訂正有価証券報告書-第70期(平成28年4月1日-平成29年3月31日)

【提出】
2017/08/10 12:59
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122項目

業績等の概要

(1)業績
当連結会計年度における世界経済は、英国のEU離脱や米国新政権の政策の影響などが懸念されることから、先行き不透明な状況が継続しておりますが、米国では雇用や所得環境の改善により個人消費が堅調に推移しており、中国においても景気減速が一服するなど、全体としては緩やかな回復基調で推移しました。わが国経済においても、円高の影響はあったものの、雇用・所得環境の改善により景気は緩やかな回復傾向となりました。
当社グループを取り巻く環境については、景気減速で不振が続いてきた中国の需要回復の影響により、工作機械受注が好調に推移していることなどから、当社が所属する社団法人日本電気制御機器工業会の出荷高も前年同期に対して増加しており、力強さには欠けるものの回復基調となっております。このような状況のなか、当社の業績は前年同期に比して、売上高は国内では、防爆・防災関連機器製品や安全関連機器製品などが堅調に推移した結果、279億3千9百万円(前年同期比1.3%増)となりました。また海外では、北米や中国を中心とするアジア・パシフィック地域において、イネーブル装置や安全スイッチ、制御用リレーなど制御機器製品の売上が堅調に推移したものの、円高の影響により154億8千6百万円(前年同期比2.5%減)となりました。
利益面におきましては、営業利益は子会社株式取得関連費用の計上や円高の影響があったものの、販売管理費の減少などにより、3億7千1百万円増益の35億4千7百万円(前年同期比11.7%増)となりました。経常利益は、前年同期に比べ1億7千5百万円増益の33億5千7百万円(前年同期比5.5%増)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、前年同期に比べ、7億3千2百万円増益の24億4千万円(前年同期比42.9%増)となりました。
なお、当連結会計年度における対米ドルの平均レートは、108.38円(前年同期は120.15円で11.77円の円高)となりました。
セグメントの業績に関しては、次のとおりであります。
① 日本
メガソーラー事業の売上が減少したものの、安全関連製品を中心とした制御機器製品群や防爆・防災関連機器製品の売上が伸長した結果、売上高は、前年同期に比べ、7億7百万円増収の299億5千6百万円(前年同期比2.4%増)となり、営業利益は、前年同期に比べ、3億5千3百万円増益の21億2千万円(前年同期比20.0%増)となりました。
② 北米
北米地域においては、堅調な米国経済を背景に、安全関連製品を中心とした制御機器製品群の売上が伸長しました。しかしながら、為替マイナス影響により、売上高は、前年同期に比べ、6億5千3百万円減収の54億6百万円(前年同期比10.8%減)となり、営業利益は、前年同期に比べ、2千6百万円減益の3億8千8百万円(前年同期比6.3%減)となりました。
③ 欧州
欧州地域においては、英国のEU離脱決定による欧州経済混乱が懸念されたものの、緩やかな景気回復傾向が続きました。当社グループの売上高は、制御機器製品群の安全関連機器製品などの製品群が伸長しましたが、前年同期に比して、為替のマイナス影響を受け、8千7百万円減収の7億6千6百万円(前年同期比10.3%減)となりました。その一方で、営業利益は、セールスミックスによる影響で、前年同期に比べ、1億1百万円増益の1億1千3百万円(前年同期比842.4%増)となりました。
④ アジア・パシフィック
アジア・パシフィック地域においては、中国市場の需要回復による影響で制御機器製品群の制御用リレーや制御用周辺機器の端子台が増加したものの、円高による為替のマイナス影響を受け、前年同期に比べ、8百万円減収の72億9千6百万円(前年同期比0.1%減)となった一方で、営業利益は、前年同期に比べ、4千6百万円増益の7億3千4百万円(前年同期比6.8%増)となりました。
また、製品種類別の売上高については、次のとおりであります。
① 制御機器製品
日本において、安全関連機器製品の売上が前年同期に比して増加するなどで回復基調となり、北米地域やアジア・パシフィック地域を中心とした海外地域においては、円高による大きな為替のマイナス影響を受け、制御用スイッチの売上や制御用リレーの売上が減少しました。その結果、売上高は、前年同期に比べ、8千万円減収の239億7千5百万円(前年同期比0.3%減)となりました。
※HMI(Human Machine Interface:人と機械が触れ合う環境)の核となる盤面機器「制御用操作スイッチ」、「表示灯」や、産業現場の安全を実現する「安全関連製品」のほか、「制御用リレー」、「サーキットプロテクタ」、「センサ」のほかに、主として機械・装置に使用される「産業用LED関連製品」などの製品群です。
② 制御装置及びFAシステム製品
北米地域においては、為替のマイナス影響によりプログラマブル表示器の売上が減少したこと、日本及び欧州において、前年同期において好調であったバーコードリーダを中心とした自動認識機器などの売上が減少した一方でプログラマブルコントローラの売上が伸長しました。その結果、売上高は、前年同期に比べ、1億8千万円増収の63億7千2百万円(前年同期比2.9%増)となりました。
※機械・装置の頭脳の役割をする「プログラマブルコントローラ」、新規事業として取り組んでいる「自動認識機器」や、快適な機械・装置の操作環境を実現する「プログラマブル表示器」、「ペンダント」などの製品群です。
③ 制御用周辺機器製品
北米及びアジア・パシフィック地域においては、円高による為替のマイナス影響を受けたものの、通信ターミナルや端子台を中心に堅調に推移しましたが、日本において、スイッチング電源の売上が減少した結果、売上高は、前年同期に比べ、5億3百万円減収の48億3千8百万円(前年同期比9.4%減)となりました。
※機械・装置などの制御部分の基礎として制御盤などに使用される機器「スイッチング電源」、「通信ターミナル」、「端子台」、「ソケット」、「コントロールボックス」などの製品群です。
④ 防爆・防災関連機器製品
日本において、特に内圧防爆機器の売上が伸長したことにより、売上高は、前年同期に比べ1億7百万円増収の17億6千万円(前年同期比6.5%増)となりました。
※石油・化学プラントをはじめとした、爆発性のガスが存在する産業現場での事故を未然に防ぐ「本質安全防爆機器」、「耐圧防爆機器」、「内圧防爆機器」、「安全増防爆機器」や「防災機器及び関連機器」などの製品群です。
⑤ その他の製品
日本において、メガソーラー事業の売上が減少した一方で、パワーコンディショナを初めとした太陽光発電用電力マネジメントシステム製品が堅調に推移した結果、売上高は、前年同期に比べ、2億5千3百万円増収の64億7千9百万円(前年同期比4.1%増)となりました。
※HMI(Human Machine Interface:人と機械が触れ合う環境)をトータルな視点から考え、最適環境を提案・構築する融合型製品「HMIソリューション製品」、「セキュリティ製品」、再生可能エネルギーの利用を促進する「産業用・家庭用太陽光発電用電力マネジメントシステム関連製品」や土壌・水質浄化にも活用可能な「微細気泡発生装置(GALF)」などの製品群です。
(2)キャッシュ・フローの状況
前連結会計年度(百万円)当連結会計年度(百万円)
営業活動によるキャッシュ・フロー5,6902,644
投資活動によるキャッシュ・フロー△18△21,190
財務活動によるキャッシュ・フロー△2,61119,929
現金及び現金同等物に係る換算差額△313△249
現金及び現金同等物の増減額(△は減少)2,7471,134
現金及び現金同等物期首残高7,99510,742
現金及び現金同等物期末残高10,74211,877

営業活動によるキャッシュ・フローは、26億4千4百万円の収入となりました。これは主に、法人税等を10億3千1百万円納付、売上債権が11億6千万円増加した一方で、税金等調整前当期純利益を36億1千万円計上したことによるものです。
投資活動によるキャッシュ・フローは、211億9千万円の支出となりました。これは主に、有形固定資産の売却により21億7千5百万円の収入があった一方で、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得により210億7千8百万円、有形固定資産の取得により23億7千3百万円、無形固定資産の取得により7千9百万円支出したことによるものです。
財務活動によるキャッシュ・フローは、199億2千9百万円の収入となりました。これは主に、配当金の支払いにより10億8千5百万円を支出した一方で、主としてAPEMグループ買収資金等の借入により211億5千2百万円の収入があったことによるものです。