有価証券報告書-第81期(2025/04/01-2026/03/31)

【提出】
2026/06/24 13:14
【資料】
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【項目】
138項目

有報資料

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題は次のとおりであります。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営理念、経営方針
当社グループは、「源流」「創価」「革新」を経営理念としております。
「常に、源流に立って考え、意欲して創造し、価値を創り、新しい時へ、自ら変革し対応しよう」という基本理念に従い、長期経営ビジョンを「革新的技術を用いた最適価値の電子デバイスを世界に発信し、人々のくらしと生活環境の向上に貢献する」とし、このビジョンを実現するために2028年度を最終年度とした「中期経営計画R2028」を策定し、「顧客の満足と信頼の獲得」「独創的発想による価値の創造」「構造改革による収益力とキャッシュ創造力の強化」「持続可能な経営基盤の確立・強化」という4つの中期経営方針を掲げ、グループ一体となってその実践に努めております。
(2)経営環境、中長期的な会社の経営戦略
当期は3カ年中期経営計画「R2027」において注力市場として掲げたモビリティ / 医療・ヘルスケア / IoT無線通信 / 次世代デジタルインフラ市場に対し、IATF16949の認証取得や高周波・低ジッタ水晶デバイス「KCRO-05」の開発等、企業価値向上に向けた活動を推進してまいりました。売上高においては車載、医療・ヘルスケア、IoT無線通信向けが好調に推移し、前期に比べ1.5%の増収となりましたが、米国の関税政策に端を発したサプライチェーンの混乱からスマートフォン向けの受注が急減速したことによりプロダクトミックスが悪化、また原材料高騰や人件費等のコスト上昇分を吸収できず、2期連続の営業損失となり、定量目標である連結売上高・連結営業利益(率)・ROICのすべてにおいて未達となりました。ROICの低下は主に収益性の低下に起因しており、資本効率の悪化もそれに連動して進行していることから、収益力の強化が喫緊の課題であると考えております。
来期においては、世界経済は緩やかに拡大していくことが期待されますが、米国の関税政策や地政学リスク、金融市場の動向など、経済の不確実性とサプライチェーンの脆弱性を内包した状況が続く見込みです。
当社グループはこのような状況に対して、長期経営ビジョン「革新的技術を用いた最適価値の電子デバイスを世界に発信し、人々のくらしと生活環境の向上に貢献する」ため、4つの中期経営方針に沿った以下の取り組みを推進し、ICT社会の進展に貢献する時代に即した高品質、高信頼性を持った最先端の電子部品を世界に届け、更なる企業価値向上を目指してまいります。
基本方針1「顧客の満足と信頼の獲得」
顧客の視点に立った企業活動を推進し、顧客が満足する価値を提供し、顧客に信頼されるパートナーとなることを目指します。
当社グループの強みを活かせる成長市場に経営資源を集中し、企業価値向上を目指します。
注力市場に掲げたモビリティ / 医療・ヘルスケア / IoT無線通信 / 次世代デジタルインフラ市場への新規市場開拓および既存顧客深耕を行い、収益力を強化することで持続的な成長を目指します。
モビリティ市場においては、当期にIATF16949の認証を取得し、新規(車載)生産ラインも効率と品質が大幅に改善、資産効率が向上しており、販路拡大に向けた準備が整いつつあります。モビリティ市場はEV市場が減速しておりますが、自動車の電装化は今後も成長が見込まれており、スマートコクピット市場や車載インフォテインメント市場を中心に販路拡大に注力いたします。
医療・ヘルスケア、IoT無線通信市場においては、小型・高精度・超低消費電力など、AI・IoT時代に求められる厳しい要求仕様に沿った製品の提供を目指します。
電子回路の「時間」を司るタイミングデバイスは、IoT・モバイル機器の性能を左右する心臓部であり、小型・低背化、周波数精度安定性、超低消費電力化、高速起動、耐振動・耐衝撃性など、高速通信やAI処理の高度化に伴い要求仕様は極めて厳しいものになっております。こういったお客様の要求に対し、当期に開発した1612サイズ低電圧駆動水晶発振器「FCXO-07F」や現在開発中の0806サイズATカット水晶振動子「MDS-AT0806(仮称)」などの提供や既存製品の低負荷容量化など、お客様の満足いただける価値を提供することで他社との差別化を図り、競争優位性を確立いたします。
次世代デジタルインフラ市場では、期初において3225サイズの「KCRO-04」の市場投入を計画しておりましたが、光トランシーバー市場の動向や当社の開発リソースを鑑み、事業ポートフォリオの見直し、最適化を図り、2520サイズの「KCRO-05」の開発にリソースを集中し、短期で開発を完了いたしました。ターゲットをAIデータセンター向けの1.6T光トランシーバー用途(基準クロック625MHz)としております。現在普及している高速ネットワーク技術である800Gイーサネットでは基準クロックは312.5MHzが主流となっており、1.6Tイーサネットがデータセンター内のバックボーンとしてボリュームゾーンとなるのが早くて今年度、遅くて2028年頃と考えられております。今後はデザイン・イン活動の強化、ICメーカー等へのサンプル出荷などを通じ、情報を密にすることでタイムリーな市場投入を図ってまいります。
基本方針2「独創的発想による価値の創造」
独創的発想をもって革新的技術でイノベーションを創出し、新しい価値を創造します。
当期においてIATF16949の認証を取得し、国際的な品質保証とサプライチェーン全体の信頼性向上が評価されました。この認証された設計開発プロセスを活用し、新たな車載仕様向け音叉型水晶振動子の開発に着手しております。モビリティ市場における製品ラインアップを拡充し、車載電装システムの進化に貢献いたします。
また、次世代デジタルインフラ市場向けに開発したKoTカット水晶デバイスの高周波ニーズに対応してまいります。現在の「KCRO-05」の対応周波数は625MHzですが、2030年頃に登場するとみられる3.2Tイーサネットでは1GHz以上の基準クロックが必要になると考えられます。
当社グループは、ATカット、音叉型水晶デバイスの新たな可能性を追求し、また、KoTカットをAI・IoT時代のニューノーマルとし、「小型・高信頼性「音叉」ならリバー」「高性能・超小型「ATカット」ならリバー」「超高周波数・超低ジッタ「KoTカット」ならリバー」といわれるような価値を創造してまいります。
基本方針3「構造改革による収益力とキャッシュ創造力の強化」
事業構造の改革を推進し、収益力とキャッシュ・フロー創出力を高め、企業価値向上を果たします。
ROICをツリー展開させた施策を推進し、事業成長と投下資本効率の改善を目指します。特に収益力の強化は喫緊の課題であり、次世代の成長ドライバーである超小型音叉型水晶振動子「TFX-05X」ATカット水晶振動子「FCX-08」の拡販に努め、プロダクトミックスの改善を図るほか、高付加価値製品と期待されるKoTカットデバイスの時流に沿った市場投入で収益最大化を目指します。当社の独自技術である「KoTカット」技術は高精度と低位相雑音を両立させ、水晶振動子の性能に大きな革新をもたらす可能性を秘めた技術であります。AI時代の到来により、データセンターや通信インフラにおける「高周波・低ジッタ」への要求はかつてないほど高まっているなかで、「KoTカット」をAI・IoT時代がもたらすニューノーマルにしてまいります。
基本方針4「持続可能な経営基盤の確立・強化」
公正かつ透明性の高いガバナンス体制を構築し、社会的課題に取り組み、企業価値向上を果たします。
2026年度については当期のマテリアリティを継続推進していきます。
事業を通じた社会課題の解決
①ICT社会を進化させる製品の提供②品質保証・安全安心への取り組み
③サプライチェーンマネジメントの強化④顧客エンゲージメントの向上

持続可能な経営基盤の強化
⑤カーボンニュートラル社会への貢献、脱炭素化の推進⑥汚染防止推進と化学物質管理の徹底
⑦コーポレートガバナンスの強化、機能の発揮⑧プライバシーの保護

これらのマテリアリティについては、グループ全体で方針展開を図ることにより、持続可能な経営基盤の確立・強化を図り、中長期的な企業価値向上を目指します。また、現状ではマテリアリティとして特定していない社会的課題についてもステークホルダーの要請や期待に応じて積極的に対応していきます。
創出されたキャッシュについては中期経営戦略に従い、持続的な成長を支えるオーガニック成長を中心とした投資を行うほか、有利子負債の圧縮等、財務健全性を優先的に進めてまいります。株主還元については、前期より自己資本配当率(DOE)の導入を検討してまいりましたが、当社の現況は高周波デバイス向けを軸とした事業拡大の途上にあり、まずは収益力の強化を最優先すべき局面であると判断いたしました。つきましては、現時点でのDOE導入は見送り、引き続き今後の検討課題とさせていただきます。なお、自己株式の取得につきましては財務の健全性を優先させながらフリーキャッシュ・フローの状況や株価推移を勘案し、機動的な取得を検討いたします。
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、成長性を測る指標として、連結売上高及び連結売上高営業利益(率)を、企業価値向上を測る指標としてROIC(投下資本営業利益率)を重要な経営指標と位置づけております。当期においては、すべての指標において未達となりました。

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