形大容量品を追加致しました。また、独創的な製品として、独自の封止構造を採用し製品寿命を従来品の2.5倍に向上したチップ形アルミ電解コンデンサ「MHUシリーズ」を開発致しました。電動車両の電子制御装置等に提案してまいります。加えて、車載機器への部品実装を簡易化する提案として、コンデンサとチョークコイルを組み合わせたLCモジュールや、リード形コンデンサを他のチップ形部品と同時にはんだ実装することができるスルーホールリフローコンデンサなど、多様なモジュール製品の開発を進めました。
一方、各国で本格的な運用開始に向けた取り組みが進められている第5世代移動通信システム(5G)関連市場に向けては、通信基地局用に高耐熱、高耐湿、長寿命を実現したチップ形導電性高分子アルミ固体電解コンデンサ「PXQシリーズ」を開発致しました。
このほか、電気二重層キャパシタ「DLCAP™」のネジ端子形品において、定格電圧を2.8Vに高めた「DXFシリーズ」を量産化し、産業機器向けに拡販を開始したほか、金属キャップ形積層セラミックコンデンサとして業界で初めて150℃の耐熱性を実現した「KVJシリーズ」を開発するなど、積極的に製品開発を推進致しました。
また、当社では電子部品用材料開発に注力しており、基礎研究センターを中心に製品の性能向上や新たな蓄電デバイスの開発を実現する材料開発に取り組んでおります。コンデンサ用材料の研究開発におきましては、アルミニウム電極箔、封口ゴム、電解質など、主要材料の更なる高性能化に引き続き取り組みました。特に、コア技術のアルミニウム電極箔の開発では、高耐電圧化、高容量化、品質の安定化、生産性向上のための技術開発等を積極的に推進致しました。また、電気二重層キャパシタ用電極材料の高性能化等にも取り組みを進めました。
当連結会計年度における研究開発費の金額は3,939百万円であります。
(その他)
ドライブレコーダーや産業機器等に使われるCMOSカメラモジュールでは、ADASやIoT機器向けの需要の高まりを受けて、小型、高感度、高画質製品の品揃えを充実させるとともに、ワイドダイナミックレンジ製品や防水製品など高機能モジュールの開発を推進致しました。
また、スイッチング電源やインバータ電源など各種電源機器に使われる高透磁率コモンモードチョークコイルの新製品として、小型軽量化を実現した「FL-Vシリーズ」を開発致しました。自動車から産業機器まで幅広い市場に拡販してまいります。
当連結会計年度における研究開発費の金額は221百万円であります。