有価証券報告書-第49期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績
連結売上高につきましては、前期と比較して主力事業のモバイルデータソリューション事業・エンターテインメント関連事業・新規IT関連事業がそれぞれ上回ったことにより全体の売上高は、262億20百万円(前期比3.9%増)となりました。当社グループが生み出す付加価値を示す売上総利益につきましては、各セグメントにおいてサービス収益が増加したことや原価低減活動などの成果もあり、177億76百万円(前期比4.6%増)となり、売上総利益率は67.8%(前期比0.5pt増)となりました。
連結の営業損失は、22億52百万円となりました。これは、Cellebrite社の第三者割当による優先株式の発行に伴うアドバイザリー費用及び従業員等のリテンション等を目的としたインセンティブ等の諸経費を約22億円計上したことが大きく影響したことに加え、事業規模拡大による固定費の増加も影響しました。
連結の経常損失は、18億75百万円(前期は3億52百万円の損失)となり、損益は悪化しました。これは営業損益の悪化が主たる要因です。また親会社株主に帰属する当期純損失は、34億40百万円(前期は9億85百万円の損失)となり、同じく損益は悪化しておりますが、これは経常損益の悪化に加え、前期MLC事業の売却に伴う事業売却益の減少、AR関連事業、ホールシステム事業に関連する事業整理損失等の計上によるものとなります。
a.モバイルデータソリューション事業
売上高は、モバイルフォレンジック機器及びその関連サービスが好調に推移し、前期に比べ1.4円ほど円高となったものの、3.3%の増収となりました。セグメント利益は、販売費、人件費及び研究開発費が増加したこと並びに連結子会社であるCellebrite社の第三者割当増資による優先株式発行に係るアドバイザリー費用やインセンティブ報酬等の諸経費を計上したことにより、営業損失となりました。
b.エンターテインメント関連事業
売上高及びセグメント利益は、今期は受託開発等の売上が増加したことにより、前期を上回り、増収増益となりました。
c.新規IT関連事業
M2M事業については、売上高は、受託開発売上の計上、自販機向け等のM2M通信機器の販売が好調に推移したことにより、増収となりました。加えて、費用の効率化を図ることで、損失幅は大きく縮小しました。AR事業については、受託開発売上の計上などにより増収となりました。加えて産業向けの現場業務に最適化したスマートグラス「AceReal One」の販促やマーケティング等の活動を続けておりますが、費用の減少に伴い、損失は縮小しました。O2O事業については、売上高は前期で増収となったもののその増額幅は小さく、損失は微減となりました。
この結果、セグメント全体では、売上高は前期を大きく上回り、損失は縮小となりました。
d.その他事業
売上高は、スマートフォン向けゲームコンテンツの販売が低調に推移し、前期を下回りました。一方、セグメント利益は、売上高は減収となりましたが、業務活動の見直しなどによる効率化を行うことで費用が減少し、損失は縮小しました。
(財政状態)
(資産)
総資産は431億7百万円となり、前連結会計年度末に比べ163億46百万円の増加となりました。
流動資産は354億45百万円となり、前連結会計年度末に比べ128億49百万円の増加となりました。主な増加要因としては、Cellebrite社における第三者割当増資等により現金及び預金101億67百万円、主に会計方針の変更で総額表示されたことによる受取手形及び売掛金32億14百万円の増加であります。
固定資産は76億62百万円となり、前連結会計年度末に比べ34億97百万円の増加となりました。主な増加要因としては、BlackBag社の株式取得に係るのれん35億17百万円の増加であります。
(負債)
負債は245億2百万円となり、前連結会計年度末に比べ77億95百万円の増加となりました。
流動負債は226億47百万円となり、前連結会計年度末に比べ63億71百万円の増加となりました。主な増加の要因としては、BlackBag社の株式取得に係る未払金23億7百万円、主に会計方針の変更で総額表示されたことによる前受収益29億11百万円の増加であります。
固定負債は18億55百万円となり、前連結会計年度末に比べ14億23百万円の増加となりました。主な増加の要因としては、BlackBag社の株式取得に係る長期未払金13億14百万円の増加であります。
(純資産)
純資産は186億5百万円となり、前連結会計年度末に比べ85億51百万円の増加となりました。主な増加の要因としては、Cellebrite社における第三者割当増資により資本剰余金76億95百万円、非支配株主持分41億36百万円の増加であります
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、127億円(前期末残高68億87百万円)となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動による資金の減少は、46百万円となりました。減少の要因としては、税金等調整前当期純損失31億61百万円、売上債権26億61百万円の増加によるものであります。増加の要因としては、前受収益29億98百万円の増加によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動による資金の減少は、50億96百万円となりました。減少の要因としては、定期預金44億74百万円の増加によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動による資金の増加は、112億36百万円となりました。増加の要因としては、非支配株主からの払込による収入112億46百万円の増加によるものです。減少の要因としては、配当金の支払額4億51百万円によるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 金額は、販売価格によっております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
b. 受注状況
当社グループは、エンターテインメント関連事業の一部において受注生産を行っております。当連結会計年度における受注状況を示すと、次のとおりであります。
(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
c. 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、以下のとおりです。本項における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において判断したものです。
①重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表はわが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。その作成は経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の開示に影響を与える見積り及び予測を必要とします。経営者は、これらの見積りや予測について、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実績はこれらと異なる可能性があります。
なお、新型コロナウイルス感染症拡大の影響や主要顧客の情勢等、先行きを予想することは極めて困難でありますが、入手可能な外部の情報等を踏まえ、当連結会計年度末時点で合理的であると思われる様々な要因を勘案した上で、2021年3月期中に概ね収束すると仮定のもと会計上の見積りを行っております。詳細は同 連結財務諸表注記 追加情報をご覧ください。
当社の財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表」の「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項 4.会計方針に関する事項」に記載の通りです。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
=外部環境について=
モバイルデータソリューション事業のうち、犯罪捜査機関等向けのデジタル・インテリジェンス事業が属するデジタルフォレンジック市場につきましては、各国行政機関の安全保障に対する意識の高まり、デジタル化の進展及び犯罪捜査手法の進化等に伴い、需要の形を変えながら、引き続き成長が見込める市場環境にあります。デジタルフォレンジック市場は堅調に成長を続けており、かつその需要が幅広くなっていくことに対応するため、製品・サービス等の販促・研究開発を強力に推進しており、将来成長投資の負担が収益を圧迫する傾向にあります。
次に、エンターテインメント関連事業が属するパチンコ市場につきましては、2018年2月1日に施行された「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行規則」並びに「遊技機の認定及び型式の検定等に関する規則の一部を改正する規則」への対応等の影響から、パチンコホールの遊技機の入替減少、新規出店や店舗改装等の設備投資を先送りする傾向等が強まり、将来的な不透明感が増大している市場環境にあります。
上記のように、当社の主力事業の市場環境が厳しい状況にある中、当社グループの更なる成長を図るため、IoT、AR、AI等の最新技術を活用していく社会的な流れを汲み、新たな主力製品・サービスの構築に取り組んでおります。M2M、IoT市場につきましては、モノを繋げるという需要は増加している一方で、多くの企業が当市場に参入しており、市場は拡大しつつも、競争環境は厳しくなっております。スマートグラスを利用するAR/VR関連市場につきましては、現在はまだ市場が本格的に立ち上がっている状況ではないと考えておりますが、スマートグラスはスマートフォンの次の有力なデバイスとして考えられており、ARはその中心となる機能として活発な研究開発が行われ、徐々に製品・サービスがリリースされております。
飲食店向けO2O市場につきましては、国内では人手不足が深刻な課題となっておりますが、その中で、情報通信技術を活用したO2Oは、利用客がスマートに注文する利便性を提供することで、飲食店の機会損失を解消し、集客・収益を向上させるとともに、店舗オペレーションの軽減にも貢献しています。現在、このようなアプリの利用は限定的ですが、今後は政府による電子決済を促進する流れのなかで、税優遇などの具体的な支援策の効果もあり、情報技術を活用した取組みが飲食店でも広がるものと考えられます。
なお、新型コロナウイルス感染症の当連結会計年度に与える影響は軽微であります。
=競争優位性=
主力事業につきましては、独自の競争優位性を図ることで、収益性の確保に努めております。成長しているモバイルデータソリューション事業につきましては、当社製品・サービスが、犯罪捜査や裁判における有力な証拠を発見する一連の活動の中で利用されており、業界最多の対応機種・アプリ数を実現することで、捜査の迅速化・高度化に貢献しております。これは個人情報保護のためにセキュリティを高めていく携帯端末に対するソフトウエア及びハードウエア双方での高い理解力を背景としており、当社は多額の研究開発費を投じることで、技術的競争優位性を維持し、結果として高い売上総利益率を達成しております。また、顧客を法執行機関に限定することで個人情報を高い精度で抽出する機器における個人情報漏洩リスクの低減に努めており、高い信頼性を確保しております。
エンターテインメント関連事業における遊技機部品事業につきましては、業界のみならず顧客も特化することで、強力な信頼関係の構築及び特定分野における表現力・技術力を蓄積することが可能となり、高い商品力を有したコンテンツ開発や高品質の制御基板開発を実現することで、競争優位性を図っております。
=経営施策=
今期のモバイルデータソリューション事業では、成長分野であるデジタル・インテリジェンス事業が、今後データを中心としたマーケットの変化に対応するため、IT分野におけるソリューションビジネスで他の企業を成長させた実績のあるIGP SAFERWORLD, LIMITED PARTNERSHIP(以下、IGP社という。)へ122億円(110百万米ドル)のCellebrite DI LTD.(以下、Cellebrite社という。)の第三者割当による優先株式発行を実施しました。これは、当社グループにはない当分野におけるソリューションビジネスの専門的な戦略構築及び実施への専門的なアドバイスとサポートを得ること、及びM&Aを機動的に行うための資金確保を行うことで、デジタル・インテリジェンス事業におけるリーディングポジションを構築するための戦略的な施策となります。2020年1月にはアップル向けのPCフォレンジックに特徴を持つBlackBag Technologies Inc.(以下、BlackBag社という。)を36億21百万円で買収を実施しました。引き続き、データ抽出などのモバイルフォレンジック分野の競争力の確保を行うとともに、買収したPCフォレンジック分野でのノウハウを活かし、犯罪捜査において重要となるデータの活用に貢献する分析システムの機能強化を図ってまいります。
エンターテインメント関連事業は、現在規則改正などの影響を受けている状況ですが、生産性向上に取り組むとともに、規則改正に伴う市場の変化に対応するための研究・開発活動を行っております。
新規IT関連事業では2019年3月期にARスマートグラス「AceReal One」や「おくだけセンサー」など戦略商品を市場へリリースいたしました。今期はこれら戦略商品の案件開拓などのマーケティング・販促活動を積極的に行い、市場性を確認しながら、事業成長に取り組んでおります。
その他セグメントは、現在、ゲームコンテンツについて改めて各タイトルの採算の改善に向けて運営体制も含めた活動の見直しを行っております。
2020年1月には当社はアドバンテッジアドバイザーズ株式会社(以下、アドバンテッジアドバイザーズという)から紹介されたファンドへ総額18億9百万円の転換社債及び新株予約権の割当を実施しました。それに合わせて、アドバンテッジアドバイザーズとは業務提携契約を結び、モバイルデータソリューションのブランド価値を最大限に活かすことを基本戦略としたグループ経営戦略の実施に関する支援を受けております。当社グループの課題でもある事業ポートフォリオの再構築による選択と集中を実現し、セキュリティビジネスの立上げや新規IT関連の営業拡大など実効性高く事業成長を目指してまいります。
=商品・サービスの概況=
モバイルデータソリューション事業につきましては、「UFED 4PC」の販売が引き続き好調に推移した他、科学捜査の高度化に伴い、捜査官向けトレーニング及びテクニカルサービスについても順調に売上高を伸ばしました。
エンターテインメント関連事業における遊技機部品事業につきましては、業界環境が厳しくなる中、品質を維持しながら開発・製造共にコスト削減のためにプロジェクトを立ち上げ、それぞれ効率化を進めました。この結果、前期に比べ増収となり、利益を確保することができました。当社は、費用効率の最大化と収益化構造モデルの見直しを緊急命題とし、高収益体質への改革を推進していること、また、経営方針の一つに「ベンチャー精神で自ら行動する」を掲げており、エンターテインメント事業においてホールシステム事業の経営人材の育成等を目的とし、株式会社SUNTACを2020年5月に新設分割しております。
新規IT関連事業のうち、M2M事業につきましては、企業のIoT化をトータルで支援できるように、前期販売を開始したセンサーデバイス「おくだけセンサー」についていくつかの実証実験が開始されております。また、自販機等の案件確保などもあり、Roosterなどのルーター・ゲートウェイの売上高が増加しています。
AR事業も同様に、前期発売を開始した産業用向け業務支援システム「AceReal One」について5社の販売パートナーと共にフィールド作業を必要とする企業を中心に、提案活動に努めており、ソリューション中心のビジネスモデルへの転換を図っております。
その他セグメントのゲームコンテンツ事業につきましては、「DARK ECLIPSE(ダークエクリプス)」や「Op8♪(オーピーエイト)」を前期にリリースいたしましたが、ユーザーの獲得などが思わしくなく、サービスを終了しました。現在は、収益化に向けて、既存タイトルの収益向上を図りながら、活動や体制の見直しを行っております。
=事業KPIについて=
当社では、主力事業であるモバイルデータソリューションのビジネスモデルがフロー+ストック型収益モデルであること及びマーケットはまだ成長段階の途上にあることを重視し、中長期のシェア確保の指標でもある受注総額を重要指標として事業運営を行っております。この受注総額のうち、一定額は前受収益として事前に顧客から入金をいただくことで安定した研究開発投資を実現しております。当社では、売上高の先行指標である受注総額を考慮して事業運営を行っており、事業のKPIとして、営業損益に受注残高の増加額を加えることで、事業の状況を判断し、先行投資及び事業開発に資金を投下しております。
KPI(単位:金額は百万米ドル、前期比は%)
※当指標は、内部管理資料であり、決算等の調整を行っておりません。
=損益計算書(連結)について=
連結売上高につきましては、前期と比較して主力事業のモバイルデータソリューション事業・エンターテインメント関連事業・新規IT関連事業がそれぞれ上回ったことにより全体の売上高は、262億20百万円(前期比3.9%増)となりました。当社グループが生み出す付加価値を示す売上総利益につきましては、各セグメントにおいてサービス収益が増加したことや原価低減活動などの成果もあり、177億76百万円(前期比4.6%増)となり、売上総利益率は67.8%(前期比0.5pt増)となりました。
=販売費及び一般管理費について=
連結の販売費及び一般管理費は、200億28百万円(前期比16.5%増)となりました。主な要因は、モバイルデータソリューション事業において連結子会社であるCellebrite社の第三者割当増資による優先株式発行に係るアドバイザリー費用及び従業員等のリテンション等を目的としたインセンティブ等の諸経費を約22億円計上したことに加え、事業規模拡大に伴い費用が増加したことによります。
エンターテインメント関連事業においては、厳しい事業環境に備えるため、費用の効率化に取り組みました。
新規IT関連事業においても、前期に発売した製品等の開発がピークアウトしたこともあり、費用が減少しております。
その他事業のゲームコンテンツ事業においても、新規タイトルの開発が一巡したことで、費用は減少しました。
当社グループでは、将来成長に向けた先行投資としての研究開発活動を重視しており、成長しているモバイルデータソリューション事業を中心に研究開発を積極的に行っております。
モバイルデータソリューション事業では、継続的に新規機種・アプリなどに対応するための研究開発活動のほかに、分析システムの機能追加・改善などを重点的に取り組んでおります。
エンターテインメント関連事業では、厳しい業界環境を踏まえ、研究開発活動については、収益性を確認したうえで研究開発対象を厳選し、映像研究やハード開発、ホール関連の新製品・新サービスの研究開発を行っております。
新規IT関連事業では、M2M分野では通信機器の開発や「おくだけセンサー」の特定用途向けのカスタマイズ開発などを進めております。O2O分野では、「iToGo」の機能・UI改善などお客様の立場に立った開発活動を行っております。
=営業利益について=
連結の営業損失は、22億52百万円となりました。これは、Cellebrite社の第三者割当による優先株式の発行に伴うアドバイザリー費用及び従業員等のリテンション等を目的としたインセンティブ等の諸経費を約22億円計上したことが大きく影響したことに加え、事業規模拡大による固定費の増加も影響しました。
=経常利益及び親会社株主に帰属する当期純利益について=
連結の経常損失は、18億75百万円(前期は3億52百万円の損失)となり、損益は悪化しました。これは営業損益の悪化が主たる要因です。また親会社株主に帰属する当期純損失は、34億40百万円(前期は9億85百万円の損失)となり、同じく損益は悪化しておりますが、これは経常損益の悪化に加え、前期MLC事業の事業売却に伴う事業譲渡益がなかったこと、AR関連事業、ホールシステム事業に関連する事業整理損失等の計上によるものとなります。
=キャッシュ・フローについて=
キャッシュ・フローの成長性については、特にフリー・キャッシュ・フロー(営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローの合計)を重視しており、当連結会計年度のフリー・キャッシュ・フローは51億43百万円の減少となりました。今後、安全性を高められるようにビジネスモデルなども活かしながら、フリー・キャッシュ・フローの増大に取組んでまいります。
当社グループの経営陣は、事業環境及び入手可能な情報に基づき、最善の経営計画及び経営戦略を立案するように努めております。
当社グループの情報通信事業を取り巻く環境は、技術進化の著しい分野であり、市場の変化や多様化が大きく、予断を許さない状況ではありますが、高付加価値製品やソリューションをいち早く投入し、従来のフロー型ビジネスに加え、ストック型ビジネスの展開を加速していきます。更なる成長を目指し、グローバルな事業展開を図るとともに、情報通信市場への経営資源を集中し、高い収益力を確保する企業体質の確立を図っていきます。
当社グループのエンターテインメント関連事業を取り巻く環境は、市場環境の低迷、顧客ニーズの変化が大きく、製品の優劣も大きいため、先行きは不透明な状況が続くと予想されますが、エンターテインメント性を追求した製品創りと、ノウハウを持つ通信ネットワーク技術を活かした新たな事業展開も推進していきます。
また、新市場の開拓及び新規事業の育成にも注力し、シナジー効果が見込まれるビジネスパートナーとの提携を積極的に行う等、将来の成長に向けたチャレンジを継続します。
(資本の財源及び資金の流動性についての分析)
a.資金需要
当社グループの運転資金需要のうち、主なものは、販売及び一般管理活動、研究開発活動のための人件費をはじめとする販売費及び一般管理費であります。当社は特に大きく設備投資を必要とするビジネスモデルではありませんが、一方で技術変化の早い事業分野に属しており最新技術の研究開発や複数年度にまたがる受託開発、ソフトウェアの更新等のための研究開発活動に係る資金需要が生じております。
b.財務政策
当社グループは、運転資金につきましては、内部資金、短期借入金により調達することとしております。また内部資金の一部には、複数年度にわたってソフトウェアを更新するための研究開発活動のために事前に受け取る前受収益が含まれております。流動資産から流動負債を控除した運転資本については、当連結会計年度の末日も含め、以前から流動資産が上回っています。
また、新型コロナウイルス感染症が一定の収束を迎えるまでの間は、手元資金残高を平常時より増やすことや資金調達時期を前倒す等により調達リスクの低減を図っていきます。それに加え今後につきましては、安定的な内部留保の蓄積等により財政状態の健全化を図るとともに、資本効率を高めてまいります。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績
連結売上高につきましては、前期と比較して主力事業のモバイルデータソリューション事業・エンターテインメント関連事業・新規IT関連事業がそれぞれ上回ったことにより全体の売上高は、262億20百万円(前期比3.9%増)となりました。当社グループが生み出す付加価値を示す売上総利益につきましては、各セグメントにおいてサービス収益が増加したことや原価低減活動などの成果もあり、177億76百万円(前期比4.6%増)となり、売上総利益率は67.8%(前期比0.5pt増)となりました。
連結の営業損失は、22億52百万円となりました。これは、Cellebrite社の第三者割当による優先株式の発行に伴うアドバイザリー費用及び従業員等のリテンション等を目的としたインセンティブ等の諸経費を約22億円計上したことが大きく影響したことに加え、事業規模拡大による固定費の増加も影響しました。
連結の経常損失は、18億75百万円(前期は3億52百万円の損失)となり、損益は悪化しました。これは営業損益の悪化が主たる要因です。また親会社株主に帰属する当期純損失は、34億40百万円(前期は9億85百万円の損失)となり、同じく損益は悪化しておりますが、これは経常損益の悪化に加え、前期MLC事業の売却に伴う事業売却益の減少、AR関連事業、ホールシステム事業に関連する事業整理損失等の計上によるものとなります。
a.モバイルデータソリューション事業
| 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | 対前期増減額 | 対前期増減率 | |
| 百万円 | 百万円 | 百万円 | % | |
| 売上高 | 18,402 | 19,018 | 616 | 3.3 |
| セグメント利益又は損失(△) | 1,794 | △1,058 | △2,853 | ― |
売上高は、モバイルフォレンジック機器及びその関連サービスが好調に推移し、前期に比べ1.4円ほど円高となったものの、3.3%の増収となりました。セグメント利益は、販売費、人件費及び研究開発費が増加したこと並びに連結子会社であるCellebrite社の第三者割当増資による優先株式発行に係るアドバイザリー費用やインセンティブ報酬等の諸経費を計上したことにより、営業損失となりました。
b.エンターテインメント関連事業
| 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | 対前期増減額 | 対前期増減率 | |
| 百万円 | 百万円 | 百万円 | % | |
| 売上高 | 5,281 | 5,389 | 107 | 2.0 |
| セグメント利益 | 17 | 255 | 237 | ― |
売上高及びセグメント利益は、今期は受託開発等の売上が増加したことにより、前期を上回り、増収増益となりました。
c.新規IT関連事業
| 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | 対前期増減額 | 対前期増減率 | |
| 百万円 | 百万円 | 百万円 | % | |
| 売上高 | 1,182 | 1,523 | 341 | 28.9 |
| セグメント損失(△) | △827 | △343 | 484 | ― |
M2M事業については、売上高は、受託開発売上の計上、自販機向け等のM2M通信機器の販売が好調に推移したことにより、増収となりました。加えて、費用の効率化を図ることで、損失幅は大きく縮小しました。AR事業については、受託開発売上の計上などにより増収となりました。加えて産業向けの現場業務に最適化したスマートグラス「AceReal One」の販促やマーケティング等の活動を続けておりますが、費用の減少に伴い、損失は縮小しました。O2O事業については、売上高は前期で増収となったもののその増額幅は小さく、損失は微減となりました。
この結果、セグメント全体では、売上高は前期を大きく上回り、損失は縮小となりました。
d.その他事業
| 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | 対前期増減額 | 対前期増減率 | |
| 百万円 | 百万円 | 百万円 | % | |
| 売上高 | 376 | 288 | △87 | △23.3 |
| セグメント損失(△) | △242 | △101 | 141 | ― |
売上高は、スマートフォン向けゲームコンテンツの販売が低調に推移し、前期を下回りました。一方、セグメント利益は、売上高は減収となりましたが、業務活動の見直しなどによる効率化を行うことで費用が減少し、損失は縮小しました。
(財政状態)
| 資 産 | 負 債 | 純資産 | 自己資本比率 | |
| 2020年3月期 | 43,107 | 24,502 | 18,605 | 29.1% |
| 2019年3月期 | 26,761 | 16,706 | 10,054 | 32.2% |
| 増 減 | 16,346 | 7,795 | 8,551 | △3.1ポイント |
(資産)
総資産は431億7百万円となり、前連結会計年度末に比べ163億46百万円の増加となりました。
流動資産は354億45百万円となり、前連結会計年度末に比べ128億49百万円の増加となりました。主な増加要因としては、Cellebrite社における第三者割当増資等により現金及び預金101億67百万円、主に会計方針の変更で総額表示されたことによる受取手形及び売掛金32億14百万円の増加であります。
固定資産は76億62百万円となり、前連結会計年度末に比べ34億97百万円の増加となりました。主な増加要因としては、BlackBag社の株式取得に係るのれん35億17百万円の増加であります。
(負債)
負債は245億2百万円となり、前連結会計年度末に比べ77億95百万円の増加となりました。
流動負債は226億47百万円となり、前連結会計年度末に比べ63億71百万円の増加となりました。主な増加の要因としては、BlackBag社の株式取得に係る未払金23億7百万円、主に会計方針の変更で総額表示されたことによる前受収益29億11百万円の増加であります。
固定負債は18億55百万円となり、前連結会計年度末に比べ14億23百万円の増加となりました。主な増加の要因としては、BlackBag社の株式取得に係る長期未払金13億14百万円の増加であります。
(純資産)
純資産は186億5百万円となり、前連結会計年度末に比べ85億51百万円の増加となりました。主な増加の要因としては、Cellebrite社における第三者割当増資により資本剰余金76億95百万円、非支配株主持分41億36百万円の増加であります
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、127億円(前期末残高68億87百万円)となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動による資金の減少は、46百万円となりました。減少の要因としては、税金等調整前当期純損失31億61百万円、売上債権26億61百万円の増加によるものであります。増加の要因としては、前受収益29億98百万円の増加によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動による資金の減少は、50億96百万円となりました。減少の要因としては、定期預金44億74百万円の増加によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動による資金の増加は、112億36百万円となりました。増加の要因としては、非支配株主からの払込による収入112億46百万円の増加によるものです。減少の要因としては、配当金の支払額4億51百万円によるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 金額(千円) | 前年同期比(%) |
| モバイルデータソリューション事業 | 18,894,455 | 103.3 |
| エンターテインメント関連事業 | 2,484,545 | 97.3 |
| 合計 | 21,379,001 | 102.5 |
(注) 1 金額は、販売価格によっております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
b. 受注状況
当社グループは、エンターテインメント関連事業の一部において受注生産を行っております。当連結会計年度における受注状況を示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 受注高(千円) | 前年同期比(%) | 受注残高(千円) | 前年同期比(%) |
| エンターテインメント関連事業 | 4,550,509 | 83.1 | 1,701,584 | 117.6 |
(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
c. 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 金額(千円) | 前年同期比(%) |
| モバイルデータソリューション事業 | 19,018,661 | 103.3 |
| エンターテインメント関連事業 | 5,389,328 | 102.0 |
| 新規IT関連事業 | 1,523,187 | 128.8 |
| その他 | 288,855 | 76.7 |
| 合計 | 26,220,033 | 103.9 |
(注) 1 最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
| 相手先 | 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | ||
| 金額(千円) | 割合(%) | 金額(千円) | 割合(%) | |
| 株式会社藤商事 | 3,553,323 | 14.1 | 3,745,706 | 14.3 |
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、以下のとおりです。本項における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において判断したものです。
①重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表はわが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。その作成は経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の開示に影響を与える見積り及び予測を必要とします。経営者は、これらの見積りや予測について、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実績はこれらと異なる可能性があります。
なお、新型コロナウイルス感染症拡大の影響や主要顧客の情勢等、先行きを予想することは極めて困難でありますが、入手可能な外部の情報等を踏まえ、当連結会計年度末時点で合理的であると思われる様々な要因を勘案した上で、2021年3月期中に概ね収束すると仮定のもと会計上の見積りを行っております。詳細は同 連結財務諸表注記 追加情報をご覧ください。
当社の財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表」の「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項 4.会計方針に関する事項」に記載の通りです。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
=外部環境について=
モバイルデータソリューション事業のうち、犯罪捜査機関等向けのデジタル・インテリジェンス事業が属するデジタルフォレンジック市場につきましては、各国行政機関の安全保障に対する意識の高まり、デジタル化の進展及び犯罪捜査手法の進化等に伴い、需要の形を変えながら、引き続き成長が見込める市場環境にあります。デジタルフォレンジック市場は堅調に成長を続けており、かつその需要が幅広くなっていくことに対応するため、製品・サービス等の販促・研究開発を強力に推進しており、将来成長投資の負担が収益を圧迫する傾向にあります。
次に、エンターテインメント関連事業が属するパチンコ市場につきましては、2018年2月1日に施行された「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行規則」並びに「遊技機の認定及び型式の検定等に関する規則の一部を改正する規則」への対応等の影響から、パチンコホールの遊技機の入替減少、新規出店や店舗改装等の設備投資を先送りする傾向等が強まり、将来的な不透明感が増大している市場環境にあります。
上記のように、当社の主力事業の市場環境が厳しい状況にある中、当社グループの更なる成長を図るため、IoT、AR、AI等の最新技術を活用していく社会的な流れを汲み、新たな主力製品・サービスの構築に取り組んでおります。M2M、IoT市場につきましては、モノを繋げるという需要は増加している一方で、多くの企業が当市場に参入しており、市場は拡大しつつも、競争環境は厳しくなっております。スマートグラスを利用するAR/VR関連市場につきましては、現在はまだ市場が本格的に立ち上がっている状況ではないと考えておりますが、スマートグラスはスマートフォンの次の有力なデバイスとして考えられており、ARはその中心となる機能として活発な研究開発が行われ、徐々に製品・サービスがリリースされております。
飲食店向けO2O市場につきましては、国内では人手不足が深刻な課題となっておりますが、その中で、情報通信技術を活用したO2Oは、利用客がスマートに注文する利便性を提供することで、飲食店の機会損失を解消し、集客・収益を向上させるとともに、店舗オペレーションの軽減にも貢献しています。現在、このようなアプリの利用は限定的ですが、今後は政府による電子決済を促進する流れのなかで、税優遇などの具体的な支援策の効果もあり、情報技術を活用した取組みが飲食店でも広がるものと考えられます。
なお、新型コロナウイルス感染症の当連結会計年度に与える影響は軽微であります。
=競争優位性=
主力事業につきましては、独自の競争優位性を図ることで、収益性の確保に努めております。成長しているモバイルデータソリューション事業につきましては、当社製品・サービスが、犯罪捜査や裁判における有力な証拠を発見する一連の活動の中で利用されており、業界最多の対応機種・アプリ数を実現することで、捜査の迅速化・高度化に貢献しております。これは個人情報保護のためにセキュリティを高めていく携帯端末に対するソフトウエア及びハードウエア双方での高い理解力を背景としており、当社は多額の研究開発費を投じることで、技術的競争優位性を維持し、結果として高い売上総利益率を達成しております。また、顧客を法執行機関に限定することで個人情報を高い精度で抽出する機器における個人情報漏洩リスクの低減に努めており、高い信頼性を確保しております。
エンターテインメント関連事業における遊技機部品事業につきましては、業界のみならず顧客も特化することで、強力な信頼関係の構築及び特定分野における表現力・技術力を蓄積することが可能となり、高い商品力を有したコンテンツ開発や高品質の制御基板開発を実現することで、競争優位性を図っております。
=経営施策=
今期のモバイルデータソリューション事業では、成長分野であるデジタル・インテリジェンス事業が、今後データを中心としたマーケットの変化に対応するため、IT分野におけるソリューションビジネスで他の企業を成長させた実績のあるIGP SAFERWORLD, LIMITED PARTNERSHIP(以下、IGP社という。)へ122億円(110百万米ドル)のCellebrite DI LTD.(以下、Cellebrite社という。)の第三者割当による優先株式発行を実施しました。これは、当社グループにはない当分野におけるソリューションビジネスの専門的な戦略構築及び実施への専門的なアドバイスとサポートを得ること、及びM&Aを機動的に行うための資金確保を行うことで、デジタル・インテリジェンス事業におけるリーディングポジションを構築するための戦略的な施策となります。2020年1月にはアップル向けのPCフォレンジックに特徴を持つBlackBag Technologies Inc.(以下、BlackBag社という。)を36億21百万円で買収を実施しました。引き続き、データ抽出などのモバイルフォレンジック分野の競争力の確保を行うとともに、買収したPCフォレンジック分野でのノウハウを活かし、犯罪捜査において重要となるデータの活用に貢献する分析システムの機能強化を図ってまいります。
エンターテインメント関連事業は、現在規則改正などの影響を受けている状況ですが、生産性向上に取り組むとともに、規則改正に伴う市場の変化に対応するための研究・開発活動を行っております。
新規IT関連事業では2019年3月期にARスマートグラス「AceReal One」や「おくだけセンサー」など戦略商品を市場へリリースいたしました。今期はこれら戦略商品の案件開拓などのマーケティング・販促活動を積極的に行い、市場性を確認しながら、事業成長に取り組んでおります。
その他セグメントは、現在、ゲームコンテンツについて改めて各タイトルの採算の改善に向けて運営体制も含めた活動の見直しを行っております。
2020年1月には当社はアドバンテッジアドバイザーズ株式会社(以下、アドバンテッジアドバイザーズという)から紹介されたファンドへ総額18億9百万円の転換社債及び新株予約権の割当を実施しました。それに合わせて、アドバンテッジアドバイザーズとは業務提携契約を結び、モバイルデータソリューションのブランド価値を最大限に活かすことを基本戦略としたグループ経営戦略の実施に関する支援を受けております。当社グループの課題でもある事業ポートフォリオの再構築による選択と集中を実現し、セキュリティビジネスの立上げや新規IT関連の営業拡大など実効性高く事業成長を目指してまいります。
=商品・サービスの概況=
モバイルデータソリューション事業につきましては、「UFED 4PC」の販売が引き続き好調に推移した他、科学捜査の高度化に伴い、捜査官向けトレーニング及びテクニカルサービスについても順調に売上高を伸ばしました。
エンターテインメント関連事業における遊技機部品事業につきましては、業界環境が厳しくなる中、品質を維持しながら開発・製造共にコスト削減のためにプロジェクトを立ち上げ、それぞれ効率化を進めました。この結果、前期に比べ増収となり、利益を確保することができました。当社は、費用効率の最大化と収益化構造モデルの見直しを緊急命題とし、高収益体質への改革を推進していること、また、経営方針の一つに「ベンチャー精神で自ら行動する」を掲げており、エンターテインメント事業においてホールシステム事業の経営人材の育成等を目的とし、株式会社SUNTACを2020年5月に新設分割しております。
新規IT関連事業のうち、M2M事業につきましては、企業のIoT化をトータルで支援できるように、前期販売を開始したセンサーデバイス「おくだけセンサー」についていくつかの実証実験が開始されております。また、自販機等の案件確保などもあり、Roosterなどのルーター・ゲートウェイの売上高が増加しています。
AR事業も同様に、前期発売を開始した産業用向け業務支援システム「AceReal One」について5社の販売パートナーと共にフィールド作業を必要とする企業を中心に、提案活動に努めており、ソリューション中心のビジネスモデルへの転換を図っております。
その他セグメントのゲームコンテンツ事業につきましては、「DARK ECLIPSE(ダークエクリプス)」や「Op8♪(オーピーエイト)」を前期にリリースいたしましたが、ユーザーの獲得などが思わしくなく、サービスを終了しました。現在は、収益化に向けて、既存タイトルの収益向上を図りながら、活動や体制の見直しを行っております。
=事業KPIについて=
当社では、主力事業であるモバイルデータソリューションのビジネスモデルがフロー+ストック型収益モデルであること及びマーケットはまだ成長段階の途上にあることを重視し、中長期のシェア確保の指標でもある受注総額を重要指標として事業運営を行っております。この受注総額のうち、一定額は前受収益として事前に顧客から入金をいただくことで安定した研究開発投資を実現しております。当社では、売上高の先行指標である受注総額を考慮して事業運営を行っており、事業のKPIとして、営業損益に受注残高の増加額を加えることで、事業の状況を判断し、先行投資及び事業開発に資金を投下しております。
KPI(単位:金額は百万米ドル、前期比は%)
| Cellebrite社 | 2018年3月期 実績 | 前期比 | 2019年3月期 実績 | 前期比 | 2020年3月期 実績 | 前期比 |
| 受注総額 | 129 | +33.0 | 171 | +32.6 | 201 | +17.5 |
※当指標は、内部管理資料であり、決算等の調整を行っておりません。
=損益計算書(連結)について=
連結売上高につきましては、前期と比較して主力事業のモバイルデータソリューション事業・エンターテインメント関連事業・新規IT関連事業がそれぞれ上回ったことにより全体の売上高は、262億20百万円(前期比3.9%増)となりました。当社グループが生み出す付加価値を示す売上総利益につきましては、各セグメントにおいてサービス収益が増加したことや原価低減活動などの成果もあり、177億76百万円(前期比4.6%増)となり、売上総利益率は67.8%(前期比0.5pt増)となりました。
=販売費及び一般管理費について=
連結の販売費及び一般管理費は、200億28百万円(前期比16.5%増)となりました。主な要因は、モバイルデータソリューション事業において連結子会社であるCellebrite社の第三者割当増資による優先株式発行に係るアドバイザリー費用及び従業員等のリテンション等を目的としたインセンティブ等の諸経費を約22億円計上したことに加え、事業規模拡大に伴い費用が増加したことによります。
エンターテインメント関連事業においては、厳しい事業環境に備えるため、費用の効率化に取り組みました。
新規IT関連事業においても、前期に発売した製品等の開発がピークアウトしたこともあり、費用が減少しております。
その他事業のゲームコンテンツ事業においても、新規タイトルの開発が一巡したことで、費用は減少しました。
当社グループでは、将来成長に向けた先行投資としての研究開発活動を重視しており、成長しているモバイルデータソリューション事業を中心に研究開発を積極的に行っております。
モバイルデータソリューション事業では、継続的に新規機種・アプリなどに対応するための研究開発活動のほかに、分析システムの機能追加・改善などを重点的に取り組んでおります。
エンターテインメント関連事業では、厳しい業界環境を踏まえ、研究開発活動については、収益性を確認したうえで研究開発対象を厳選し、映像研究やハード開発、ホール関連の新製品・新サービスの研究開発を行っております。
新規IT関連事業では、M2M分野では通信機器の開発や「おくだけセンサー」の特定用途向けのカスタマイズ開発などを進めております。O2O分野では、「iToGo」の機能・UI改善などお客様の立場に立った開発活動を行っております。
=営業利益について=
連結の営業損失は、22億52百万円となりました。これは、Cellebrite社の第三者割当による優先株式の発行に伴うアドバイザリー費用及び従業員等のリテンション等を目的としたインセンティブ等の諸経費を約22億円計上したことが大きく影響したことに加え、事業規模拡大による固定費の増加も影響しました。
=経常利益及び親会社株主に帰属する当期純利益について=
連結の経常損失は、18億75百万円(前期は3億52百万円の損失)となり、損益は悪化しました。これは営業損益の悪化が主たる要因です。また親会社株主に帰属する当期純損失は、34億40百万円(前期は9億85百万円の損失)となり、同じく損益は悪化しておりますが、これは経常損益の悪化に加え、前期MLC事業の事業売却に伴う事業譲渡益がなかったこと、AR関連事業、ホールシステム事業に関連する事業整理損失等の計上によるものとなります。
=キャッシュ・フローについて=
キャッシュ・フローの成長性については、特にフリー・キャッシュ・フロー(営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローの合計)を重視しており、当連結会計年度のフリー・キャッシュ・フローは51億43百万円の減少となりました。今後、安全性を高められるようにビジネスモデルなども活かしながら、フリー・キャッシュ・フローの増大に取組んでまいります。
当社グループの経営陣は、事業環境及び入手可能な情報に基づき、最善の経営計画及び経営戦略を立案するように努めております。
当社グループの情報通信事業を取り巻く環境は、技術進化の著しい分野であり、市場の変化や多様化が大きく、予断を許さない状況ではありますが、高付加価値製品やソリューションをいち早く投入し、従来のフロー型ビジネスに加え、ストック型ビジネスの展開を加速していきます。更なる成長を目指し、グローバルな事業展開を図るとともに、情報通信市場への経営資源を集中し、高い収益力を確保する企業体質の確立を図っていきます。
当社グループのエンターテインメント関連事業を取り巻く環境は、市場環境の低迷、顧客ニーズの変化が大きく、製品の優劣も大きいため、先行きは不透明な状況が続くと予想されますが、エンターテインメント性を追求した製品創りと、ノウハウを持つ通信ネットワーク技術を活かした新たな事業展開も推進していきます。
また、新市場の開拓及び新規事業の育成にも注力し、シナジー効果が見込まれるビジネスパートナーとの提携を積極的に行う等、将来の成長に向けたチャレンジを継続します。
(資本の財源及び資金の流動性についての分析)
a.資金需要
当社グループの運転資金需要のうち、主なものは、販売及び一般管理活動、研究開発活動のための人件費をはじめとする販売費及び一般管理費であります。当社は特に大きく設備投資を必要とするビジネスモデルではありませんが、一方で技術変化の早い事業分野に属しており最新技術の研究開発や複数年度にまたがる受託開発、ソフトウェアの更新等のための研究開発活動に係る資金需要が生じております。
b.財務政策
当社グループは、運転資金につきましては、内部資金、短期借入金により調達することとしております。また内部資金の一部には、複数年度にわたってソフトウェアを更新するための研究開発活動のために事前に受け取る前受収益が含まれております。流動資産から流動負債を控除した運転資本については、当連結会計年度の末日も含め、以前から流動資産が上回っています。
また、新型コロナウイルス感染症が一定の収束を迎えるまでの間は、手元資金残高を平常時より増やすことや資金調達時期を前倒す等により調達リスクの低減を図っていきます。それに加え今後につきましては、安定的な内部留保の蓄積等により財政状態の健全化を図るとともに、資本効率を高めてまいります。