有価証券報告書-第50期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
なお、2020年1月に行われたBlackBag Technologies Inc.(以下、「BlackBag社」という。)との企業結合について前連結会計年度に暫定的な会計処理を行っておりましたが、当連結会計年度に確定したため、前連結会計年度との比較・分析にあたっては、暫定的な会計処理の確定による見直し後の金額を用いております。
① 財政状態及び経営成績
連結売上高につきましては、前期と比較して、エンターテインメント関連事業において新型コロナウイルス感染症の影響やSUNTACの事業譲渡等により売上高が大きく下回ったものの、モバイルデータソリューション事業の売上高が好調に推移したことにより、全体の売上高は、266億62百万円(前期比1.7%増)となりました。当社グループが生み出す付加価値を示す売上総利益につきましては、モバイルデータソリューション事業及び新規IT事業の売上高が伸びたことで向上し、188億25百万円(前期比5.9%増)となり、売上総利益率は70.6%(前期比2.8pt増)となりました。
連結の営業利益は、6億87百万円(前期は22億52百万円の損失)となり、利益へと転じました。これは、モバイルデータソリューション事業の前期に発生した連結子会社の第三者割当増資に伴う一過性の費用が減少したこと、構造改革を推進したこと等の影響によるものです。
連結の経常利益は、8億81百万円(前期は18億75百万円の損失)となり、当期は利益へと転じました。これは、営業損益の改善が主たる要因です。また親会社株主に帰属する当期純利益は、47百万円(前期は34億40百万円の損失)となりました。これは、同じく営業損益の改善及び法人税等調整額△2億4百万円を計上したこと等が主たる要因です。
a.モバイルデータソリューション事業
売上高は、モバイルフォレンジック機器及びその関連サービスの受注が好調に推移し、デジタルフォレンジック製品の販売が前期に比べ大幅に増加したことにより、7.3%の増収となりました。セグメント利益は売上高が好調に推移したこと及び前期に発生した連結子会社であるCellebrite社の第三者割当増資に係る費用の減少により19億72百万円の増益となりました。
b.エンターテインメント関連事業
売上高は、制御基板及び受託開発等の売上が堅調に推移しましたが、新型コロナウイルス感染症の影響やSUNTACの事業譲渡により売上高が大幅に減少しました。一方セグメント利益は業務の効率化や費用の見直し等により、2億51百万円の増益となりました。
c.新規IT関連事業
M2M事業につきましては、売上高は、M2M通信機器の販売が好調に推移したことにより、増収となりました。加えて、費用の効率化を図ることで、利益に転じております。AR事業につきましては、ソリューションビジネスを中心に展開することとなりました。加えて費用の削減に伴い、損失は縮小しました。
この結果、セグメント全体では、売上高は前期から14.6%の増収となり、利益に転じました。
d.その他事業
ゲームコンテンツ事業の売上高は、海外への販売拡大を行ったものの、「俺!プロジェクト」アプリのサービス終了等により、前期を大幅に下回りました。一方、セグメント利益は、コスト見直し等による効率化を図ったことにより費用が減少し、利益に転じました。
(財政状態)
(注)2020年3月期における数値は、過年度の決算訂正を反映した数値となっております。
(資産)
総資産は497億85百万円となり、前連結会計年度末に比べ81億48百万円の増加となりました。
流動資産は436億48百万円となり、前連結会計年度末に比べ82億26百万円の増加となりました。主な増加要因としては、現金及び預金61億43百万円、受取手形及び売掛金20億39百万円の増加であります。
固定資産は61億36百万円となり、前連結会計年度末に比べ77百万円の減少となりました。主な減少要因としては、のれん1億73百万円、無形固定資産その他1億17百万円の減少であります。一方、主な増加要因としては、繰延税金資産1億82百万円の増加であります。
(負債)
負債は289億64百万円となり、前連結会計年度末に比べ59億33百万円の増加となりました。
流動負債は278億85百万円となり、前連結会計年度末に比べ57億36百万円の増加となりました。主な増加の要因としては、短期借入金19億66百万円、前受収益46億41百万円の増加であります。
固定負債は10億79百万円となり、前連結会計年度末に比べ1億96百万円の増加となりました。主な増加の要因としては、長期借入金1億88百万円の増加であります。
(純資産)
純資産は208億20百万円となり、前連結会計年度末に比べ22億15百万円の増加となりました。主な増加の要因としては、資本金10億46百万円、資本剰余金11億60百万円の増加であります。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、211億13百万円(前期末残高126億74百万円)となりました。当連結会計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動による資金は、61億10百万円の増加となりました。主な増加の要因としては、前受収益51億65百万円の増加であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動による資金は、9億10百万円の減少となりました。主な減少の要因としては、子会社株式の取得による支出15億85百万円であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動による資金は、35億98百万円の増加となりました。主な増加の要因としては、短期借入金19億66百万円の増加及び新株予約権の行使による株式の発行による収入14億99百万円であります。
③生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 金額は、販売価格によっております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
b. 受注状況
当社グループは、エンターテインメント関連事業の一部において受注生産を行っております。当連結会計年度における受注状況を示すと、次のとおりであります。
(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
c. 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、以下のとおりです。本項における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において判断したものです。
①重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表はわが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。その作成は経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の開示に影響を与える見積り及び予測を必要とします。経営者は、これらの見積りや予測について、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実績はこれらと異なる可能性があります。
なお、新型コロナウイルス感染症拡大の影響や主要顧客の情勢等、先行きを予想することは極めて困難でありますが、入手可能な外部の情報等を踏まえ、当連結会計年度末時点で合理的であると思われる様々な要因を勘案した上で、2022年3月期中に概ね収束すると仮定のもと会計上の見積りを行っております。
当社の財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表」の「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項 5.会計方針に関する事項」に記載のとおりです。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
=外部環境について=
モバイルデータソリューション事業のうち、犯罪捜査機関等向けのデジタル・インテリジェンス事業が属するデジタルフォレンジック市場につきましては、各国行政機関の安全保障に対する意識の高まり、デジタル化の進展及び犯罪捜査手法の進化等に伴い、需要の形を変えながら、引き続き成長が見込める市場環境にあります。デジタルフォレンジック市場は堅調に成長を続けており、かつその需要が幅広くなっていくことに対応するため、製品・サービス等の販促・研究開発を強力に推進しており、将来成長投資の負担が増加する傾向にあります。
次に、エンターテインメント関連事業が属するパチンコ市場につきましては、2018年2月1日に施行された「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行規則」並びに「遊技機の認定及び型式の検定等に関する規則の一部を改正する規則」への対応、コロナ禍等の影響から、遊技人口の減少、パチンコホールの減少、遊技機の販売台数の減少等、将来的な不透明感が依然として存在している市場環境にあります。
上記のように、当社の主力事業の市場環境が厳しい状況にある中、当社グループの業績の向上を図るため、IoT、AR、AI等の最新技術を活用していく社会的な流れを汲み、新たな主力製品・サービスの構築に取り組んでおります。
M2M、IoT市場につきましては、各通信キャリア(NTTドコモ、KDDI、ソフトバンク)が2026年3月までに3G回線を順次停波するため、3GからLTE(4G)へのマイグレーションが本格的に進んでおります。モノを繋げるという需要は増加している一方、多くの企業が市場に参入しているため、市場自体は拡大しつつも競争環境は厳しくなっております。またコロナ禍や半導体、電子部品供給不足等により、当社製品の供給に影響が出る可能性はあるものの、現時点では不透明な状況であります。
スマートグラスを利用するAR関連市場につきましては、ARを業務に利用するような需要につきましては、まだ市場が本格的に立ち上がっている状況ではないと考えておりますが、コロナ禍でのオンラインによる業務や、人手不足による企業の遠隔支援に関する需要は、高まってきております。
ゲーム市場につきましては、ネットワーク環境の向上、新たなゲームハードの登場等を迎えて、世界のコンテンツ市場は拡大傾向が続くと考えております。スマートフォンゲーム市場ではハイパーカジュアルゲームと呼ばれる、短期開発で面白さのコアを具現化したゲームがここ数年拡大しており、日本のゲームメーカーもこの分野で成功する事例が出てきております。日本においては、家庭用ゲームが活況を呈しながらも、スマートフォン市場は2015年以降、競争の激化で頭打ちの傾向が見てとれます。
=競争優位性=
成長しているモバイルデータソリューション事業につきましては、当社製品が、犯罪捜査や裁判における有力な証拠を発見する一連の活動の中で利用されており、業界最多の対応機種・アプリ数を実現することで、捜査の迅速化・高度化に貢献しております。これは個人情報保護のためにセキュリティを高めていく携帯端末に対するソフトウエア及びハードウエア双方での高い理解力を背景としており、当社は先端技術の研究開発に注力することで、技術的競争優位性を維持し、結果として高い売上総利益率を達成しております。また、法的執行機関を顧客の中心にすることで、個人情報を高い精度で抽出する機器における個人情報漏洩リスクの低減に努めており、高い信頼性を確保しております。
エンターテインメント関連事業における遊技機部品事業につきましては、業界のみならず顧客も特化することで、強力な信頼関係の構築及び特定分野における表現力・技術力を蓄積することが可能で、高い商品力を有したコンテンツ開発や高品質の制御基板開発を実現することで、競争優位性を図っております。
新規IT事業であるM2M事業につきましては、各通信キャリア、パートナーと強力な信頼関係を構築しつつ、長年培ってきた技術をベースに3G回線からLTE(4G)回線へのマイグレーションに関連した特許を取得し、技術的競争優位性を図っております。
AR事業につきましては、自社開発の業務用スマートグラスである「AceReal One」と多機能型ソフトウエア「Apps」で構成されているARソリューションを提供しております。「Apps」は、他社製のスマートグラスとの親和性も高いことから、お客様の用途、好みに応じた最適なサービスを提供することが可能です。また、「Apps」の販売経験から、遠隔支援に特化した単機能型サービス「AceReal Assist」を2021年2月にリリースいたしました。今後AR事業は、AR技術をベースにDXを推進するすべての企業へ新たなソリューションを提供いたします。
その他セグメントのゲームコンテンツ事業につきましては、当社が得意とするパズルゲーム「上海」において、引き続き多くのお客様に支持されております。また、「上海」の開発、運営を通して、パズルゲームやカジュアルゲームに関して、一定のノウハウを蓄積しております。ゲーム開発に必要なサーバ設計・開発・運営はすべて内製化しており、一貫した開発運営体制を構築しております。
=経営施策=
事業全体の効率化を図るため、資本業務提携、不採算部門の整理、本社機能のスリム化等、事業構造改革を推進しております。
モバイルデータソリューション事業につきましては、当社の連結子会社のCellebrite DI LTD.(以下、「Cellebrite社」という。)について、共同出資をしているIT分野におけるソリューションビジネスで他の企業を成長させた実績のあるIGP SAFERWORLD, LIMITED PARTNERSHIPと連携をしながら、データ分析分野を中心とした事業拡大を図っております。その中で、2020年1月にはApple,Inc.向けのPCフォレンジックに特徴を持つBlackBag社を22億3百万円で買収しました。引き続き、データ抽出等のモバイルフォレンジック分野への事業領域を広げ、買収したPCフォレンジック分野でのノウハウを活かし、犯罪捜査において重要となるデータの活用に貢献する分析システムの機能強化を図ってまいります。
エンターテインメント関連事業につきましては、業界環境が厳しくなる中、品質を維持しながら開発・製造ともに体質改善のために費用効率の最大化と収益化構造モデルの見直しを緊急命題とし、高収益体質への改革を推進しております。また、エンターテインメント関連事業のうち、ホールシステム事業につきましては、2020年5月に新設分割を行い、株式会社SUNTAC(以下、「SUNTAC」という。)として分離し、JALCOホールディングス株式会社(以下、「JALCO HD」という。)の金融サービスを絡めたシナジー効果による事業の拡大を図るため、2020年7月にJALCO HDと資本業務提携を行い、当社が保有するSUNTACの株式36%をJALCO HDに譲渡いたしました。2020年10月及び2020年12月には、JALCO HDとSUNTACの連携の強化及び当社グループにおける事業の選択と集中の観点から、当社の保有するSUNTACの全株式をJALCO HDに譲渡いたしました。
新規IT関連事業のうちM2M事業につきましては、「おくだけセンサー」等戦略商品において、マーケティングを行いながら、機能開発、新規顧客の開拓に努めております。飲料自販機は日本国内で約228万台設置されており、その多くが在庫管理等に3G回線を使用しております。M2M事業では、3GからLTE(4G)へマイグレーションするための戦略製品である「A330」、「A900」を開発、販売開始しており、在庫管理システムを展開している各通信キャリア、パートナーと連携をしながら、複数の大手飲料オペレータに採用され、順調に事業が拡大しております。またデバイスマネジメント「SunDMS」の機能強化をすることにより付加価値を高め、ストックビジネスの拡大を図っております。
また、AR事業につきましては、遠隔支援の機能にフォーカスをして、ソリューションビジネスを中心に、事業展開を進めております。「AceReal Assist」は、市場からの反応も良く、AceReal販売代理店の販売計画が大幅に上方修正されているほどの高い期待感があり、導入を検討している顧客及びスマートグラスを供給するベンダーからも高い評価を受けております。また、大手通信キャリアと5Gをキーワードに戦略的パートナーシップを形成しており、同社と提携している100社程のパートナーベンダーのうち、サン電子の「AceReal One」がTOP6に入っております。今後もXR関連のソリューション案件も対応することでさらなる強固な関係を築いていきます。
その他セグメントにつきましては、現在、ゲームコンテンツについて現行のコンテンツの収益の拡大と海外市場へ展開を図るとともに、新しいコンテンツも着手し販売開始しております。
=商品・サービスの概況=
モバイルデータソリューション事業につきましては、BlackBag社の買収に伴い、PCフォレンジックの製品・サービスをラインナップに揃え、捜査時に重要となるデバイスに対するフォレンジックツールを揃えました。また、モバイルフォレンジック関連製品は、関連のサービスの受注が引き続き堅調に推移し、前期比で増収となるとともに受注総額も増加しております。
エンターテインメント関連事業における遊技機部品事業につきましては、コロナ禍の影響及び旧規則機への入替期限延長等により、遊技機部品の販売数量が減少している状況ですが、制御基板及び受託開発の生産性向上に取り組むとともに、規則改正等による市場の変化に対応した新しい遊技機の企画研究・開発活動を強化・推進しております。
新規IT関連事業のうち、M2M事業につきましては、飲料自販機向けLTE(4G)マイグレーション戦略製品「A330」、「A900」が複数の大手飲料オペレータに採用され、既に導入開始しております。Rooster等のルータ・ゲートウェイ製品においては、デバイスマネジメントサービス「SunDMS」との連携で他社との差別化を打ち出し、売上高も堅調に推移しております。また、センサーデバイス「おくだけセンサー」においては、実証実験から本格導入フェーズとなりました。更に、ソリューションを強化するため長距離通信が可能なサブギガ通信の特徴を活かし、短距離の通信であるBluetooth対応センサーを中継する機器の開発を進めております。
AR事業につきましては、遠隔支援ソリューションを中心にビジネスモデルの転換を図っております。遠隔支援に特化した新サービス「AceReal Assist」は、ブラウザ型であることから、動作が軽く、円滑な双方向のコミュニケーションを実現します。また、P2P接続が可能なことから、サーバ等への負荷も軽減しております。今後、この「AceReal Assist」を手始めに、お客様のDXを解決すべく、新たなARソリューションを広く展開してまいります。
その他セグメントでは、ゲームコンテンツ事業につきましては、多くのお客様を持つ「上海」に注力し、収益を大きく向上させました。また新たに広告収入のみを目的とする「懸賞ロジック」を2021年2月にリリースする等、売切り型、アイテム課金型に続いて広告収入を3つ目の柱とする準備を整えつつあります。当社は「上海」の顧客等カジュアル層に対して強い企画・開発力を持つ事から、今後は短期での開発に力を入れ、ハイパーカジュアルのゲーム等にも取り組むことで世界へのさらなる拡大を目指してまいります。
=事業KPIについて=
当社では、主力事業であるモバイルデータソリューション事業のビジネスモデルが、フローストック型収益モデルであること及びマーケットはまだ成長段階の途上にあることを考慮し、中長期のシェア確保の指標でもある受注総額を重要指標として事業運営を行っております。この受注総額のうち、一定額は前受収益として事前に顧客から入金をいただくことで安定した研究開発投資を実現しております。このように当社では売上高の先行指標である受注総額を考慮して事業運営を行っており、事業のKPIとして、営業損益に受注残高の増加額を加えることで、事業の状況を判断し、先行投資及び事業開発に資金を投下しております。当連結会計年度も、引き続きデジタルフォレンジック関連サービスの受注が堅調に推移し、受注総額は増加となりました。
KPI(単位:金額は百万米ドル、前期比は%)
※当指標は、内部管理資料であり、決算等の調整を行っておりません。
=損益計算書(連結)について=
連結売上高につきましては、前期と比較して、エンターテインメント関連事業において新型コロナウイルス感染症の影響やSUNTACの事業譲渡等により売上高が大きく下回ったものの、モバイルデータソリューション事業の売上高が好調に推移したことにより、全体の売上高は、266億62百万円(前期比1.7%増)となりました。当社グループが生み出す付加価値を示す売上総利益につきましては、モバイルデータソリューション事業及び新規IT事業の売上高が伸びたことで向上し、188億25百万円(前期比5.9%増)となり、売上総利益率は70.6%(前期比2.8pt増)となりました。
=販売費及び一般管理費について=
連結の販売費及び一般管理費は、181億37百万円(前期比9.4%減)となりました。主な要因は、モバイルデータソリューション事業において、前期発生した連結子会社における第三者割当に関する一過性の費用が減少したことによるものです。
新規IT関連事業につきましては、M2M事業、AR事業、O2O事業ともに事業活動の見直しに伴い、費用が減少しております。
その他セグメントのゲームコンテンツ事業につきましては、事業の収益化に向けた活動や体制、運営タイトルの見直しにより、費用は減少しました。
当社グループでは、将来成長に向けた先行投資としての研究開発活動を重視しており、成長しているモバイルデータソリューション事業を中心に研究開発を積極的に行っております。
モバイルデータソリューション事業につきましては、継続的に新規機種・アプリ等に対応するための研究開発活動のほかに、分析システムの機能追加・改善等を重点的に取り組んでおります。またBlackBag社のPCフォレンジックとの連携等も注力しております。
エンターテインメント関連事業につきましては、厳しい市場環境を踏まえ、各担当及び子会社間の連携が図れるよう事業の効率化を進めております。
新規IT関連事業のうち、M2M事業につきましては、次世代通信機器の開発や「おくだけセンサー」の特定用途向けのカスタマイズ開発等を進めております。
AR事業につきましては、連携できるサービスの拡張や、遠隔支援適用の業種拡大等に注力しております。
=営業利益について=
連結の営業利益は、6億87百万円(前期は22億52百万円の損失)となり、利益へと転じました。これは、モバイルデータソリューション事業の前期に発生した連結子会社の第三者割当増資に伴う一過性の費用が減少したこと、構造改革を推進したこと等によるものです。
=経常利益及び親会社株主に帰属する当期純利益について=
連結の経常利益は、8億81百万円(前期は18億75百万円の損失)となり、当期は利益へと転じました。これは、営業損益の改善が主たる要因です。また親会社株主に帰属する当期純利益は、47百万円(前期は34億40百万円の損失)となりました。これは、同じく営業損益の改善及び法人税等調整額△2億4百万円を計上したこと等が主たる要因です。
=キャッシュ・フローについて=
キャッシュ・フローの成長性につきましては、特にフリー・キャッシュ・フロー(営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローの合計)を重視しており、当連結会計年度のフリー・キャッシュ・フローは52億円の増加となりました。今後も、安全性を高められるようにビジネスモデル等も活かしながら、フリー・キャッシュ・フローの増大に取組んでまいります。
当社グループの経営陣は、事業環境及び入手可能な情報に基づき、最善の経営計画及び経営戦略を立案するように努めております。
当社グループの情報通信事業を取り巻く環境は、技術進化の著しい分野であり、市場の変化や多様化が大きく、予断を許さない状況ではありますが、高付加価値製品やソリューションをいち早く投入し、従来のフロー型ビジネスに加え、ストック型ビジネスの展開を加速していきます。更なる成長を目指し、グローバルな事業展開を図るとともに、情報通信市場へ経営資源を集中し、高い収益力を確保する企業体質の確立を図っていきます。
当社グループのエンターテインメント関連事業を取り巻く環境は、市場環境の低迷、顧客ニーズの変化が大きく、製品の優劣も大きいため、先行きは不透明な状況が続くと予想されますが、エンターテインメント性を追求した製品創りと、ノウハウを持つ通信ネットワーク技術を活かした新たな事業展開も推進していきます。
また、新市場の開拓及び新規事業の育成にも注力し、シナジー効果が見込まれるビジネスパートナーとの提携を積極的に行う等、将来の成長に向けたチャレンジを継続します。
(資本の財源及び資金の流動性についての分析)
a.資金需要
当社グループの運転資金需要のうち、主なものは、販売及び一般管理活動、研究開発活動のための人件費をはじめとする販売費及び一般管理費であります。当社は特に大きく設備投資を必要とするビジネスモデルではありませんが、一方で技術変化の早い事業分野に属しており最新技術の研究開発や複数年度にまたがる受託開発、ソフトウエアの更新等のための研究開発活動に係る資金需要が生じております。
b.財務政策
当社グループは、運転資金につきましては、内部資金、短期借入金により調達することとしております。また内部資金の一部には、複数年度にわたってソフトウエアを更新するための研究開発活動のために事前に受け取る前受収益が含まれております。流動資産から流動負債を控除した運転資本につきましては、当連結会計年度の末日も含め、以前から流動資産が上回っております。
また、新型コロナウイルス感染症が一定の収束を迎えるまでの間は、手元資金残高を平常時より増やすことや資金調達時期を前倒す等により調達リスクの低減を図っていきます。それに加え今後につきましては、安定的な内部留保の蓄積等により財政状態の健全化を図るとともに、資本効率を高めてまいります。
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
なお、2020年1月に行われたBlackBag Technologies Inc.(以下、「BlackBag社」という。)との企業結合について前連結会計年度に暫定的な会計処理を行っておりましたが、当連結会計年度に確定したため、前連結会計年度との比較・分析にあたっては、暫定的な会計処理の確定による見直し後の金額を用いております。
① 財政状態及び経営成績
連結売上高につきましては、前期と比較して、エンターテインメント関連事業において新型コロナウイルス感染症の影響やSUNTACの事業譲渡等により売上高が大きく下回ったものの、モバイルデータソリューション事業の売上高が好調に推移したことにより、全体の売上高は、266億62百万円(前期比1.7%増)となりました。当社グループが生み出す付加価値を示す売上総利益につきましては、モバイルデータソリューション事業及び新規IT事業の売上高が伸びたことで向上し、188億25百万円(前期比5.9%増)となり、売上総利益率は70.6%(前期比2.8pt増)となりました。
連結の営業利益は、6億87百万円(前期は22億52百万円の損失)となり、利益へと転じました。これは、モバイルデータソリューション事業の前期に発生した連結子会社の第三者割当増資に伴う一過性の費用が減少したこと、構造改革を推進したこと等の影響によるものです。
連結の経常利益は、8億81百万円(前期は18億75百万円の損失)となり、当期は利益へと転じました。これは、営業損益の改善が主たる要因です。また親会社株主に帰属する当期純利益は、47百万円(前期は34億40百万円の損失)となりました。これは、同じく営業損益の改善及び法人税等調整額△2億4百万円を計上したこと等が主たる要因です。
a.モバイルデータソリューション事業
| 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | 対前期増減額 | 対前期増減率 | |
| 百万円 | 百万円 | 百万円 | % | |
| 売上高 | 19,018 | 20,413 | 1,394 | +7.3 |
| セグメント利益又は損失(△) | △1,058 | 913 | 1,972 | ― |
売上高は、モバイルフォレンジック機器及びその関連サービスの受注が好調に推移し、デジタルフォレンジック製品の販売が前期に比べ大幅に増加したことにより、7.3%の増収となりました。セグメント利益は売上高が好調に推移したこと及び前期に発生した連結子会社であるCellebrite社の第三者割当増資に係る費用の減少により19億72百万円の増益となりました。
b.エンターテインメント関連事業
| 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | 対前期増減額 | 対前期増減率 | |
| 百万円 | 百万円 | 百万円 | % | |
| 売上高 | 5,410 | 4,341 | △1,069 | △19.8 |
| セグメント利益 | 255 | 507 | 251 | +98.5 |
売上高は、制御基板及び受託開発等の売上が堅調に推移しましたが、新型コロナウイルス感染症の影響やSUNTACの事業譲渡により売上高が大幅に減少しました。一方セグメント利益は業務の効率化や費用の見直し等により、2億51百万円の増益となりました。
c.新規IT関連事業
| 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | 対前期増減額 | 対前期増減率 | |
| 百万円 | 百万円 | 百万円 | % | |
| 売上高 | 1,523 | 1,746 | 223 | +14.6 |
| セグメント利益又は損失(△) | △343 | 98 | 442 | ― |
M2M事業につきましては、売上高は、M2M通信機器の販売が好調に推移したことにより、増収となりました。加えて、費用の効率化を図ることで、利益に転じております。AR事業につきましては、ソリューションビジネスを中心に展開することとなりました。加えて費用の削減に伴い、損失は縮小しました。
この結果、セグメント全体では、売上高は前期から14.6%の増収となり、利益に転じました。
d.その他事業
| 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | 対前期増減額 | 対前期増減率 | |
| 百万円 | 百万円 | 百万円 | % | |
| 売上高 | 288 | 181 | △106 | △37.0 |
| セグメント利益又は損失(△) | △101 | 35 | 136 | ― |
ゲームコンテンツ事業の売上高は、海外への販売拡大を行ったものの、「俺!プロジェクト」アプリのサービス終了等により、前期を大幅に下回りました。一方、セグメント利益は、コスト見直し等による効率化を図ったことにより費用が減少し、利益に転じました。
(財政状態)
| 資 産 | 負 債 | 純資産 | 自己資本比率 | |
| 2021年3月期 | 49,785 | 28,964 | 20,820 | 28.9% |
| 2020年3月期 | 41,636 | 23,031 | 18,605 | 30.1% |
| 増 減 | 8,148 | 5,933 | 2,215 | △1.2ポイント |
(注)2020年3月期における数値は、過年度の決算訂正を反映した数値となっております。
(資産)
総資産は497億85百万円となり、前連結会計年度末に比べ81億48百万円の増加となりました。
流動資産は436億48百万円となり、前連結会計年度末に比べ82億26百万円の増加となりました。主な増加要因としては、現金及び預金61億43百万円、受取手形及び売掛金20億39百万円の増加であります。
固定資産は61億36百万円となり、前連結会計年度末に比べ77百万円の減少となりました。主な減少要因としては、のれん1億73百万円、無形固定資産その他1億17百万円の減少であります。一方、主な増加要因としては、繰延税金資産1億82百万円の増加であります。
(負債)
負債は289億64百万円となり、前連結会計年度末に比べ59億33百万円の増加となりました。
流動負債は278億85百万円となり、前連結会計年度末に比べ57億36百万円の増加となりました。主な増加の要因としては、短期借入金19億66百万円、前受収益46億41百万円の増加であります。
固定負債は10億79百万円となり、前連結会計年度末に比べ1億96百万円の増加となりました。主な増加の要因としては、長期借入金1億88百万円の増加であります。
(純資産)
純資産は208億20百万円となり、前連結会計年度末に比べ22億15百万円の増加となりました。主な増加の要因としては、資本金10億46百万円、資本剰余金11億60百万円の増加であります。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、211億13百万円(前期末残高126億74百万円)となりました。当連結会計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動による資金は、61億10百万円の増加となりました。主な増加の要因としては、前受収益51億65百万円の増加であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動による資金は、9億10百万円の減少となりました。主な減少の要因としては、子会社株式の取得による支出15億85百万円であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動による資金は、35億98百万円の増加となりました。主な増加の要因としては、短期借入金19億66百万円の増加及び新株予約権の行使による株式の発行による収入14億99百万円であります。
③生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 金額(千円) | 前年同期比(%) |
| モバイルデータソリューション事業 | 21,855,014 | 115.7 |
| エンターテインメント関連事業 | 2,747,802 | 110.6 |
| 合計 | 24,602,816 | 115.1 |
(注) 1 金額は、販売価格によっております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
b. 受注状況
当社グループは、エンターテインメント関連事業の一部において受注生産を行っております。当連結会計年度における受注状況を示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 受注高(千円) | 前年同期比(%) | 受注残高(千円) | 前年同期比(%) |
| エンターテインメント関連事業 | 3,063,410 | 67.3 | 918,180 | 54.0 |
(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
c. 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 金額(千円) | 前年同期比(%) |
| モバイルデータソリューション事業 | 20,413,309 | 107.3 |
| エンターテインメント関連事業 | 4,321,259 | 80.2 |
| 新規IT関連事業 | 1,746,247 | 114.6 |
| その他 | 181,999 | 63.0 |
| 合計 | 26,662,815 | 101.7 |
(注) 1 最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
| 相手先 | 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | ||
| 金額(千円) | 割合(%) | 金額(千円) | 割合(%) | |
| 株式会社藤商事 | 3,745,706 | 14.3 | 3,311,910 | 12.4 |
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、以下のとおりです。本項における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において判断したものです。
①重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表はわが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。その作成は経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の開示に影響を与える見積り及び予測を必要とします。経営者は、これらの見積りや予測について、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実績はこれらと異なる可能性があります。
なお、新型コロナウイルス感染症拡大の影響や主要顧客の情勢等、先行きを予想することは極めて困難でありますが、入手可能な外部の情報等を踏まえ、当連結会計年度末時点で合理的であると思われる様々な要因を勘案した上で、2022年3月期中に概ね収束すると仮定のもと会計上の見積りを行っております。
当社の財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表」の「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項 5.会計方針に関する事項」に記載のとおりです。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
=外部環境について=
モバイルデータソリューション事業のうち、犯罪捜査機関等向けのデジタル・インテリジェンス事業が属するデジタルフォレンジック市場につきましては、各国行政機関の安全保障に対する意識の高まり、デジタル化の進展及び犯罪捜査手法の進化等に伴い、需要の形を変えながら、引き続き成長が見込める市場環境にあります。デジタルフォレンジック市場は堅調に成長を続けており、かつその需要が幅広くなっていくことに対応するため、製品・サービス等の販促・研究開発を強力に推進しており、将来成長投資の負担が増加する傾向にあります。
次に、エンターテインメント関連事業が属するパチンコ市場につきましては、2018年2月1日に施行された「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行規則」並びに「遊技機の認定及び型式の検定等に関する規則の一部を改正する規則」への対応、コロナ禍等の影響から、遊技人口の減少、パチンコホールの減少、遊技機の販売台数の減少等、将来的な不透明感が依然として存在している市場環境にあります。
上記のように、当社の主力事業の市場環境が厳しい状況にある中、当社グループの業績の向上を図るため、IoT、AR、AI等の最新技術を活用していく社会的な流れを汲み、新たな主力製品・サービスの構築に取り組んでおります。
M2M、IoT市場につきましては、各通信キャリア(NTTドコモ、KDDI、ソフトバンク)が2026年3月までに3G回線を順次停波するため、3GからLTE(4G)へのマイグレーションが本格的に進んでおります。モノを繋げるという需要は増加している一方、多くの企業が市場に参入しているため、市場自体は拡大しつつも競争環境は厳しくなっております。またコロナ禍や半導体、電子部品供給不足等により、当社製品の供給に影響が出る可能性はあるものの、現時点では不透明な状況であります。
スマートグラスを利用するAR関連市場につきましては、ARを業務に利用するような需要につきましては、まだ市場が本格的に立ち上がっている状況ではないと考えておりますが、コロナ禍でのオンラインによる業務や、人手不足による企業の遠隔支援に関する需要は、高まってきております。
ゲーム市場につきましては、ネットワーク環境の向上、新たなゲームハードの登場等を迎えて、世界のコンテンツ市場は拡大傾向が続くと考えております。スマートフォンゲーム市場ではハイパーカジュアルゲームと呼ばれる、短期開発で面白さのコアを具現化したゲームがここ数年拡大しており、日本のゲームメーカーもこの分野で成功する事例が出てきております。日本においては、家庭用ゲームが活況を呈しながらも、スマートフォン市場は2015年以降、競争の激化で頭打ちの傾向が見てとれます。
=競争優位性=
成長しているモバイルデータソリューション事業につきましては、当社製品が、犯罪捜査や裁判における有力な証拠を発見する一連の活動の中で利用されており、業界最多の対応機種・アプリ数を実現することで、捜査の迅速化・高度化に貢献しております。これは個人情報保護のためにセキュリティを高めていく携帯端末に対するソフトウエア及びハードウエア双方での高い理解力を背景としており、当社は先端技術の研究開発に注力することで、技術的競争優位性を維持し、結果として高い売上総利益率を達成しております。また、法的執行機関を顧客の中心にすることで、個人情報を高い精度で抽出する機器における個人情報漏洩リスクの低減に努めており、高い信頼性を確保しております。
エンターテインメント関連事業における遊技機部品事業につきましては、業界のみならず顧客も特化することで、強力な信頼関係の構築及び特定分野における表現力・技術力を蓄積することが可能で、高い商品力を有したコンテンツ開発や高品質の制御基板開発を実現することで、競争優位性を図っております。
新規IT事業であるM2M事業につきましては、各通信キャリア、パートナーと強力な信頼関係を構築しつつ、長年培ってきた技術をベースに3G回線からLTE(4G)回線へのマイグレーションに関連した特許を取得し、技術的競争優位性を図っております。
AR事業につきましては、自社開発の業務用スマートグラスである「AceReal One」と多機能型ソフトウエア「Apps」で構成されているARソリューションを提供しております。「Apps」は、他社製のスマートグラスとの親和性も高いことから、お客様の用途、好みに応じた最適なサービスを提供することが可能です。また、「Apps」の販売経験から、遠隔支援に特化した単機能型サービス「AceReal Assist」を2021年2月にリリースいたしました。今後AR事業は、AR技術をベースにDXを推進するすべての企業へ新たなソリューションを提供いたします。
その他セグメントのゲームコンテンツ事業につきましては、当社が得意とするパズルゲーム「上海」において、引き続き多くのお客様に支持されております。また、「上海」の開発、運営を通して、パズルゲームやカジュアルゲームに関して、一定のノウハウを蓄積しております。ゲーム開発に必要なサーバ設計・開発・運営はすべて内製化しており、一貫した開発運営体制を構築しております。
=経営施策=
事業全体の効率化を図るため、資本業務提携、不採算部門の整理、本社機能のスリム化等、事業構造改革を推進しております。
モバイルデータソリューション事業につきましては、当社の連結子会社のCellebrite DI LTD.(以下、「Cellebrite社」という。)について、共同出資をしているIT分野におけるソリューションビジネスで他の企業を成長させた実績のあるIGP SAFERWORLD, LIMITED PARTNERSHIPと連携をしながら、データ分析分野を中心とした事業拡大を図っております。その中で、2020年1月にはApple,Inc.向けのPCフォレンジックに特徴を持つBlackBag社を22億3百万円で買収しました。引き続き、データ抽出等のモバイルフォレンジック分野への事業領域を広げ、買収したPCフォレンジック分野でのノウハウを活かし、犯罪捜査において重要となるデータの活用に貢献する分析システムの機能強化を図ってまいります。
エンターテインメント関連事業につきましては、業界環境が厳しくなる中、品質を維持しながら開発・製造ともに体質改善のために費用効率の最大化と収益化構造モデルの見直しを緊急命題とし、高収益体質への改革を推進しております。また、エンターテインメント関連事業のうち、ホールシステム事業につきましては、2020年5月に新設分割を行い、株式会社SUNTAC(以下、「SUNTAC」という。)として分離し、JALCOホールディングス株式会社(以下、「JALCO HD」という。)の金融サービスを絡めたシナジー効果による事業の拡大を図るため、2020年7月にJALCO HDと資本業務提携を行い、当社が保有するSUNTACの株式36%をJALCO HDに譲渡いたしました。2020年10月及び2020年12月には、JALCO HDとSUNTACの連携の強化及び当社グループにおける事業の選択と集中の観点から、当社の保有するSUNTACの全株式をJALCO HDに譲渡いたしました。
新規IT関連事業のうちM2M事業につきましては、「おくだけセンサー」等戦略商品において、マーケティングを行いながら、機能開発、新規顧客の開拓に努めております。飲料自販機は日本国内で約228万台設置されており、その多くが在庫管理等に3G回線を使用しております。M2M事業では、3GからLTE(4G)へマイグレーションするための戦略製品である「A330」、「A900」を開発、販売開始しており、在庫管理システムを展開している各通信キャリア、パートナーと連携をしながら、複数の大手飲料オペレータに採用され、順調に事業が拡大しております。またデバイスマネジメント「SunDMS」の機能強化をすることにより付加価値を高め、ストックビジネスの拡大を図っております。
また、AR事業につきましては、遠隔支援の機能にフォーカスをして、ソリューションビジネスを中心に、事業展開を進めております。「AceReal Assist」は、市場からの反応も良く、AceReal販売代理店の販売計画が大幅に上方修正されているほどの高い期待感があり、導入を検討している顧客及びスマートグラスを供給するベンダーからも高い評価を受けております。また、大手通信キャリアと5Gをキーワードに戦略的パートナーシップを形成しており、同社と提携している100社程のパートナーベンダーのうち、サン電子の「AceReal One」がTOP6に入っております。今後もXR関連のソリューション案件も対応することでさらなる強固な関係を築いていきます。
その他セグメントにつきましては、現在、ゲームコンテンツについて現行のコンテンツの収益の拡大と海外市場へ展開を図るとともに、新しいコンテンツも着手し販売開始しております。
=商品・サービスの概況=
モバイルデータソリューション事業につきましては、BlackBag社の買収に伴い、PCフォレンジックの製品・サービスをラインナップに揃え、捜査時に重要となるデバイスに対するフォレンジックツールを揃えました。また、モバイルフォレンジック関連製品は、関連のサービスの受注が引き続き堅調に推移し、前期比で増収となるとともに受注総額も増加しております。
エンターテインメント関連事業における遊技機部品事業につきましては、コロナ禍の影響及び旧規則機への入替期限延長等により、遊技機部品の販売数量が減少している状況ですが、制御基板及び受託開発の生産性向上に取り組むとともに、規則改正等による市場の変化に対応した新しい遊技機の企画研究・開発活動を強化・推進しております。
新規IT関連事業のうち、M2M事業につきましては、飲料自販機向けLTE(4G)マイグレーション戦略製品「A330」、「A900」が複数の大手飲料オペレータに採用され、既に導入開始しております。Rooster等のルータ・ゲートウェイ製品においては、デバイスマネジメントサービス「SunDMS」との連携で他社との差別化を打ち出し、売上高も堅調に推移しております。また、センサーデバイス「おくだけセンサー」においては、実証実験から本格導入フェーズとなりました。更に、ソリューションを強化するため長距離通信が可能なサブギガ通信の特徴を活かし、短距離の通信であるBluetooth対応センサーを中継する機器の開発を進めております。
AR事業につきましては、遠隔支援ソリューションを中心にビジネスモデルの転換を図っております。遠隔支援に特化した新サービス「AceReal Assist」は、ブラウザ型であることから、動作が軽く、円滑な双方向のコミュニケーションを実現します。また、P2P接続が可能なことから、サーバ等への負荷も軽減しております。今後、この「AceReal Assist」を手始めに、お客様のDXを解決すべく、新たなARソリューションを広く展開してまいります。
その他セグメントでは、ゲームコンテンツ事業につきましては、多くのお客様を持つ「上海」に注力し、収益を大きく向上させました。また新たに広告収入のみを目的とする「懸賞ロジック」を2021年2月にリリースする等、売切り型、アイテム課金型に続いて広告収入を3つ目の柱とする準備を整えつつあります。当社は「上海」の顧客等カジュアル層に対して強い企画・開発力を持つ事から、今後は短期での開発に力を入れ、ハイパーカジュアルのゲーム等にも取り組むことで世界へのさらなる拡大を目指してまいります。
=事業KPIについて=
当社では、主力事業であるモバイルデータソリューション事業のビジネスモデルが、フローストック型収益モデルであること及びマーケットはまだ成長段階の途上にあることを考慮し、中長期のシェア確保の指標でもある受注総額を重要指標として事業運営を行っております。この受注総額のうち、一定額は前受収益として事前に顧客から入金をいただくことで安定した研究開発投資を実現しております。このように当社では売上高の先行指標である受注総額を考慮して事業運営を行っており、事業のKPIとして、営業損益に受注残高の増加額を加えることで、事業の状況を判断し、先行投資及び事業開発に資金を投下しております。当連結会計年度も、引き続きデジタルフォレンジック関連サービスの受注が堅調に推移し、受注総額は増加となりました。
KPI(単位:金額は百万米ドル、前期比は%)
| Cellebrite社 | 2019年3月期 実績 | 前期比 | 2020年3月期 実績 | 前期比 | 2021年3月期 実績 | 前期比 |
| 受注総額 | 171 | +32.6 | 201 | +17.5 | 257 | +27.9 |
※当指標は、内部管理資料であり、決算等の調整を行っておりません。
=損益計算書(連結)について=
連結売上高につきましては、前期と比較して、エンターテインメント関連事業において新型コロナウイルス感染症の影響やSUNTACの事業譲渡等により売上高が大きく下回ったものの、モバイルデータソリューション事業の売上高が好調に推移したことにより、全体の売上高は、266億62百万円(前期比1.7%増)となりました。当社グループが生み出す付加価値を示す売上総利益につきましては、モバイルデータソリューション事業及び新規IT事業の売上高が伸びたことで向上し、188億25百万円(前期比5.9%増)となり、売上総利益率は70.6%(前期比2.8pt増)となりました。
=販売費及び一般管理費について=
連結の販売費及び一般管理費は、181億37百万円(前期比9.4%減)となりました。主な要因は、モバイルデータソリューション事業において、前期発生した連結子会社における第三者割当に関する一過性の費用が減少したことによるものです。
新規IT関連事業につきましては、M2M事業、AR事業、O2O事業ともに事業活動の見直しに伴い、費用が減少しております。
その他セグメントのゲームコンテンツ事業につきましては、事業の収益化に向けた活動や体制、運営タイトルの見直しにより、費用は減少しました。
当社グループでは、将来成長に向けた先行投資としての研究開発活動を重視しており、成長しているモバイルデータソリューション事業を中心に研究開発を積極的に行っております。
モバイルデータソリューション事業につきましては、継続的に新規機種・アプリ等に対応するための研究開発活動のほかに、分析システムの機能追加・改善等を重点的に取り組んでおります。またBlackBag社のPCフォレンジックとの連携等も注力しております。
エンターテインメント関連事業につきましては、厳しい市場環境を踏まえ、各担当及び子会社間の連携が図れるよう事業の効率化を進めております。
新規IT関連事業のうち、M2M事業につきましては、次世代通信機器の開発や「おくだけセンサー」の特定用途向けのカスタマイズ開発等を進めております。
AR事業につきましては、連携できるサービスの拡張や、遠隔支援適用の業種拡大等に注力しております。
=営業利益について=
連結の営業利益は、6億87百万円(前期は22億52百万円の損失)となり、利益へと転じました。これは、モバイルデータソリューション事業の前期に発生した連結子会社の第三者割当増資に伴う一過性の費用が減少したこと、構造改革を推進したこと等によるものです。
=経常利益及び親会社株主に帰属する当期純利益について=
連結の経常利益は、8億81百万円(前期は18億75百万円の損失)となり、当期は利益へと転じました。これは、営業損益の改善が主たる要因です。また親会社株主に帰属する当期純利益は、47百万円(前期は34億40百万円の損失)となりました。これは、同じく営業損益の改善及び法人税等調整額△2億4百万円を計上したこと等が主たる要因です。
=キャッシュ・フローについて=
キャッシュ・フローの成長性につきましては、特にフリー・キャッシュ・フロー(営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローの合計)を重視しており、当連結会計年度のフリー・キャッシュ・フローは52億円の増加となりました。今後も、安全性を高められるようにビジネスモデル等も活かしながら、フリー・キャッシュ・フローの増大に取組んでまいります。
当社グループの経営陣は、事業環境及び入手可能な情報に基づき、最善の経営計画及び経営戦略を立案するように努めております。
当社グループの情報通信事業を取り巻く環境は、技術進化の著しい分野であり、市場の変化や多様化が大きく、予断を許さない状況ではありますが、高付加価値製品やソリューションをいち早く投入し、従来のフロー型ビジネスに加え、ストック型ビジネスの展開を加速していきます。更なる成長を目指し、グローバルな事業展開を図るとともに、情報通信市場へ経営資源を集中し、高い収益力を確保する企業体質の確立を図っていきます。
当社グループのエンターテインメント関連事業を取り巻く環境は、市場環境の低迷、顧客ニーズの変化が大きく、製品の優劣も大きいため、先行きは不透明な状況が続くと予想されますが、エンターテインメント性を追求した製品創りと、ノウハウを持つ通信ネットワーク技術を活かした新たな事業展開も推進していきます。
また、新市場の開拓及び新規事業の育成にも注力し、シナジー効果が見込まれるビジネスパートナーとの提携を積極的に行う等、将来の成長に向けたチャレンジを継続します。
(資本の財源及び資金の流動性についての分析)
a.資金需要
当社グループの運転資金需要のうち、主なものは、販売及び一般管理活動、研究開発活動のための人件費をはじめとする販売費及び一般管理費であります。当社は特に大きく設備投資を必要とするビジネスモデルではありませんが、一方で技術変化の早い事業分野に属しており最新技術の研究開発や複数年度にまたがる受託開発、ソフトウエアの更新等のための研究開発活動に係る資金需要が生じております。
b.財務政策
当社グループは、運転資金につきましては、内部資金、短期借入金により調達することとしております。また内部資金の一部には、複数年度にわたってソフトウエアを更新するための研究開発活動のために事前に受け取る前受収益が含まれております。流動資産から流動負債を控除した運転資本につきましては、当連結会計年度の末日も含め、以前から流動資産が上回っております。
また、新型コロナウイルス感染症が一定の収束を迎えるまでの間は、手元資金残高を平常時より増やすことや資金調達時期を前倒す等により調達リスクの低減を図っていきます。それに加え今後につきましては、安定的な内部留保の蓄積等により財政状態の健全化を図るとともに、資本効率を高めてまいります。