訂正有価証券報告書-第19期(2020/01/01-2020/12/31)
(4) 【役員の報酬等】
イ 取締役および監査役の報酬
①取締役の報酬
執行役員を兼務する取締役の報酬については、後述「ロ 執行役員の報酬」に記載しています。
執行役員を兼務しない取締役の報酬に関する基本方針は、次のとおりです。
・透明性・客観性が高いものであること
・株主と利益意識を共有するため、企業価値の向上と報酬が連動するものであること
・企業ビジョンの実現にあたって、適確な能力要件を満たすグローバルな経営陣の確保とリテンションに資するものであること
執行役員を兼務しない取締役に対しては、2018年3月29日開催の定時株主総会で決議された報酬限度額(年額2,000百万円。うち社外取締役分は年額400百万円以内)の範囲内において、固定報酬としての基本報酬を支給するとともに、一部の者には、多様性のある優秀な人材確保とその役割に対する一層の意識喚起を目的として、株式報酬(在任期間をベースとした1円ストックオプション(タイムベイスド・ストックオプション:TSO))を支給しております。
TSOの具体的な内容については、後述「ロ 執行役員の報酬」「②詳細」「(a) 報酬の理念および要素」「(ii) 株式報酬」「<株価連動報酬(長期インセンティブ(LTI))>」に記載しています。なお、株式報酬については、TSOに代え、2021年4月に譲渡制限付株式ユニット(リストリクテッド・ストック・ユニット:RSU)の導入を予定しています。
代表取締役会長は、執行役員在任中に業績連動報酬(短期インセンティブ(STI))の支給を受けており、その金額は後述「③提出会社の役員区分毎の報酬等の総額、報酬等の種類別の総額および対象となる役員の員数」の表に含まれております。
執行役員を兼務しない取締役の報酬比率・水準、報酬構成等については、取締役毎に、当社取締役としての責務に相応し、上述の基本方針に照らして適正な比率および水準を考慮のうえ設定しており、報酬委員会での審議を経たうえで、取締役会から役員の個別の報酬配分を一任されているCEOに答申され、決定されます。報酬委員会は、社外役員が半数を占め、かつ社外取締役が委員長を務めております。
②監査役の報酬
監査役の報酬については、独立性の確保の観点から、業績に連動しない固定報酬としての基本報酬のみとしており、2010年2月24日開催の臨時株主総会で決議された報酬限度額の範囲内(月額1,200万円以内)で、監査役の協議により決定し、支給しております。
③提出会社の役員区分毎の報酬等の総額、報酬等の種類別の総額および対象となる役員の員数
(注) 1 当連結会計年度末現在の取締役は6名(うち社外取締役4名)、監査役は4名(うち社外監査役は3名)です。
2 取締役の報酬には、執行役員を兼務するCEOの報酬も含みます。
3 金額は、百万円未満を四捨五入して記載しています。従って、各欄の記載金額の合計金額が報酬等の総額欄の金額と一致しない場合があります。
4 株式報酬型ストックオプションとして付与した新株予約権による報酬については、表中の金額は当連結会計年度中に行使可能数が確定したものについて、権利確定日の株価終値等をもとに算出した公正価額を記載しております。当連結会計年度における会計上の費用計上額は、社内取締役:267百万円、社外取締役:25百万円となります。
5 日本非居住の役員については、支払通貨を期中平均レート(1ドル=107.27円)により、日本円に換算しております。
ロ 執行役員の報酬
以下では、当社の執行役員(本項においては、執行役員を兼務する取締役およびその他の執行役員を総じて、「執行役員」と総称します。)の報酬制度について記載しており、当社の執行役員の構成は次のとおりです。なお、取締役である執行役員については、取締役としての報酬となります。
本項では、次のものを記載しております。
・当連結会計年度の報酬制度の概要、制度設計の理念
・当社が開示対象とした当連結会計年度の執行役員毎の報酬の種類、種類別の支給額および報酬の合計額
当社においてその職責と方針策定に関する権限が最も広範に及ぶのは、執行役員です。
執行役員は、当社の業績ならびに倫理観の高い企業風土の維持およびコンプライアンスの徹底について責任を担っています。
役員報酬の開示においては、CEOをはじめとする当社取締役のみならず、経営陣の中心的メンバーの報酬に関しても透明性の確保に努めております。
そのため、当社は、法令上開示が必要とされる報酬総額1億円以上の取締役の報酬に限らず、CEO、最高財務責任者(CFO)、最高法務責任者(CLO)、オートモーティブソリューション事業およびIoT・インフラ事業をそれぞれ担当する執行役員の個別報酬についても、開示事項の対象としております。
①要旨
当社は、執行役員の報酬制度を定期的にアップデートしています。当社では、既にグローバルに事業を展開し、強い市場競争力を発揮する注力分野であるオートモーティブとIoT・インフラにおける事業ポートフォリオの拡大を加速するうえで、報酬を欠かせないマネジメントツールの一つと位置づけています。
当社は、当社ビジネスを牽引することができる優秀な執行役員を招聘し、リテンションを図るため、グローバル企業として適切で競争力のある報酬パッケージを設計しております。
当社の報酬制度は、執行役員に対して、短期的にも長期的にも株主の最善の利益となるように考え、行動することを促進するよう、業績に連動した報酬を含む設計となっています。当社執行役員の毎年の報酬総額の大部分は、業績連動報酬と株価連動報酬として支給されます。業績連動報酬である短期インセンティブ(STI)は当社の短期的業績と連動し、株価連動報酬は当社の長期的業績と連動しています。また、執行役員に当社の直接の財務業績および総合的な市場競争力に対する責任を負わせるものになっていると考えております。
<将来に関する計画>当社は、近年、よりグローバル化が進んでいる事業活動との整合を取るため、経営基盤をアップデートすることを目指しております。当社のイノベーションの一環として、今後数年のうちに役員報酬制度もアップデートする予定です。
その第一歩として、業績をベースとした1円ストックオプション(パフォーマンスベイスド・ストックオプション:PSO)と在任期間をベースとした1円ストックオプション(タイムベイスド・ストックオプション:TSO)に代えて、2021年4月からグローバルに広く利用されている業績連動型譲渡制限付株式ユニット(パフォーマンス・シェア・ユニット:PSU)および譲渡制限付株式ユニット(リストリクテッド・ストック・ユニット:RSU)の導入を予定しております。なお、支給対象者が、当社取締役会で定める一定の非違行為があったことその他当社取締役会において定める事由に該当した場合には、未確定のユニットの全部または一部を喪失するものとします。また、ユニットの確定後に、かかる事由またはその原因となる行為が確定前に存在していたことが判明した場合において当社が相当と認めたときは、支給対象者は、かかるユニットに関して交付を受けた当社普通株式の全部もしくは一部または相当する額の金銭を無償で返還するものとします。
報酬制度の策定および報酬水準の設定に際しては、半導体その他の関連業界のグローバル企業および日本企業をベンチマーキングの比較対象先としております。毎年、役員報酬制度のマーケット比較を行い、その検証結果に基づいて役員報酬パッケージをアップデートしております。上場企業のコーポレート・ガバナンス強化のグローバルトレンドに対応し、グローバル企業の慣行に合わせた役員報酬制度のアップデートをこれまで同様に行っていく所存であり、当社報酬制度がマーケットに適合した、事業業績に対してプラスの影響を後押しするものとして当社経営陣および株主から認められるよう努めていきます。
②詳細
(a) 報酬の理念および要素
執行役員の報酬に関する基本理念は、次のとおりです。
・会社業績との連動性が高く、かつ透明性・客観性が高いものであること
・株主と利益意識を共有するため、企業価値の向上と報酬が連動するものであること
・企業ビジョンの実現にあたって、適確な能力要件を満たすグローバルな経営陣の確保とリテンションに資するものであること
また、現行の報酬は、以下により構成されています。
・固定報酬としての基本報酬
・より短期的な財務・戦略目標の達成に重点を置いた業績連動報酬(短期インセンティブ)
・経営陣に株主価値向上への意欲を喚起する株価連動報酬(長期インセンティブ)としてのストックオプション
現行制度は、グローバル市場と日本の国内市場の慣行、当社ステークホルダーの利益と整合するものであると考えております。報酬総額に占める各報酬の割合は、マーケット比較やグローバルトレンド、各執行役員の役割や実績に相応して適正な割合を考慮のうえ設定しています。また、当社では、長期的業績を役員報酬に連動させて株主と経営陣の間の強い連携を実現するため、多くの日本企業と比較して、長期インセンティブをより重視した報酬戦略を推進しており、報酬総額における株式報酬の割合が過半となる水準に設定しております。
(i) 現金報酬
<基本報酬>基本報酬は、組織内における特定の役割と責任に対する市場価値を反映する中核的な報酬であり、各執行役員の実際の責任、能力および経験に対する報酬となります。
本報酬は、責任の範囲および会社への貢献度の見込みに基づき固定金額として支給されます。役員報酬の基本要素であり、有能な執行役員を招聘し、リテンションを図り、グローバルな事業拡大を牽引する意欲を喚起する水準に設定されます。
本報酬は、市場の昇給率、当社の業績および個人の業績を考慮して毎年調整されます。
<業績連動報酬(短期インセンティブ(STI))>短期インセンティブ(STI)は、執行役員の会社の財務成績全般に対する動機付けや報酬として、また、各年度の執行役員個人の業績への評価として執行役員に支給されます。STIは、役員報酬制度の極めて重要な要素であり、執行役員の業績目標達成への貢献意欲を高めることに重点が置かれています。
本報酬は、オートモーティブソリューション事業本部とIoT・インフラ事業本部の業績からなる当社の1年間の業績を基準とするもので、事業の拡大とその収益性を評価するため、以下を含む一定の指標を用いて評価を行います。
・売上高(増加率)
・営業利益率
評価指標と目標は、報酬委員会の審議を経たうえで、毎年定められます。業績に応じた支給額についても同様です。
(ii) 株式報酬
<株価連動報酬(長期インセンティブ(LTI))>長期インセンティブ(LTI)とは、評価期間が1年以上に及ぶ変動報酬をいい、通常、株主が得る価値に対応する形で支給されます。長期インセンティブの役割は、執行役員への経済的な報奨を組織の長期的業績、および株主の長期的志向と連動させることにあります。
現行の長期インセンティブは、ストックオプションにより支給され、執行役員が実際に受け取る利益は、株価上昇や3年間の株主総利回り(TSR)に応じて定まります。
具体的には、当社のTSRに応じて行使可能な新株予約権数が決定される業績をベースとした1円ストックオプション(パフォーマンスベイスド・ストックオプション:PSO)と、そのような行使条件が付されていない在任期間をベースとした1円ストックオプション(タイムベイスド・ストックオプション:TSO)で構成されています。このうち、PSOについては、中長期な企業価値の最大化および株価への貢献に向けた意識・活動の強化により結び付けるため、当社のTSRを業績指標に加えた設計としています。付与されるストックオプションの数は、各人に責任と役割に応じて設定された付与水準基準額をベースに、オプション価格(*)を踏まえて決定されます。PSOとTSOの付与水準基準額の構成比率は、50%:50%となっています。
(*) 二項モデル等の公正な算定方式により算定する各ストックオプションの発行に関する取締役会決議時点のストックオプションの公正価値
[PSO]
・付与対象者に対しては、以下の算式により算定される個数の新株予約権を付与します。
付与新株予約権数=(各人に設定された付与水準基準額×2)/オプション価格
(*) 上記の各人に設定された付与水準基準額については、毎年設定される各人の個人業績評価結果により、-10%~+10%の範囲内で調整を加えることがあります。
(*) 最終的な付与新株予約権数は、取締役会にて決定します。
(*) 最終的に行使可能となる新株予約権数については、業績要件を加味して、各人に設定された付与水準基準額をオプション価格で除して算出される基準数の0%~200%の範囲内で確定します。ただし、法令上、新株予約権を自動的に追加付与することができないため、最終的に想定され得る行使可能な新株予約権の最大個数として、各人に設定された付与水準基準額の2倍に相当する金額をオプション価格で除して算出される数の新株予約権を予め付与し、後述の業績要件に従い最終的に行使可能となる付与新株予約権数が確定した際に、行使不可能となった超過分を失権させる仕組みとなっています。
・原則として、付与日の3年後の応当日以降、その期間の業績要件を加味して、次のとおり決定された最終付与新株予約権数が行使可能になります。
[TSO]
・付与対象者に対しては、以下の算式により算定される個数の新株予約権を付与します。
付与新株予約権数=各人に設定された付与水準基準額/オプション価格
(*) 上記の各人に設定された付与水準基準額については、毎年設定される各人の個人業績評価結果により、-10%~+10%の範囲内で調整を加えることがあります。
(*) 最終的な付与新株予約権数は、取締役会にて決定します。
・原則として、付与日の翌日から1年経過する毎にその3分の1ずつが行使可能となり、その結果、3年後の応当日以降、すべての付与新株予約権が行使可能になります。
(b) 比較対象グループ(2021年度以降)
報酬委員会は、制度設計と競争力のある報酬水準についての理解を深めるため、報酬における比較対象企業の検証を行いました。当社がグローバルに事業を展開していることを踏まえ、比較対象企業は日本国内にとどまらず、いずれも当社の主要事業領域であり、かつグローバルな役員報酬制度が機能している米国および欧州から選定しております。当社は、グローバルに重要な3地域を適切なバランスをもって参照し、将来の業績目標を設定しており、グローバルにも各地域においても事業および財務指標の達成を促進することを目指して報酬制度を策定しました。
報酬における比較対象企業グループには、日本に本社を置くハイテク企業等があり、これらは人材獲得上の競合企業、投資家から見た同業他社のいずれか、または両方に該当します。現段階で日本においては売上規模と役員報酬の水準との相関はそれほど強くないため、日本企業については広範な売上規模のレンジから選定しました。報酬における比較対象企業の開示されている個人報酬データを市場の報酬データ(Mercer LLC調査)によって補足しております。米国および欧州については、売上規模および時価総額を考慮して半導体企業を選び出しました。
(c) 報酬決定に関する分析
(i) 報酬総額
報酬委員会は、執行役員の報酬を最終的に決定する前に、パッケージ全体と種類毎の報酬の両方について検証を行いました。対象となった情報は、現金報酬(基本報酬およびSTI)総額、株式報酬額、報酬総額(基本報酬、STIおよび株式報酬)、報酬案が他の報酬要素に与える影響等です。執行役員の報酬金額、報酬構成およびインセンティブの決定に際しては、基本的理念に沿い、企業業績と個人の業績および当社の中長期的な価値創出との関連における、各役職や役割、過去の経歴を含めた在職状況を検証しました。報酬委員会は、報酬全体が制度の目的と整合するかどうかの評価を行いました。
報酬委員会はこのような総合的な検証に基づき、当連結会計年度の報酬水準と報酬構成を適正と判断しました。
<基本報酬>執行役員の当連結会計年度の基本報酬の支給額は、各役職の役割および関連する雇用市場(日本または米国)を考慮して、報酬委員会での審議を経た上で決定しました。
当連結会計年度には新型コロナウイルス感染症禍の状況を踏まえ、原則、2020年7月より執行役員の基本報酬を10%減額とし、それに加え、CEOについてはさらに20%、CEO以外の執行役員についてはさらに10%の基本報酬の支払いを繰り延べております。
当社は、2020年7月に、執行役員と従業員に自由参加型1円ストックオプションプログラムへの申込みを認めました。このプログラムは、当社の基本報酬の減額に同意した執行役員や従業員が対象となり、減額給与相当分に一定のプレミアを付した価額のストックオプションを付与するものです。
<業績連動報酬(短期インセンティブ(STI))>当社が開示対象とした執行役員の連結会計年度STI基準額は以下に示すとおりです。
(注)金額は、百万円未満を四捨五入して記載しています。また、海外役員については、支払い通貨を期中平均レート(1ドル=107.27円)により日本円に換算しております。なお、基本報酬に対するSTIの割合については、四捨五入前の金額に基づいて、算出しております。
オートモーティブ事業本部やIoT・インフラ事業本部を統括する執行役員については、暫定的なSTI支給額を各事業本部の売上高(増加率)と営業利益率(Non-GAAPベース)に基づいて決定します。各事業本部に個別の計算方式を適用するのは、それぞれの事業の特性を考慮に入れるためです。
他の事業部門(生産本部およびコーポレート部門)を担当する執行役員に関しては、両事業本部の支給率の加重平均に基づいて暫定的な支給額を計算します。
なお、このスキームは従業員のスキームと同様であり、従業員とインセンティブを共有する仕組みとしています。
最終的な支給額は、上記スキームにより決定した暫定的なSTI支給額、当社の業績、財務実績以外の各種要件、およびその年度の他の要素に基づいて、報酬委員会の検証および答申を踏まえて、CEOが決定しますが、CEOの最終的な支給額については、CEOを除いた報酬委員会の検証および承認が必要です。
<株価連動報酬(長期インセンティブ(LTI))>当連結会計年度に当社が開示対象とした執行役員に付与されたストックオプションの数を算出するベースとした各人の付与水準基準額は、以下に示すとおりです。
(注)この表は各人の年間付与水準基準額を示したものです(金額は、百万円未満を四捨五入して記載しています。また、海外役員については、支払い通貨を期中平均レート(1ドル=107.27円)により日本円に換算しております。)。自由参加型1円ストックオプション制度に基づく付与分は含みません。自由参加型1円ストックオプション制度分を含め、実際に権利確定した金額は後述「(d) 開示対象執行役員毎の連結報酬等の総額」の表に記載されています。
当連結会計年度の当社が開示対象とした執行役員の報酬構成は、以下に示すとおりです。
変動部分の割合は、執行役員に企業業績と個人の業績に対する報酬を与えるため、現在の日本国内における役員報酬の一般的状況と比べて大きくなっています。

(注)各報酬構成要素は業績反映前の基準額ベース(2021年3月31日時点)
(ⅱ) 当連結会計年度の業績評価 (Non-GAAPベース)
当連結会計年度の売上高は減少となりましたが、営業利益率は増加しました。
株主総利回りの3年平均伸び率は36.3%減となり、TOPIX構成企業の中央値を下回り、SOX構成企業の中央値を下回りました。
売上高
・当社の2020年度の売上高は、0.4%減と、前年と比べ減少しました。
・事業本部別の売上高は次のとおりです。
-オートモーティブソリューション事業本部の2020年度の売上高は、8.1%減と、前年と比べ減少しました。
-IoT・インフラ事業本部の2020年の売上高は、10.3%増と、前年と比べ増加しました。
営業利益率
・当社の2020年の営業利益率は、6.3ポイント増と、前年と比べ増加しました。
・事業本部別の営業利益率は次のとおりです。
-オートモーティブソリューション事業本部の2020年度の営業利益率は、5.8ポイント増と、前年と比べ増加しました。
-IoT・インフラ事業本部の2020年度の営業利益率は、6.8ポイント増と、前年と比べ増加しました。
株主総利回り(TSR)
2020年度のPSOの業績評価に使用したTSRの3年平均伸び率は36.3%減と、TOPIX構成企業の中央値を下回り、SOX構成企業の中央値を下回りました。
業績の概要
(注)
(*) 売上高/営業利益率: グループ連結、Non-GAAPベースで業績を開示
(*) TSRの業績評価期間: 2017年4月1日から2020年3月31日
(*) TSRの計算:
(業績評価期間末日以前3ヶ月間の平均株価
-業績評価期間開始日の前日以前3ヶ月間の平均株価
+業績評価期間中の日を基準日とする当社剰余金の配当に係る1株当たり配当総額)
/業績評価期間開始日の前日以前3ヶ月間の平均株価
(*) 業績評価期間中の剰余金の配当を行っておりません。
(ⅲ) 個人の業績評価結果(MBO(目標管理制度))
CEOの業績は、報酬委員会が評価を行いました。CEOの業績については、当社業績への全体的な貢献度に応じて判定されました。
CEO以外の当社が開示対象とした執行役員については、CEOが個人の業績の評価に際して、以下に記載されている要素を考慮しました。
・新開崇平氏は、CFOであり、CEOは当社の財務マネジメントに注目しました。
・Jason Hall氏は、CLOであり、CEOは法務マネジメントおよびITや資材調達機能の運営実績に注目しました。
・山本信吾氏は、オートモーティブソリューション事業本部長を務め、CEOはビジネスユニットの財務業績と戦略的位置づけに注目しました。
・Sailesh Chittipeddi氏は、IoT・インフラ事業本部長を務め、CEOはビジネスユニットの財務業績と戦略的位置づけに注目しました。
(d) 開示対象執行役員毎の連結報酬等の総額
(注) 1 金額は、百万円未満を四捨五入して記載しています。従って、各欄の記載金額の合計金額が連結報酬等の総額欄の金額と一致しない場合があります。
2 新型コロナウイルス感染症禍の状況を踏まえ、上記執行役員の基本報酬はいずれも10%減額されています。一部の執行役員は自由参加型1円ストックオプションプログラムに申し込んでおり、基本報酬から減額された金額に一定のプレミアを付した価額のストックオプションが付与されています。上記はかかる減額および追加付与分を反映した金額を記載しています。
3 株式報酬は、当連結会計年度に権利確定した金額を示しています。
4 取締役でもある執行役員(CEO)については、取締役としての報酬となります。
5 Jason Hall氏については、上記報酬の他に、米国子会社から当社への出向に関する諸手当およびそれに伴う所得税額の一部補填等を当社が負担しています。
6 海外役員については、支払い通貨を期中平均レート(1ドル=107.27円)により日本円に換算しております。
(e) 福利厚生
執行役員は、セベランスベネフィットを除いて、当社の他の従業員と同等の各種給付を受ける資格があります。このような給付として、健康保険・厚生年金等の社会保険、傷害保険、通勤費およびグループ保険利用権等があります。
(f) ペイ・レシオ(報酬倍率)
当社の当連結会計年度の全従業員(CEO以外)の年収総額の中央値は、5百万円でした。当社CEOの年収総額は165百万円でした。この情報に基づき、当社CEOの年収総額と全従業員の年収総額の中央値の比率は、約32対1となっております。
当社の全従業員の年収総額の中央値を決め、中央値の従業員の年収総額を算定するにあたっては、次の手法および重要な前提条件を用いております。
・2020年12月31日を中央値の従業員を決める日(基準日)に選びました。
・基準日現在の当社の従業員は、当社および連結子会社に勤務する約19,000人(職場に復帰する見込みがない休職中の従業員を除きます。)で構成されていました。
・中央値の従業員を決めるため、全従業員に支給されている基本給およびインセンティブに関する情報を使用しました。勤続期間が1会計年度に満たない、あるいは1年の間に無給休暇を取得していた期間があった正社員については、給与月額を年換算しております。
当社CEOの年収総額は、上述「(d) 開示対象執行役員毎の連結報酬等の総額」欄に記載されている金額(基本報酬+STI+LTI)となります。
ハ 任意の報酬委員会
当社では、報酬等の妥当性と決定プロセスの透明化を担保するため、取締役会の諮問機関として、社外役員が半数を占め、かつ社外取締役が委員長を務める任意の報酬委員会を設置しています。
取締役および執行役員の報酬水準、報酬構成、業績連動報酬の目標設定等については、報酬委員会での審議を経たうえで、取締役会から役員の個別の報酬配分を一任されているCEOに答申され、決定されます。
なお、株主総会議案(取締役の報酬限度額等)、ストックオプションの付与については、報酬委員会での審議を経たうえで、取締役会にて決定されます。
当連結会計年度においては、合計8回の報酬委員会を開催しました。
イ 取締役および監査役の報酬
①取締役の報酬
執行役員を兼務する取締役の報酬については、後述「ロ 執行役員の報酬」に記載しています。
執行役員を兼務しない取締役の報酬に関する基本方針は、次のとおりです。
・透明性・客観性が高いものであること
・株主と利益意識を共有するため、企業価値の向上と報酬が連動するものであること
・企業ビジョンの実現にあたって、適確な能力要件を満たすグローバルな経営陣の確保とリテンションに資するものであること
執行役員を兼務しない取締役に対しては、2018年3月29日開催の定時株主総会で決議された報酬限度額(年額2,000百万円。うち社外取締役分は年額400百万円以内)の範囲内において、固定報酬としての基本報酬を支給するとともに、一部の者には、多様性のある優秀な人材確保とその役割に対する一層の意識喚起を目的として、株式報酬(在任期間をベースとした1円ストックオプション(タイムベイスド・ストックオプション:TSO))を支給しております。
TSOの具体的な内容については、後述「ロ 執行役員の報酬」「②詳細」「(a) 報酬の理念および要素」「(ii) 株式報酬」「<株価連動報酬(長期インセンティブ(LTI))>」に記載しています。なお、株式報酬については、TSOに代え、2021年4月に譲渡制限付株式ユニット(リストリクテッド・ストック・ユニット:RSU)の導入を予定しています。
代表取締役会長は、執行役員在任中に業績連動報酬(短期インセンティブ(STI))の支給を受けており、その金額は後述「③提出会社の役員区分毎の報酬等の総額、報酬等の種類別の総額および対象となる役員の員数」の表に含まれております。
執行役員を兼務しない取締役の報酬比率・水準、報酬構成等については、取締役毎に、当社取締役としての責務に相応し、上述の基本方針に照らして適正な比率および水準を考慮のうえ設定しており、報酬委員会での審議を経たうえで、取締役会から役員の個別の報酬配分を一任されているCEOに答申され、決定されます。報酬委員会は、社外役員が半数を占め、かつ社外取締役が委員長を務めております。
②監査役の報酬
監査役の報酬については、独立性の確保の観点から、業績に連動しない固定報酬としての基本報酬のみとしており、2010年2月24日開催の臨時株主総会で決議された報酬限度額の範囲内(月額1,200万円以内)で、監査役の協議により決定し、支給しております。
③提出会社の役員区分毎の報酬等の総額、報酬等の種類別の総額および対象となる役員の員数
役員区分 | 人員 | 報酬等毎の金額(百万円) | 総報酬 (百万円) | |||
基本報酬 | 業績連動報酬 | 株価連動報酬 | ||||
長期インセンティブ(LTI) | ||||||
賞与 | パフォーマンス ベイスド・ストックオプション (PSO) | タイムベイスド・ ストックオプション (TSO) | ||||
取締役 (除、社外取締役) | 2 | 86 | 77 | 0 | 61 | 225 |
社外取締役 | 5 | 31 | - | - | 0 | 31 |
監査役 (除、社外監査役) | 1 | 20 | - | - | - | 20 |
社外監査役 | 2 | 12 | - | - | - | 12 |
(注) 1 当連結会計年度末現在の取締役は6名(うち社外取締役4名)、監査役は4名(うち社外監査役は3名)です。
2 取締役の報酬には、執行役員を兼務するCEOの報酬も含みます。
3 金額は、百万円未満を四捨五入して記載しています。従って、各欄の記載金額の合計金額が報酬等の総額欄の金額と一致しない場合があります。
4 株式報酬型ストックオプションとして付与した新株予約権による報酬については、表中の金額は当連結会計年度中に行使可能数が確定したものについて、権利確定日の株価終値等をもとに算出した公正価額を記載しております。当連結会計年度における会計上の費用計上額は、社内取締役:267百万円、社外取締役:25百万円となります。
5 日本非居住の役員については、支払通貨を期中平均レート(1ドル=107.27円)により、日本円に換算しております。
ロ 執行役員の報酬
以下では、当社の執行役員(本項においては、執行役員を兼務する取締役およびその他の執行役員を総じて、「執行役員」と総称します。)の報酬制度について記載しており、当社の執行役員の構成は次のとおりです。なお、取締役である執行役員については、取締役としての報酬となります。
氏 名 | 地位・担当 | 取締役 | 執行役員 |
柴 田 英 利 | 代表取締役社長兼CEO | ○ | ○ |
新 開 崇 平 | 執行役員兼CFO | - | ○ |
Jason Hall | 執行役員兼CLO | - | ○ |
吉 岡 真 一 | 執行役員兼CTO | - | ○ |
山 本 信 吾 | 執行役員常務、オートモーティブソリューション事業本部関係担当 | - | ○ |
真 岡 朋 光 | 執行役員、オートモーティブソリューション事業本部(A&Pプロダクツ)関係担当 | - | ○ |
Sailesh Chittipeddi | 執行役員常務、IoT・インフラ事業本部関係担当 | - | ○ |
Chris Allexandre | 執行役員、IoT・インフラ事業本部(グローバルセールス、コーポレートデジタルマーケティング)関係担当 | - | ○ |
新 田 啓 人 | 執行役員、IoT・インフラ事業本部(SoCビジネス)関係担当 | - | ○ |
Roger Wendelken | 執行役員、IoT・インフラ事業本部(MCUビジネス)関係担当 | - | ○ |
野 﨑 雅 彦 | 執行役員常務、生産本部関係担当 | - | ○ |
本項では、次のものを記載しております。
・当連結会計年度の報酬制度の概要、制度設計の理念
・当社が開示対象とした当連結会計年度の執行役員毎の報酬の種類、種類別の支給額および報酬の合計額
当社においてその職責と方針策定に関する権限が最も広範に及ぶのは、執行役員です。
執行役員は、当社の業績ならびに倫理観の高い企業風土の維持およびコンプライアンスの徹底について責任を担っています。
役員報酬の開示においては、CEOをはじめとする当社取締役のみならず、経営陣の中心的メンバーの報酬に関しても透明性の確保に努めております。
そのため、当社は、法令上開示が必要とされる報酬総額1億円以上の取締役の報酬に限らず、CEO、最高財務責任者(CFO)、最高法務責任者(CLO)、オートモーティブソリューション事業およびIoT・インフラ事業をそれぞれ担当する執行役員の個別報酬についても、開示事項の対象としております。
①要旨
当社は、執行役員の報酬制度を定期的にアップデートしています。当社では、既にグローバルに事業を展開し、強い市場競争力を発揮する注力分野であるオートモーティブとIoT・インフラにおける事業ポートフォリオの拡大を加速するうえで、報酬を欠かせないマネジメントツールの一つと位置づけています。
当社は、当社ビジネスを牽引することができる優秀な執行役員を招聘し、リテンションを図るため、グローバル企業として適切で競争力のある報酬パッケージを設計しております。
当社の報酬制度は、執行役員に対して、短期的にも長期的にも株主の最善の利益となるように考え、行動することを促進するよう、業績に連動した報酬を含む設計となっています。当社執行役員の毎年の報酬総額の大部分は、業績連動報酬と株価連動報酬として支給されます。業績連動報酬である短期インセンティブ(STI)は当社の短期的業績と連動し、株価連動報酬は当社の長期的業績と連動しています。また、執行役員に当社の直接の財務業績および総合的な市場競争力に対する責任を負わせるものになっていると考えております。
<将来に関する計画>当社は、近年、よりグローバル化が進んでいる事業活動との整合を取るため、経営基盤をアップデートすることを目指しております。当社のイノベーションの一環として、今後数年のうちに役員報酬制度もアップデートする予定です。
その第一歩として、業績をベースとした1円ストックオプション(パフォーマンスベイスド・ストックオプション:PSO)と在任期間をベースとした1円ストックオプション(タイムベイスド・ストックオプション:TSO)に代えて、2021年4月からグローバルに広く利用されている業績連動型譲渡制限付株式ユニット(パフォーマンス・シェア・ユニット:PSU)および譲渡制限付株式ユニット(リストリクテッド・ストック・ユニット:RSU)の導入を予定しております。なお、支給対象者が、当社取締役会で定める一定の非違行為があったことその他当社取締役会において定める事由に該当した場合には、未確定のユニットの全部または一部を喪失するものとします。また、ユニットの確定後に、かかる事由またはその原因となる行為が確定前に存在していたことが判明した場合において当社が相当と認めたときは、支給対象者は、かかるユニットに関して交付を受けた当社普通株式の全部もしくは一部または相当する額の金銭を無償で返還するものとします。
報酬制度の策定および報酬水準の設定に際しては、半導体その他の関連業界のグローバル企業および日本企業をベンチマーキングの比較対象先としております。毎年、役員報酬制度のマーケット比較を行い、その検証結果に基づいて役員報酬パッケージをアップデートしております。上場企業のコーポレート・ガバナンス強化のグローバルトレンドに対応し、グローバル企業の慣行に合わせた役員報酬制度のアップデートをこれまで同様に行っていく所存であり、当社報酬制度がマーケットに適合した、事業業績に対してプラスの影響を後押しするものとして当社経営陣および株主から認められるよう努めていきます。
②詳細
(a) 報酬の理念および要素
執行役員の報酬に関する基本理念は、次のとおりです。
・会社業績との連動性が高く、かつ透明性・客観性が高いものであること
・株主と利益意識を共有するため、企業価値の向上と報酬が連動するものであること
・企業ビジョンの実現にあたって、適確な能力要件を満たすグローバルな経営陣の確保とリテンションに資するものであること
また、現行の報酬は、以下により構成されています。
・固定報酬としての基本報酬
・より短期的な財務・戦略目標の達成に重点を置いた業績連動報酬(短期インセンティブ)
・経営陣に株主価値向上への意欲を喚起する株価連動報酬(長期インセンティブ)としてのストックオプション
現行制度は、グローバル市場と日本の国内市場の慣行、当社ステークホルダーの利益と整合するものであると考えております。報酬総額に占める各報酬の割合は、マーケット比較やグローバルトレンド、各執行役員の役割や実績に相応して適正な割合を考慮のうえ設定しています。また、当社では、長期的業績を役員報酬に連動させて株主と経営陣の間の強い連携を実現するため、多くの日本企業と比較して、長期インセンティブをより重視した報酬戦略を推進しており、報酬総額における株式報酬の割合が過半となる水準に設定しております。
(i) 現金報酬
<基本報酬>基本報酬は、組織内における特定の役割と責任に対する市場価値を反映する中核的な報酬であり、各執行役員の実際の責任、能力および経験に対する報酬となります。
本報酬は、責任の範囲および会社への貢献度の見込みに基づき固定金額として支給されます。役員報酬の基本要素であり、有能な執行役員を招聘し、リテンションを図り、グローバルな事業拡大を牽引する意欲を喚起する水準に設定されます。
本報酬は、市場の昇給率、当社の業績および個人の業績を考慮して毎年調整されます。
<業績連動報酬(短期インセンティブ(STI))>短期インセンティブ(STI)は、執行役員の会社の財務成績全般に対する動機付けや報酬として、また、各年度の執行役員個人の業績への評価として執行役員に支給されます。STIは、役員報酬制度の極めて重要な要素であり、執行役員の業績目標達成への貢献意欲を高めることに重点が置かれています。
本報酬は、オートモーティブソリューション事業本部とIoT・インフラ事業本部の業績からなる当社の1年間の業績を基準とするもので、事業の拡大とその収益性を評価するため、以下を含む一定の指標を用いて評価を行います。
・売上高(増加率)
・営業利益率
評価指標と目標は、報酬委員会の審議を経たうえで、毎年定められます。業績に応じた支給額についても同様です。
(ii) 株式報酬
<株価連動報酬(長期インセンティブ(LTI))>長期インセンティブ(LTI)とは、評価期間が1年以上に及ぶ変動報酬をいい、通常、株主が得る価値に対応する形で支給されます。長期インセンティブの役割は、執行役員への経済的な報奨を組織の長期的業績、および株主の長期的志向と連動させることにあります。
現行の長期インセンティブは、ストックオプションにより支給され、執行役員が実際に受け取る利益は、株価上昇や3年間の株主総利回り(TSR)に応じて定まります。
具体的には、当社のTSRに応じて行使可能な新株予約権数が決定される業績をベースとした1円ストックオプション(パフォーマンスベイスド・ストックオプション:PSO)と、そのような行使条件が付されていない在任期間をベースとした1円ストックオプション(タイムベイスド・ストックオプション:TSO)で構成されています。このうち、PSOについては、中長期な企業価値の最大化および株価への貢献に向けた意識・活動の強化により結び付けるため、当社のTSRを業績指標に加えた設計としています。付与されるストックオプションの数は、各人に責任と役割に応じて設定された付与水準基準額をベースに、オプション価格(*)を踏まえて決定されます。PSOとTSOの付与水準基準額の構成比率は、50%:50%となっています。
(*) 二項モデル等の公正な算定方式により算定する各ストックオプションの発行に関する取締役会決議時点のストックオプションの公正価値
種 類 | 目 的 | 基 準 | 構成比率 |
パフォーマンスベイスド・ストックオプション(PSO) | 役員の株価上昇と企業価値への貢献意欲を向上 | TSR | 50% |
タイムベイスド・ストックオプション(TSO) | 報酬と株価の連動性を高め、株主との利益を共有することで、優れた人材を確保・維持 | 在任期間 | 50% |
[PSO]
・付与対象者に対しては、以下の算式により算定される個数の新株予約権を付与します。
付与新株予約権数=(各人に設定された付与水準基準額×2)/オプション価格
(*) 上記の各人に設定された付与水準基準額については、毎年設定される各人の個人業績評価結果により、-10%~+10%の範囲内で調整を加えることがあります。
(*) 最終的な付与新株予約権数は、取締役会にて決定します。
(*) 最終的に行使可能となる新株予約権数については、業績要件を加味して、各人に設定された付与水準基準額をオプション価格で除して算出される基準数の0%~200%の範囲内で確定します。ただし、法令上、新株予約権を自動的に追加付与することができないため、最終的に想定され得る行使可能な新株予約権の最大個数として、各人に設定された付与水準基準額の2倍に相当する金額をオプション価格で除して算出される数の新株予約権を予め付与し、後述の業績要件に従い最終的に行使可能となる付与新株予約権数が確定した際に、行使不可能となった超過分を失権させる仕組みとなっています。
・原則として、付与日の3年後の応当日以降、その期間の業績要件を加味して、次のとおり決定された最終付与新株予約権数が行使可能になります。
業績指標 | TSR:SOX (Philadelphia Semiconductor Index)およびTOPIX (Tokyo Stock Price Index) 構成企業との比較にて決定します。 | ||||||||||
業績評価期間 | 付与年の4月1日から3年間 | ||||||||||
当社TSRの 伸長率 | (業績評価期間末日以前3ヶ月間の平均株価 -業績評価期間開始日の前日以前3ヶ月間の平均株価 +業績評価期間中の日を基準日とする当社剰余金の配当に係る1株当たり配当総額) /業績評価期間開始日の前日以前3ヶ月間の平均株価 ![]() | ||||||||||
新株予約権の行使可能数の決定方法 | ・当社のTSRの伸長率とSOX構成企業のTSRの伸長率を低い順から区分した場合において、当社のTSRの伸長率が以下の1)から5)のいずれに区分されるかに従い、その区分に掲げる百分率(以下「SOX算定率」)を算出します。 ・当社のTSRの伸長率とTOPIX構成企業のTSRの伸長率を低い順から区分した場合において、当社のTSRの伸長率が以下の1)から5)のいずれに区分されるかに従い、その区分に掲げる百分率(以下「TOPIX算定率」)を算出します。 ・SOX算定率とTOPIX算定率の平均値を付与新株予約権数に乗じて得られる数についてのみ新株予約権を行使することができ、その他の新株予約権は行使できないことが確定するものとします。ただし、当社のTSRの伸長率が0%以下であった場合、当該平均値は、50%を上限とします。
|
[TSO]
・付与対象者に対しては、以下の算式により算定される個数の新株予約権を付与します。
付与新株予約権数=各人に設定された付与水準基準額/オプション価格
(*) 上記の各人に設定された付与水準基準額については、毎年設定される各人の個人業績評価結果により、-10%~+10%の範囲内で調整を加えることがあります。
(*) 最終的な付与新株予約権数は、取締役会にて決定します。
・原則として、付与日の翌日から1年経過する毎にその3分の1ずつが行使可能となり、その結果、3年後の応当日以降、すべての付与新株予約権が行使可能になります。
(b) 比較対象グループ(2021年度以降)
報酬委員会は、制度設計と競争力のある報酬水準についての理解を深めるため、報酬における比較対象企業の検証を行いました。当社がグローバルに事業を展開していることを踏まえ、比較対象企業は日本国内にとどまらず、いずれも当社の主要事業領域であり、かつグローバルな役員報酬制度が機能している米国および欧州から選定しております。当社は、グローバルに重要な3地域を適切なバランスをもって参照し、将来の業績目標を設定しており、グローバルにも各地域においても事業および財務指標の達成を促進することを目指して報酬制度を策定しました。
報酬における比較対象企業グループには、日本に本社を置くハイテク企業等があり、これらは人材獲得上の競合企業、投資家から見た同業他社のいずれか、または両方に該当します。現段階で日本においては売上規模と役員報酬の水準との相関はそれほど強くないため、日本企業については広範な売上規模のレンジから選定しました。報酬における比較対象企業の開示されている個人報酬データを市場の報酬データ(Mercer LLC調査)によって補足しております。米国および欧州については、売上規模および時価総額を考慮して半導体企業を選び出しました。
日本に 本社を置く企業等(比較対象企業=12) | アメリカに 本社を置く企業等(比較対象企業=13) | ヨーロッパに 本社を置く企業等(比較対象企業=4) |
ソニー㈱ ㈱東芝三菱電機㈱東京エレクトロン㈱㈱アドバンテスト㈱ディスコ ㈱日立製作所パナソニック㈱オリンパス㈱トレンドマイクロ㈱ ㈱デンソー TDK㈱ | Analog Devices社 Skyworks Solutions社 Texas Instruments社 Microchip Technology社 Advanced Micro Devices社 Applied Materials社 Broadcom社 Lam Research社 Marvell Technology Group社 Maxim Integrated社 Micron Technology社 Qualcomm社 Xilinx社 | STMicroelectronics社 NXP Semiconductors社 Infineon Technologies社 ASML Holding社 |
(c) 報酬決定に関する分析
(i) 報酬総額
報酬委員会は、執行役員の報酬を最終的に決定する前に、パッケージ全体と種類毎の報酬の両方について検証を行いました。対象となった情報は、現金報酬(基本報酬およびSTI)総額、株式報酬額、報酬総額(基本報酬、STIおよび株式報酬)、報酬案が他の報酬要素に与える影響等です。執行役員の報酬金額、報酬構成およびインセンティブの決定に際しては、基本的理念に沿い、企業業績と個人の業績および当社の中長期的な価値創出との関連における、各役職や役割、過去の経歴を含めた在職状況を検証しました。報酬委員会は、報酬全体が制度の目的と整合するかどうかの評価を行いました。
報酬委員会はこのような総合的な検証に基づき、当連結会計年度の報酬水準と報酬構成を適正と判断しました。
<基本報酬>執行役員の当連結会計年度の基本報酬の支給額は、各役職の役割および関連する雇用市場(日本または米国)を考慮して、報酬委員会での審議を経た上で決定しました。
当連結会計年度には新型コロナウイルス感染症禍の状況を踏まえ、原則、2020年7月より執行役員の基本報酬を10%減額とし、それに加え、CEOについてはさらに20%、CEO以外の執行役員についてはさらに10%の基本報酬の支払いを繰り延べております。
当社は、2020年7月に、執行役員と従業員に自由参加型1円ストックオプションプログラムへの申込みを認めました。このプログラムは、当社の基本報酬の減額に同意した執行役員や従業員が対象となり、減額給与相当分に一定のプレミアを付した価額のストックオプションを付与するものです。
<業績連動報酬(短期インセンティブ(STI))>当社が開示対象とした執行役員の連結会計年度STI基準額は以下に示すとおりです。
氏 名 | STI (基準額:百万円) | 基本報酬 (基準額:百万円) | 基本報酬に対する STIの割合 |
柴 田 英 利 | 50 | 72 | 69.4% |
新 開 崇 平 | 25 | 20 | 122.5% |
Jason Hall | 27 | 38 | 71.4% |
山 本 信 吾 | 33 | 25 | 129.0% |
Sailesh Chittipeddi | 44 | 59 | 75.0% |
(注)金額は、百万円未満を四捨五入して記載しています。また、海外役員については、支払い通貨を期中平均レート(1ドル=107.27円)により日本円に換算しております。なお、基本報酬に対するSTIの割合については、四捨五入前の金額に基づいて、算出しております。
オートモーティブ事業本部やIoT・インフラ事業本部を統括する執行役員については、暫定的なSTI支給額を各事業本部の売上高(増加率)と営業利益率(Non-GAAPベース)に基づいて決定します。各事業本部に個別の計算方式を適用するのは、それぞれの事業の特性を考慮に入れるためです。
他の事業部門(生産本部およびコーポレート部門)を担当する執行役員に関しては、両事業本部の支給率の加重平均に基づいて暫定的な支給額を計算します。
なお、このスキームは従業員のスキームと同様であり、従業員とインセンティブを共有する仕組みとしています。
最終的な支給額は、上記スキームにより決定した暫定的なSTI支給額、当社の業績、財務実績以外の各種要件、およびその年度の他の要素に基づいて、報酬委員会の検証および答申を踏まえて、CEOが決定しますが、CEOの最終的な支給額については、CEOを除いた報酬委員会の検証および承認が必要です。
<株価連動報酬(長期インセンティブ(LTI))>当連結会計年度に当社が開示対象とした執行役員に付与されたストックオプションの数を算出するベースとした各人の付与水準基準額は、以下に示すとおりです。
氏 名 | 株式報酬(付与水準基準額:百万円) | ||
合 計 | PSO (付与水準基準額) | TSO (付与水準基準額) | |
柴 田 英 利 | 235 | 118 | 118 |
新 開 崇 平 | 59 | 30 | 30 |
Jason Hall | 64 | 32 | 32 |
山 本 信 吾 | 73 | 37 | 37 |
Sailesh Chittipeddi | 325 | 163 | 163 |
(注)この表は各人の年間付与水準基準額を示したものです(金額は、百万円未満を四捨五入して記載しています。また、海外役員については、支払い通貨を期中平均レート(1ドル=107.27円)により日本円に換算しております。)。自由参加型1円ストックオプション制度に基づく付与分は含みません。自由参加型1円ストックオプション制度分を含め、実際に権利確定した金額は後述「(d) 開示対象執行役員毎の連結報酬等の総額」の表に記載されています。
当連結会計年度の当社が開示対象とした執行役員の報酬構成は、以下に示すとおりです。
変動部分の割合は、執行役員に企業業績と個人の業績に対する報酬を与えるため、現在の日本国内における役員報酬の一般的状況と比べて大きくなっています。

(注)各報酬構成要素は業績反映前の基準額ベース(2021年3月31日時点)
(ⅱ) 当連結会計年度の業績評価 (Non-GAAPベース)
当連結会計年度の売上高は減少となりましたが、営業利益率は増加しました。
株主総利回りの3年平均伸び率は36.3%減となり、TOPIX構成企業の中央値を下回り、SOX構成企業の中央値を下回りました。
売上高
・当社の2020年度の売上高は、0.4%減と、前年と比べ減少しました。
・事業本部別の売上高は次のとおりです。
-オートモーティブソリューション事業本部の2020年度の売上高は、8.1%減と、前年と比べ減少しました。
-IoT・インフラ事業本部の2020年の売上高は、10.3%増と、前年と比べ増加しました。
営業利益率
・当社の2020年の営業利益率は、6.3ポイント増と、前年と比べ増加しました。
・事業本部別の営業利益率は次のとおりです。
-オートモーティブソリューション事業本部の2020年度の営業利益率は、5.8ポイント増と、前年と比べ増加しました。
-IoT・インフラ事業本部の2020年度の営業利益率は、6.8ポイント増と、前年と比べ増加しました。
株主総利回り(TSR)
2020年度のPSOの業績評価に使用したTSRの3年平均伸び率は36.3%減と、TOPIX構成企業の中央値を下回り、SOX構成企業の中央値を下回りました。
業績の概要
1年 | 3年 | |
売上高 | △0.4% | |
オートモーティブソリューション事業本部 | △8.1% | |
IoT・インフラ事業本部 | 10.3% | |
営業利益率 | 6.3pts | |
オートモーティブソリューション事業本部 | 5.8pts | |
IoT・インフラ事業本部 | 6.8pts | |
株主総利回り利益率(TSR) | △36.3% |
(注)
(*) 売上高/営業利益率: グループ連結、Non-GAAPベースで業績を開示
(*) TSRの業績評価期間: 2017年4月1日から2020年3月31日
(*) TSRの計算:
(業績評価期間末日以前3ヶ月間の平均株価
-業績評価期間開始日の前日以前3ヶ月間の平均株価
+業績評価期間中の日を基準日とする当社剰余金の配当に係る1株当たり配当総額)
/業績評価期間開始日の前日以前3ヶ月間の平均株価
(*) 業績評価期間中の剰余金の配当を行っておりません。
(ⅲ) 個人の業績評価結果(MBO(目標管理制度))
CEOの業績は、報酬委員会が評価を行いました。CEOの業績については、当社業績への全体的な貢献度に応じて判定されました。
CEO以外の当社が開示対象とした執行役員については、CEOが個人の業績の評価に際して、以下に記載されている要素を考慮しました。
・新開崇平氏は、CFOであり、CEOは当社の財務マネジメントに注目しました。
・Jason Hall氏は、CLOであり、CEOは法務マネジメントおよびITや資材調達機能の運営実績に注目しました。
・山本信吾氏は、オートモーティブソリューション事業本部長を務め、CEOはビジネスユニットの財務業績と戦略的位置づけに注目しました。
・Sailesh Chittipeddi氏は、IoT・インフラ事業本部長を務め、CEOはビジネスユニットの財務業績と戦略的位置づけに注目しました。
(d) 開示対象執行役員毎の連結報酬等の総額
氏 名 | 報酬等毎の金額(百万円) | 総報酬 (百万円) | |||
基本報酬 | 業績連動報酬 | 株価連動報酬 | |||
長期インセンティブ(LTI) | |||||
賞与 | パフォーマンス ベイスド・ストックオプション (PSO) | タイムベイスド・ ストックオプション (TSO) | |||
柴 田 英 利 | 53 | 66 | 0 | 45 | 165 |
新 開 崇 平 | 19 | 32 | 0 | 5 | 56 |
Jason Hall | 31 | 35 | 0 | 16 | 82 |
山 本 信 吾 | 15 | 33 | 0 | 22 | 70 |
Sailesh Chittipeddi | 51 | 67 | 0 | 101 | 219 |
(注) 1 金額は、百万円未満を四捨五入して記載しています。従って、各欄の記載金額の合計金額が連結報酬等の総額欄の金額と一致しない場合があります。
2 新型コロナウイルス感染症禍の状況を踏まえ、上記執行役員の基本報酬はいずれも10%減額されています。一部の執行役員は自由参加型1円ストックオプションプログラムに申し込んでおり、基本報酬から減額された金額に一定のプレミアを付した価額のストックオプションが付与されています。上記はかかる減額および追加付与分を反映した金額を記載しています。
3 株式報酬は、当連結会計年度に権利確定した金額を示しています。
4 取締役でもある執行役員(CEO)については、取締役としての報酬となります。
5 Jason Hall氏については、上記報酬の他に、米国子会社から当社への出向に関する諸手当およびそれに伴う所得税額の一部補填等を当社が負担しています。
6 海外役員については、支払い通貨を期中平均レート(1ドル=107.27円)により日本円に換算しております。
(e) 福利厚生
執行役員は、セベランスベネフィットを除いて、当社の他の従業員と同等の各種給付を受ける資格があります。このような給付として、健康保険・厚生年金等の社会保険、傷害保険、通勤費およびグループ保険利用権等があります。
(f) ペイ・レシオ(報酬倍率)
当社の当連結会計年度の全従業員(CEO以外)の年収総額の中央値は、5百万円でした。当社CEOの年収総額は165百万円でした。この情報に基づき、当社CEOの年収総額と全従業員の年収総額の中央値の比率は、約32対1となっております。
当社の全従業員の年収総額の中央値を決め、中央値の従業員の年収総額を算定するにあたっては、次の手法および重要な前提条件を用いております。
・2020年12月31日を中央値の従業員を決める日(基準日)に選びました。
・基準日現在の当社の従業員は、当社および連結子会社に勤務する約19,000人(職場に復帰する見込みがない休職中の従業員を除きます。)で構成されていました。
・中央値の従業員を決めるため、全従業員に支給されている基本給およびインセンティブに関する情報を使用しました。勤続期間が1会計年度に満たない、あるいは1年の間に無給休暇を取得していた期間があった正社員については、給与月額を年換算しております。
当社CEOの年収総額は、上述「(d) 開示対象執行役員毎の連結報酬等の総額」欄に記載されている金額(基本報酬+STI+LTI)となります。
ハ 任意の報酬委員会
当社では、報酬等の妥当性と決定プロセスの透明化を担保するため、取締役会の諮問機関として、社外役員が半数を占め、かつ社外取締役が委員長を務める任意の報酬委員会を設置しています。
取締役および執行役員の報酬水準、報酬構成、業績連動報酬の目標設定等については、報酬委員会での審議を経たうえで、取締役会から役員の個別の報酬配分を一任されているCEOに答申され、決定されます。
なお、株主総会議案(取締役の報酬限度額等)、ストックオプションの付与については、報酬委員会での審議を経たうえで、取締役会にて決定されます。
当連結会計年度においては、合計8回の報酬委員会を開催しました。