有価証券報告書-第121期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

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2021/06/25 13:26
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(1)変わることと変わらないこと
新型コロナウイルス感染症は、世界を、そして人々の暮らしを大きく変えました。人々はオフィスに出社できず、働き方の変革を余儀なくされ、徐々に進展すると考えられていた「いつでもどこでもはたらく」という新しいワークスタイルへの変革が強制的に加速されることとなりました。この変化は、新型コロナウイルス感染症の拡大収束後も元に戻らず、さらに進むと想定されます。その中で、私たちが長年取り組んできたオフィスサービスが、この働き方の変革を通じて、お客様へのさらなるお役立ちにつながっています。
このように働き方が変わっていく中で、私たちが変わらずに大切にし続けることが二つあります。
一つは、私たちは徹底的にお客様に寄り添い続けるということです。リコーは1977年にオフィスオートメーションを提唱して以来、半世紀近くにわたりオフィスの効率化や生産性向上のお手伝いをしてきました。今後、仕事の価値が業務の効率化から人にしかできない創造力の発揮へと移っていく中で、私たちは変わらずにお客様の「はたらく」に寄り添い続け、すべてのお客様が「はたらく」を通じて歓びや幸せを感じることに役に立つ会社でありたいと考えています。
そして、もう一つ変わらずに大切にするもの、それはリコーの原点であり創業の精神である「三愛精神」です。「人を愛し」「国を愛し」「勤めを愛す」からなる三愛精神は、SDGs*の原則である「誰一人取り残さない社会」という考え方にも通じるものがあります。リコーは、この三愛精神に基づいて設定したマテリアリティ(21~22頁参照)に取り組むことで企業価値向上を図っていきます。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
*SDGs(持続可能な開発目標):Sustainable Development Goals
貧困や飢餓、健康や安全衛生、経済発展、環境課題など、17の目標と169のターゲットに全世界が取り組むことによって、「誰も取り残されない」社会を2030年までに実現することを目指す。2015年9月の国連サミットで採択。

(2) リコーの中期展望
当社は、2020年度を「危機対応」と「変革加速」の1年と位置づけ全社一丸となって困難に対処することとしました。これにより、第20次中期経営計画(以下、20次中計)は、2021年度から2年間の中計とするとともに、中長期的な目線を重視し、2025年までの中期展望についても方向性を示しています。
当社は2025年には、「はたらく場をつなぎ、はたらく人の創造力を支えるデジタルサービスの会社」となることを目指しています。まず、将来財務と位置づけているESG(環境・社会・ガバナンス)の視点から、サステナビリティやESGに関してグローバルでトップレベルの評価を受ける会社であることを基本とした上で、高まる顧客や投資家のESG要求に応えるべくバリューチェーン全体を俯瞰した活動を進めます。財務の視点では現在のオフィスサービス事業が成長を続けて全社業績を牽引し、20次中計の最終年度である2022年度にはROE9%以上を、2025年度には10%を超える水準を継続的に創出できる経営体質の実現を目指しています。

◆将来財務(ESG)の視点
ESGの取り組みは、将来の財務を生み出すために不可欠なものと位置づけ、7つのマテリアリティに紐づく将来財務目標(ESG目標)を設定した上で活動します。DX(デジタルトランスフォーメーション)や脱炭素社会の実現、人権問題への対応などのグローバルな潮流及び、経営戦略の実行力向上の観点から全社目標を設定し、各カンパニーにブレークダウンして取り組んでいます。DXへの対応では、デジタルサービスの会社への変革に向けたデジタル人材の量・質の確保を図るとともに、関連特許の質の向上にも取り組みます。脱炭素社会の実現に向けては、先行して進めてきた欧州や中国以外の地域でも再生可能エネルギーの活用を加速し、ロードマップに基づく着実なGHG(温室効果ガス)削減を進めます。人権問題については、新たに定めた人権方針に基づきながら、取引先と一体になって取り組みを進めていきます。
◆財務の視点
達成に向けて、①社内カンパニー制の導入、②事業ポートフォリオ管理、③経営基盤の強化、④資本政策の強化を実施していきます。
① 社内カンパニー制の導入
2021年4月より、リコーグループは社内カンパニー制を導入しました。新しい組織は、事業ポートフォリオ管理の徹底による資本効率経営の実現と権限委譲による意思決定の迅速化を主な狙いとし、事業を運営する5つのカンパニーと、グループ本部で構成されます。
権限を委譲された5つのカンパニー、「リコーデジタルサービス」、「リコーデジタルプロダクツ」、「リコーグラフィックコミュニケーションズ」、「リコーインダストリアルソリューションズ」、及び「リコーフューチャーズ」の各プレジデントは、それぞれの事業全体の責任を負い、デジタルサービスの提供拡大に向けて、迅速な意思決定を行うことで事業の成長と資本効率経営を追求します。グループ本部は、経営戦略の立案・推進や事業ポートフォリオマネジメント(事業の新陳代謝や経営資源配分)を実施する「グローバルヘッドクォーター」、デジタルインフラの整備や先端技術の研究を行う「プラットフォーム」、各カンパニーへの支援機能を持つ「プロフェッショナルサービス」の3つの機能に特化してグループの成長を支えます。
② 事業ポートフォリオ管理
これまでのオフィスプリンティング事業への依存から脱皮し、グローバルヘッドクォーターによる厳正な事業ポートフォリオ管理のもとで、デジタルサービスの会社への変革を加速します。各事業を、成長性とROIC(投下資本利益率)の2軸で管理し、合理的な判断・意思決定のもとに経営資源配分の最適化を図ります。
オフィスサービス事業では、地域ごとにメリハリをつけた投資・拡大を狙います。具体的には、日本・欧州では積極的に投資を実施し戦力や製品・サービスを拡充する一方、米国では20次中計期間中は戦略投資を行わず、現在のマネージドサービス顧客の価値向上に集中します。
オフィスプリンティング事業は、オペレーショナルエクセレンスを徹底的に追求し収益性を確保するとともに、他社への外販も積極的に進める考えです。
商用印刷事業は、印刷のデジタル化需要の高まりを機会と捉え、新製品の投入やデジタルサービスの拡大により事業成長を狙います。
産業印刷事業では、リコーの強みであるインクジェットヘッドの強化に投資を集中します。
サーマル事業では、レーザー技術を駆使した新領域の製品を投入し、成長と資本効率向上を実現します。
産業プロダクツでは、産業機械装置領域での投資を行い、成長を狙います。

こうした取り組みの結果として、リコーグループの新しい基盤事業として、オフィスサービス事業が営業利益においては2022年度に、売上では2023年度にオフィスプリンティング事業を上回る計画で、2025年度にはオフィスサービス事業の営業利益が全体の過半となる見通しです。

③ 経営基盤の強化
当社は、デジタルサービスの会社へ転換するために、本社機能を絞り込み、企業風土、人材、インフラ、及びR&D(研究開発)といった経営基盤の強化にも取り組んでいます。
企業風土については、2017年度より自律型人材が活躍できる風土・制度への変更を進め、その結果社員エンゲージメント(社員満足度評価)も着実に向上しつつあります。2021年度以降も、さらなる評価制度・人事制度の変革を予定しています。また、デジタルサービスの会社として、お客様接点でお役に立てる「デジタル人材」の育成を積極的に進めています。2021年4月には、国内3万人の社員のデジタル資質の可視化を行い、育成支援を開始しました。さらに、デジタルサービスの会社に転換するために、製造・開発・人事・経理系など多くの業務システムを刷新していきます。
R&Dにおいては、「はたらく人の五感をデータ化しはたらく歓びにつなげる商品開発」と、「インクジェット技術を駆使した製造プロセスのデジタル化」の2つの先鋭的な領域に特化する方向へと舵を切りました。
④ 資本政策の強化
当社は、ステークホルダーの期待に応えながら、企業価値・株主価値を最大化することを目指しています。株主の皆様からお預かりした資本に対して、資本コストを上回るリターンの創出を目指します。

バランスシート・マネジメントの視点では、2020年4月にリコーリースを非連結としたことで、自己資本(純資産)比率が高くなっていましたが、今後はデジタルサービスの会社への転換に向けて、リスク評価に基づいて適切な資本構成を目指し、投資の原資に借り入れを積極的に活用しながら、負債と資本をバランスよく事業に投下していきます。オフィスプリンティング事業などの安定事業には負債を積極的に活用し、リスクの比較的高い成長事業には資本を中心に配分する考えです。
このように、事業投資によって創出した営業キャッシュ・フローを、さらなる成長に向けた投資と株主還元に対して計画的に活用していきます。デジタルサービスの会社への転換に向けて、成長投資に5,000億円程度を投じる予定としています。投資原資は、営業キャッシュ・フローに加えて有利子負債も活用しながら、メリハリを効かせて戦略的に実施します。
成長投資5,000億円の内訳
事業戦略のためのM&A投資オフィスサービス事業でのM&A約2,000億円
現場領域*を中心としたM&A約1,000億円
経営基盤の強化■デジタル人材の育成・獲得
■基幹システムの刷新
■社内DX革命 等
約1,000億円
新事業ドメイン創出への投資■領域を絞った先端技術開発
■社会課題解決の新規事業の創出
約1,000億円

* 印刷の現場、製造・物流・産業の現場などリコーグラフィックコミュニケーションズやリコーインダストリアルソリューションズがカバーする領域
また、株主還元方針としては、総還元性向50%を目安とし、安定的な配当と機動的な自己株式取得を行う方針です。配当については、1株あたりの配当金額を、2021年度の水準から毎年、利益拡大に沿った継続的な増配を目指します。自己株式取得は、経営環境や成長投資の状況を踏まえつつ、総還元性向の範囲で機動的に実施し、EPS*の向上を図ってまいります。
*EPS(Earnings Per Share):1株あたり利益

(3) 第20次中期経営計画
20次中計は、2025年度までの中期展望を達成するための大事な道筋となります。当社は、20次中計期間の2年間で「“はたらく”の生産性を革新するデジタルサービスの会社への変革」を実現します。経営目標としては「ROE9%以上」を掲げ、それを実現するための財務目標として営業利益1,000億円、売上高約2兆円などの指標を設定しています。
現在、新型コロナウイルス感染症の収束が未だ世界的に見通せない中、当社は新しい社内カンパニー制度のもと、オフィスサービス事業は、地域ごとにメリハリを効かせた投資を行い、成長を実現していきます。オフィスプリンティング事業では、オペレーショナルエクセレンスの徹底追求により、オフィスのプリントが減少しても耐え得る体質への強化を進めます。加えて、グループ本部を中心とした経営基盤の強化を着実に実施することなどにより、営業利益1,000億円という高い目標の達成を目指します。
また、財務指標と同等に重要である将来財務目標(ESG目標)についても7つのマテリアリティごとに17の目標項目・目標値を設定し達成に向けて尽力します。

(4) 2021年度の見通し
2021年度の業績見通しは、売上高1兆9,100億円、営業利益500億円、ROE4%以上とし、業績のV字回復を目指します。オフィスプリンティング及び商用印刷の新型コロナウイルス感染症による事業影響からの回復に加えて、開発・生産、サービス体制の最適化などの体質強化をさらに進めつつ、20次中計の目標達成に向けて一気に成長に舵を切り、オフィスサービスを中心としたデジタルサービスの成長を実現してまいります。
(5) 7つのマテリアリティ~7つのマテリアリティに対するリコーグループの取り組みとESG目標


*1 トップスコア率:もっとも高い評価の選択率 *2 国内スクラムパッケージの顧客比率 *3 IPA:独立行政法人情報処理推進機構。ITSS:IPAが定めるITスキル標準。レベル0~レベル6の7段階。 *4 スマート社会インフラ: デジタル技術による社会インフラ関連事業 *5 SBT:Science Based Targets *6 RBA:Responsible Business Alliance *7 ISO/IEC:International Organization of Standardization/International Electrotechnical Commission *8 NIST:National Institute of Standards and Technology *9 評価スコア: リコーに対する各パートナーからの評価結果 *10 CDP: 気候変動など環境分野に取り組む国際NGOによる評価 *11 ETR: External Technology Relevanceの略。他社に引用された特許の多さを示すスコア *12 RFG:Ricoh Family Group
◆ご参考 気候変動への対応:TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)に基づく情報開示
「気候変動」は、グローバル社会が直面している最も重要な社会課題の1つです。
リコーグループでは、パリ協定を踏まえて、「2050年にバリューチェーン全体のGHG*1排出ゼロを目指す」という長期環境目標を設定しました。加えて、「2030年にGHG排出63%削減(2015年比)」という野心的な環境目標を定めており、この目標は気候変動の国際的なイニシアチブであるSBTイニシアチブ*2から「SBT1.5℃」水準として認定されています。
この目標達成に向け2030年までのGHG削減ロードマップを策定、徹底的な省エネ活動を進めるとともに、再生可能エネルギーの積極的な利活用を進めています。そのため、再生可能エネルギーへの100%転換を目指す国際的なイニシアチブである「RE100」にも日本企業として初めて参加しました。
気候変動対策は重要な経営課題の一つであることから、2020年からは経営戦略に基づいた「ESG目標」の一つに「GHG排出削減目標」を位置づけ、役員など経営幹部の報酬とも連動することで実効性のある取り組みを推進しています。
また、CEOを議長とするESG委員会の監督のもと、気候変動に伴うリスク及び機会を明確にした上で気候変動の緩和・適応に向けた活動に取り組んでいます。特に、激甚化傾向にある自然災害に対しては、リスクマネジメント計画・事業継続計画(以下、BCP)の策定と実行によりリスク低減に努めています。さらに、製品のエネルギー効率向上及びビジネスパートナーや顧客との協働などを通じてバリューチェーン全体での脱炭素社会づくりに貢献していきます。
*1 GHG(Greenhouse Gas):温室効果ガス
*2 SBT(Science Based Targets)イニシアチブ :企業のGHG削減目標が科学的な根拠と整合したものであることを認定する国際的なイニシアチブ
リコーグループの環境目標(脱炭素分野)
環境目標<2050年目標>● バリューチェーン全体のGHG排出ゼロを目指す
● 事業に必要な電力を100%再生可能エネルギーに切り替える
<2030年目標>● GHGスコープ1、2:63%削減*3 2015年比
● GHGスコープ3 :40%削減 2015年比(調達、使用、物流カテゴリー)
● 事業に必要な電力を50%再生可能エネルギーに切り替える
*3 SBT(Science Based Targets)に沿った削減目標
※ GHGスコープ1:自社の工場・オフィス・車両などから直接排出されるGHG
※ GHGスコープ2:自社が購入した熱・電力の使用に伴うGHG
※ GHGスコープ3:企業活動のサプライチェーンの排出量(GHGスコープ1、2を除く)
考え方1. 徹底的な省エネと再生可能エネルギーの活用で自社の“GHG排出ゼロ”を目指す
2. エネルギー効率の高い製品やソリューションの提供を行うと共に、ビジネスパ
ートナーとも連携しバリューチェーン全体のGHG排出ゼロを目指す
3. 社会の気候変動への適応に積極的に取り組む

<ガバナンス ―気候関連リスク及び機会に関わる組織のガバナンス―>
取り組み● CEOを議長としたESG委員会による気候変動問題の経営レベルでの管理
● 環境目標の進捗管理、脱炭素関連の投資判断の審議
● ESG委員会での決定に基づきサステナビリティ推進部門が全社の気候変動施策推進
2020年度の進展状況● ESG委員会(計4回開催)[70頁参照]において審議・決定された気候変動関連事項
▶ TCFDに沿った気候変動リスクと機会
▶ 脱炭素活動の進捗状況
▶ 脱炭素活動加速のための再エネ施策強化
● 役員及び経営幹部を対象とした「GHG削減目標」の達成度合により変動するESG連動報酬制度導入

<戦略 ―ビジネス・戦略・財務計画に対する気候関連リスク及び機会の実際の潜在的影響―>
取り組み● SDGsへの貢献を重視した中期経営計画の策定
● 重要社会課題(マテリアリティ)の一つに「脱炭素社会の実現」を設定
● ESG委員会を通じ、シナリオ分析によるリスクと機会の特定
2020年度の進展状況● 部門横断ワークショップを実施し、自然災害に関するリスクと対処を検討
● 脱炭素活動と顧客訴求に向けた活動が進展
● 脱炭素活動促進を目的として株式会社三菱UFJ銀行と「サステナビリティ・リンク・ローン」契約を締結

気候変動シナリオ分析の実施と結果
昨年度に引き続き、シナリオ分析を実施しました。特に新型コロナウィルスが世界的に甚大な影響を与えていることから、気候変動に伴う感染症の事業リスク及び機会についても評価項目に加えました。事業リスクの評価にあたっては、過去10年スパンで発生している蚊媒介性感染症の発生を前提に、感染被害が多く発生してきたアフリカ、アジア、中南米のなかでもリコーにとって最も売上規模が大きいアジア地域で流行した場合を想定し、コロナ禍でも生産BCPが機能していたことからCOVID-19における販売機会の損失額を元に財務影響を試算しました。
更に年々増加する自然災害については、自社拠点を含むサプライチェーンにおいてどのようなリスク及び対処が考えられるか組織横断ワークショップを開催し、自社拠点を含むサプライチェーンのリスク及び対処策を検討しました。
シナリオ分析の結果、地球規模での気候変動に伴い異常気象が頻発、激甚化してきており、自然災害リスクは、手をこまねいているとリコーにとって大きな事業インパクトが発生しかねない喫緊の課題となっています。加えて気候変動に伴う感染症リスクに関しても緊急度は高くはないが、一度発生すると大きな財務損失を招くことから、今後も継続的にBCPの強化を図っていく必要があるということが確認されました。
一方、気候変動における緩和・適応への積極的な対応は、プリンティング事業において省エネ、省資源技術、サービスなどを活かしたお客様の脱炭素化を支援する商品やソリューションの提供機会をもたらします。また感染症対策につながるソリューションはニューノーマルな働き方への新たな価値提供をもたらし、更には環境・エネルギー分野における事業拡大や新規事業創出が将来の財務効果を生み出す大きな可能性を秘めていることが再確認できました。
上記の結果を踏まえ、従来掲げていた2030年の環境目標を見直し、SBT1.5℃基準に沿った新たなGHG削減目標を2020年4月に設定しました。また、2030年までのGHG排出削減ロードマップに基づいた施策展開により、脱炭素社会への早期移行に伴う炭素税の導入や消費者・投資家の行動変化に対して遅滞なく対処するための準備が整いました。
今後も定期的にシナリオ分析を実施することで気候変動リスクの把握と迅速な対処ならびに機会を捉え、気候変動対策を推進していきます。また、ステークホルダーの皆さまとの意見交換を通じて取り組み及び開示のレベルアップを図っていきます。
シナリオ分析―採用したシナリオ
シナリオ分析の検討に際しては、2030年時点の当社への影響として、国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC:Intergovernmental Panel on Climate Change)及び国際エネルギー機関(IEA:International Energy Agency)の情報を参照し2つのシナリオを設定しました。
シナリオ1では主に脱炭素社会に向けた移行リスクについて想定し、シナリオ2では主に気候変動による物理リスクについて評価しました。
<リスク管理 ―気候関連リスクを識別・評価・管理するために用いるプロセス―>
取り組みリスクマネジメント委員会を設置し、業績への影響が大きいリスクを経営重点リスクとして戦略リスクとオペレーショナルリスクに分けて管理
2020年度の進展状況● 非常時の初期対応、報告方法、各対策本部の設置と役割の文書化
● 定期的な設備点検、防災訓練などの実施
● 地域や事業に応じたBCPの作成
● 国内主要19拠点に対する水害リスクの調査実施


気候変動のリスクと対処
リコーグループへの影響財務影響緊急度対処
サプライヤーへの炭素税・排出量取引制度の適用● GHG排出量の多い素材系サプライヤーを中心にカーボンプライシング(炭素税・排出量取引)が適用され原材料への価格転嫁が進み調達コストが上昇● 再生材の活用による新規投入資源量の削減
● サプライヤーにおける脱炭素活動を積極的に支援
脱炭素社会への消費行動の急速な変化● 1.5℃目標、RE100達成の前倒し要求に、省エネ・再エネ投資、再エネ電力切替えなど施策前倒しの追加費用が発生● 省エネ・再エネ施策の積極展開
● サステナビリティ・リンク・ローンによる資金調達
自然災害の急激な増加● 気候変動により異常気象の激甚化が進み、サプライチェーンの寸断などで生産停止・販売機会の損失拡大● 生産拠点での災害対策
● 調達物流系統のBCPの策定など
感染症の地域性流行● 部品供給の寸断などで生産計画への影響が発生
● 生産工場の稼働率低下による在庫不足
● 対面販売が困難となり販売機会が減少
● 業務・商談のIT化
● 生産拠点の分散化プロセスの自動化
● 部品及び製品在庫積み増し
森林資源の減少● 温暖化により山火事、害虫などの森林被害が増え、紙の原材料の安定供給が悪化、紙の調達コストが上昇● 管理された森林素材による認証紙採用
● シリコンライナーレスラベル、リライタブルペーパーによる原紙利用の削減

気候変動に対する機会
長年、環境経営を実践してきた当社にとって気候変動は、事業リスクのみならず、自社製品・サービスの提供
価値及び企業価値を高める機会につながると認識しています。お客様の脱炭素化を支援する商品やソリューシ
ョンの提供、新規事業創出などの機会をもたらし、現時点で既に1兆円規模のビジネスに成長しています。今後
も社会やお客様の課題解決に貢献するサービス・ソリューションを提供していきます。
リコーグループへの影響2020年度財務効果
お客様の脱炭素化を支援する商品・ソリューションの販売拡大(緩和)脱炭素貢献製品の売上:約9,000億円
感染症対策(ニューノーマル)につながるソリューションの販売拡大(適応)感染症低減、脱炭素につながるソリューションパッケージの売上:約740億円
環境・エネルギー(創エネ・蓄エネ・省エネ関連)事業の拡大製品再生・部品再生事業関連の売上:約270億円
創エネ・省エネ事業関連の売上:約230億円
新規事業の創出・展開環境に配慮した剥離紙を用いない感熱ラベルの販売 など

(注)最新の「気候変動に対する機会」 詳細情報については2021年8月末開示予定のTCFDフレームワークに基づく情報開示をご参照ください。https://jp.ricoh.com/environment/management/tcfd/risk_opportunity.html
<指標と目標 ―気候関連リスク及び機会を評価・管理するために使用する指標と目標―>2020年度のGHG排出量(スコープ1,2,3)及び電力の再生可能エネルギー使用率は以下の結果となりました。引き続き弊社環境目標に従いSBT(Science Based Targets)1.5℃水準に沿った削減を推進してまいります。

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