有価証券報告書-第201期(2023/04/01-2024/03/31)

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2024/06/26 15:51
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3.重要性がある会計方針
(1) 連結の基礎
① 子会社
子会社とは、当社グループが支配する企業をいいます。
当社グループが、企業への関与により生じる投資企業のリターンが、被投資企業の業績の結果によって変動する可能性があり、かつ投資先に対するパワーによりリターンに影響を及ぼす能力を有している場合に投資先を支配しています。
子会社の財務諸表は、支配開始日から支配終了日までの間、連結財務諸表に含めています。子会社が適用する会計方針が当社グループの運用する会計方針と異なる場合には、当該連結子会社の財務諸表を調整しています。当社グループ内の債権債務残高及び取引、並びに当社グループ内取引によって発生した未実現損益は、連結財務諸表の作成に際して消去しています。
支配を喪失しない子会社に対する当社グループの所有持分の変動は、資本取引として会計処理しています。当社グループの持分及び非支配持分の帳簿価額は、子会社に対する持分の変動を反映して調整していますが、非支配持分の調整額と受取対価の公正価値との差額は、親会社の所有者に帰属する持分として資本に直接認識しています。支配を喪失した場合には、支配の喪失から生じた利得及び損失は純損益で認識しています。
② 関連会社
関連会社とは、当社グループがその財務及び経営方針に対して重要な影響力を有しているものの、支配はしていない企業をいいます。
関連会社に対する投資は、取得時に取得原価で認識し、その後は持分法を用いて会計処理しています。投資の取得原価には取引コストを含めています。
連結財務諸表には、他の株主との関係等により、決算日を親会社の決算日に統一することが実務上不可能であるため、親会社の決算日と異なる持分法適用会社に対する投資を含めています。当該持分法適用会社の決算日の差異は3ヶ月を超えることはありません。決算日の差異により生じる期間の重要な取引又は事象については必要な調整を行った上で持分法を適用しています。持分法適用会社が適用する会計方針が当社グループの運用する会計方針と異なる場合には、当該持分法適用会社の財務諸表を調整しています。
損失に対する当社グループの持分が持分法適用会社に対する投資を上回った場合には、長期持分を含めたその投資の帳簿価額をゼロまで減額しています。当社グループが投資先に代わって債務を負担又は支払いを行う場合を除き、それ以上の損失は認識していません。
③ 共同支配の取決め
共同支配の取決めは、当社グループが共同支配(取決めのリターンに重要な影響を及ぼす活動に関する意思決定が、全員一致の合意を必要とする場合にのみ存在する)を有する取決めです。当社グループでは、共同支配の取決めとして共同支配企業があり、当社グループが取決めの純資産に対する権利のみを有する場合、関連会社と同様に、持分法を用いて会計処理しています。
④ 企業結合
企業結合は、取得法で会計処理しています。
のれんは、移転した対価と被取得企業の非支配持分の金額の合計が、取得日における識別可能な取得資産及び引受負債の公正価値の正味価額を上回る場合にその超過額として測定しています。その差額が負の金額である場合には、即時に純利益として認識しています。
負債又は持分証券の発行に関連するものを除いて、企業結合に関連して当社グループに発生する取得関連コストは発生時に費用処理しています。
(2) 外貨換算
① 外貨建取引
外貨建取引は、当初認識時に、取引日の為替レート又はそれに近似するレートで各社の機能通貨に換算しています。
期末日における外貨建貨幣性資産・負債は、期末日の為替レートで機能通貨に換算しています。外貨建非貨幣性項目のうち、取得原価で測定されているものは取引日の為替レート又はそれに近似するレートで、公正価値で測定されるものは、当該公正価値の測定日における為替レートで機能通貨に換算しています。
換算及び決済によって発生した為替差額は、純損益として認識しています。ただし、非貨幣性項目の利得又は損失がその他の包括利益に認識される場合は、当該為替差額もその他の包括利益に認識しています。
② 在外営業活動体
在外営業活動体の資産・負債は、取得により発生したのれん及び公正価値の調整を含め、期末日の為替レートで日本円に換算しています。在外営業活動体の収益及び費用は、為替レートの著しい変動がない限り、期中平均為替レートを用いて日本円に換算しています。為替換算差額はその他の包括利益で認識しています。
在外営業活動体の一部又はそのすべてが処分され、支配又は重要な影響力を喪失した場合には、その他の資本の構成要素に認識した累積換算差額を純損益に振り替えています。
(3) 金融商品
① 非デリバティブ金融資産
金融資産は、償却原価で測定する金融資産、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産及び純損益を通じて公正価値で測定する金融資産に分類しています。
金融資産は、契約の当事者となった時点で認識しています。通常の方法で売買される金融資産は取引日に認識しています。
金融資産からのキャッシュ・フローに対する契約上の権利が消滅した場合、又は金融資産のキャッシュ・フローを受け取る契約上の権利を譲渡し、当該金融資産の所有に係るリスクと経済価値のほとんどすべてが移転している場合において、金融資産の認識を中止しています。
(ⅰ)償却原価で測定する金融資産
以下の要件をいずれも満たす金融資産を、償却原価で測定する金融資産に分類しています。
(a)当該金融資産が、契約上のキャッシュ・フローを回収するために金融資産を保有することを目的とする事業モデルの中で保有されている
(b)金融資産の契約条件により、元本及び元本残高に対する利息の支払いのみであるキャッシュ・フローが特定の日に生じる
償却原価で測定する金融資産は、当初認識時にその取得に直接起因する取引コストを公正価値に加算して測定しています。ただし、重要な金融要素を含まない営業債権は取引価格で当初測定しています。
また、当初認識後は、実効金利法を用いて償却原価で測定しています。
(ⅱ)その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産
償却原価で測定する金融資産以外の金融資産は公正価値で測定する金融資産に分類しています。
公正価値で測定する金融資産のうち、売買目的で保有していない資本性金融商品への投資については、公正価値の事後的な変動をその他の包括利益に表示するという取消不能の選択を行うことが認められており、当社グループでは金融商品ごとに当該指定を行っています。
その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産は、当初認識時にその取得に直接起因する取引コストを公正価値に加算して測定しています。また、当初認識後は、公正価値で測定し、その事後的な変動はその他の包括利益として認識しています。その他の包括利益として認識した公正価値の変動額は、認識を中止した場合にその累計額を利益剰余金に振り替えており、純損益には振り替えていません。なお、配当については純損益として認識しています。
(ⅲ)純損益を通じて公正価値で測定する金融資産
上記以外の金融資産は純損益を通じて公正価値で測定する金融資産に分類しています。
純損益を通じて公正価値で測定する金融資産は、当初認識時に公正価値により測定し、その取得に直接起因する費用は、発生時に純損益で認識しています。また、当初認識後は、公正価値で測定し、その事後的な変動は純損益として認識しています。
② 金融資産の減損
償却原価で測定する金融資産、契約資産及びリース債権について、予想信用損失に係る引当金を認識しています。
報告日において、ある金融商品に関する信用リスクが当初認識以降に著しく増大している場合には、当該金融商品に係る引当金を、当該金融商品の存続期間にわたって発生する可能性のあるすべての債務不履行事象から生じる予想信用損失(存続期間にわたる予想信用損失)と同額で測定しています。
報告日において、ある金融商品に関する信用リスクが当初認識以降に著しくは増大していない場合には、当該金融商品に係る引当金を、報告日から12ヶ月以内に発生する可能性のある債務不履行事象によって生じる予想信用損失(12ヶ月の予想信用損失)と同額で測定しています。
ただし、営業債権、契約資産及びリース債権については、引当金を常に存続期間にわたる予想信用損失と同額で測定しています。
信用リスクの著しい増大の評価及び予想信用損失の測定の詳細については、注記21.「金融商品」に記載しています。
③ 非デリバティブ金融負債
非デリバティブ金融負債は、償却原価で測定する金融負債に分類しています。
償却原価で測定する金融負債は、当初認識時にその取得に直接起因する取引コストを公正価値に減算して測定しています。また、当初認識後は、実効金利法を用いて償却原価で測定しています。
金融負債は、契約の当事者となった時点で認識しています。
金融負債が消滅した場合、すなわち、契約中に特定した債務が履行により消滅、免責、取消、又は失効となった時に、かつ、その時にのみ、金融負債の認識を中止します。
④ デリバティブ取引及びヘッジ会計
当社グループは、通常の営業活動において、為替変動及び金利変動などの市場リスクに晒されています。これらのリスクを管理するため、当社グループは、原則として、リスクの純額を把握し、社内規程に則りデリバティブ取引を必要に応じて締結するなど、リスクを相殺する効果を有する取引を活用して市場リスクの軽減を図っています。当初のヘッジ指定時点において、当社グループは、リスク管理目的、ヘッジ取引を実行する際の戦略、及びヘッジ関係の有効性の評価方法を含む、ヘッジ手段とヘッジ対象の関係を正式に文書化しています。また、ヘッジ手段とヘッジ対象の経済的関係及びリスク管理方針に基づき適切なヘッジ比率を設定しています。
当社グループでは、ヘッジ手段がヘッジ対象期間において関連するヘッジ対象の公正価値やキャッシュ・フローの変動に対して高度に相殺効果を有すると予想することが可能であるか否かについて、継続的に評価を実施しています。
デリバティブは公正価値で当初認識しています。また、当初認識後は公正価値で測定し、その事後的な変動は以下のとおり処理しています。
(ⅰ)公正価値ヘッジ
ヘッジ手段であるデリバティブの公正価値の変動は、純損益として認識しています。また、ヘッジされたリスクに対応するヘッジ対象の公正価値の変動については、ヘッジ対象の帳簿価額を修正して、純損益として認識しています。
(ⅱ)キャッシュ・フロー・ヘッジ
ヘッジ手段であるデリバティブの公正価値の変動のうち、有効なヘッジと判定される部分は、その他の包括利益として認識し、累積額は、その他の資本の構成要素に含めています。また、ヘッジ効果が有効でない部分は、純損益として認識しています。その他の資本の構成要素に累積された金額は、ヘッジ対象である取引が純損益に影響を与える会計期間において、その他の資本の構成要素から純損益に振り替えています。ただし、予定取引のヘッジがその後において非金融資産又は非金融負債の認識を生じさせるものである場合には、その他の資本の構成要素に累積された金額は、当該非金融資産又は非金融負債の当初の帳簿価額の修正として処理しています。
ヘッジ手段が失効、売却、終結又は行使された場合、ヘッジがヘッジ会計の要件を満たしていない場合には、ヘッジ会計を将来に向けて中止しています。予定取引の発生がもはや見込まれない場合には、その他の資本の構成要素に累積された金額は、即時にその他の資本の構成要素から純損益に振り替えています。
(ⅲ)ヘッジ指定されていないデリバティブ
デリバティブの公正価値の変動は、純損益として認識しています。
(4) 現金及び現金同等物
現金及び現金同等物は、手許現金、随時引き出し可能な預金及び容易に換金可能であり、かつ、価値の変動について僅少なリスクしか負わない取得日から3ヶ月以内に償還期限の到来する短期投資から構成されています。
(5) 棚卸資産
棚卸資産は、取得原価と正味実現可能価額のうちいずれか低い金額で測定しています。
棚卸資産の取得原価は主として個別法、先入先出法、移動平均法に基づいて算定しており、棚卸資産の取得に係る費用、製造費及び加工費、並びに当該棚卸資産を現在の場所及び状態とするまでに要したその他の費用を含めています。
正味実現可能価額は、通常の事業の過程における見積売価から、完成までに要する見積原価及び販売に要する見積費用を控除した額です。
(6) 有形固定資産
① 認識及び測定
有形固定資産は、原価モデルを採用し、取得原価から減価償却累計額及び減損損失累計額を控除した額で表示しています。
取得原価には資産の取得に直接関連する費用、資産計上の要件を満たす借入費用並びに解体、除去及び原状回復費用を含めています。
有形固定資産の処分損益は、処分により受け取る金額と有形固定資産の帳簿価額との差額により算出し、純損益で認識しています。
② 減価償却
有形固定資産は、その資産が使用可能となった日から、減価償却しています。
減価償却費は償却可能額をもとに算定しています。償却可能額は、資産の取得原価から残存価額を差し引いて算出しています。
土地等の償却を行わない資産を除き、有形固定資産は見積耐用年数にわたり、主に定額法で減価償却を行っています。
主な見積耐用年数は以下のとおりです。
・建物及び構築物 3~50年
・機械装置及び運搬具 2~20年
減価償却方法、耐用年数及び残存価額は、期末日ごとに見直しを行い、必要に応じて改定しています。
(7) 無形資産
① 認識と測定
(ⅰ)開発費
開発活動には、新規の又は大幅に改良された製品又は工程を生み出すための計画又は設計を含めています。開発費は、以下の要件をすべて満たした場合のみ資産化しています。
・技術的実行可能性
・完了及び利用・売却意図
・使用・売却能力
・将来の経済的便益
・適切な資源の利用可能性
・信頼性のある測定
将来の経済的便益が流入する可能性を実証することができないため、研究局面に関する支出は資産化せず、発生時に費用として認識しています。
資産化される費用には、材料費、直接労務費、資産の意図した使用のための準備に直接関連する間接費用を含めています。その他の開発費は、発生時に費用として認識しています。
資産化された開発費は、原価モデルを採用し、取得原価から償却累計額及び減損損失累計額を差し引いて表示しています。
(ⅱ)ソフトウェア及びその他の無形資産
当社グループが取得したソフトウェア及びその他の無形資産で耐用年数を確定できるものは、原価モデルを採用し、取得原価から償却累計額及び減損損失累計額を控除して計上しています。また、耐用年数を確定できないものは、取得原価から減損損失累計額を控除して計上しています。
(ⅲ)のれん
子会社の取得により生じたのれんは無形資産に計上しています。当初認識時におけるのれんの測定については、(1)④ 「企業結合」に記載しています。
のれんは、原価モデルを採用し、取得原価から減損損失累計額を控除して測定しています。持分法適用会社については、のれんの帳簿価額を投資の帳簿価額に含めています。
② 償却
のれん以外の耐用年数を確定できる無形資産は、その資産が使用可能となった日から見積耐用年数にわたって償却しています。償却方法は、開発費については開発対象の製品機種の生産台数に応じた生産高比例法、その他の無形資産については定額法によっています。
主な見積耐用年数は以下のとおりです。
・ソフトウェア 5年
・開発費 2~10年
償却方法、耐用年数及び残存価額は、期末日ごとに見直しを行い、必要に応じて改定しています。
(8) リース
① 借手としてのリース
リースの開始日に使用権資産とリース負債を認識しています。
使用権資産の測定においては原価モデルを採用し、リース開始日における取得原価から減価償却累計額及び減損損失累計額を控除した価額で表示しています。この取得原価は、リース負債の当初測定額に、開始日又はそれ以前に支払ったリース料を調整し、当初直接コスト、リース契約に基づき要求される解体、除去及び原状回復費用を含め、受領済みのリース・インセンティブを控除して測定しています。当初認識後、使用権資産は、開始日から使用権資産の耐用年数の終了時又はリース期間の終了時のいずれか早い方の日まで、定額法により減価償却しています。
リース負債は、開始日時点で支払われていないリース料をリースの計算利子率を用いて割り引いた現在価値で当初測定しています。リースの計算利子率が容易に算定できない場合には、当社グループの追加借入利子率を用いています。
リース負債は、実効金利法により測定しています。各契約に原資産を購入するオプションやリース期間の延長、解約のオプションが付与されていて、そのオプションを行使する見通しに変化が生じた場合には、リース負債を再測定しています。
なお、リース期間が12ヶ月以内の短期リース及び少額資産のリースについて、使用権資産及びリース負債を認識しないことを選択しており、これらのリースに係るリース料をリース期間にわたり定額法により費用として認識しています。
当社グループは、財政状態計算書において、使用権資産は他の資産として区分し、リース負債を「社債、借入金及びその他の金融負債」に含めて表示しています。
② 貸手としてのリース
契約上、原資産の所有に伴う実質的なすべてのリスクと経済価値を借手に移転するリースは、ファイナンス・リースとして分類しています。ファイナンス・リース以外のリースは、オペレーティング・リースとして分類しています。
ファイナンス・リース取引においては、正味リース投資未回収額をリース債権(「営業債権及びその他の債権」に含めて表示)として認識しています。未稼得金融収益はリース期間にわたり純投資額に対して一定率で配分し、その帰属する期間に収益認識しています。
オペレーティング・リース取引においては、受取リース料は、リース期間にわたって定額法により収益として認識しています。
(9) 非金融資産の減損
当社グループの有形固定資産及び無形資産等の帳簿価額は、期末日ごとに減損の兆候の有無を判断しています。減損の兆候が存在する場合は、当該資産の回収可能価額を見積り、減損テストを実施しています。のれん及び耐用年数を確定できない、又は未だ使用可能ではない無形資産については、年に一度定期的に減損テストを行うほか、減損の兆候が存在する場合にはその都度、減損テストを実施しています。
資産又は資金生成単位の回収可能価額は、使用価値と処分コスト控除後の公正価値のうちいずれか大きい方の金額としています。使用価値の算定において、見積将来キャッシュ・フローは、貨幣の時間的価値及び当該資産に固有のリスクを反映した税引前の割引率を用いて現在価値に割り引いています。資金生成単位については、他の資産又は資産グループからのキャッシュ・イン・フローから概ね独立したキャッシュ・イン・フローを生成するものとして識別する資産グループの最小単位としています。
減損損失は、資産又は資金生成単位の帳簿価額が回収可能価額を超過する場合に認識しています。減損損失は純損益として認識しています。資金生成単位に関連して認識した減損損失は、まずその単位に配分されたのれんの帳簿価額を減額するように配分し、次に資金生成単位内のその他の資産の帳簿価額を比例的に減額します。
のれんに関連する減損損失は戻し入れていません。のれん以外の資産については、過去に認識した減損損失は、期末日ごとに、過年度に計上した減損損失の戻入れの兆候の有無を判断しています。そのような兆候が存在する場合は、当該資産又は資金生成単位の回収可能価額の見積りを行い、その回収可能価額が、資産又は資金生成単位の帳簿価額を超える場合、算定した回収可能価額と過年度で減損損失が認識されていなかった場合の減価償却控除後の帳簿価額とのいずれか低い方を上限として、減損損失を戻し入れています。
(10) 政府補助金
政府補助金は、当社グループが補助金を受領し、その補助金に付帯する諸条件を遵守することが合理的に確かである場合に、公正価値で測定し、以下の方法で認識しています。
資産に関する補助金は、取得原価から補助金を控除して、資産の帳簿価額を算定する方法で認識しています。収益に関する補助金は、関連する費用から当該補助金を控除する方法で認識しています。
(11) 従業員給付
① 長期従業員給付
(ⅰ)退職後給付
(a)確定拠出制度
当社及び一部の子会社では、確定拠出型制度を採用しています。確定拠出年金制度は、雇用主が一定額の掛金を他の独立した企業に拠出し、その拠出額以上の支払について法的又は推定的債務を負わない退職後給付制度です。確定拠出年金制度の拠出債務は、従業員が関連したサービスを提供した期間に、従業員給付費用として純損益で認識しています。
(b)確定給付制度
確定給付型制度は、確定給付制度債務の現在価値から制度資産の公正価値を控除した金額を、負債又は資産として認識しています。
確定給付制度債務の現在価値及び勤務費用は、予測単位積増方式を用いて制度ごとに算定しています。
割引率は、確定給付制度債務を支払う際に使用する通貨及び見積り支払期日に対応した、期末日時点の優良社債の市場利回りを参照して決定しています。
確定給付制度から生じる再測定は、数理計算上の差異・制度資産に係る収益(利息を除く)及び資産上限額の影響から構成され、それらを即時にその他の包括利益に計上しており、直ちに利益剰余金に振り替えています。
制度が改訂された場合、従業員による過去の勤務に関連する給付金の変動部分は、即時に純損益として認識しています。
(ⅱ)その他の長期従業員給付
退職後給付制度以外の長期従業員債務として、長期勤続を達成時に休暇や手当が付与される制度を有しています。当該長期従業員給付は、従業員が過年度及び当年度に提供したサービスの対価として獲得した将来給付の見積額を現在価値に割り引いて算定しています。
② 短期従業員給付
短期従業員給付については、割引計算は行わず、関連するサービスが提供された時点で費用として計上しています。
賞与については、当社グループが、従業員から過去に提供された労働の結果として支払うべき現在の法的及び推定的債務を負っており、かつその金額を信頼性をもって見積ることができる場合にそれらの制度に基づいて支払われる見積額を負債として認識しています。
(12) 引当金
引当金は、過去の事象の結果として、当社グループがその金額について信頼できる見積りが可能である法的又は推定的債務を負っており、当該債務を決済するために経済的資源の流出が生じる可能性が高い場合に認識しています。
貨幣の時間価値の影響が重要な場合には、当該引当金は債務の決済に必要と予想される支出額の現在価値で測定しています。
(13) 株主資本
① 普通株式
当社が発行した資本性金融商品は、発行価額を資本金及び資本剰余金に計上し、直接発行費用(税効果考慮後)は資本から控除しています。
② 自己株式
自己株式を取得した場合は、取得に直接関連して発生したコストを含めた支払対価を資本から控除しています。自己株式を処分した場合には、受取対価と自己株式の帳簿価額との差額を資本として処理しています。
(14) 収益
当社グループは、以下の5ステップアプローチに基づき、約束した財又はサービスの顧客への移転を当該財又はサービスと交換に権利を得ると見込んでいる対価を反映する金額で収益を認識しています。
ステップ1:顧客との契約を識別する
ステップ2:契約における履行義務を識別する
ステップ3:取引価格を算定する
ステップ4:取引価格を契約における履行義務に配分する
ステップ5:履行義務の充足時に(又は充足するにつれて)収益を認識する
当社グループの顧客との契約から生じる収益に関する主要な事業における主な履行義務の内容及び当該履行義務を充足する通常の時点(収益を認識する通常の時点)は以下のとおりです。
① 製品等の販売
製品等の販売による収益については、当社グループは顧客との契約に基づいて製品等を引き渡す履行義務を負っており、製品等の引渡時点又は検収時点で支配が顧客に移転すると判断していることから、製品等の引渡日又は検収日に収益を認識しています。製品等の販売による収益は、契約において約束した対価からリベート及び値引きを控除した金額で測定しています。
② 工事契約、役務の提供
工事契約、役務の提供に係る収益は、顧客からの受注に基づく製品の製造と、それに伴う製品のメンテナンス等によるものであり、顧客との契約に基づいて財又はサービスを提供する履行義務を負っています。工事契約、役務の提供については、財又はサービスに対する支配を一定期間にわたり移転するため、履行義務の完全な充足に向けて合理的に進捗度を測定することにより収益を認識しています。進捗度の測定は、顧客に移転することを約束した財又はサービスの性質を考慮しています。航空宇宙システム事業、エネルギーソリューション&マリン事業等における工事契約等、発生した原価が履行義務の充足における進捗度に比例する場合は、現時点の累計発生原価の取引全体の見積総原価の割合などに基づくインプット法で進捗度を測定しています。エネルギーソリューション&マリン事業等におけるメンテナンス契約等、一定の期間に亘って提供するサービスに対して固定額を請求する契約や、航空宇宙システム事業における民間航空エンジンのメンテナンス契約や車両事業における鉄道車両の製造等、履行が完了した部分に対する顧客にとっての価値に直接対応する対価の額を顧客から受け取る権利を有する契約の場合、経過した期間の契約期間全体に占める割合や現時点までの履行済みの義務が履行義務全体に占める割合などに基づくアウトプット法に基づいて進捗度を測定しています。なお、進捗度を合理的に見積ることができないが、発生するコストを回収すると見込んでいる場合は、発生したコストの範囲で収益を認識しています。
これらの履行義務に対する対価は、履行義務の充足時点から通常1年以内に受領しています。なお、対価に重要な金融要素は含まれていません。
当社グループでは、製品が契約に定められた仕様を満たしていることに関する保証を提供していますが、当該製品保証は別個のサービスを提供するものではないことから、独立した履行義務として区別していません。
リベート及び事後的な値引きなど、対価の変動を含む取引契約については、その不確実性が解消される際に重要な売上収益の戻入れが生じない可能性が非常に高い範囲で当該変動価格を見積り、取引価格を決定しています。
また、顧客との契約の履行のためのコストのうち、回収が見込まれる金額を資産計上しています。当該資産は、関連するサービスが顧客へ移転するパターンに応じて償却を行っています。
(15) 金融収益及び金融費用
金融収益及び金融費用は、受取利息、支払利息、受取配当金、為替差損益、デリバティブ損益(その他の包括利益で認識される損益を除く)等から構成されています。受取利息及び支払利息は、実効金利法を用いて発生時に認識しています。受取配当金は、当社グループの受領権が確定した日に認識しています。
(16) 法人所得税
税金費用は、当期税金費用と繰延税金費用から構成されています。これらは、企業結合に関連するもの、及び直接資本又はその他の包括利益で認識される項目を除き、純損益で認識しています。
当期税金費用は、税務当局に対する納付又は税務当局から還付が予想される金額として測定しています。当該税額の算定は、期末日までに制定又は実質的に制定された税率及び税法に従っています。
繰延税金費用は、期末日における資産及び負債の会計上の帳簿価額と税務基準額との一時差異、税務上の繰越欠損金及び繰越税額控除に基づいて算定しています。
繰延税金資産は、未使用の税務上の繰越欠損金、繰越税額控除及び将来減算一時差異のうち、将来課税所得に対して利用できる可能性が高いものに限り認識しています。また、期末日ごとに見直し、繰延税金資産の便益を実現させるだけの十分な課税所得を稼得する可能性が高くなくなった部分について減額しています。
繰延税金負債は、原則としてすべての将来加算一時差異について認識しています。ただし、以下の場合は繰延税金負債を認識していません。
・予測可能な将来にその差異が解消されない可能性が高い場合の子会社に対する投資に係る差異
・のれんの当初認識において生じる将来加算一時差異
繰延税金資産及び負債は、期末日に施行又は実質的に施行される法律に基づいて一時差異が解消される時に適用されると予測される税率を用いて測定しています。
繰延税金資産及び負債は、当期税金資産・負債を相殺する法律上強制力のある権利を有しており、かつ法人所得税が同一の税務当局によって同一の納税主体に課されている場合又は異なる納税主体に課されているものの、これらの納税主体が当期税金資産・負債を純額ベースで決済することを意図している場合、もしくはこれらの税金資産及び負債が同時に実現する予定である場合に相殺しています。
法人所得税の不確実な税務ポジションについて、税法上の解釈に基づき税務ポジションが発生する可能性が高い場合には、合理的な見積額を資産又は負債として認識しています。
(17) 1株当たり利益
基本的1株当たり当期利益は、親会社の所有者に帰属する当期利益を、その期間の自己株式を控除した発行済普通株式の加重平均株式数で除して計算しています。
希薄化後1株当たり当期利益は、希薄化効果を有するすべての潜在的普通株式の影響を調整して計算しています。