有価証券報告書-第48期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)
有報資料
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、その達成を保証するものではありません。
(1)会社の経営の基本方針
さて、当社は2023年に創業50周年を迎えるにあたり、100年を超えて成長し続けることを展望して「新企業理念」を制定しました。「新企業理念」は「社是」を根幹とし、日本電産グループの50年の成長の源であった、価値観・行動規範・行動指針を継承しつつも、日本電産グループの成長の目的や存在意義を「使命(Mission)」として明確にし、またNo.1に拘る中で、日本電産グループの営為を通じて地球環境の保全や世界の人々の豊かな生活に寄与するソリューション企業集団を「目指す姿(Vision)」として新たに制定の上、全てを一体としました。
「使命(Mission)」、「目指す姿(Vision)」は以下のとおりです;
「使命(Mission)」:
世界一高性能なモータで地球に貢献する
(全社員の弛まざる努力により、当社が世に送り出すモータを中心とした製品を通じて、地球環境の保全を始めとする様々な課題を解決すると共に、世界の人々のより良い生活の実現に貢献する。)
「目指す姿(Vision)」:
■100年を超えて成長し続けるグローバル企業
■人類が抱える多くの課題を解決する世界No.1のソリューション企業集団
(2)経営環境及び中長期的な会社の経営戦略
現在、当社は技術革新の5つの大波に乗ろうとしております。「クルマの電動化」、「ロボット活用の広がり」、「家電製品のブラシレスDC化」、「農業・物流の省人化」、「5G通信に起因する次世代技術」の5分野は、二酸化炭素排出や交通事故、高齢化といった世界が直面している課題の解決に向けて強く求められている有望な成長市場で、当社はこれらの分野に経営資源を集中的に投下します。当社がこれまで育んできた要素技術にM&Aを組み合わせることでこれらの5つの大波全てを制し、世界の持続的な発展に貢献してまいります。
①精密小型モータ
精密小型モータ事業で売上成長の柱となるのは5つの大波のうち、「5G通信に起因する次世代技術」です。5G通信が主流になると通信速度は従来の100倍、通信容量は1,000倍になると言われています。しかし膨大なデータを高速で処理するがゆえにCPU(中央演算処理装置)や電子回路に高熱が生じてしまいます。そこで放熱・冷却といったサーマルマネジメントに対する需要が益々高まることが予想されます。この需要に対応するため、当社ではヒートシンクやヒートパイプ、ベイパーチャンバー等を組み合わせたサーマルモジュール製品を市場に提供しております。また「家電製品のブラシレスDC化」に起因する機会拡大も期待できます。家電が省電力化、コードレス化するに従い省エネ・長寿命・低騒音という特徴を持つ当社ブラシレスDCモータの需要が益々増えてきます。さらにその他のAV・IT・OA・通信機器や家電・産業機器など多岐にわたる分野においても新たな活用の場を開拓し、持続的な成長につなげていきます。
一方でHDD用モータに関しては収益性の向上に努めます。タブレットやスマートフォンなどの新しいIT端末の普及によりPC用途のHDDは今後大きな市場拡大を望めませんが、一方5G通信の拡がりにより画像や動画などの高画質・高容量化、ソーシャルメディアやゲームの普及といったビッグデータ時代は益々加速すると考えられます。それに伴うストレージ需要の拡大により、今後もサーバ用途等ではHDD用モータ需要は安定して継続すると見込まれます。
※HDD用モータに関するリスクの詳細については、「2[事業等のリスク](1)経営戦略リスク ②技術環境・産業構造の変化に係るリスク(特に重要なリスク)」をご参照ください。
②車載
車載事業では、気候変動による影響が深刻さを増すなか、自動車業界は脱炭素化へ向けた取り組みを加速させております。乗用車、トラック等が世界のCO2排出量に占める割合は約1/5にのぼることから、主要各国は相次いでガソリン車・ディーゼル車の販売禁止を発表し、自動車の電動化と電気自動車へのシフトを後押ししております。当社は「クルマの電動化」や「グリーントランスフォーメーション」を中長期的成長機会と捉え、世界No.1シェアを誇る電動パワステ用モータやブレーキ用モータを始めとした車載用モータに加え車載カメラ、コントロールバルブ、電動オイルポンプ等の車載製品を提供しております。さらに、ガソリン車に例えればエンジン部位に相当する駆動用モータシステム(トラクションモータ)をEV用に開発・供給することにより、走行中の自動車が排出するCO2を実質的にゼロにする業界の取り組みに積極的に関与していきます。これらに電子制御ユニット(ECU)を組み合わせることで各部品がシステム化され、高付加価値のモジュール製品を提供することができます。
また、モータやECU、センサー等を統合して車のさまざまな機能を電子制御することにより、安全走行や衝突回避、被害低減、自動走行が可能となり、クルマの安全性が高まります。ほかにも、燃費改善によるCO2の排出量低減効果も期待できます。今後は自動車の電装メーカーを目指し、これまで培ったモータ技術にECUやセンサーの先進技術を統合したシステム・モジュール製品を自動車業界に提供することで、より安全で環境に優しく快適なクルマ作りに貢献していきます。
※EV用トラクションモータシステムに関するリスクの詳細については、「2[事業等のリスク](1)経営戦略リスク ③競合に係るリスク(特に重要なリスク)及び ④先行投資に係るリスク(特に重要なリスク)」をご参照ください。
③家電・商業・産業用
家電・商業・産業用では、現在、世界の電力需要の約半分をモータが占めていると言われており、特に産業用モータによる消費量が大きいことから、より高効率なモータへの置き換えが急務となっております。家電部門では洗濯機、乾燥機、食洗機用モータや冷蔵庫用のコンプレッサー及びコンプレッサー用のモータ等を手掛けております。「家電製品のブラシレスDC化」の波に乗り、冷蔵庫を中心とした家電の省電力化に貢献します。商業部門ではエアコン用モータを手掛けており、産業部門では農業、ガス、鉱業、上下水道、海洋といったマーケットを中心に事業を展開しております。世界的な省エネ・省電力化の流れが進んでいますが、当社はこの流れを追い風に、家電・商業・産業用事業のさらなる発展を目指します。
④その他
世界的な課題となっている労働人口不足の解決を目指して、中国を中心にファクトリーオートメーション(FA)需要が高まっています。「ロボット活用の広がり」を背景に拡大傾向にある小型ロボット基幹部品(減速機)の需要を取り込むことを通じて、事業拡大を推進しております。増大した受注を確実に獲得するために小型ロボット用減速機向けの新工場の稼動を開始し、生産能力を大幅に増強しております。
⑤M&A
上記の目標を達成するために、精密小型モータでは、2018年11月にベイパーチャンバーを中心とした冷却製品をもつCCI社を買収しました。当社の既存技術であるファンモータを中心とした冷却技術と組み合わせて、より付加価値の高いサーマルソリューションを提供してまいります。車載では2019年10月に電子制御ユニット(ECU)の技術をもつオムロンオートモーティブエレクトロニクス㈱を買収しました。日本電産エレシスがもつECUのキャパシティを増強するとともに、当社既存の車載モータとのシナジー効果を追求します。家電・商業・産業用では、2019年7月に冷蔵庫用コンプレッサーの技術をもつエンブラコ社を買収しました。当社の既存技術であるコンプレッサー用モータと組み合わせて、より省エネ性能に長ける冷蔵庫の実現に貢献します。その他では、2021年2月に高精度・高効率の歯車加工技術をもつ三菱重工工作機械㈱との株式取得に関する譲渡契約を締結しました。日本電産シンポがもつ減速機及びプレス機の既存2事業と要素技術開発、製造、営業面等においてシナジー効果を追求します。加えて、三菱重工工作機械㈱の技術がNIDEC内における、将来的な内製化に向けた取り組みに寄与するものと想定しております。現在、当社が最も注力しているモータ・インバータ・減速機を三位一体にしたEV用トラクションユニットである「E-Axle」は今後更なる需要を見込んでおり、その中核部品の一つである、ギアの強化に必要不可欠になります。
※M&Aに係るリスクの詳細については、「2[事業等のリスク](1)経営戦略リスク ⑤M&Aに係るリスク(特に重要なリスク)」をご参照ください。
(1)会社の経営の基本方針
さて、当社は2023年に創業50周年を迎えるにあたり、100年を超えて成長し続けることを展望して「新企業理念」を制定しました。「新企業理念」は「社是」を根幹とし、日本電産グループの50年の成長の源であった、価値観・行動規範・行動指針を継承しつつも、日本電産グループの成長の目的や存在意義を「使命(Mission)」として明確にし、またNo.1に拘る中で、日本電産グループの営為を通じて地球環境の保全や世界の人々の豊かな生活に寄与するソリューション企業集団を「目指す姿(Vision)」として新たに制定の上、全てを一体としました。
「使命(Mission)」、「目指す姿(Vision)」は以下のとおりです;
「使命(Mission)」:
世界一高性能なモータで地球に貢献する
(全社員の弛まざる努力により、当社が世に送り出すモータを中心とした製品を通じて、地球環境の保全を始めとする様々な課題を解決すると共に、世界の人々のより良い生活の実現に貢献する。)
「目指す姿(Vision)」:
■100年を超えて成長し続けるグローバル企業
■人類が抱える多くの課題を解決する世界No.1のソリューション企業集団
(2)経営環境及び中長期的な会社の経営戦略
現在、当社は技術革新の5つの大波に乗ろうとしております。「クルマの電動化」、「ロボット活用の広がり」、「家電製品のブラシレスDC化」、「農業・物流の省人化」、「5G通信に起因する次世代技術」の5分野は、二酸化炭素排出や交通事故、高齢化といった世界が直面している課題の解決に向けて強く求められている有望な成長市場で、当社はこれらの分野に経営資源を集中的に投下します。当社がこれまで育んできた要素技術にM&Aを組み合わせることでこれらの5つの大波全てを制し、世界の持続的な発展に貢献してまいります。
①精密小型モータ
精密小型モータ事業で売上成長の柱となるのは5つの大波のうち、「5G通信に起因する次世代技術」です。5G通信が主流になると通信速度は従来の100倍、通信容量は1,000倍になると言われています。しかし膨大なデータを高速で処理するがゆえにCPU(中央演算処理装置)や電子回路に高熱が生じてしまいます。そこで放熱・冷却といったサーマルマネジメントに対する需要が益々高まることが予想されます。この需要に対応するため、当社ではヒートシンクやヒートパイプ、ベイパーチャンバー等を組み合わせたサーマルモジュール製品を市場に提供しております。また「家電製品のブラシレスDC化」に起因する機会拡大も期待できます。家電が省電力化、コードレス化するに従い省エネ・長寿命・低騒音という特徴を持つ当社ブラシレスDCモータの需要が益々増えてきます。さらにその他のAV・IT・OA・通信機器や家電・産業機器など多岐にわたる分野においても新たな活用の場を開拓し、持続的な成長につなげていきます。
一方でHDD用モータに関しては収益性の向上に努めます。タブレットやスマートフォンなどの新しいIT端末の普及によりPC用途のHDDは今後大きな市場拡大を望めませんが、一方5G通信の拡がりにより画像や動画などの高画質・高容量化、ソーシャルメディアやゲームの普及といったビッグデータ時代は益々加速すると考えられます。それに伴うストレージ需要の拡大により、今後もサーバ用途等ではHDD用モータ需要は安定して継続すると見込まれます。
※HDD用モータに関するリスクの詳細については、「2[事業等のリスク](1)経営戦略リスク ②技術環境・産業構造の変化に係るリスク(特に重要なリスク)」をご参照ください。
②車載
車載事業では、気候変動による影響が深刻さを増すなか、自動車業界は脱炭素化へ向けた取り組みを加速させております。乗用車、トラック等が世界のCO2排出量に占める割合は約1/5にのぼることから、主要各国は相次いでガソリン車・ディーゼル車の販売禁止を発表し、自動車の電動化と電気自動車へのシフトを後押ししております。当社は「クルマの電動化」や「グリーントランスフォーメーション」を中長期的成長機会と捉え、世界No.1シェアを誇る電動パワステ用モータやブレーキ用モータを始めとした車載用モータに加え車載カメラ、コントロールバルブ、電動オイルポンプ等の車載製品を提供しております。さらに、ガソリン車に例えればエンジン部位に相当する駆動用モータシステム(トラクションモータ)をEV用に開発・供給することにより、走行中の自動車が排出するCO2を実質的にゼロにする業界の取り組みに積極的に関与していきます。これらに電子制御ユニット(ECU)を組み合わせることで各部品がシステム化され、高付加価値のモジュール製品を提供することができます。
また、モータやECU、センサー等を統合して車のさまざまな機能を電子制御することにより、安全走行や衝突回避、被害低減、自動走行が可能となり、クルマの安全性が高まります。ほかにも、燃費改善によるCO2の排出量低減効果も期待できます。今後は自動車の電装メーカーを目指し、これまで培ったモータ技術にECUやセンサーの先進技術を統合したシステム・モジュール製品を自動車業界に提供することで、より安全で環境に優しく快適なクルマ作りに貢献していきます。
※EV用トラクションモータシステムに関するリスクの詳細については、「2[事業等のリスク](1)経営戦略リスク ③競合に係るリスク(特に重要なリスク)及び ④先行投資に係るリスク(特に重要なリスク)」をご参照ください。
③家電・商業・産業用
家電・商業・産業用では、現在、世界の電力需要の約半分をモータが占めていると言われており、特に産業用モータによる消費量が大きいことから、より高効率なモータへの置き換えが急務となっております。家電部門では洗濯機、乾燥機、食洗機用モータや冷蔵庫用のコンプレッサー及びコンプレッサー用のモータ等を手掛けております。「家電製品のブラシレスDC化」の波に乗り、冷蔵庫を中心とした家電の省電力化に貢献します。商業部門ではエアコン用モータを手掛けており、産業部門では農業、ガス、鉱業、上下水道、海洋といったマーケットを中心に事業を展開しております。世界的な省エネ・省電力化の流れが進んでいますが、当社はこの流れを追い風に、家電・商業・産業用事業のさらなる発展を目指します。
④その他
世界的な課題となっている労働人口不足の解決を目指して、中国を中心にファクトリーオートメーション(FA)需要が高まっています。「ロボット活用の広がり」を背景に拡大傾向にある小型ロボット基幹部品(減速機)の需要を取り込むことを通じて、事業拡大を推進しております。増大した受注を確実に獲得するために小型ロボット用減速機向けの新工場の稼動を開始し、生産能力を大幅に増強しております。
⑤M&A
上記の目標を達成するために、精密小型モータでは、2018年11月にベイパーチャンバーを中心とした冷却製品をもつCCI社を買収しました。当社の既存技術であるファンモータを中心とした冷却技術と組み合わせて、より付加価値の高いサーマルソリューションを提供してまいります。車載では2019年10月に電子制御ユニット(ECU)の技術をもつオムロンオートモーティブエレクトロニクス㈱を買収しました。日本電産エレシスがもつECUのキャパシティを増強するとともに、当社既存の車載モータとのシナジー効果を追求します。家電・商業・産業用では、2019年7月に冷蔵庫用コンプレッサーの技術をもつエンブラコ社を買収しました。当社の既存技術であるコンプレッサー用モータと組み合わせて、より省エネ性能に長ける冷蔵庫の実現に貢献します。その他では、2021年2月に高精度・高効率の歯車加工技術をもつ三菱重工工作機械㈱との株式取得に関する譲渡契約を締結しました。日本電産シンポがもつ減速機及びプレス機の既存2事業と要素技術開発、製造、営業面等においてシナジー効果を追求します。加えて、三菱重工工作機械㈱の技術がNIDEC内における、将来的な内製化に向けた取り組みに寄与するものと想定しております。現在、当社が最も注力しているモータ・インバータ・減速機を三位一体にしたEV用トラクションユニットである「E-Axle」は今後更なる需要を見込んでおり、その中核部品の一つである、ギアの強化に必要不可欠になります。
※M&Aに係るリスクの詳細については、「2[事業等のリスク](1)経営戦略リスク ⑤M&Aに係るリスク(特に重要なリスク)」をご参照ください。