有価証券報告書-第91期(平成28年4月1日-平成29年3月31日)

【提出】
2017/06/22 16:12
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118項目

業績等の概要

(1) 業績
当連結会計年度におけるわが国経済は政府の経済対策を背景とした企業収益および雇用情勢の改善により、緩やかな回復基調で推移しました。一方、海外では、中国をはじめとするアジア新興国や資源国等の景気下振れに加え、英国のEU離脱問題など不安定な欧州経済や米国新政権の政策動向など、不透明な状況で推移いたしました。
このような状況のもと、当社グループは、平成28年5月に策定した中期経営計画のもと、精密分野でのカテゴリーNo.1の実現へ取り組んでまいりました。売上高につきましては、国内では減収となったものの、グループ全体で取り組みを積極的に進めた海外が増収となった結果、全体では前期並みとなりました。営業利益においては、時計事業での大幅な減益があったものの、接続端子事業ならびにプレシジョン事業が好調に推移したこと、電子事業が営業損失から黒字化したことにより、全体では増益となりました。
以上から業績は次のとおりとなりました。
(単位:百万円)
売 上 高平成28年3月期 連結会計年度平成29年3月期 連結会計年度増 減 額増 減 率
時計事業12,85311,466△1,386△10.8%
電子事業7,0657,2351692.4%
プレシジョン事業5,2496,21796718.4%
接続端子事業7,8398,0632232.9%
その他330349195.9%
33,33833,332△5△0.0%


(単位:百万円)
営 業 利 益平成28年3月期 連結会計年度平成29年3月期 連結会計年度増 減 額増 減 率
時計事業40210△392△97.3%
電子事業△28071352-
プレシジョン事業125383258206.1%
接続端子事業50179729558.9%
その他5857△0△1.5%
調整額△254△469△215-
55385129753.7%

上記の営業利益に営業外損益を加えた経常利益は9億56百万円となり、前年同期7億69百万円に対し、24.3%の増益となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益は、投資有価証券売却益や株式会社プリテック買収による負ののれん発生益がありましたが、時計事業での海外ウオッチ販売事業撤退に伴う事業撤退損、国内の電子事業での固定資産に係る減損損失などにより特別損失9億80百万円を計上し、最終利益は1百万円となり前年同期10億53百万円に対し大幅な減益となりました。
これらをセグメント別に見てみますと次のとおりであります。
① 時計事業
国内販売におきましては、主力の量販店売上が減少しました。また、非クロックでは、自治体向け防災行政ラジオの需要減少に加え、不採算商品の縮小により売上が減少しました。利益面では為替(円高)の追い風があり、増益となりました。海外販売におきましては、巨大市場である中国および東南アジアにおいて、ウオッチの売上拡大を行ってまいりましたが、当該市場での景気減速等による販売不振により、取引先の債権滞留等が発生し、事業継続が困難となることが判明。やむなく海外でのウオッチ販売事業から撤退することを決議したこと等により減収となりました。また、損益面においては、ベトナム工場での生産性向上および合理化の遅れ、ウオッチ販売事業撤退等により営業損失となりました。
これらの結果、時計事業全体では、減収減益となりました。
② 電子事業
電子事業におきましては、国内では、表示機器、EMSの受注が増加しましたが、情報機器分野の受注減少が大きく減収となりました。損益面では構造改革の成果により改善いたしましたが、減損損失を発生させることとなりました。海外では車載向けカメラ・加飾部品、EMSの受注増により増収増益となりました。
これらの結果、電子事業全体では増収となり営業損益は黒字化いたしました。
③ プレシジョン事業
プレシジョン事業におきましては、基幹事業である国内での精密金型、精密加工部品及び工作機械部品などの受注が引き続き好調に推移いたしました。また、車載カメラ部品などの新領域に対する拡販も積極的に行い、増収増益となりました。また、プレシジョン事業全体では、子会社買収に伴う費用計上があったものの、海外での増収効果や固定費の減少、合理化等も寄与し、プレシジョン事業全体としては増収増益となりました。
④ 接続端子事業
接続端子事業は、国内では家電向けは好調であったものの、太陽光発電や自動車向け電装部品の厳しい受注環境が続き減収となりました。利益面においては、合理化や為替の影響もあり増益となりました。一方海外では、インドネシアでの自動車や二輪向け部品の受注が好調に推移し増収増益となりました。
これらの結果、接続端子事業全体では増収増益となりました。
⑤ その他
物流事業その他事業につきましては、物流子会社におけるグループ外での受注が拡大しましたが、将来に向けての投資である新倉庫建設に伴う費用増加などがあり、営業利益は前期並みとなりました。

(2)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ5億28百万円減少し、当連結会計年度末には110億40百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益の減少があったものの、仕入債務の増加等により、24億20百万円の資金の増加(前連結会計年度に比べ10億98百万円の資金の増加)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、有価証券の取得による支出や投資有価証券の売却による収入が減少したこと等により、11億61百万円の資金の減少(前連結会計年度に比べ22億86百万円の資金の減少)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、自己株式の取得等による支出が減少したものの、前年同期には社債の発行による収入の増加があったことが影響したこと等により、16億77百万円の資金の減少(前連結会計年度に比べ37億33百万円の資金の減少)となりました。