有価証券報告書-第74期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

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2020/09/29 15:35
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154項目

有報資料

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末(2020年3月31日)現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、「信用を重んじ、確実を旨とする」住友の事業精神のもと、次の企業理念に基づき事業活動を進めていきます。そして、ものづくりに携わる企業として、コンプライアンス、品質、安全を最優先に、顧客に満足いただける製品・サービスの提供を行い、唯一無二の精密な技術で社会課題の解決に貢献することで、全てのステークホルダーの期待に応えることを経営の基本方針としております。
『私たちの企業理念「光かがやくその未来(ゆくて)」』
私たちは、独創的な未来技術で発展し続け、豊かな明日を拓きます。
・法令等を遵守し、高い倫理観に基づき事業活動を行います。
・お客さまの満足とニーズを第一とし、魅力ある存在をめざします。
・時代の風を感じとり、世界に目を向け変化に挑戦します。
・人を大切にし、多様な個性の実現と調和をはかります。
・社会に心をひらき、環境、地域との調和、共存に努めます。
(2) 中長期的な経営戦略
当社グループは2020年度~2022年度の中期経営計画を以下のように策定しました。
中期スローガン:「持続可能な社会を支える世界一の「精密」を誰よりも先に創る」
・コンプライアンスを最優先し、透明性の高い経営を実践します
・時代の変化をつかみ、最先端の精密技術と精密なものづくりをたゆまず発展させ、社会に貢献します
・お客様の課題に真摯に取組み、お客様のニーズに応える我々の『精密』を提案します
これらを進めるために具体的には以下のような施策を行ってまいります。
① 収益基盤4分野を軸に新たな成長事業の創出
急速な変化と厳しい競争環境下において、既存事業全てに注力するのではなく、リソースを投下して競争力を高め拡大する市場の中で成長する事業(将来の収益基盤4分野)、オペレーションを最適化して強いコスト体質で高い収益を上げる事業、縮小・撤退してリソースを注力分野へとシフトさせる事業、それぞれの事業方針に合わせたメリハリのあるリソース再配分を行います。選択と集中分野の選定は、アフターコロナでの市場環境予測も織り込みながら行ってまいります。
将来の収益基盤4分野
1.航空宇宙事業
安全・安心な社会を支える精密加工・製造技術
2.熱マネジメント事業
地球環境に優しい省エネを支える精密な熱設計・解析技術
3.精密油圧機器事業
世界のものづくりを支える精密油圧技術
4.半導体製造装置・MEMS・センサ事業
スマート社会の5G、人工知能、ビッグデータ、高機能端末を支えるMEMS製造プロセス、デバイス・高精度センサ設計製造技術
② 経営基盤の継続強化
当社では、コンプライアンスや業務プロセスの不備等による、防衛装備品に係る不正行為、熱交換器に係る不適切行為、退職給付債務の会計上の見積り誤りといった問題が相次いで発覚いたしました。これらの再発防止を含む、経営基盤の強化を行ってきましたが、これを継続強化していきます。現在、諸改革を推し進め、全てのステークホルダーの皆様の信頼回復に取り組んでおりますが、引き続き中期経営計画でも以下のような施策に取り組みます。
A)組織文化/意識変革
自らの原点に立ち還る
・住友事業精神
・当社企業理念及び行動規範
B)ガバナンス・内部統制・コンプライアンス継続強化
・ガバナンス強化諸施策推進
・三線ディフェンス構築
・コンプライアンス・品質・安全最優先
C)基幹システム刷新
・経営と事業を支える次世代ITシステム基盤の構築
これらの施策により、「法令等を遵守し、高い倫理観に基づき事業活動を行う」、「お客様の満足とニーズを第一とし、魅力ある存在をめざす」といった当社企業理念をさらに根付かせ、ガバナンスの強化や内部統制の充実、社員のコンプライアンス意識の徹底を進めてまいります。
(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の中長期的な影響を見通せないことから、今中期計画では数値目標は設定せず、今後の状況を見極めた後あらためて設定することとしました。
(4) 経営環境
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)により、民間航空機業界は深刻な影響を受けており、当社の航空宇宙事業もマイナス影響が顕在化しています。また、自動車や産業機器業界でも一部回復傾向は見られるものの、依然として大きな影響が出ています。一方で急速なデジタル化も進んでおり、ICT分野におけるデバイス需要や製造装置への需要は、濃淡はあるものの、データセンターや5G通信関連の市場は堅調と見ています。
また、企業の事業を通じた社会課題の解決に対する要求は、コンプライアンスに対する要求とともに高くなっています。
このような環境の下、当社はアフターコロナを見据えた事業ポートフォリオの再構築を進め、新たな成長事業の創出にも取り組みます。また、ガバナンス・内部統制・コンプライアンスの強化も継続して取り組み、事業を通じて社会課題を解決してまいります。
(5) 対処すべき課題
・コンプライアンス問題への取り組み
当社は、2019年1月に、防衛省との防衛装備品等に係る契約に関して費用の過大請求を行っていた事実が発覚しました。これを受け、外部専門家からなる特別調査委員会を設置し、事実関係の解明、原因究明及び類似案件の有無等の調査を実施し、2020年1月に調査報告書を受領、開示しました。
この特別調査委員会の提言を含む再発防止策として、コンプライアンス担当役員を選任し、ガバナンスの強化や内部統制の充実、社員のコンプライアンス意識の徹底、部門間連携の強化といった諸改革を進めております。ガバナンス強化の一環として、社長執行役員の諮問機関であった経営会議を意思決定機関と位置付け、重要事項の意思決定を合議制とする意思決定プロセスの高度化等を図っております。また内部統制の充実や社員のコンプライアンス意識向上に向けて、モニタリング機能を強化するための組織・体制整備、コンプライアンスに関する社内規程の見直しや内部通報制度の刷新にも取り組んでおります。他にも部門間連携を含む組織力強化を目的に管理職層の計画的人事ローテーションを開始いたしました。
これらの再発防止に取り組む過程で実施した2019年12月のコンプライアンス総点検において、当社が製造する高圧ガス保安法適用のプレートフィン型熱交換器の製造において、溶接工程の一部を外注することにより、特定設備製造業者の登録時の申請内容と異なる方法で製造・検査を行っていたことが判明しました。これに関連して、2020年3月に経済産業省からの行政処分、2020年7月には欧州圧力機器指令(Pressure Equipment Directive)への適合認証を取消されました。
調査の結果、原因として、コンプライアンス意識の欠如、誤った品質意識、法規等に関する知識不足、現場におけるチェック体制の不備等が確認されました。
製造工程の是正は既に完了し、再発防止策として、コンプライアンスと品質、安全を最優先とする組織風土改革、コンプライアンス・品質・法規等に関する教育の充実等に取り組んでいます。また、現場においては、作業手順書類の詳細化・簡易化に加えて、作業者自身及び第三者がチェックしやすくする現場の見える化に取り組んでいます。
昨年の防衛装備品に係る不正行為に続いての本件の発覚を重く受け止め、あらためて防衛装備品、熱交換器に関係する部門に限らず全社の問題として真摯に改革・改善に取り組み、信頼回復に努めてまいります。
また、上記以外にも、過年度の退職給付債務の会計上の見積りに誤りがあったことが判明し、過年度の有価証券報告書等を訂正することといたしました。これは退職給付会計に使用する退職給付債務を計算する対象を網羅的に特定できていなかったことによるものです。経理部門の専門知識の強化、退職金制度改定時の社内外関係先との協議手続の明確化、年金数理人へ数理計算を依頼する際の業務手順の明確化と承認手続の厳格化などの再発防止策を講じ、決算・財務報告プロセスに係る内部統制を強化し、財務報告の信頼性を確保してまいります。
・新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響
新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、航空宇宙セグメントにおいて民間航空機向け脚部品及び同エンジン用熱交換器等の販売減少による当社フリー・キャッシュ・フローへのマイナス影響が想定されます。これに対し当社は資金の流動性を確保するため、手元資金を例年に比べ手厚くしております。
また、新型コロナウイルス感染拡大防止や感染者発生の影響最小化のため、リモートワーク、時差出勤・通勤手段の見直し、スプリット勤務等により、状況に応じた対応を行っています。
今後、当社業績への直近及び中長期的な影響の見極めとその対策、さらにはこの事態が終息した後の当社事業環境にもたらされる変化に適応していくための準備を行ってまいります。

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