有価証券報告書-第122期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

【提出】
2021/06/24 9:23
【資料】
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【項目】
160項目

有報資料

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当企業集団(当社および連結子会社)が判断したものであります。
(1) 経営方針・経営戦略・経営指標等
当社グループは、経営資源の「選択と集中」によりグループの事業構造の改革を強力に推し進め、長期的視野に立ったグループ経営により、成長と収益力の強化に努めてまいります。
事業環境が激しく変動する新造船事業においては、事業基盤の再整備と事業資源の再配置によりコスト、性能、品質、アフターサービスから成る商品総合力の差別化と営業体制の強化により収益力・変動対応力を高め、事業収益の安定化に向けた施策を講じてまいります。
グループ収益の安定化には、修繕船、鉄構・機械などの非新造船事業の規模の拡大と収益力の強化が不可欠であり、必要な経営資源を投入するとともに、新造船事業の安定収益確保に取り組んでまいります。
当連結会計年度においても営業損失を計上しておりますが、十分な現預金を確保しているとともにシンジケート方式によるコミットメントライン設定を更新するなど取引金融機関とは良好な関係が維持されており、翌連結会計年度を含めて当面の資金繰りに懸念はないものと判断しております。
今後、収益力を強化して経営基盤と企業価値の向上により、株主はもとより顧客・取引先・金融機関・従業員・地域など様々なステークホルダーとの信頼関係の強化・拡大を図り、信頼され成長を期待される「存在感」ある企業グループの形成を目指しております。
(2) 経営環境及び対処すべき課題
① 新造船事業
2010年前後の新造船大量竣工と過剰供給能力による長期造船不況に昨年後半の中国造船所による安値受注攻勢が相俟って、本年度初頭より最悪の事業環境が続いておりましたが、竣工量の減少と海上荷動量の伸長により過剰船腹の調整が急速に進み、本年1月に入ると海運・造船の事業環境には顕著な改善が見えてまいりました。
今治造船株式会社によるジャパン マリンユナイテッド株式会社への出資や両社の共同出資による日本シップヤード株式会社の発足、三井E&S造船株式会社の国内建造撤退、サノヤス造船株式会社の株式会社新来島どっくへの売却など、日本造船業界においては統合・再編と供給力調整の動きが活発化しております。
当社グループにおきましては、佐世保重工業株式会社の新造船事業を2022年1月に休止し、当社伊万里工場との一体運営により、大型撒積運搬船をコアとしVLCCやVLGC(大型LPG船)、LNG燃料船など高付加価値船、環境対応船などと組み合わせるプロダクトミックス建造体制を整備・強化して他社との差別化を図ってまいります。
函館どつく株式会社におきましては、内外の海運会社から高い評価を得ておりますハンディ型撒積運搬船に加え、同社修繕船事業の主要顧客であるフェリー会社向けを中心に、フェリー・RORO船などの内航船建造にも積極的に取り組み、為替リスクと海外勢との不毛な価格競争を極力避け、地域の特性を生かした商品の差別化により収益の安定化を図ってまいります。
当社グループにおきましては今後、設備の近代化が進んでいる当社伊万里事業所においてITの活用によるさらなる最新鋭化を図り、地理的に近接した佐世保重工業株式会社の艤装設備・人員を有効に活用しつつ、函館どつく株式会社とともにグループ新造船事業の合理化運営を進め、収益の早期改善に努めます。
邦船オペレーターの用船期間短縮化による日本船主の新造船発注行動の変化への対応と安定操業量の確保、価格変動が激しい新造船事業の収益安定化の方策として、船主業への本格的な進出も今後の重要な課題であります。
営業力強化のために本年に今治事務所を開設したことに加え、ロンドン事務所の増強も検討しております。
商品開発については、当連結会計年度に受注いたしましたLNGを燃料とする世界初の大型石炭専用船をはじめ、温室効果ガス排出を抑制し脱炭素社会の実現に貢献する新商品の開発や自動運航船などの次世代技術の研究に取り組むほか、他社との共同開発や共同研究にも積極的に参画し、国際社会の要求に応えてまいります。
② 修繕船事業
函館どつく株式会社、佐世保重工業株式会社は、ともに長年の歴史と伝統に裏付けられた技術力と設備能力、安全保障上は勿論のこと一般商船や内航フェリー・RORO船、漁船にとっても重要な立地の優位性を最大限に生かし、収益の拡大に努めてまいります。修繕船事業の主力である艦艇工事は、年度によって大型案件の多寡による操業の山谷が大きいものの、海上保安庁の巡視船や客船、探査船、漁船に加え、一般商船の修繕・改造工事も積極的に受注し、安定収益の確保に努めてまいります。佐世保重工業株式会社におきましては、これまで引合いを頂いたものの要員の不足から受注機会を逸しておりましたが、新造船事業の休止後は新造船建造用ドックの転用と関連設備の増強、新造船の人材受け入れによる要員と技術力の強化により、隣接する米海軍基地の艦船や今後需要の増加が見込まれるLNG船の修繕などにも取り組み、事業拡大を目指します。
世界の船腹量は勿論のこと、日本船主が支配する船腹量も年々増加しており、佐世保重工業株式会社の修繕事業拡大に対する期待も大きく、本年に新設した当社今治事務所を新造船のみならず修繕営業にも活用してまいります。
グループ両社の連携体制をより一層強化し、今後の受注量の拡大とさらなる収益の改善に取り組んでまいります。
③ 鉄構・機械事業
当社および函館どつく株式会社が担う橋梁分野においては新設橋梁の発注量が回復せず、佐世保重工業株式会社が担う舶用機器分野においては日本の新造船建造量が減少したことによる需要の伸び悩みと原材料費の高騰に直面しており、厳しい受注環境が続くものと予想されますが、顧客満足度の向上とコスト競争力の強化により安定的収益の維持・拡大に努めます。橋梁分野においては今後需要の増加が見込まれます保全・補修工事への取り組みを強化し、将来にわたる社会インフラの維持・発展に貢献するとともに、風力発電などの新分野においても、これまで培ってきた技術力を生かした需要開拓に積極的に取り組み、受注および販路の拡大を図ることで、収益の改善を目指してまいります。また、佐世保重工業株式会社におきましては、舶用機器において更なる生産性向上と原材料の廉価調達を図り、新造船需要回復を見越して事業基盤の一層の強化を図ってまいります。
④ その他事業
その他事業を担う各社が市場環境の急速な変化に対応できるよう、グループの事業ポートフォリオの最適化に取り組んでまいります。また、当社グループにおける各事業の役割と責任を明確化し、各事業の収益力とグループ各社への貢献度を高め、経営者の外部招聘を含めた経営力の強化によりグループ収益基盤の強化・発展を図ってまいります。

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