有価証券報告書-第75期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

【提出】
2020/06/26 10:43
【資料】
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【項目】
150項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは、「源流」「創価」「革新」を経営理念としております。「常に、源流に立って考え、意欲して創造し、価値を創り、新しい時へ、自ら変革し対応していこう」という基本理念に基づき、高収益・安定成長に向けて付加価値の向上に努め、あらゆる企業活動において社会的責任を果たし、社会に貢献し、社会から必要とされる企業を目指してまいります。
(2)経営戦略等
当社グループは、長期経営ビジョン「革新的技術を用いた最適価値の電子デバイスを世界に発信し、人々のくらしと生活環境の向上に貢献する」を掲げ、このビジョンを実現するために「顧客の満足と信頼の獲得」「独創的発想による価値の創造」「事業構造変革による収益力の向上」という3つの戦略に取り組んでまいります。
「顧客の満足と信頼の獲得」戦略では、当社グループの最重要市場であるスマートフォン関連市場に加え、自動車・医療ヘルスケア・産業機器市場を注力市場とし、アジア圏における販売拡大を目指します。また、北米、欧州に関しては商社・代理店の活用も含め新市場の開拓を目指します。
また、開発と営業が一体となった技術営業力を強化し、お客様の多様なニーズに対し、ソリューションを提案することで一層の販売拡大を図ります。
「独創的発想による価値の創造」戦略では、当社の独自技術を活かし、市場ニーズにマッチした競争優位性の高い製品を開発していきます。今後、通信の高速化や大容量化に伴う通信品質の向上により、市場からは位相雑音ジッタ性能を始めとする信号源に対する要求仕様もより厳しいものになると予想されます。このような様々な要求に対し、当社グループは開発ポートフォリオの最適化を図り、市場のニーズに的確に合う製品をいち早く投入し、市場における技術進化に貢献できる体制を整えていきます。
「事業構造変革による収益力の向上」戦略では、生産体制の最適化とコストコントロールの徹底に加え、業務の効率化による生産性の向上に継続して取り組み、収益性の向上に注力していきます。また、経営資源を柔軟かつ適切に配分し、設備投資、事業領域の再編といった判断をタイムリーに行い、資産効率の最大化を図っていきます。
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、連結売上高及び連結売上高営業利益率を重要な経営指標と位置づけ、第6次3カ年中期経営計画において持続的な成長と「売上高営業利益率8%超」の早期実現に向けて各経営課題に取り組んでまいります。
(4)経営環境、事業上及び財務上の対処すべき課題
当期は第5次3カ年中期経営計画の最終年度であり、経営目標であった「売上高営業利益率3%超」という目標は達成できなかったものの、前期の大幅な赤字から営業利益が黒字に転換するまでに業績を回復することができました。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的拡大により、世界経済は先行きが極めて不透明な状況にあり、当社を取り巻く環境も大きく変化する可能性がありますが、あらためて次世代通信規格である5Gの重要性が認識され、IoT社会の本格的普及が進展していくものと思われます。これに伴い、ありとあらゆるモノがネットワークにつながることとなり、電子部品の需要が拡大するとともに今まで以上に高い品質、高い信頼性を持った最先端の電子部品が求められていくと予想しています。当社のもつ営業力や開発力、独自技術にお客様のニーズなどを踏まえた事業ポートフォリオを常に全体最適化させ、お客様に迅速にソリューションを提供することで社会に貢献し、持続的な成長を目指します。中期的にはGTカット発振器「GTXO-04」、Lamb波共振子などを成長ドライバーと位置づけ、これまで当社グループの手薄であった産業機器市場等への市場拡大へ向けマーケティング戦略を実行していきます。
また、当期においては「TFX-04」を始めとした音叉型水晶振動子の販売が好調であったことが大幅な業績改善の一要因でありますが、来期以降においても小型音叉型水晶振動子の市場は拡大していくものと思われます。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の状況は先行き不透明でありますが、社員の安全・安心を最優先に確保したうえで、顧客への供給責任と社会的責任を果たすべく、旺盛な需要に応え、安定的な供給に努めていきます。
また、当社グループは2018年11月から経営合理化による収益構造改革に取り組んでおりますが、まだ道半ばであり、引き続き適正な収益が見込める価格での販売拡大、コストコントロールの徹底、業務の効率化によるコストダウンのほか、グループ、組織再編等による資産効率の最大化についても検討していきます。
これらの構造改革により創出されたキャッシュについては現状では健全な財務体質を構築し、将来を見据えた成長投資を優先といたしますが、長らく無配の状態が続いていることから復配を基本とした株主還元も検討いたします。
また、持続的な成長を支えるには『人材』の確保、教育が重要と認識しており、継続した投資を行っていきます。海外売上高比率もますます高まっていくことが予想されることからグローバルダイバーシティ化を進め、イノベーションが創出されやすい組織づくりを模索していきます。