有価証券報告書-第57期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)

【提出】
2018/06/22 15:36
【資料】
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【項目】
105項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは、「社業を通じて医療進歩の一翼を担い、人々の健やかな生命と幸福に尽くし、もって社会の繁栄に寄与する」を社是とし、患者・医療従事者等の安全と医療機関等の経営の合理化・省力化に貢献できる製商品群を製造・販売しております。
(2)経営戦略等
当社グループは将来患者が集中すると予想される高度急性期・一般急性期病院への、「オペラマスター」及び「プレミアムキット」を中心としたキット製品導入による経営改善の提案に注力いたします。それに伴い、会社が成長するための施策として、営業員の増員、教育訓練の充実等に費用を投下し、高い提案力によるプレミアムキット製品の定着を図ってまいります。
当社の「オペラマスター」やキット製品は、長年ご愛顧いただいておりますお客様のご意見・ご要望にお応えし、常に進化してまいりました。中でも、昨年6月に稼働した新工場の新キット工程で製造される「プレミアムキット」は、新形状が採用された画期的なキット製品です。従来のキットと比べて、より多くの材料を投入することが可能であり、術前から術中・術後までの手術材料をトータルでカバーするオールインワンキットとなっております。
「プレミアムキット」は、誰でも安全に、スムーズに、過不足なく統一された手術準備ができるだけではなく、術前のピッキング作業が大幅に削減されるため、手術準備時間が大幅に短縮できます。また、手術準備の効率化により、本来の業務に集中できる環境を整備することで、安全性も向上いたします。従来のキットよりも経営の効率化を図ることができ、「オペラマスター」提案の可能性を広げてまいります。
「オペラマスター」と「プレミアムキット」は、少子高齢化や人口減少による労働力の縮小と、急性期病院の手術件数の集中化への対応を迫られる医療機関に対し、より一層貢献できる製品であり、当社グループにとって、将来的に柱となる製品と捉えております。
創業以来の重点施策の一つに、「次期主力製品の開発」があります。製品のライフサイクルを重視し、経営の柱である主力製品が成熟する前に、次の成長の柱を育成して軌道に乗せる新製品開発に経営資源を重点配分し、「医療の現場に役立つ製品」をコンセプトに、新製品の開発と販売に注力しております。
新規事業につきましては、医療費の削減と環境保護・資源の有効活用に大きく貢献できるSUD(単回使用医療機器)のリプロセス(再製造)事業に向けて、平成31年度の事業開始を目指して、許認可申請を行うために検査・試験を進めております。
SUDリプロセス事業とは、1回限り使用できることとされている医療材料SUD(Single Use Device:単回使用医療機器)を、使用後に製造販売業者が回収し、検査・分解・洗浄・滅菌などの処理を行った上で、同一用途のSUDとして再び製造販売する事業です。医療機関のコスト削減効果が期待される他、資源の有効活用と環境保護にも繋がることから、国内でのニーズが増えることが予想されています。
日本では、厚生労働省が平成29年7月31日にSUDリプロセスに関する新しい制度の創設を発表、法令が整備されました。当社は、中期戦略の一環として、現在、注力している「プレミアムキット」の販売に続き、今後は「リプロセス製品」の販売も目指してまいります。
インドネシアの現地子会社P.T.ホギインドネシアは、世界でも有数の医療用不織布の製造工場としての地位を確立しております。しかしながら、人件費が今後も増加傾向にあることから、これに対処し、さらなる省力化と自動化の推進によって生産性向上を図りつつ、材料の内製化による収益向上の実現を目指してまいります。
また、これまでインドネシア中心に展開してまいりました海外販売戦略を、成長戦略の一環として抜本的に見直し、インドネシア国内販売を強化するにとどまらず、周辺諸国や世界規模への販売拡大を目指します。
その第一歩として、人口の増加と経済成長が著しく、将来的に医療機器の市場として大きな可能性があるASEAN(東南アジア諸国連合)への販売を強化してまいります。
医療を取り巻く環境が少子高齢化社会の到来により厳しさを増す中、医療機関のさらなる経営改善や医療費削減が日本社会全体の重要な課題となる一方、国外の成長市場では医療サービス分野においても大きな需要が見込まれております。
このような社会の変化や医療機関のニーズに対応し、また、新たな医療材料・医療サービスビジネスを進めていくために、このたび、当社と三菱商事株式会社は医療ビジネスにおける包括的な業務提携を行なうことで合意し、平成30年3月28日に開示いたしました。
三菱商事株式会社は、国内外で多様なネットワークを有しております。両社が培ってきた知見と強みを融合することにより、医療機関のニーズや社会の変化に対応した新たな医療材料・医療サービスビジネスを推進すべく、「医療材料等の製品の海外展開」、「SUD(単回使用医療機器)リプロセス事業の共同事業化」、「急性期病院向け次世代経営支援ソリューション開発」の3分野で提携してまいります。
医療材料等の製品の海外展開につきましては、販路開拓や拡大に向けた合弁会社の設立も視野に入れた協力体制の構築など、ASEAN市場の共同開拓からスタートし、グローバルな拡大展開を目指してまいります。
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
経営指標といたしましては、1株当たり当期純利益(EPS)、自己資本当期純利益率(ROE)、営業利益を重視しております。
(4)経営環境
増加の一途をたどる医療費を背景として、医療制度改革が進展する中、医療環境は大きく変化しております。当社グループの主要顧客である急性期病院におきましては、社会保障・税の一体改革で描かれた2025年の医療・介護の実現に向けて機能分化が進むことにより、一病院当たりの手術件数が年々増加しつつあります。
さらに、高齢化により増加する患者数に対しての医師不足も懸念され、効率的な手術室運営や業務負担の軽減を見据えた病院経営がますます必要不可欠となってまいりました。
当医療機器業界におきましては、この厳しい環境変化の中で、医療機関の経営改善や効率化に、より貢献する製品・サービスの提供が求められる状況となっております。
(5)事業上及び財務上の対処すべき課題
当社は、「社会貢献」、「安全なもの作り」、「安定生産」、「お客様との共存共栄」、「社員満足度の向上」、「安定成長」及び「利益改善」を経営のキーワードとして掲げております。当社が販売する製品は、医療の現場で使用されるものが多いため、安全な製品の安定供給は当社の存在意義でもあり社会的責任でもあります。以上のことを踏まえ、下記の対処すべき課題についてそれぞれの施策に取り組んでおります。これらを継続して遂行することにより、企業価値の向上を図ってまいります。
①安全な製品の安定供給
・安定供給のための生産管理体制の強化
・お客様が使いやすく、かつ安全な製品の追求
・新キット工場の自動化による安全性の向上
②継続的な利益成長
・オペラマスター及びプレミアムキットの販売強化
・新製品の販売強化
・新キット工場の自動化による生産性の向上
・インドネシア工場での生産性の改善
・材料の内製化推進
・海外事業の拡大
③医療環境の変化への対応
・進歩する医療技術に対応する新製品の開発
・手術室運営の効率化及び医療機関の経営改善に貢献するオペラマスターの更なる付加価値の向上
・SUD(単回使用医療機器)のリプロセス(再製造)事業の共同事業化
・急性期病院向け次世代経営支援ソリューション開発
④内部統制システム・コンプライアンス体制の整備
・情報管理の徹底、社員教育の充実