有価証券報告書-第92期(平成28年3月1日-平成29年2月28日)

【提出】
2017/05/26 9:27
【資料】
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【項目】
115項目

研究開発活動

当社グループの研究開発体制は、新規事業分野の製品開発を行う研究開発部門と、現行の事業品目に直結した製品開発・技術開発を担当する各事業の開発部門から構成されております。
当連結会計年度の主な研究開発の成果は次のとおりであり、研究開発費の総額は20億3千2百万円であります。
(R&Dセンター)
R&Dセンターは当下期より、新規事業分野の事業化に向けて製品開発とマーケティングに特化した組織に再構築し、今後大きく成長が期待される環境発電を利用したビジネスモデルの構築に向けて、長年培ってきた小型化技術、電磁誘導技術に回路やソフトウェアの応用技術を加えた高付加価値製品の開発を目指しております。
当期は、微弱な振動を電力に変換する小型振動発電ユニットにセンサーと無線通信機能を付加した見守りシステム向けの「電池レスビーコン」のほか、IoT環境におけるスマート工場向けの「IoTセンサーユニット」や「電池レススイッチ」に加え、電飾用途を狙った「振動発電電源ユニット」の開発を進めました。同時に事業化に向けた顧客ニーズの確認や、新規顧客のさらなる開拓を推進するため、国内外の展示会への出展活動を行ったほか、有望顧客との実証試験にも積極的に取り組んでまいりました。
当事業部門に係わる研究開発費の金額は4億8千6百万円であります。
(特機事業)
当期は、モバイルPOS市場に向けて3インチサーマルプリンターの新製品「TSP100IIIBI」およびインテリジェントインターフェース「IFBD-HI01X」などを開発したほか、各種ソフトウェアの改良を行いました。
「TSP100IIIBI」は、iPhone等のiOS端末やAndroid端末からでもプリンター側の設定を変更することなくBluetooth通信が出来る機能を搭載することでモバイル機器との接続性をより高めました。また、250mm/sの高速印字が可能なほか、印刷したレシート用紙が丸まることを防止するデカール機能や5VのUSBポートによるタブレット端末等のモバイル機器充電機能を有しています。
「IFBD-HI01X」は、当社のTSP650IIをはじめとする上位機種シリーズ向けに開発されたインテリジェントインターフェースです。無線と有線LANおよびUSB TypeAとBのインターフェースを備えており、印刷データの通信はもとよりバーコードリーダー等の周辺機器との接続が可能となりました。さらに当社が提案する新しいソリューションの「CloudPRNT」にも対応しており、「IFBD-HI01X」を搭載したプリンターがインターネットに繋がっていれば、印刷データを直接プリンターではなくクラウドサーバーを介して送信することで、遠隔地からの印刷ができ様々なシーンでの活用が可能となります。
ソフトウェア開発の面では、各種モバイル機器のOS用に多く採用されてきた当社プリンター向けソフトウェア開発キットである「StarIO SDK」の名称を「StarPRNT SDK」に変更し、新機能として印字に必要な各機能コマンドをAPI※化することでエミュレーションフリーな印字制御を可能にするとともに、iOS端末用の最新プログラミング言語であるSwiftにも対応しました。
また、HTMLレイアウトの表示デザインを直接印刷データとして扱える「Star PassPRNT」は、従来iOS端末専用でしたが、Android端末にも対応するとともにPDFデータも印刷できるようバージョンアップを行いました。さらに、端末を選ばずJavaScriptライブラリーをHTMLファイルに埋め込むことで印刷を可能とする「Star WebPRNTブラウザー」では、プリンターに接続したバーコードリーダーから読み込んだ情報をブラウザー上に表示させることで、より多様化したレシート印刷ができるようになりました。
当事業部門に係わる研究開発費の金額は7億7千万円であります。
※API:Application Programming Interfaceの略
(工作機械事業)
当期は、2005年に販売開始して以来、長時間連続で安定した精度で加工が可能な機械剛性により市場から好評を得ている「SR-32J」のリニューアル機「SR-32JⅡ」を開発したほか、IoTに対応したソフトウェアの開発を行いました。また、新規分野参入への対応として主軸固定型自動旋盤の開発を進めました。
「SR-32JⅡ」は、製品開発期間および製造リードタイムの短縮を図るため、当社では初となるモジュラーデザインによるブロックビルド生産方式を採用しています。
背面加工用に6軸型ユニットを搭載した直線制御軸5軸の「typeA」、Y2軸制御付き8軸型ユニットを搭載した直線制御軸6軸の「typeB」をラインアップしております。また、正面加工用のクシ刃型刃物台回転工具に5軸型、6軸型の2タイプを用意し、お客様の用途に合わせた最適なツーリングレイアウトを選択可能としています。
機械構造面では、クシ刃型刃物台に当社独自のスラント型すべり案内面構造を採用し、機械剛性を高めることで、安定した精度での長時間連続加工を可能にしています。また、多様な加工ニーズに柔軟に対応するため、ガイドブッシュ仕様、ノンガイドブッシュ仕様の切換え方式を採用しており、加工部品に応じた最適な仕様での加工を可能にしています。さらに、余裕のある機内作業スペースを確保するために跳ね上げ式ドアや、最適なポジションでの操作を可能にする旋回式パネルを採用しています。NC装置には、アラームの内容をNC画面上で確認できるアラームヘルプ機能を始めとした各種ヘルプ機能を搭載し、オペレーターの操作性、作業性の向上を図りました。
ソフトウェア開発の面では、IoTへの取り組みとして機械稼動監視ソフトを開発し、第28回日本国際工作機械見本市(JIMTOF2016)に出展しました。本ソフトウェアは工場内にある複数台の当社工作機械をLANで繋ぎ、パソコン、タブレット端末およびスマートフォンから機械の稼動状況と履歴を把握することができます。今後はユーザーで試験運用を行っていただくことで機能評価などを行い、製品化を目指してまいります。
当事業部門に係わる研究開発費の金額は7億7千5百万円であります。