有価証券報告書-第60期(2025/04/01-2026/03/31)
下記の文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2026年9月30日)現在において当社グループが判断したものです。
(1)会社の経営の基本方針
当社は「人の心を尊重し、豊かな価値を創り、社会貢献に努める」ことを経営理念とし、全社員の知恵をお客様の課題解決に注ぎ、お客様が提供する製品・サービスの未来に続く架け橋となるべく、「顧客価値を創造する100年企業」となることを目指しております。
2023年4月には、新たに当社のステートメント(行動宣言)として「私たちは、社会やお客様の期待を超える“つなげる”を実現します」という言葉を策定し、当社が製造するコネクタを通して、人と環境にやさしく、様々な機能を容易につなげる未来を創造していくことを、社会に対して実現したいこととして掲げました。
この経営理念とパーパスから、約10年後の2035年にありたい姿として、「社会やお客様の期待を超える“つなげる”で、成長を続ける企業」、「社会、環境、品質を重視し、社員とステークホルダーが“わくわく”する企業」の2つを設定しています。

(2)マテリアリティ(重要課題)
2035年のありたい姿と、将来の業界メガトレンドを分析し、多数の社会課題項目からステークホルダーにとっての重要性と当社が継続して成長していくための重要項目について、それぞれスコアリングを行い、外部の専門家も交えて議論を重ね、当社が持続的成長を実現するための5つのマテリアリティを特定しました。
(3)経営環境及び中長期的な会社の経営戦略
当社の事業領域において、車載関連市場では100年に一度と言われる電動化によるパワートレイン部品の増加、自動運転に向けたADAS(先進運転支援システム)の普及による情報量の飛躍的増大・高速伝送化という2つの大きな変革に加え、「空飛ぶクルマ」の開発加速など、現在の車載市場だけに捉われず、モビリティ市場全体を俯瞰して事業領域を見直す変化が起きています。
いずれの市場における変化も当社が培ってきた三次元可動並びに大容量情報伝達等の独自技術による当社コネクタ事業を飛躍的に拡大する好機ととらえ、グローバルでの成長市場への展開を重点戦略として、顧客ニーズを先取りするマーケティング、顧客ニーズに対応した顧客密着型営業体制により、お客様の期待を超える「つなげる」を実現する製品開発を進めて参ります。また、生産・サプライチェーンにおいても、最適生産拠点の決定、集中購買・複数購買、各生産拠点での材料の現地調達、内製化・合理化を推進し、グローバルでのQCD(品質・コスト・納期、Quality Cost Delivery)をより一層強化していくことを目指しております。
当社は、以上の市場環境の変化を確実に捉え、グローバルでの新規顧客開拓を推進し、事業規模の確保とブランドの向上を図り、将来的に接続部品業界でグローバルトップ10入りを目指して参ります。
①業績目標
当社は、中期経営計画期間の2024年度~2026年度(2025年3月期~2027年3月期)を、課題克服と成長軌道への回帰に向けた足場固めの3年間と位置付け、2027年3月期に売上高650億円、営業利益率15%超の達成を目指す計画を2024年5月に策定しました。
事業規模拡大において市場別では、販売台数が増加する電動車向けの拡販を加速すると共に、ECU(Electric Control Unit)統合化の流れを掴み製品の市場投入を進めて参ります。また、課題であるセンサー分野(カメラ分野)やインダストリアル市場を2027年以降の飛躍的成長実現に向けた土台づくりの期間と位置づけ、注力分野として推進して参ります。
モノづくり力強化においては、生産性・工場稼働率の向上に努め、設備の標準化、金型内製化の拡大や資材費の低減、設計VEなどを通じコスト削減を進め利益率向上を図って参ります。
②重点施策
中期経営計画期間において、当社は、以下の重点施策に取組んで参ります。
a. 「車載のイリソ」から「モビリティのイリソ」への基盤構築
・パワートレイン分野:ワールドワイドでの事業拡大、高電流・耐振動・耐熱性能の更なる向上
・統合ECU分野:高速BtoBコネクタに加え、統合ECU化に向けWtoB(ワイヤーtoボード)スケーラブル
コネクタ投入によるラインアップ拡充
・センサー分野:共同開発等によるカメラ事業再構築、新規顧客開拓
・車載で培った耐振・耐熱、高速伝送を武器に、建機、農機、eVTOL等のモビリティ市場への事業ポート
フォリオ拡大
b. インダストリアル市場のグローバル強化~ 第二の柱に成長するための土台づくり
・高速フローティングBtoBコネクタによる新規顧客開拓とシェア拡大、商社等活用による販売チャネル
拡大、調達品による品揃え強化
・グローバルFAE(Field Application Engineer)による新規顧客開拓、現地対応力強化
・半導体製造装置、エネルギーマネジメント領域の事業構築
c. ワールドワイドでの生産体制見直し、設備・金型の標準化拡大による生産性・投下資本効率の向上
・全生産拠点の体制・役割を見直し、生産効率15%改善、秋田工場の円滑な立ち上げ、国内生産比率の
向上
・DXを活用した製品・設備・金型設計の生産性向上、標準化、内製金型拡大によるコスト削減、リード
タイム短縮
・現地調達、集約購買拡大による資材費低減、樹脂・めっき等の使用量削減
d. 資本コストと株価を意識した経営の強化
・資本コストを上回るROIC達成を図り、最適な資本構成による投資効率の改善を実現
・成長投資と株主還元のバランスを取り、配当性向40%超または株主資本配当率(DOE)5%程度を目標に
株主還元
e. サステナブル経営の更なる深耕
・人と環境にやさしい経営 ~ 再生可能エネルギー積極利用、リサイクル・再利用の促進
・多様な人財作り ~ 役員・管理職人財の多様化、働き方、処遇改善を通じたエンゲージメント向上
・経営基盤の強化 ~ グローバルリスクマネジメントの強化、デジタル経営基盤の構築、セキュリティ
向上
③経営目標
・中期経営計画(2025年3月期~2027年3月期)
※中期経営計画期間の為替レート設定は140円/ドル、155円/ユーロ、20円/人民元
(4)2027年3月期の重点施策、対処すべき課題
①内部統制及びガバナンス面(再発防止策の実施)
当社は、2026年4月27日付「第三者委員会設立及び2026年3月期決算発表の延期に関するお知らせ」及び2026年6月29日付「2026年3月期有価証券報告書の提出期限延長に関する承認申請書提出のお知らせ」にてお知らせしたとおり、当社の海外子会社における不適切な金銭の交付等の疑義について、外部の独立した専門家による第三者委員会を設置し、その後判明した他の会計処理及び品質・検査上の問題の有無を含め、調査を進めて参りました。
その後、2026年9月29日付「第三者委員会の調査報告書の公表に関するお知らせ」のとおり、調査の結果、海外子会社2社における不適切な金銭交付、海外子会社における決算作業及び監査の遅延、2023年3月期及び2024年3月期における海外子会社での売上の前倒し計上、その他会計処理の誤謬及び当社における品質管理及び品質保証上の問題等の事実が判明しました。
株主、投資家の皆様、お取引先をはじめとする関係者の皆様には、多大なるご迷惑とご心配をおかけしておりますことを、深くお詫び申し上げます。当社は、下記再発防止策を着実に実行するとともに、内部統制及びコーポレート・ガバナンス体制の強化を通じて、皆様からの信頼回復及び企業価値の向上に努めてまいります。
再発防止策の内容は以下になります。
【再発防止策】
a. コンプライアンス最優先の企業風土への改革
(a)経営トップ及び経営幹部による「コンプライアンス最優先」の決意表明
・経営トップは、常にコンプライアンス、顧客との約束及び品質の確保を最優先とすること並びに財務
報告の重要性を社員に向けて発信し続けます。
(b)「コンプライアンス最優先」の明文化
・経営理念、経営方針及び企業行動憲章において、品質を含むコンプライアンスが最優先であることを
明確にします。
・売上や成長への挑戦は継続する一方、法令、契約及び品質を犠牲とすることは認めないことを全社共
通の行動原則とします。
(c)ガバナンスの強化及び体制の見直し
・当社に必要とされる役員のスキル及び人員構成を見直します。
・役員として求められる資質や能力をより適切に担保するため、既存の選任基準及び選任プロセスの更
なる高度化及び実効性の向上を図り、当社の役員選任体制を一層強化します。具体的には、選任基準
において、誠実性、コンプライアンス意識、リスク管理能力及び独立した判断力等の観点を明確化す
るとともに、その内容を充実させます。
・新たな経営体制を構築していくために名誉会長職を廃止します。
(d)役職員のコンプライアンス意識の醸成及び向上に向けた取組
⦅役員に関する施策⦆
・コンプライアンス最優先の風土を根付かせるため、経営陣は、四半期に一度、海外拠点を含む全社に
向けて、コンプライアンスの重要性、品質意識及び会社の決算状況等を含むメッセージを発信し、本
社方針の浸透を図ります。
・役員の評価にコンプライアンス遵守の項目を追加します。
・社員に対するサーベイ等により経営行動の変化を定期的に確認し、取締役会等でレビューを行いま
す。
⦅役職員共通の施策⦆
・役職員に対して、コンプライアンス、品質、財務報告リテラシー、海外拠点管理、内部通報制度及び
内部監査に関する教育及び研修を実施します。
・コンプライアンス・ウィークを設定し、海外拠点を含む全社を対象に贈賄防止及び内部通報等に関す
るコンプライアンス研修を実施します。また、コンプライアンス・ウィークにおいてアンケート調査
を実施し、コンプライアンスに関する実態や課題の把握に努めるとともに、コンプライアンス意識の
定着度を確認します。
(e)役職員のコンプライアンス意識の醸成及び向上に向けた取組
・各国の文化や慣習の違いにかかわらず、コンプライアンスの徹底及びそれを最優先とする意識を全社
の役職員に根付かせるために、贈賄防止規程及び海外拠点向けのIRISO Group Anti-Bribery Manualを
整備し、全ての海外拠点長に対するIRISO Group Anti-Bribery Manualについての説明会を実施しま
す。
・贈賄リスクの高い海外拠点の現地役職者に対しては、現地へ講師を派遣し、対面による研修を実施す
ることを検討します。
(f)職場環境の改善
・「Bad News First」を浸透させ、問題を早期報告した行動を評価し、役職員が自由闊達に意見を述
べ、問題提起を行うことができる体制を構築します。
・上記取組の浸透状況を確認するため、全社の役職員を対象としたアンケート調査を年に一度実施し、
継続的にモニタリングを行います。
・品質保証部門及び経理部門の人員を増強するとともに、必要に応じて外部への業務委託を実施し、必
要な人員を確保します。
・各部門において、中長期的に必要となるスキル及び人員を想定し、採用、育成及びローテーション等
を実施するとともに、人員及び設備を踏まえた処理能力を考慮し、必要な業務量を定量的に管理しま
す。
・各部門において、新たな業務を実施する際に適切な工数を算定し、人員及び設備能力で対応可能とな
るよう、効率化及び自動化等を行います。
b. 本社における管理体制の強化
(a)コンプライアンス・リスクに対する組織的な管理体制の構築
・ガバナンス、コンプライアンス、リスクマネジメント及び内部統制の整備に関する機能を統合し、
「ガバナンス推進部」を新設します。「ガバナンス推進部」は、経営トップ直轄の組織として上記機
能を横断的に推進します。
・海外拠点ごとに、その事業内容、展開地域及び取引形態等を踏まえ、贈収賄、財務報告、品質並びに
輸出入及び通関その他の主要なコンプライアンス・リスクに関するグループ横断的なリスクアセスメ
ントを実施します。
・専門人材の確保及び社内人材の育成を計画的に進め、必要な人員体制を整備します。また、専門人材
を確保するまでの間、外部弁護士や専門コンサルタントを活用し、必要な専門知見及び対応能力を補
完します。
(b)意思決定プロセスの機能強化
・取締役会議案を付議する部門責任者に対して、取締役会付議基準を周知します。また、会議事務局が
取締役会への付議の要否判断をサポートするとともに、当該事務局に各部門に対する調査権限を付与
することで、取締役会による決議漏れを防止します。
・監査部門は、半期に一度、取締役会への付議状況及び付議手続を確認し、その確認結果を監査等委員
会へ報告します。
・稟議承認フローにおいて、コンプライアンス・リスクを適切に評価及び判断できる人材の配置並びに
専門的知見を活用できる仕組みを整備します。
(c)海外管理体制の整備
・監査等委員会は、年に一度、対面で海外拠点長と対話を行い、各社の経営戦略の進捗状況、事業上の
重要課題、コンプライアンス及びリスク管理の状況並びに人材及び組織の課題等を把握し、執行役員
への提言を行うと共に実行状況まで確認します。
・法務部門及び経理部門においては、それぞれの所管事項に関し、海外拠点とのコミュニケーション及
び情報共有を強化し、リスクや課題の早期把握に努めるとともに、必要な指導、支援及びモニタリン
グを行います。
・海外拠点におけるガバナンス及び内部統制の実効性向上のため、海外拠点長に求められる資質及び能
力要件の見直し並びに適切な責任者配置に向けた人事施策を実施します。
・全海外拠点にコンプライアンス担当者を配置し、コンプライアンス委員会がコンプライアンス担当者
から定期的に報告を受ける体制を整備します。
・海外拠点からの報告対象、報告先及び報告期限を明確化するとともに、本社への報告ルートをコンプ
ライアンス委員会へ一本化することで、コンプライアンス委員会が、コンプライアンス上の問題や潜
在的なリスクを早期に把握できる体制を整備します。
・コンプライアンス委員会は報告事項を定期的に検討し、必要な是正措置を速やかに実施します。
・海外赴任者に対して、コンプライアンスや海外贈収賄リスク等に関する研修を実施します。
c. リスク情報を吸い上げる仕組みの強化
(a)内部通報制度の実効性の確保
・内部通報制度の活用を促進するため、説明会や各種研修の際に制度及び通報窓口を周知します。
・内部通報制度の実効性向上及び通報先の多様化のため、監査等委員会に対する通報窓口を設置しま
す。
(b)財務報告に係る管理体制の強化
・海外拠点の経理及び決算体制を強化するとともに、本社経理部門が決算作業及び会計監査の進捗を適
時に把握し、必要な指導及び支援を行う体制を整備します。海外拠点において専門人材の確保が困難
な場合には、本社経理部門が実務面を支援し、適切な会計処理を確保します。
・決算又は会計監査の遅延その他の重要な財務報告上の問題について、報告対象、報告先、報告時期及
び責任者を明確化し、海外拠点から本社経理部門へ速やかに報告及びエスカレーションするととも
に、必要に応じて現地及び本社の監査法人と連携する仕組みを整備します。
・売上計上時期及び固定資産の減損処理を含む主要な会計処理について、判断基準、処理時期及び確認
手続を明確化し、海外拠点に周知します。また、通常の取引条件と異なる取引その他会計上の判断を
要する取引について、本社経理部門が適切に関与する体制を整備します
d. 内部監査機能の強化
(a)内部監査部門の体制強化
・専門人材の採用及び増員により、必要な監査に対応できる体制を整備し、監査部門による海外拠点の
監査を拡充します。
・監査部門から経営トップ及び監査等委員会に対して内部監査結果を報告する体制を整備し、重要な情
報が適時かつ適切に共有される仕組みを構築します。
・海外拠点を含む全社のリスクに応じて内部監査計画及び重点監査項目を見直し、贈収賄リスクを含む
重要リスクに対する監査を強化します。
・内部監査結果について、経営トップ、取締役会及び監査等委員会への報告内容を充実させ、検出した
重要なリスクを適切に共有します。また、実施管理を一層徹底し、証憑確認や再監査等により改善状
況及び実効性を継続的に検証します。
(b)内部監査部門の意義・重要性についての周知徹底
・内部監査が経営上のリスクを早期に把握し、不祥事を未然に防止する重要な機能であることを、事業
部門を含む役職員に周知し、内部監査への協力を徹底します。
・内部監査部門に対し、その役割及び職責の重要性を改めて徹底し、事業部門等からの働きかけに左右
されることなく、独立性及び客観性を保持して必要な指摘及び報告を行うことを徹底します。
e. 品質に関する施策
(a)品質に係るガバナンス、内部統制及び牽制機能の強化
・経営陣は品質最優先であることを継続して徹底し、各拠点における品質巡視を定期的に行い、遵守状
況を確認します。
・品質問題を未然に防止するために、原因分析及び再発防止策の水平展開を行う専任担当者を設置し、
品質保証部門の機能強化を図ります。
(b)顧客への申請及び承認手続管理の強化
・顧客固有要求事項に対する変更管理ルールを見直し、顧客申請要否の判断基準及び承認権限を明文化
し徹底します。
・営業部門、製造部門、技術部門及び品質保証部門に対して、顧客固有要求事項及び4M変更管理に関す
る教育を実施します。
(c)信頼性試験データの信頼性担保
・信頼性試験実施部門が独立し公正な評価を行う体制を構築します。
・設備及び人員の補強を継続的に実施し、信頼性試験の実施体制を強化します。これにより、試験設備
の高稼働状態の緩和を図るとともに、突発的な試験依頼にも対応可能な余力を確保することで、試験設備の不足により実験を実施できない状況の撲滅を図ります。
(d)国内工場における検査の徹底
・検査に必要な人員を増強し、検査体制を強化します。検査に関するプロセスを見直すとともに、検査
内容及び判定基準を明確化し、検査記録管理の強化によってモニタリング体制を整備します。さら
に、検査未実施や異常発生時の報告及びエスカレーション・ルールを明文化することで、適切な検査
運用及び是正措置の徹底を迅速に行います。
②事業面
a. 市場環境
世界経済は、中東情勢などの地政学リスクの影響による原材料、エネルギーコスト、輸送費の高騰など、不透明な状態が続いています。
モビリティ市場においては、2027年3月期はグローバルでの自動車生産台数は前期比微増、その中に占めるPHVやHEVを含めたxEVの構成比は前期比増加すると予想しており、当社の売上ではインフォテインメント分野での高速伝送ニーズの増加、中国顧客向けでの伸長が見込まれます。コンシューマー市場はゲーム機向けの需要低迷が継続し厳しい環境になると見込んでいますが、インダストリアル市場は、エネルギーマネジメント分野など新たな領域での需要やFA機器向けの回復が見込まれます。
b. 2027年3月期の重点施策
2024年5月の中期経営計画の策定時に想定していた経営環境から、原材料価格の高騰、地政学リスク、日欧米自動車メーカーの販売不振やEV市場の減速、中国自動車メーカーの台頭と価格競争の激化など課題・変化が発生しています。これらと現在の中期経営計画の進捗、来期以降の展望も踏まえ、中期経営計画の最終年度である2027年3月期は以下を重点施策として取り組んでまいります。
(a)ビジネス拡大戦略
・日欧米、中国、韓国、アジアなど、展開している拠点それぞれの地域の特性に合わせた営業活動と
市場・顧客開拓
・モビリティ市場でのインフォテインメント分野への次世代高速対応製品投入と、スケーラブルコネ
クタの開発
・インダストリアル市場でのエネルギーマネジメント分野での売上拡大推進、AI(AIサーバー、フィジ
カルAI等)、半導体製造装置、通信分野の新規開拓
・中国国内での製販技の一体体制の強化
(b)コスト力強化
・省金化と金めっきの薄膜化による原価低減
・設備標準化、金型内製化の拡大による設備投資効率向上、固定費圧縮
c. 2027年3月期の見通し
連結売上高670億円(対前期比8.1%増)、連結営業利益35億円(対前期比35.6%減)、連結経常利益27億円(対前期比56.0%減)、親会社株主に帰属する当期純利益16億円(対前期比37.3%減)を見込んでおります。為替レートは、155円/ドル、180円/ユーロ、22円/人民元を前提としております。
(1)会社の経営の基本方針
当社は「人の心を尊重し、豊かな価値を創り、社会貢献に努める」ことを経営理念とし、全社員の知恵をお客様の課題解決に注ぎ、お客様が提供する製品・サービスの未来に続く架け橋となるべく、「顧客価値を創造する100年企業」となることを目指しております。
2023年4月には、新たに当社のステートメント(行動宣言)として「私たちは、社会やお客様の期待を超える“つなげる”を実現します」という言葉を策定し、当社が製造するコネクタを通して、人と環境にやさしく、様々な機能を容易につなげる未来を創造していくことを、社会に対して実現したいこととして掲げました。
この経営理念とパーパスから、約10年後の2035年にありたい姿として、「社会やお客様の期待を超える“つなげる”で、成長を続ける企業」、「社会、環境、品質を重視し、社員とステークホルダーが“わくわく”する企業」の2つを設定しています。
(2)マテリアリティ(重要課題)
2035年のありたい姿と、将来の業界メガトレンドを分析し、多数の社会課題項目からステークホルダーにとっての重要性と当社が継続して成長していくための重要項目について、それぞれスコアリングを行い、外部の専門家も交えて議論を重ね、当社が持続的成長を実現するための5つのマテリアリティを特定しました。
| マテリアリティ | 目指す姿 |
| ①社会課題の解決と事業成長の実現 | 社会課題解決を通した価値提供による業界グローバルTop10企業(市場拡大・高利益体質) |
| ②価値創造を支えるモノづくり力の変革 | 業界グローバルTop10企業として高品質なモノづくり力を安定的に発揮する企業 |
| ③人と環境にやさしい安心、安全、快適な社会への貢献 | 持続可能な社会の実現に向け貢献する企業 |
| ④多様な人財づくり | 多様な社員がはたらきがいを感じて働き続けられる企業 |
| ⑤経営基盤の強化 | 業界グローバルTop10企業にふさわしい経営基盤を持ち、信頼される企業 |
(3)経営環境及び中長期的な会社の経営戦略
当社の事業領域において、車載関連市場では100年に一度と言われる電動化によるパワートレイン部品の増加、自動運転に向けたADAS(先進運転支援システム)の普及による情報量の飛躍的増大・高速伝送化という2つの大きな変革に加え、「空飛ぶクルマ」の開発加速など、現在の車載市場だけに捉われず、モビリティ市場全体を俯瞰して事業領域を見直す変化が起きています。
いずれの市場における変化も当社が培ってきた三次元可動並びに大容量情報伝達等の独自技術による当社コネクタ事業を飛躍的に拡大する好機ととらえ、グローバルでの成長市場への展開を重点戦略として、顧客ニーズを先取りするマーケティング、顧客ニーズに対応した顧客密着型営業体制により、お客様の期待を超える「つなげる」を実現する製品開発を進めて参ります。また、生産・サプライチェーンにおいても、最適生産拠点の決定、集中購買・複数購買、各生産拠点での材料の現地調達、内製化・合理化を推進し、グローバルでのQCD(品質・コスト・納期、Quality Cost Delivery)をより一層強化していくことを目指しております。
当社は、以上の市場環境の変化を確実に捉え、グローバルでの新規顧客開拓を推進し、事業規模の確保とブランドの向上を図り、将来的に接続部品業界でグローバルトップ10入りを目指して参ります。
①業績目標
当社は、中期経営計画期間の2024年度~2026年度(2025年3月期~2027年3月期)を、課題克服と成長軌道への回帰に向けた足場固めの3年間と位置付け、2027年3月期に売上高650億円、営業利益率15%超の達成を目指す計画を2024年5月に策定しました。
事業規模拡大において市場別では、販売台数が増加する電動車向けの拡販を加速すると共に、ECU(Electric Control Unit)統合化の流れを掴み製品の市場投入を進めて参ります。また、課題であるセンサー分野(カメラ分野)やインダストリアル市場を2027年以降の飛躍的成長実現に向けた土台づくりの期間と位置づけ、注力分野として推進して参ります。
モノづくり力強化においては、生産性・工場稼働率の向上に努め、設備の標準化、金型内製化の拡大や資材費の低減、設計VEなどを通じコスト削減を進め利益率向上を図って参ります。
②重点施策
中期経営計画期間において、当社は、以下の重点施策に取組んで参ります。
a. 「車載のイリソ」から「モビリティのイリソ」への基盤構築
・パワートレイン分野:ワールドワイドでの事業拡大、高電流・耐振動・耐熱性能の更なる向上
・統合ECU分野:高速BtoBコネクタに加え、統合ECU化に向けWtoB(ワイヤーtoボード)スケーラブル
コネクタ投入によるラインアップ拡充
・センサー分野:共同開発等によるカメラ事業再構築、新規顧客開拓
・車載で培った耐振・耐熱、高速伝送を武器に、建機、農機、eVTOL等のモビリティ市場への事業ポート
フォリオ拡大
b. インダストリアル市場のグローバル強化~ 第二の柱に成長するための土台づくり
・高速フローティングBtoBコネクタによる新規顧客開拓とシェア拡大、商社等活用による販売チャネル
拡大、調達品による品揃え強化
・グローバルFAE(Field Application Engineer)による新規顧客開拓、現地対応力強化
・半導体製造装置、エネルギーマネジメント領域の事業構築
c. ワールドワイドでの生産体制見直し、設備・金型の標準化拡大による生産性・投下資本効率の向上
・全生産拠点の体制・役割を見直し、生産効率15%改善、秋田工場の円滑な立ち上げ、国内生産比率の
向上
・DXを活用した製品・設備・金型設計の生産性向上、標準化、内製金型拡大によるコスト削減、リード
タイム短縮
・現地調達、集約購買拡大による資材費低減、樹脂・めっき等の使用量削減
d. 資本コストと株価を意識した経営の強化
・資本コストを上回るROIC達成を図り、最適な資本構成による投資効率の改善を実現
・成長投資と株主還元のバランスを取り、配当性向40%超または株主資本配当率(DOE)5%程度を目標に
株主還元
e. サステナブル経営の更なる深耕
・人と環境にやさしい経営 ~ 再生可能エネルギー積極利用、リサイクル・再利用の促進
・多様な人財作り ~ 役員・管理職人財の多様化、働き方、処遇改善を通じたエンゲージメント向上
・経営基盤の強化 ~ グローバルリスクマネジメントの強化、デジタル経営基盤の構築、セキュリティ
向上
③経営目標
・中期経営計画(2025年3月期~2027年3月期)
| 2024年3月期 (実績) | 2027年3月期 (策定時目標) | ||
| 売上高 | 558億円 | 650億円 | |
| 営業利益 | 59億円 | 100億円 | |
| 営業利益率 | 10.7% | 15.4%超 | |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 53億円 | → | 75億円 |
| EPS | 226.99円 | 330円 | |
| ROE | 7.5% | 10.0% | |
| ROIC | 7.1% | 10.0% | |
| 売上高研究開発費比率 | 2.4% | 3.5% |
※中期経営計画期間の為替レート設定は140円/ドル、155円/ユーロ、20円/人民元
(4)2027年3月期の重点施策、対処すべき課題
①内部統制及びガバナンス面(再発防止策の実施)
当社は、2026年4月27日付「第三者委員会設立及び2026年3月期決算発表の延期に関するお知らせ」及び2026年6月29日付「2026年3月期有価証券報告書の提出期限延長に関する承認申請書提出のお知らせ」にてお知らせしたとおり、当社の海外子会社における不適切な金銭の交付等の疑義について、外部の独立した専門家による第三者委員会を設置し、その後判明した他の会計処理及び品質・検査上の問題の有無を含め、調査を進めて参りました。
その後、2026年9月29日付「第三者委員会の調査報告書の公表に関するお知らせ」のとおり、調査の結果、海外子会社2社における不適切な金銭交付、海外子会社における決算作業及び監査の遅延、2023年3月期及び2024年3月期における海外子会社での売上の前倒し計上、その他会計処理の誤謬及び当社における品質管理及び品質保証上の問題等の事実が判明しました。
株主、投資家の皆様、お取引先をはじめとする関係者の皆様には、多大なるご迷惑とご心配をおかけしておりますことを、深くお詫び申し上げます。当社は、下記再発防止策を着実に実行するとともに、内部統制及びコーポレート・ガバナンス体制の強化を通じて、皆様からの信頼回復及び企業価値の向上に努めてまいります。
再発防止策の内容は以下になります。
【再発防止策】
a. コンプライアンス最優先の企業風土への改革
(a)経営トップ及び経営幹部による「コンプライアンス最優先」の決意表明
・経営トップは、常にコンプライアンス、顧客との約束及び品質の確保を最優先とすること並びに財務
報告の重要性を社員に向けて発信し続けます。
(b)「コンプライアンス最優先」の明文化
・経営理念、経営方針及び企業行動憲章において、品質を含むコンプライアンスが最優先であることを
明確にします。
・売上や成長への挑戦は継続する一方、法令、契約及び品質を犠牲とすることは認めないことを全社共
通の行動原則とします。
(c)ガバナンスの強化及び体制の見直し
・当社に必要とされる役員のスキル及び人員構成を見直します。
・役員として求められる資質や能力をより適切に担保するため、既存の選任基準及び選任プロセスの更
なる高度化及び実効性の向上を図り、当社の役員選任体制を一層強化します。具体的には、選任基準
において、誠実性、コンプライアンス意識、リスク管理能力及び独立した判断力等の観点を明確化す
るとともに、その内容を充実させます。
・新たな経営体制を構築していくために名誉会長職を廃止します。
(d)役職員のコンプライアンス意識の醸成及び向上に向けた取組
⦅役員に関する施策⦆
・コンプライアンス最優先の風土を根付かせるため、経営陣は、四半期に一度、海外拠点を含む全社に
向けて、コンプライアンスの重要性、品質意識及び会社の決算状況等を含むメッセージを発信し、本
社方針の浸透を図ります。
・役員の評価にコンプライアンス遵守の項目を追加します。
・社員に対するサーベイ等により経営行動の変化を定期的に確認し、取締役会等でレビューを行いま
す。
⦅役職員共通の施策⦆
・役職員に対して、コンプライアンス、品質、財務報告リテラシー、海外拠点管理、内部通報制度及び
内部監査に関する教育及び研修を実施します。
・コンプライアンス・ウィークを設定し、海外拠点を含む全社を対象に贈賄防止及び内部通報等に関す
るコンプライアンス研修を実施します。また、コンプライアンス・ウィークにおいてアンケート調査
を実施し、コンプライアンスに関する実態や課題の把握に努めるとともに、コンプライアンス意識の
定着度を確認します。
(e)役職員のコンプライアンス意識の醸成及び向上に向けた取組
・各国の文化や慣習の違いにかかわらず、コンプライアンスの徹底及びそれを最優先とする意識を全社
の役職員に根付かせるために、贈賄防止規程及び海外拠点向けのIRISO Group Anti-Bribery Manualを
整備し、全ての海外拠点長に対するIRISO Group Anti-Bribery Manualについての説明会を実施しま
す。
・贈賄リスクの高い海外拠点の現地役職者に対しては、現地へ講師を派遣し、対面による研修を実施す
ることを検討します。
(f)職場環境の改善
・「Bad News First」を浸透させ、問題を早期報告した行動を評価し、役職員が自由闊達に意見を述
べ、問題提起を行うことができる体制を構築します。
・上記取組の浸透状況を確認するため、全社の役職員を対象としたアンケート調査を年に一度実施し、
継続的にモニタリングを行います。
・品質保証部門及び経理部門の人員を増強するとともに、必要に応じて外部への業務委託を実施し、必
要な人員を確保します。
・各部門において、中長期的に必要となるスキル及び人員を想定し、採用、育成及びローテーション等
を実施するとともに、人員及び設備を踏まえた処理能力を考慮し、必要な業務量を定量的に管理しま
す。
・各部門において、新たな業務を実施する際に適切な工数を算定し、人員及び設備能力で対応可能とな
るよう、効率化及び自動化等を行います。
b. 本社における管理体制の強化
(a)コンプライアンス・リスクに対する組織的な管理体制の構築
・ガバナンス、コンプライアンス、リスクマネジメント及び内部統制の整備に関する機能を統合し、
「ガバナンス推進部」を新設します。「ガバナンス推進部」は、経営トップ直轄の組織として上記機
能を横断的に推進します。
・海外拠点ごとに、その事業内容、展開地域及び取引形態等を踏まえ、贈収賄、財務報告、品質並びに
輸出入及び通関その他の主要なコンプライアンス・リスクに関するグループ横断的なリスクアセスメ
ントを実施します。
・専門人材の確保及び社内人材の育成を計画的に進め、必要な人員体制を整備します。また、専門人材
を確保するまでの間、外部弁護士や専門コンサルタントを活用し、必要な専門知見及び対応能力を補
完します。
(b)意思決定プロセスの機能強化
・取締役会議案を付議する部門責任者に対して、取締役会付議基準を周知します。また、会議事務局が
取締役会への付議の要否判断をサポートするとともに、当該事務局に各部門に対する調査権限を付与
することで、取締役会による決議漏れを防止します。
・監査部門は、半期に一度、取締役会への付議状況及び付議手続を確認し、その確認結果を監査等委員
会へ報告します。
・稟議承認フローにおいて、コンプライアンス・リスクを適切に評価及び判断できる人材の配置並びに
専門的知見を活用できる仕組みを整備します。
(c)海外管理体制の整備
・監査等委員会は、年に一度、対面で海外拠点長と対話を行い、各社の経営戦略の進捗状況、事業上の
重要課題、コンプライアンス及びリスク管理の状況並びに人材及び組織の課題等を把握し、執行役員
への提言を行うと共に実行状況まで確認します。
・法務部門及び経理部門においては、それぞれの所管事項に関し、海外拠点とのコミュニケーション及
び情報共有を強化し、リスクや課題の早期把握に努めるとともに、必要な指導、支援及びモニタリン
グを行います。
・海外拠点におけるガバナンス及び内部統制の実効性向上のため、海外拠点長に求められる資質及び能
力要件の見直し並びに適切な責任者配置に向けた人事施策を実施します。
・全海外拠点にコンプライアンス担当者を配置し、コンプライアンス委員会がコンプライアンス担当者
から定期的に報告を受ける体制を整備します。
・海外拠点からの報告対象、報告先及び報告期限を明確化するとともに、本社への報告ルートをコンプ
ライアンス委員会へ一本化することで、コンプライアンス委員会が、コンプライアンス上の問題や潜
在的なリスクを早期に把握できる体制を整備します。
・コンプライアンス委員会は報告事項を定期的に検討し、必要な是正措置を速やかに実施します。
・海外赴任者に対して、コンプライアンスや海外贈収賄リスク等に関する研修を実施します。
c. リスク情報を吸い上げる仕組みの強化
(a)内部通報制度の実効性の確保
・内部通報制度の活用を促進するため、説明会や各種研修の際に制度及び通報窓口を周知します。
・内部通報制度の実効性向上及び通報先の多様化のため、監査等委員会に対する通報窓口を設置しま
す。
(b)財務報告に係る管理体制の強化
・海外拠点の経理及び決算体制を強化するとともに、本社経理部門が決算作業及び会計監査の進捗を適
時に把握し、必要な指導及び支援を行う体制を整備します。海外拠点において専門人材の確保が困難
な場合には、本社経理部門が実務面を支援し、適切な会計処理を確保します。
・決算又は会計監査の遅延その他の重要な財務報告上の問題について、報告対象、報告先、報告時期及
び責任者を明確化し、海外拠点から本社経理部門へ速やかに報告及びエスカレーションするととも
に、必要に応じて現地及び本社の監査法人と連携する仕組みを整備します。
・売上計上時期及び固定資産の減損処理を含む主要な会計処理について、判断基準、処理時期及び確認
手続を明確化し、海外拠点に周知します。また、通常の取引条件と異なる取引その他会計上の判断を
要する取引について、本社経理部門が適切に関与する体制を整備します
d. 内部監査機能の強化
(a)内部監査部門の体制強化
・専門人材の採用及び増員により、必要な監査に対応できる体制を整備し、監査部門による海外拠点の
監査を拡充します。
・監査部門から経営トップ及び監査等委員会に対して内部監査結果を報告する体制を整備し、重要な情
報が適時かつ適切に共有される仕組みを構築します。
・海外拠点を含む全社のリスクに応じて内部監査計画及び重点監査項目を見直し、贈収賄リスクを含む
重要リスクに対する監査を強化します。
・内部監査結果について、経営トップ、取締役会及び監査等委員会への報告内容を充実させ、検出した
重要なリスクを適切に共有します。また、実施管理を一層徹底し、証憑確認や再監査等により改善状
況及び実効性を継続的に検証します。
(b)内部監査部門の意義・重要性についての周知徹底
・内部監査が経営上のリスクを早期に把握し、不祥事を未然に防止する重要な機能であることを、事業
部門を含む役職員に周知し、内部監査への協力を徹底します。
・内部監査部門に対し、その役割及び職責の重要性を改めて徹底し、事業部門等からの働きかけに左右
されることなく、独立性及び客観性を保持して必要な指摘及び報告を行うことを徹底します。
e. 品質に関する施策
(a)品質に係るガバナンス、内部統制及び牽制機能の強化
・経営陣は品質最優先であることを継続して徹底し、各拠点における品質巡視を定期的に行い、遵守状
況を確認します。
・品質問題を未然に防止するために、原因分析及び再発防止策の水平展開を行う専任担当者を設置し、
品質保証部門の機能強化を図ります。
(b)顧客への申請及び承認手続管理の強化
・顧客固有要求事項に対する変更管理ルールを見直し、顧客申請要否の判断基準及び承認権限を明文化
し徹底します。
・営業部門、製造部門、技術部門及び品質保証部門に対して、顧客固有要求事項及び4M変更管理に関す
る教育を実施します。
(c)信頼性試験データの信頼性担保
・信頼性試験実施部門が独立し公正な評価を行う体制を構築します。
・設備及び人員の補強を継続的に実施し、信頼性試験の実施体制を強化します。これにより、試験設備
の高稼働状態の緩和を図るとともに、突発的な試験依頼にも対応可能な余力を確保することで、試験設備の不足により実験を実施できない状況の撲滅を図ります。
(d)国内工場における検査の徹底
・検査に必要な人員を増強し、検査体制を強化します。検査に関するプロセスを見直すとともに、検査
内容及び判定基準を明確化し、検査記録管理の強化によってモニタリング体制を整備します。さら
に、検査未実施や異常発生時の報告及びエスカレーション・ルールを明文化することで、適切な検査
運用及び是正措置の徹底を迅速に行います。
②事業面
a. 市場環境
世界経済は、中東情勢などの地政学リスクの影響による原材料、エネルギーコスト、輸送費の高騰など、不透明な状態が続いています。
モビリティ市場においては、2027年3月期はグローバルでの自動車生産台数は前期比微増、その中に占めるPHVやHEVを含めたxEVの構成比は前期比増加すると予想しており、当社の売上ではインフォテインメント分野での高速伝送ニーズの増加、中国顧客向けでの伸長が見込まれます。コンシューマー市場はゲーム機向けの需要低迷が継続し厳しい環境になると見込んでいますが、インダストリアル市場は、エネルギーマネジメント分野など新たな領域での需要やFA機器向けの回復が見込まれます。
b. 2027年3月期の重点施策
2024年5月の中期経営計画の策定時に想定していた経営環境から、原材料価格の高騰、地政学リスク、日欧米自動車メーカーの販売不振やEV市場の減速、中国自動車メーカーの台頭と価格競争の激化など課題・変化が発生しています。これらと現在の中期経営計画の進捗、来期以降の展望も踏まえ、中期経営計画の最終年度である2027年3月期は以下を重点施策として取り組んでまいります。
(a)ビジネス拡大戦略
・日欧米、中国、韓国、アジアなど、展開している拠点それぞれの地域の特性に合わせた営業活動と
市場・顧客開拓
・モビリティ市場でのインフォテインメント分野への次世代高速対応製品投入と、スケーラブルコネ
クタの開発
・インダストリアル市場でのエネルギーマネジメント分野での売上拡大推進、AI(AIサーバー、フィジ
カルAI等)、半導体製造装置、通信分野の新規開拓
・中国国内での製販技の一体体制の強化
(b)コスト力強化
・省金化と金めっきの薄膜化による原価低減
・設備標準化、金型内製化の拡大による設備投資効率向上、固定費圧縮
c. 2027年3月期の見通し
連結売上高670億円(対前期比8.1%増)、連結営業利益35億円(対前期比35.6%減)、連結経常利益27億円(対前期比56.0%減)、親会社株主に帰属する当期純利益16億円(対前期比37.3%減)を見込んでおります。為替レートは、155円/ドル、180円/ユーロ、22円/人民元を前提としております。