有価証券報告書-第61期(平成26年1月1日-平成26年12月31日)

【提出】
2015/03/13 13:00
【資料】
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【項目】
108項目

研究開発活動

当社グループの研究開発活動は、将来を見据えた基礎的な計測制御技術の研究と、ユーザのニーズに応じた新製品の開発活動を並行に進めていくことを基本方針としております。
当社グループの研究開発体制は、当社の研究開発部門と子会社である(株)小野測器宇都宮の研究開発部門とが密接に連携・協力関係を保ち、効率的な活動を行っています。
当連結会計年度における当社グループの研究開発費の総額は14億4千6百万円でありました。特に音響・振動に関わる計測およびデータ処理についてのニーズや、自動車開発用の各種試験機についてのニーズは相変わらず多く、これらの分野に関する新製品を継続して開発してまいりました。また、技術の深化や開発期間の短縮に資するため、先行開発室を新設し将来を見据えた研究開発活動に取り組んでおります。
当連結会計年度におけるセグメントごとの主な研究開発成果は、次のとおりであります。
<計測機器>当社グループでは従来より多岐にわたる機械計測用の計測器を開発しており、その対象は各種センサ類、回転・速度、寸法・変位、音響・振動、トルク、自動車関連、ソフトウェア等の分野に広がっております。近年では計測対象となるものの性能向上が進み、計測器もそれに見合った高性能化を実現する必要があるため、当社グループでは計測器の高精度化、高分解能化、高回転速度化(高周波数化)を進めるための研究開発を常に行っております。
当連結会計年度の研究開発の主要な成果としましては、音響・振動分野では、解析用PCを必要としない一体型ポータブルのFFTアナライザCF-9200/9400を製品化しました。当アナライザは、本体のハードキーで基本動作を実行し、内蔵二次電池により電源のない場所で最大5時間のFFT解析やデータレコーディングを可能とするなど、基本性能の向上を実現するとともに、タッチパネル画面の指操作に新機能を搭載し、プラントの現場設備や、家電等の機械装置、電機・電子部品が発する騒音や振動の分析に適しております。また、生産設備の常時監視、機械の異常動作検出、製品の良否判定、工具の刃折れ・摩耗検出等の用途に応じた多彩な現場で活用できる、振動コンパレータの新型機、VC-2200/3200を製品化しました。回転・速度分野では、ハイブリッド車や電気自動車に使われているモータや生産工場での製造ラインの高速化に対応し、回転速度や移動速度に比例した周波数信号を電圧信号に変換を行う、広帯域かつ応答性に優れたFV-1500高速F/Vコンバータを製品化しました。これらの他、ハードウェア製品全般でRoHS対応を集中的に行い、一部OEM製品やオプション製品を除き、大部分でRoHS対応を完了しました。
ソフトウェア領域では、FFTアナライザやDSシリーズ データステーションと連携して、PCで二次処理できるグラフ作成ツール(O-Chart)に、新機能を追加しました。また、回転速度に応じて変化する騒音・振動を、回転速度に同期して解析と同時に合否判定するトラッキング専用ソフトウェアGN-1100シリーズを開発しました。
また、品質向上を目指して開発プロセスにCMMI(Capability Maturity Model Integration)、ISO9001を適用すると共に、常に低コスト化したもの作りを可能とするような製造プロセスを実現するための地道なプロセス改善も続けております。CMMIにおいては、平成25年10月にレベル4を達成しております。今後もこれらの活動を継続し、翌連結会計年度も複数の分野において新型の計測器を順次市場投入する予定としております。
当セグメントにおける研究開発費の金額は、9億6千万円であります。
<特注試験装置及びサービス>特注試験装置の主なユーザは自動車メーカおよびその関連メーカとなります。自動車メーカでは、環境負荷の低減を実現するために各種パワートレーン開発を行っており、当社ではお客様の成果創出、業務効率改善をサポートするための各種試験装置を開発しております。
当連結会計年度では、特にECU等の適合業務や自動車開発における各試験の業務効率向上をサポートするためのソフトウエア製品(ORANGEシリーズ、ExFlower)の機能強化や、様々な台上試験機(エンジン、駆動系、EV/HEV等)のベースとなるプラットフォーム製品(FAMSシリーズ)の標準化やシミュレーション技術を取り入れたVRSシステムの制御機能を強化し、試験機の付加価値向上及びコストダウンを図ってまいりました。
また、テクノロジーの進化に伴い自動車は更に複雑化し、そのため研究開発や試験時間なども増加しており、業務効率改善が求められております。当社ではお客様のサポートをより一層強化するために、栃木県宇都宮市に自動車試験分野の実験棟の新設を進めております。新実験棟では各試験の受託業務など、新たなサービスを提供するとともに、更なる高付加価値の試験機の研究開発を図ってまいります。
当セグメントにおける研究開発費の金額は、4億8千6百万円であります。