有価証券報告書-第17期(2022/04/01-2023/03/31)
対処すべき課題
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。
(1) 経営方針・経営戦略等
① 経営の基本方針
当社グループは、経営理念に「世界に貢献する企業に向かって『尊重 信頼 挑戦』そこから生まれる夢の実現」を掲げ“多様な文化や価値観を持つ国際社会と協調・協力しながら社会ニーズに応えられる企業として発展していくこと”“先進的な加工技術への挑戦と技術の蓄積によって、期待を超える魅力あふれる自動車フレームを素早く提供し、世界中から信頼される企業となること”を目指しております。
このような、経営の基本方針のもと、株主、顧客、従業員、社会など全てのステークホルダーから信頼される企業であり続けられるよう企業活動に取り組んでまいります。
② 経営環境及び中長期的な会社の経営戦略
今後の世界経済動向として、世界的な金融政策引締めによるインフレ抑制等の動きから景気減速リスクが残ると予測されるものの、コロナ禍の収束や社会活動への規制緩和を受けた経済回復および新興国を中心とした力強い経済成長が見込まれております。
自動車業界においては、車載用途の半導体の供給制約の緩和が進むとみられており、市場の旺盛な需要を背景とした各自動車メーカーの増産対応が本格化すると考えられます。また、中国や欧米を中心とした電動車(EV)シフトが想定以上のペースで進展していることや、新興EVメーカー台頭への危機感を受け、日本の自動車メーカーの世界戦略見直しの動きが続いている状況です。
環境規制の強化を踏まえた急速な電動化の進展、CASE※1やMaaS※2の拡大とそれに伴う異業種の参入といった業界変革期のなか、当社グループへの期待として、車の燃費性能向上のための軽量化と衝突安全性能の向上といった従来からの製品ニーズに加えて、車体設計や解析・シミュレーションなど新車開発の上流段階への参画、環境に寄与する製品開発への参画、LCA※3を取り入れたモノづくりへの進化といった、新しい顧客ニーズが生まれております。
これらの環境は、当社グループにとりまして、強みとする研究から量産までの一貫開発体制による開発力及び生産力(自動車フレームの性能解析や金型技術、超ハイテン材のプレス・溶接加工技術)や、グローバル展開による効率的な供給ネットワークをもって国内外の新規顧客への参入機会の拡大が見込め、新たな成長ドライバーの創出にもつながる期待ができる一方、自動車メーカーの部品調達戦略に変化が生じるなかで受注競争がさらに厳しさを増していく状況でもあります。
以上のような経営環境にあって、当社グループでは、急速な変化にも即応しながらゆるぎない成長を遂げていくための戦略基盤となる、2030年を最終年とする長期ビジョン「2030年VISION」を策定し、2023年度を初年度とする第7次中期事業計画(2023年4月~2026年3月)とともに、当社グループの中長期経営方針として掲げ、企業としての持続的成長の実現とともに、持続的に成長する社会の実現へ貢献してまいります。
※1 CASE … Connectivity:つながること、Autonomous driving:自動運転、Sharing:共有・シェアリング、Electric drive systems:電動化
※2 MaaS … Mobility as a Service:様々な形式の交通手段を需要に応じて1つのサービスに統合する、次世代の交通サービスのこと
※3 LCA … Life Cycle Assessment:原材料採取から製品の製造・使用・廃棄までの一連の過程における環境影響を評価すること
◇2030年VISION
2030年VISION:「Be a Value Creator(価値創造者になる)」
コーポレートスローガン:「Exceed expectations(期待を超える)」
※ なお、2030年VISIONに関して、当社グループのコア・コンピタンス(強み・魅力)を、「テクノロジー(お客様のニーズを具現化するものづくり技術)」と「ホスピタリティ(お客様のニーズをお客様と一緒になって実現する)」と定義しております。
2030年VISIONに向けて当社グループは、ESGの取組みと価値創造文化の醸成を基盤に、既存事業の強化と新商品の開発を進めてまいります。そして、当社グループのコア・コンピタンスとESGを礎としつつこれに全員の「Think Value」を加え、新たな価値を生み出してまいります。そのプロセスでは、自動車業界で存在感を示すとともに、社会に必要とされそして社会に役立つ価値を創出し、これらを通じて期待を超える「Value Creator」を目指しております。
◇第7次中期事業計画(2023年4月~2026年3月)
経営方針:事業基盤を再構築し、価値創造思考で確かな成長を実現する
重点施策:
経営指標:
売上収益、税引前利益額/率及びROE(親会社所有者帰属持分当期利益率)を経営指標(KPI)とし、目標値は以下のとおりであります。
第7次中期最終年度(2026年3月期):
(2) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
(収益力の強化)
技術価値に見合った適正な製品価格設定に努めるとともに、省人化等の原価低減策を推進し収益力を強化してまいります。特に重要地域である北米及び中国地域拠点の収益力強化に注力してまいります。
(主力得意先向け売上の確保と拡販に向けた取り組み)
主力得意先の新車種開発の早期から技術提案営業を進め新規部品の受注獲得を目指すとともに、既生産部品の継続受注を図ります。拡販においても技術提案営業のほか当社グループの供給体制を活かし、国内外で受注活動を積極的に進めてまいります。また、金型や鋳物についても受注拡大とこれまでに培ってきた技術や知見を活かした自動車フレームの受注活動を進めてまいります。
(新技術及び新商品の開発推進)
自動車フレームの製造で培った優れた技術とアイデアで夢のある技術開発や商品開発を進め、より多くのお客様に新たな価値を提供し売上収益の拡大を図ってまいります。
(サステナビリティの強化)
環境やLCAに配慮した生産活動や環境に配慮した活動に積極的に取り組み、脱炭素社会の実現を目指し、地球環境保全へ貢献してまいります。
また、女性の新規採用者における比率の向上や管理職への登用をはじめとした、ダイバーシティ&インクルージョンの推進、男性の育児休業取得を推進するワークライフバランスへの取組み、安全で働きやすい職場環境づくり、健康経営、人権に関する取組、ガバナンス強化などESG各領域の施策を推進し、サステナビリティを強化してまいります。
(人材開発)
グローバルに活躍できる人材の採用、育成、選抜に向けた諸施策を国内外で進めてまいります。
(品質高位安定化)
お客様の期待を超える品質水準の達成、安定化に取り組んでまいります。
(ケー・ティ・エイチ・パーツインダストリーズ・インコーポレーテッドにおける経理体制強化)
米連結子会社である、ケー・ティ・エイチ・パーツインダストリーズ・インコーポレーテッドの決算業務の適正化にむけて、体制及びシステム環境の整備運用に取り組んでまいります。
(1) 経営方針・経営戦略等
① 経営の基本方針
当社グループは、経営理念に「世界に貢献する企業に向かって『尊重 信頼 挑戦』そこから生まれる夢の実現」を掲げ“多様な文化や価値観を持つ国際社会と協調・協力しながら社会ニーズに応えられる企業として発展していくこと”“先進的な加工技術への挑戦と技術の蓄積によって、期待を超える魅力あふれる自動車フレームを素早く提供し、世界中から信頼される企業となること”を目指しております。
このような、経営の基本方針のもと、株主、顧客、従業員、社会など全てのステークホルダーから信頼される企業であり続けられるよう企業活動に取り組んでまいります。
② 経営環境及び中長期的な会社の経営戦略
今後の世界経済動向として、世界的な金融政策引締めによるインフレ抑制等の動きから景気減速リスクが残ると予測されるものの、コロナ禍の収束や社会活動への規制緩和を受けた経済回復および新興国を中心とした力強い経済成長が見込まれております。
自動車業界においては、車載用途の半導体の供給制約の緩和が進むとみられており、市場の旺盛な需要を背景とした各自動車メーカーの増産対応が本格化すると考えられます。また、中国や欧米を中心とした電動車(EV)シフトが想定以上のペースで進展していることや、新興EVメーカー台頭への危機感を受け、日本の自動車メーカーの世界戦略見直しの動きが続いている状況です。
環境規制の強化を踏まえた急速な電動化の進展、CASE※1やMaaS※2の拡大とそれに伴う異業種の参入といった業界変革期のなか、当社グループへの期待として、車の燃費性能向上のための軽量化と衝突安全性能の向上といった従来からの製品ニーズに加えて、車体設計や解析・シミュレーションなど新車開発の上流段階への参画、環境に寄与する製品開発への参画、LCA※3を取り入れたモノづくりへの進化といった、新しい顧客ニーズが生まれております。
これらの環境は、当社グループにとりまして、強みとする研究から量産までの一貫開発体制による開発力及び生産力(自動車フレームの性能解析や金型技術、超ハイテン材のプレス・溶接加工技術)や、グローバル展開による効率的な供給ネットワークをもって国内外の新規顧客への参入機会の拡大が見込め、新たな成長ドライバーの創出にもつながる期待ができる一方、自動車メーカーの部品調達戦略に変化が生じるなかで受注競争がさらに厳しさを増していく状況でもあります。
以上のような経営環境にあって、当社グループでは、急速な変化にも即応しながらゆるぎない成長を遂げていくための戦略基盤となる、2030年を最終年とする長期ビジョン「2030年VISION」を策定し、2023年度を初年度とする第7次中期事業計画(2023年4月~2026年3月)とともに、当社グループの中長期経営方針として掲げ、企業としての持続的成長の実現とともに、持続的に成長する社会の実現へ貢献してまいります。
※1 CASE … Connectivity:つながること、Autonomous driving:自動運転、Sharing:共有・シェアリング、Electric drive systems:電動化
※2 MaaS … Mobility as a Service:様々な形式の交通手段を需要に応じて1つのサービスに統合する、次世代の交通サービスのこと
※3 LCA … Life Cycle Assessment:原材料採取から製品の製造・使用・廃棄までの一連の過程における環境影響を評価すること
◇2030年VISION
2030年VISION:「Be a Value Creator(価値創造者になる)」
コーポレートスローガン:「Exceed expectations(期待を超える)」
※ なお、2030年VISIONに関して、当社グループのコア・コンピタンス(強み・魅力)を、「テクノロジー(お客様のニーズを具現化するものづくり技術)」と「ホスピタリティ(お客様のニーズをお客様と一緒になって実現する)」と定義しております。
2030年VISIONに向けて当社グループは、ESGの取組みと価値創造文化の醸成を基盤に、既存事業の強化と新商品の開発を進めてまいります。そして、当社グループのコア・コンピタンスとESGを礎としつつこれに全員の「Think Value」を加え、新たな価値を生み出してまいります。そのプロセスでは、自動車業界で存在感を示すとともに、社会に必要とされそして社会に役立つ価値を創出し、これらを通じて期待を超える「Value Creator」を目指しております。
◇第7次中期事業計画(2023年4月~2026年3月)
経営方針:事業基盤を再構築し、価値創造思考で確かな成長を実現する
重点施策:
サステナビリティ強化 | 持続可能な経営基盤の強化と社会と共有する価値を創造することで、企業価値を高める。 |
品質高位安定化 | お客様の期待を超える品質水準の達成とその持続。 |
収益基盤の強化 | 当社グループの各社が、各々の持続的成長を叶える収益性を備える。 |
開発/生産技術の競争力強化 | 優れた技術とアイデアで夢のある商品開発・技術開発を進める。そして開発・生産両部門が一体で業界トップの競争力を実現する。 |
事業領域の拡大 | 自動車フレームの技術を基盤に、夢のある商品の企画・開発と技術進化でより多くのお客様に新たな価値を提供し貢献する。 |
人材開発の強化 | 新しい価値の創造に向けた志を共有し、経営理念を実践する。 |
経営指標:
売上収益、税引前利益額/率及びROE(親会社所有者帰属持分当期利益率)を経営指標(KPI)とし、目標値は以下のとおりであります。
第7次中期最終年度(2026年3月期):
売上収益 | 税引前利益 | 売上収益 税引前利益率 | ROE (親会社所有者帰属持分 当期利益率) |
3,000億円 | 150億円 | 5.0% | 10.0% |
(2) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
(収益力の強化)
技術価値に見合った適正な製品価格設定に努めるとともに、省人化等の原価低減策を推進し収益力を強化してまいります。特に重要地域である北米及び中国地域拠点の収益力強化に注力してまいります。
(主力得意先向け売上の確保と拡販に向けた取り組み)
主力得意先の新車種開発の早期から技術提案営業を進め新規部品の受注獲得を目指すとともに、既生産部品の継続受注を図ります。拡販においても技術提案営業のほか当社グループの供給体制を活かし、国内外で受注活動を積極的に進めてまいります。また、金型や鋳物についても受注拡大とこれまでに培ってきた技術や知見を活かした自動車フレームの受注活動を進めてまいります。
(新技術及び新商品の開発推進)
自動車フレームの製造で培った優れた技術とアイデアで夢のある技術開発や商品開発を進め、より多くのお客様に新たな価値を提供し売上収益の拡大を図ってまいります。
(サステナビリティの強化)
環境やLCAに配慮した生産活動や環境に配慮した活動に積極的に取り組み、脱炭素社会の実現を目指し、地球環境保全へ貢献してまいります。
また、女性の新規採用者における比率の向上や管理職への登用をはじめとした、ダイバーシティ&インクルージョンの推進、男性の育児休業取得を推進するワークライフバランスへの取組み、安全で働きやすい職場環境づくり、健康経営、人権に関する取組、ガバナンス強化などESG各領域の施策を推進し、サステナビリティを強化してまいります。
(人材開発)
グローバルに活躍できる人材の採用、育成、選抜に向けた諸施策を国内外で進めてまいります。
(品質高位安定化)
お客様の期待を超える品質水準の達成、安定化に取り組んでまいります。
(ケー・ティ・エイチ・パーツインダストリーズ・インコーポレーテッドにおける経理体制強化)
米連結子会社である、ケー・ティ・エイチ・パーツインダストリーズ・インコーポレーテッドの決算業務の適正化にむけて、体制及びシステム環境の整備運用に取り組んでまいります。