有価証券報告書-第126期(2025/04/01-2026/03/31)

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2026/06/16 13:03
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有報資料

(1)変わること、変わらないこと
当社グループが変わらずに大切にしているものがあります。それは創業の精神である「人を愛し 国を愛し 勤めを愛す」からなる「三愛精神」です。「“はたらく”に歓びを」を「使命と目指す姿」と定め、AI技術の普及と発展によって世の中のはたらき方が変わっていく状況においても、“はたらく”に寄り添い変革を起こし続けることで、人ならではの創造力の発揮を支え、持続可能な未来の社会をつくることを目指しています。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末において、当社グループが判断したものであります。

(2) リコーの中期展望
・中期経営戦略’26:5年先を見据えた中期経営戦略
当社グループは、2026年4月からスタートした中期経営戦略’26(以下、中経’26)において、従来の3年間の策定から、5年先を見据えた毎年のローリング方式へと転換しました。
外部環境の不確実性が高まり、変化のスピードが加速する中、3年間の戦略を固定的に策定する方法では、前提条件の変化に十分対応できないと考えています。また単年度計画のみでは、中長期的な成長投資や事業構造転換を効果的に進めることはできません。
このような認識のもと、中経’26では5年先の目指す姿から逆算するバックキャスティングの考え方を取り入れ、将来像と現状のギャップを踏まえた戦略を策定しました。これを毎年ローリングで見直すことで、環境変化への対応力と実行力を高め、単年度計画を確実に達成しながら持続的な企業価値向上を目指します。

・中経’26:目指す姿
当社グループは、デジタルサービスの会社として進化を続け、お客様の「はたらく場(ワークプレイス)」において、自社及び他社の製品・サービス、ソフトウェアを組みあわせることで、お客様の競争優位性及び差別化に貢献するインテグレーターを目指しています。これにより、グローバルにおいて持続的な価値提供が可能な事業構造の構築を進めていきます。
オフィスプリンティング事業においては、エトリア株式会社(以下、エトリア)を通じて環境性能に優れた技術を活用し、エンジンシェア*1の拡大を図ることで、引き続き安定した収益基盤を確保します。商用・産業印刷事業においては、安定収益を生み出すとともに、インクジェット技術を活用し、お客様のコスト低減や環境対応に資する新たな成長事業の創出に取り組みます。
当社グループは、資本効率を重視した経営を一層強化し、ROEが株主資本コストを継続して上回る状態を実現することで、企業価値及びTSRの向上を目指しています。その実現に向け、アセットライト*2化の推進、アセットライトな事業の拡大並びにストック利益の着実な積み上げを通じてROICの改善と安定収益の確保を図っていきます。
これらの取り組みにより、柔軟な資本構成(Debt/Equity)の選択肢を持ちつつ、成長投資と株主還元を両立させることが可能となり、長期的かつ持続的な企業価値の向上につなげていきます。
*1 エンジンシェア:エトリアが製造した複合機・プリンター基幹部分の市場シェア
*2 アセットライト:資産の保有を最小限に抑え、財務を軽くする経営手法

・中経’26:目標とKPI
当社グループは、株主資本コストを上回るROEの早期実現を、最優先で取り組むべき財務目標と位置づけています。直近の目標として、株主資本コスト(2025年12月時点:7.5~8.0%)を上回るROEの早期実現を目指し、さらに2030年度目標としてROE10%以上と設定しました。
ROE10%以上を達成するための水準としてROICは7%以上を目標とし、そのために安定収益となるストック利益は15%以上の成長、成長投資は3,500億円程度の実施、そして人的資本戦略と生産性の向上による人的資本ROI*は25%以上を目指します。加えて、ネットD/Eの割合は0.4以下とします。これらの定量目標の管理と達成を通じて、事業成長と資本効率の改善を実現し経営の実行力を高めていきます。
* 人的資本ROI: 人的資本の投入に対するリターンを表す指標。((売上高-人件費以外の経費)/人件費-1)×100で計算される。人件費は、販売費及び一般管理費(販管費)に含まれるもの

当社グループは、中経’26で掲げる目指す姿の実現及び目標達成に向け、基本方針として、1. ストック利益の積み上げによる収益性向上、2. 継続的なコスト構造の見直し、3. 人材の活性化の3点に取り組みます。
1. ストック利益の積み上げによる収益性向上
顧客からの信頼の証しとしてストック利益を重要指標とし、継続的な積み上げを通じて、収益性の向上及び事業基盤の安定化を図ります。
① 地域特性に応じた最適なインテグレーションによる提供価値の拡大
各地域の顧客ニーズや事業環境に応じて、自社・他社の商材・サービス・ソフトウェアを組みあわせた最適な価値提供を行うことで顧客との関係性を深化させ、継続的な取引拡大とストック利益の積み上げにつなげます。
② 高収益なサービスポートフォリオ・共通モジュール拡大とガバナンスの強化
収益性の高いサービスと地域にまたがって共通化されたモジュールを拡大するとともに、本社による各地域へのガバナンスを強化することで、収益の質を高め安定的なストック利益の創出を図ります。
③ 事業ポートフォリオの進化に基づく戦略的M&A
ワークプレイスエクスペリエンス・プロセスオートメーションの領域を中心に強みをさらに強くすること、必要な能力を獲得して事業ポートフォリオを進化させることを目的に各地域において戦略的なM&Aを活用します。
④ 販売体制の強化とエトリアによる競争優位な商品投入(オフィスプリンティング)
オフィスプリンティング事業においては、MIFマネジメントの徹底と販売チャネル戦略の見直しによる販売体制の強化と、エトリアにおける技術シナジーを活かした競争力の高い製品を継続的に市場に投入するとともに、循環型設計による環境負荷を低減する製品の市場投入により、ストック利益の維持・拡大を図ります。
⑤ インクジェット技術による収益力向上・事業領域の拡大(商用・産業印刷)
商用・産業印刷分野において、インクジェット技術を強みとして、商用インクジェットプリンターの稼働台数拡大とインクジェットヘッド事業の成長、インクジェットヘッドの新規アプリケーション拡大を進めることで、安定収益の拡大と成長機会の創出につなげます。
2. 継続的なコスト構造の見直し
事業ポートフォリオの進化や事業環境の変化に対応するため、継続的なコスト構造の見直しを進めます。グローバルでの経費構造改革とアセットライト化を主要戦略とし、収益性と資本効率の向上を図ります。
具体的には、AX・DXを活用して、バックオフィス業務やグローバルSCMの改革に取り組み、事業特性に応じた適正なコスト水準への転換・経費構造の最適化を推進していきます。あわせて、事業・個社のポートフォリオ最適化、収益性が低下した資産の整理、拠点統廃合にも取り組み、資産の効率的な活用や資産の圧縮によりアセットライトな事業構造への転換を推進します。
これらの取り組みを通じて、投下資本の抑制とキャッシュ創出力の強化を図り、ROICの改善を実現していきます。
3. 人材の活性化
事業戦略の実行と成長を支える基盤として、人材の活性化を基本方針と位置づけています。事業成長を支える能力の獲得・人材ポートフォリオの最適化と、個人が能力を最大限に発揮できる環境・制度の整備等の人的資本施策を主要な戦略として推進していきます。
まず、事業成長を支える能力の獲得・人材ポートフォリオ最適化を進めます。そのために、グローバル人材の活用、従来から取り組んできた顧客接点人材の技術系資格取得の推進とリスキリングの継続・強化、必要に応じてM&Aを通じた人材・能力の獲得も活用し、成長領域における専門性及び実行力の強化を図ります。あわせて、デジタル・AIを活用した業務改革により生産性を高め、創出された人的リソースを成長領域へ再配置することで、事業ポートフォリオの進化に即した人材ポートフォリオの最適化を進めます。
個人が能力を最大限に発揮できるようにする人的資本政策では、既に導入しているリコー式ジョブ型人事制度のさらなる進化や、報酬制度の改革に取り組み、社員一人ひとりが能力を十分に発揮できる仕組みの整備を進めます。
これらの取り組みにより、社員一人ひとりの価値創出力を高め、人的資本ROIを向上させるとともに、企業価値向上に寄与する企業文化を醸成し、持続的な事業成長と企業価値向上を実現していきます。

将来財務(ESG)の視点
ESGの取り組みは、将来の財務を生み出すために不可欠なものと位置づけ、「ESGグローバルトップ企業」を目指し、お客様や株主・投資家の皆様からのESG要求に応えるべくバリューチェーン全体を俯瞰した活動を進めています。
中経’26では、ESGと事業成長の同軸化をさらに進め、その創出価値として、目指すべき持続可能な社会「Three Ps Balance」への貢献と企業価値向上を目指します。3つのPとは、Prosperity(経済)、People(社会)、Planet(地球環境)を指します。それぞれの領域において2030年までに実現することをKGI*として設定しました。環境・社会・ステークホルダーに及ぼす影響(インパクト)と自社財務への影響(リスク及び機会)を評価し、特定した6つのマテリアリティと15のESG目標に対する取り組みを通じて、これらのKGIの達成を目指します。
* KGI(Key Goal Indicator):重要目標達成指標

成長を支える資本政策
当社グループは、ステークホルダーの皆様のご期待に応えながら、株主価値及び企業価値を最大化することを目指しています。専門家の意見も取り入れながら、様々な手法・複数の視点で当社の資本コストを把握し、株主の皆様からお預かりした資本に対して、資本コストを上回るリターンの創出を目指します。
事業ポートフォリオマネジメント及びROIC経営を推進し、資産効率を高め、ROEの改善に努めます。

企業価値最大化の実現に向けて、厳正な事業ポートフォリオマネジメントのもと合理的な判断・意思決定を行い、経営資源配分の最適化に取り組んでいます。当社グループの事業ポートフォリオマネジメントは、ROIC等の収益性や市場性という従来型の切り口に加えて、デジタルサービスとの親和性の観点からも評価しています。さらに、資本効率向上に重要であるストック利益比率の観点も取り入れます。
この4つの観点において、各ビジネスユニット・事業を客観的に評価し、成長加速、収益最大化、戦略転換、そして事業再生の4つに分類し、デジタルサービスの会社として進化を続けるために必要な経営基盤の強化に努めています。
また、中経’26で目指すROE10%超を継続できる資本収益性の実現に向け、資本コストを上回る収益性を追求するために、各ビジネスユニット・部門にてROICツリーを用いた施策管理を実施しています。さらに、主要施策は全社レベルのROICツリーにも反映し、財務数値化が難しいグループ本部の施策についてはKPIとして目指す内容を言語化し、将来財務につなげています。これを「リコー版ROICツリー」として定期的にモニタリングし、財務目標との関連性を明確にすることで、KGIとKPIのマネジメントを実施しています。
このような取り組みを通じ、中長期的にROE 10%超を継続できる資本収益性の実現を目指します。
なお、当連結会計年度のROEは 5.1%、ROICは 4.0%となりました。
* ROIC(投下資本利益率) = (営業利益-法人所得税費用+持分法による投資損益) / (親会社の所有者に帰属する持分+有利子負債)
キャッシュ・アロケーション
資本政策においては、リスク評価に基づき最適な資本構成を追求し、投資の原資に借入も活用しながら、負債と資本のバランスをとった事業投資を進めます。オフィスプリンティング事業等の成熟し安定した収益を生む事業には負債を積極的に活用し、リスクの比較的高い成長事業には資本を中心に配分する方針です。
また、地政学リスクや事業環境の変化に適切に対応するため、格付の維持に努め十分な資金調達余力を確保するとともに、成長に必要な資金を確保していきます。加えて、成長投資領域の安定事業化や新たな成長投資戦略に伴う事業構造変化を考慮し、最適資本構成については柔軟に調整していく考えです。
事業活動によって創出した営業キャッシュ・フローについては、さらなる成長に向けた投資と株主還元に対して計画的かつバランスよく配分していきます。特に成長投資については、欧米におけるワークプレイスエクスペリエンス領域やアプリケーションサービス領域でのM&A投資等、ワークプレイスのインテグレーターとしての事業成長に必要な投資を着実に進めています。財務規律を考慮しながら企業価値の最大化を目指し、引き続き成長投資を推進するとともに、運転資本の改善に努め営業キャッシュ・フロー創出力の強化を図ります。その上で有利子負債も活用しながら戦略的に投資原資を確保していきます。

株主還元方針
株主還元方針については、引き続き総還元性向 50%を目安とする方針を堅持します。配当利回りを意識し、利益成長に沿った継続的な増配を目指します。自己株式取得等の追加還元策については、経営環境や成長投資の進捗を踏まえながら、最適資本構成の考え方に基づき機動的かつ適切なタイミングで実施し、TSR*の向上を実現していきます。また、この株主還元方針を踏まえ、2026年5月に 250億円の自己株式取得を決定しました。
翌連結会計年度の配当見通しについては、前年度から1株当たり 4円増配し年間 44円を予定しています。
当社グループは、成長投資と株主還元の両立を基本とし、資本効率を重視した資本政策を推進します。営業キャッシュ・フローを成長投資と株主還元に計画的に配分するとともに、安定収益を背景に有利子負債も活用し、柔軟かつ規律ある資本構成を維持します。
総還元性向 50%を目安とした株主還元を継続しながら、ROIC・ROEの改善を通じて、持続的な企業価値向上を実現していきます。
* TSR(Total Shareholder Return):株主総利回りは、キャピタルゲインと配当をあわせた、株主にとっての総合投資利回り

(3)翌連結会計年度の見通し
翌連結会計年度の業績見通しについては、連結売上高 27,000億円、営業利益 950億円、親会社の所有者に帰属する当期利益は 620億円としました。
ワークプレイスサービスにおけるストック収益の拡大が、利益成長をけん引する見通しです。そのために、中経‘26の初年度として、ワークプレイスサービスにおける既存顧客へのサービス契約拡大・深耕、グローバルでの高収益なサービスポートフォリオ・共通モジュール拡大等の施策を推進します。
一方で、半導体メモリや石油関連部材等の価格上昇に伴うコスト増加を見込んでおり、価格対応やコスト構造の見直し等によりその影響の吸収に努めるものの、一部については業績への影響を織り込んでいます。インフレに伴う人件費等の増加も見込まれますが、経費コントロール及びコスト構造改革の継続により、これらの影響に対応していきます。
事業環境は引き続き不透明な状況が続きますが、変化に対して機動的な対応を行い、お客様の競争優位と差別化に貢献するインテグレーターとなるべく変革を進めてまいります。

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