有価証券報告書-第39期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

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2021/06/23 15:31
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有報資料

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものです。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループの事業はウォーターヘルスケア事業と医療関連事業で構成されており、ウォーターヘルスケア事業が連結売上高の約89%を占めておりますが、当社グループがメディカルカンパニーとなり、また、持続的成長を実現する為には、医療関連事業を新たな事業軸として構築することが必要と考えております。医療関連事業の拡充により、グループの収益基盤が強化されるだけでなく、日本トリムグループをメディカルカンパニーとしてブランディングすることで、整水器販売を中心とするウォーターヘルスケア事業への大きな波及効果を得られます。現在、医療関連事業においては電解水透析事業が収益貢献できるステージへと入るとともに、細胞バンク事業では、業績の伸長とともに事業領域拡大にも取り組んでおり、引き続き精力的に展開してまいります。
ヘルスケア、医療に関連する当社グループ事業の成長には、科学的エビデンスによる裏付けが不可欠です。これまで25年以上に亘り産官学共同研究を実施し、その成果を国際学術誌に論文として多数発表してまいりました。今後も、理化学研究所や東京大学、東北大学、早稲田大学を始めとする研究機関と連携し、既存ビジネスの拡大とともに新たな事業シーズの発掘を目的に、基礎研究から臨床研究まで幅広い研究開発を実施してまいります。
管理面では、常に経営効率の向上に取り組み、適正な利益を生む経営を実施するとともに、現在の安定した財政基盤の更なる充実に努めます。また、社会の公器として、コーポレート・ガバナンスの充実、積極的なCSR活動等にも取り組み、SDGsを意識した経営を推進し、社会貢献することで企業価値の向上を図り、社会や株主の皆様から評価される企業であり続けたいと考えております。
当社グループは、創業訓「①社会正義に則る、②快適で健康なヒューマンライフの創造に貢献する、③科学的エビデンスのもと世界初の価値を創造する、④日本発の技術で世界のオンリーワン企業を創造する、⑤トリムは運命共同体である」に則り、家庭用医療機器メーカーから、グローバルなメディカルカンパニーへの飛躍を目指しております。
(2) 目標とする経営指標
当社グループは、効率的で筋肉質な経営を目指しており、連結売上高経常利益率を意識した経営を行っております。これまで、25%以上を中期的目標としてまいりましたが、現在のグループ事業の構成比や会計基準変更による影響等も鑑み、まずは20%の達成を目標といたします。当指標の次期見通しにつきましては、会計基準変更による影響のほか、WEBマーケティングへの先行投資、基幹システムの入れ替え、新製品販売などによるコスト増を見込み、15.9%を計画しております。
(3) 経営環境及び中長期的な会社の経営戦略
昨年来のコロナ禍は、ワクチン接種が進んでいるものの未だに終息せず、今後の世界経済の先行きは不透明な状況です。そのような環境のため、短期的には対面販売や医療機関向けの展開で一定の制限を受けるものの、ヘルスケア、医療分野を主事業とする当社グループにとっては、逆に事業を拡充するチャンスであると捉えております。
①ウォーターヘルスケア事業
当社の電解水素水整水器は、アルカリ性で抗酸化性のある水素を含有した電解水素水を生成し、「胃腸症状の改善」に効果が認められた、厚生労働省所管の管理医療機器です。コロナ禍により、この「胃腸症状の改善効果」が注目されております。新型コロナウイルスに対抗するには免疫力が重要といわれておりますが、腸は免疫力の約70%を担っております。腸は、臓器の中でも第二の脳とも呼ばれ、今回のコロナ禍による免疫力への関心の高まりから「腸活」がさらに脚光を浴びており、今後、整水器の需要はさらに高まっていくと考えております。
電解水素水は胃腸症状の改善だけでなく、含有する水素の抗酸化性による健康保持、増進、予防への効果が期待されております。当社はこれまで健康寿命の延伸、医療費の削減には「予防」が最も重要との考えのもと、その一助として「ウォーターヘルスケアという新習慣」を提唱してまいりました。これは「健康長寿社会の実現」を掲げ、健康保持・増進策に注力している国策にまさに合致するものです。そこで、その一環として厚生労働省、経済産業省が推奨する「健康経営®」を切り口に、企業への一括導入、そしてそこから従業員の方々へと大きく広げる展開にも注力しております。
当社の電解水素水整水器のユーザー数は、直接販売、間接販売合わせて現在約85万件ですが、これを300万件規模に拡大することを目指します。これにより、消耗品である浄水カートリッジの販売がストックビジネスとして安定した成長が見込まれます。2021年3月期においては4,774百万円の売上高ですが、仮に300万件のユーザー数を実現し、その70%が浄水カートリッジを購入した場合、売上高は年間約20,000百万円となります。この安定した収益基盤の構築を目指してまいります。その早期実現のため、新たな販売チャネルとして注力しておりますECサイト等のWEBマーケティングをさらに推進するとともに、価格帯も含めてより普及しやすい商品の開発、認知向上を目的とした広報施策など、中長期的視野に立ち、俯瞰的に対策を講じてまいります。
海外事業では、インドネシアで、日本の技術で生成した、より安全で美味しいアルカリ性の水をコンセプトとした「Pristine(プリスティン)」をブランドに、ボトルドウォーター事業を展開しております。現在はコロナ禍による外出規制のため、店頭販売代理店向けのペットボトルの展開が鈍化しておりますが、一方で、宅配のガロンは巣ごもり需要により伸長しております。同国では、世界4位の人口と経済成長による中間所得層の増加により、ボトルドウォーター市場が拡大路線にあります。その中で市場シェアを獲得し、業績を飛躍的に拡大すべく、先行投資によるプロモーション強化や製造体制のさらなる強化などに取り組んでまいります。
水は量とともに質が問われる時代に入りました。今後、水をより有効に活用できる機能水「電解水素水」の果たせる役割はより大きくなっていくと考えております。飲用以外にも、医療、農業、工業などへの応用が期待でき、新たな事業創出を目的とした産学共同研究も精力的に実施してまいります。
②医療関連事業
電解水透析事業におきましては、2018年1月のNature出版グループが発行する英国科学誌「Scientific Reports」で、電解水透析により死亡及びその原因となる疾病が41%減少したという内容の論文発表を契機に、電解水透析の知名度と期待が着実に高まっております。また、2018年7月に厚生労働省から提出された腎疾患対策検討会報告書において、CKD(慢性腎臓病)重症化予防を徹底するとともに、CKD患者(透析患者及び腎移植患者を含む)のQOL(生活の質)の維持向上を図ることが大方針に掲げられ、電解水透析がまさにその指針に沿うものとしての認知も広がっております。さらに、電解水透析システム導入病院から患者のQOL向上とともに病院経営にも収益面で寄与することが報告されており、国内の血液透析市場は飽和状態にあると言われる中、次世代の新規治療法として注目されております。電解水透析システムの導入施設は、国内4,487施設(一般社団法人 日本透析医学会「わが国の慢性透析療法の現況(2019年12月31日現在)より)のうち、2021年3月末時点で25施設ですが、まずは100施設への導入を目指します。
また、今後更なる臨床エビデンスの蓄積とともに、電解水透析の病院経営への寄与についての実証にも取り組む一方、システムの医療機器化も視野に製品の改良、開発を進め、国内にとどまらずグローバルスタンダードへの発展を目指します。
再生医療関連の細胞バンク事業は、ステムセル研究所が実施しております。同社は2021年3月末時点で国内の保管総数58,796件中58,069件(厚生労働省保険局「臍帯血の引渡し実績等に関する報告」)と、98.8%のシェアを占める国内最大の民間さい帯血バンクです。コロナ禍により、医療機関での営業展開で制約を受けておりますが、昨年、本格的に取り組みを開始しましたWEBマーケティングが功を奏して業績は回復しており、引き続き注力してまいります。研究面におきましては、高知大学医学部附属病院での小児脳性麻痺などの脳障害に関する臨床研究(第Ⅰ相が終了)や大阪市立大学医学部附属病院を中心としたグループによる低酸素性虚血性脳症に関する臨床研究(第Ⅱ相が実施中)など、さい帯血を利用した臨床研究が開始されており、医療応用のニーズは高まっていると考えております。今後、利用者拡大を目的に、脳性麻痺などの中枢神経系疾患に関する再生医療・細胞治療に取り組む医療機関を支援してまいります。本年4月には、東京大学医科学研究所附属病院との共同研究の成果をもとに、「さい帯(へその緒)」保管サービスを新たに開始いたしましたが、他の出産に由来する組織由来の細胞(周産期組織由来細胞)につきましても、採取、保管に向けて医療機関・研究機関と連携してまいります。また、資本業務提携をしている株式会社グレイスグループと選択的卵子の凍結保存など、保管細胞の拡大や細胞医薬品開発など業容の拡大も図ってまいります。
一方、海外につきましてもアジアを中心とした医療機関等との連携による展開も目指してまいります。
中国での病院運営事業につきましては、北京漢琨医院において、糖尿病治療、血液透析治療の慢性期疾患領域での高度な日本式の医療サービス提供を主事業としております。中国における糖尿病患者は2025年には3.2億人に達すると言われており(国際糖尿病連合試算)、それに伴い血液透析患者も急増しておりますが、十分に治療環境が整っているとはいえない状況です。その中で、高度な日本式の医療サービスの展開は大きな成長性が見込まれます。コロナ禍の影響もあり、患者数の増加は想定よりも遅れておりますが、本年2月より公的保険の診療を開始し、患者数は増えてきております。今後、医療ニーズの高まりから、当事業の将来性はますます大きくなっていくと考えております。
(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
短期的業績伸長のための対処はもとより、当社グループが目指すグローバルなメディカルカンパニーへの飛躍並びに持続的成長の実現のためには中長期的な視野に立った先行投資やイノベーティブな挑戦が不可欠であり、コロナ禍により顕在化した課題への対処も含め、鋭意取り組んでおります。また、当社グループは、健全な財務体質であると自負しておりますが、コロナ禍のような緊急時に自社グループで機動的な対応ができるよう、さらなる内部留保の充実も視野に、より筋肉質な経営を目指してまいります。
①ウォーターヘルスケア事業
整水器関連事業につきましては、以下のとおりです。
当社は、現在の約85万件の整水器アクティブユーザー数を300万件とすることを目指しております。その早期実現には、年間販売台数を大きく伸長させる必要があります。そのため、以下のとおりそれぞれ課題を持って取り組んでおります。
(ⅰ)販売チャネル
昨年来のコロナ禍による緊急事態宣言下では、イベント、催事の開催が制限されるなどの影響を受けましたが、徹底した感染予防対策により、参加者が安心して参加できる環境整備に注力した結果、一定水準の展開は維持できました。しかし、このような事態にも対応できる強い営業体制を構築するためにも、新たな販売チャネルの構築が必要です。その一つとして、WEBマーケティングに注力しており、現時点においては先行投資の段階ですが、順調に進展しております。この取り組みは、既存の販売チャネルにも大きな後押しとなるものです。
(ⅱ)研究
産官学共同研究によるエビデンスは、電解水素水の普及促進に不可欠と考えております。現在、理化学研究所(基礎研究、動物研究、臨床研究)、東北大学(糖尿病患者への飲用による臨床研究)、東京大学(基礎研究)等との共同研究を精力的に展開しております。2022年3月期は、6報の論文投稿を予定しており、これらの成果を追い風とすべく、PR展開への連携も図ってまいります。
(ⅲ)製品開発
ユーザー数300万件の実現には、より幅広い消費者のニーズにあった高性能で汎用性の高い製品の開発が必須です。機能向上は勿論、使い易さ、デザイン、サイズ、コスト等、これまでの概念に囚われることなく、製品の開発、改良に取り組んでおります。新たな試みとして、昨年12月より、WEB専用商品「トリムイオン CURE」を従来の製品と比較して低価格帯で展開し、実績が出てきております。
一方、日本初のJIS規格適合の次亜塩素酸水生成器「TRIM JIA」のような時代に即応した衛生関連の製品開発や、産学共同研究の成果をもとに、農業分野や工業分野などでの新たな事業開拓を目指した製品開発にも取り組んでおります。
(ⅳ)ブランディング
当社グループの成長を加速し、持続的成長を実現するためには、トリムブランドを構築することも必要です。そのため、認知度向上を目的としたマスメディアやWEB上での広報活動は勿論のこと、SDGsの重要性が増す中、浄水カートリッジのリサイクルをはじめ、当社グループだからこそできるSDGsにも取り組んでおります。それとともに、顧客満足度や会社の信頼性も当然重要な要素であり、顧客のフォロー体制、社内管理体制、内部統制等の充実にも努めております。
インドネシアのボトルドウォーター事業につきましては、以下のとおりです。
(ⅰ)販売チャネル
まずインドネシア内でのシェアを高め、売上高を伸ばすことを方針としております。ペットボトル販売では、コンビニでの販売量増に向けプロモーションに注力しております。ガロンの宅配では、ジャカルタ市内を中心に専属のディストリビューターを増やし、より地域に密着した体制構築に取り組んでおります。
(ⅱ)製造
今後の業績伸長を見据え、製造体制の強化が必要となります。当期においては、これまでの約2倍の生産能力にするとともに、外注業務を一部内製化することによるコスト削減を目的とした設備投資を実施いたしました。また、更なる生産能力増強のため、インドネシア国内における水源探索も実施しております。
②医療関連事業
電解水透析事業につきましては、以下のとおりです。
(ⅰ)販売チャネル
コロナ禍により、病院を訪問しての営業に制限がかかる中、2021年3月期は、WEBマーケティングに注力しました。初めての施策でしたが、日本透析医学会でのWEBセミナー開催、そのオンデマンド配信により35施設との新規商談がスタートし、また、「m3.com」での動画配信は174名の医師へのアプローチに繋がるなど、手応えを得ております。
(ⅱ)研究
電解水透析は、患者の方々のQOL改善とともに病院経営の収益面で寄与することが報告されております。施設が電解水透析システムを導入する際、初期投資が大きくなることを理由に成約に至らない場合もあり、収益面でのメリットが実証されれば、普及促進の大きな後押しとなります。その実証についての研究を検討してまいります。臨床によるエビデンスにつきましても、引き続き蓄積してまいります。
(ⅲ)製品開発
電解水透析システムをより多くの施設に導入いただくには、水の質の高品質化、安定性はもちろん、システムの小型化やメンテナンス性の向上、コストも重要な要素です。今後、より普及を促進することを目指し、医療機器化も視野にさらなる改良、開発に取り組んでまいります。
細胞バンク事業につきましては、以下のとおりです。
(ⅰ)販売チャネル
コロナ禍を機に、WEBマーケティングに注力し成果が上がっております。効果検証をタイムリーに実施しながら、既存の対面営業もあわせ、最適な営業体制の構築に取り組んでおります。
(ⅱ)施設の能力増強
近年の需要の急激な高まりへの対応や新たな細胞保管サービス展開を見据え本年3月に横浜に新CPC(細胞処理施設)を建設し、処理能力が約2倍となりました。今後も中長期的視野に立ちながら、設備や体制の強化に取り組んでまいります。
③新規事業
当社グループが持続的に成長していくためには、現在の主軸事業である整水器関連事業の他に、新たな事業軸を構築することが必要であると考えております。その一つとして医療関連事業に最も注力しておりますが、その他、農業分野や工業分野でも電解水素水による新規事業の創出に取り組んでおり、いずれも非常に大きな将来性があると考えております。
今後も当社グループは、グローバルなメディカルカンパニーを目指し、ベンチャー精神を持って新規事業に挑戦してまいります。

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