有価証券報告書-第153期(平成28年4月1日-平成29年3月31日)

【提出】
2017/06/29 13:08
【資料】
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【項目】
111項目

業績等の概要

(1) 業績
当連結会計年度におけるわが国経済は、一部に改善の遅れが見られますが、政府の経済政策の効果もあり、緩やかな回復基調が続いています。また、海外経済において、米国では、新大統領による雇用拡大政策などもあり安定的な成長が継続し、アジア地域においても中国の各種政策の効果により持ち直しつつあるなど、実体経済は全体として緩やかな回復傾向のなかで推移しました。
このような情勢のもと鋼管業界におきましては、住宅関連では着工数が増加し、自動車関連においてもバス・トラックなどを中心に堅調に推移しました。一方で鉄鋼原材料の値上がりを背景に市場において鉄鋼製品の価格改定が行われたことや、一部に人手が不足するなどの要因によりオリンピック関連施設の建設やインフラ投資の遅れ等、需給環境の回復は鈍く、市況は不安定な状態が続きました。
当社グループといたしましては、普通鋼製品・ステンレス鋼製品は原材料価格の上昇などにより価格是正を行いましたが、需給環境は底堅く、市況は好調に推移いたしました。
この結果、当連結会計年度の売上高は36,363百万円(前年度比0.9%増)、営業利益1,657百万円(前年度比121.1%増)、経常利益1,814百万円(前年度比140.4%増)となりました。なお、特別利益に投資有価証券売却益を計上したものの、関西工場のリム生産中止によるリム工場等の解体撤去及び土壌改良費用等を特別損失の事業構造改善費用に計上しています。また、国内子会社において、会計基準に基づき回収可能性を検討した結果、繰延税金資産を計上いたしました。これらの要因等により、親会社株主に帰属する当期純利益は1,296百万円(前年度比500.3%増)となりました。
セグメント別の概況は次のとおりです。
(鋼管関連)
普通鋼製品においては、建設関連の需要は、全国的には盛り上がりが見られないものの首都圏を中心に活発に推移し、自動車関連の需要も比較的堅調に推移しました。また、海外経済が緩やかな回復傾向であるため、鉄鋼業界を取り巻く環境は比較的安定した状況が続きました。そのような状況において、戸建住宅関連や各種商業施設の出店・物流倉庫関連、バス・トラック部材など積極的に販売活動を行いました。
ステンレス製品につきましては、原材料であるニッケル価格が変動するなか、製品販売価格への転嫁と生産効率の更なる改善を行い、一定の収益改善を行うことができました。また、食品や飲料、製薬・医療関連、建材関連、鉄道車両関連などの販売は前期に引き続き比較的堅調に推移しました。
なお、電解研磨処理を施した耐食性・洗浄性・意匠性に優れたステンレス鋼管の新製品につきましては、鉄道車両関連等の引き合いが増加しています。
この結果、当セグメントの売上高は34,847百万円(前年度比2.4%増)、営業利益は1,383百万円(前年度比251.5%増)となりました。
(自転車関連)
国内の自転車業界につきましては、需要回復は弱く、国内生産車・輸入車ともに販売は減少傾向が続きました。健康志向や環境・省エネなどの配慮から愛好者の広がりがあるスポーツ用自転車の販売は、比較的安定した需要があるものの、多くが輸入商品であることから、為替変動の影響を受けやすく、市場は厳しい環境が続いております。
このような状況のなかで、「アラヤ」及び「ラレー」ブランドのスポーツ用自転車については、独自の商品企画力を発揮して、ユーザーの支持を得られるような話題性のある新商品の提供に努めました。
国内生産の中心となっております電動アシスト自転車は、徐々に品揃えが多様化しており、需要は比較的堅調に推移しております。それに採用されている当社のステンレスリムは強度・精度面の評価が高く、販売を維持することができましたが、当期末をもってステンレスリムの生産を中止しており、今後は代替品としてアルミリムの販売に注力します。
アルミリムについては引き続き中高級品に絞り込み、インドネシア子会社との連携により拡販に努めました。
この結果、当セグメントの売上高は988百万円(前年度比35.4%減)、営業利益は9百万円(前年度比70.1%減)となりました。
(不動産等賃貸)
不動産賃貸収入につきましては、東京工場跡地の地代収入を中心に、東京都江東区の自社ビル「アラヤ清澄白河ビル」の賃貸収入や大阪府茨木市の社員寮跡地の地代収入も加わり、安定した業績をあげております。
この結果、当セグメントの売上高は430百万円(前年度比7.3%増)、営業利益は359百万円(前年度比9.0%増)となりました。
(その他)
その他は機械設備・福祉機器関連の事業であります。
機械設備関連の販売につきましては、景気が回復基調にあるなかで、企業の収益改善から設備投資が持ち直しており、主要ユーザーの自動車部品業界においても新規設備の引き合いが出てきておりますが、輸入機械設備の販売は、為替動向、製品輸出動向など企業にとって先行きに不透明感があり、引き合い案件の進捗は不確かな状況が続いております。
この結果、売上高は97百万円(前年度比23.1%増)、営業利益は7百万円(前年度は営業損失7百万円)となりました。
(2) キャッシュ・フロー
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、8,205百万円となり、前連結会計年度末より1,746百万円増加しました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動による資金の増加は1,966百万円(前年度は651百万円の資金の増加)となりました。これは主に、売上債権の増減額が361百万円の資金増加から572百万円の資金減少になったものの、税金等調整前当期純利益が1,079百万円増加したことや、仕入債務の増減額が1,084百万円の資金減少から76百万円の資金減少になったことなどによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動による資金の増加は454百万円(前年度は480百万円の資金の減少)となりました。これは主に、投資有価証券の売却による収入が629百万円増加したことなどによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動による資金の減少は668百万円(前年度は375百万円の資金の減少)となりました。これは主に、短期借入金の純増減額が131百万円の資金減少から391百万円の資金減少になったことなどによるものであります。