有価証券報告書-第65期(2023/09/01-2024/08/31)

【提出】
2024/11/26 14:41
【資料】
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【項目】
144項目
①コーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方
当社のコーポレート・ガバナンスに関する基本的な方針は、「Shareholders as owners(所有者としての株主)」を基本としつつ、「各ステークホルダーの利益の共通化」を実現することにあります。
即ち、顧客に対しては良い製品を適正な価格で提供することによる顧客満足(CS)の向上を追求して、売上・利益の増大を目指します。従業員(含執行役)に対しては当社に適した優秀な人財の確保に十分な報酬及び成果の上げられる優良な環境・制度を提供し、従業員満足(ES)の向上により的確で効率的な企業活動を目指します。
また、これらを実現するために代表執行役はじめ全執行役が率先垂範して企業価値を向上させるとともに各経営システムの確立に努力します。
一方、株主総会により選任された取締役会は基本的な経営方針を決定し、執行が適正に行われていることを監督し、執行役を評価しますこのガバナンスを通して株主利益の増大を目指し株主満足(SS)を獲得します。
ここで重要なポイントは「各ステークホルダーの利益の共通化」を実現することにあります。利益の共通化とは、顧客の利益は従業員・株主の利益であり、従業員の利益は顧客・株主の利益であり、株主の利益は顧客・従業員の利益となることです。ガバナンスの基本は、適正な意思決定がなされ、一方のステークホルダーの利益が他のステークホルダーの損失となることを防止することにあると当社は考えております。
②企業統治の体制の概要及び当該体制を採用する理由
コーポレート・ガバナンス体制の概要
当社は指名委員会等設置会社制度を採用しており、取締役7名(うち社外取締役4名)及び執行役7名(兼務取締役2名を含む)により構成しております。
取締役会は、株主総会において選任された取締役で構成し、各委員である取締役が執行役の選任と報酬の決定、重要な会社の意思決定と執行役の監督と経営の監視の議決権を持つことにより監督機能を強化しております。また、取締役会で選任された執行役が、迅速で効率的な業務執行を実現することで、監督と執行を分離し経営の透明性・客観性を向上させております。
経営監視機能に関しては、指名委員会等設置会社の特徴を生かして、取締役会が執行役を監督するとともに、監査委員会が監査室と連携して、当社に適した効率的な企業価値向上につながる内部統制システムを構築しています。
取締役の選任に関しては、社内取締役は主に業務への専門知識及び高度な経営判断能力等を重視し、社外取締役は経営に対する豊富な経験や高度な職業的専門知識を重視して選任しています。加えて、社外取締役を過半数選任することで、取締役会としての独立性と社会的公平性を保つことができること等を重視しています。
指名委員会・報酬委員会・監査委員会の委員長は、いずれも独立社外取締役とし、戦略委員会の委員長は、社内取締役としております。
コーポレート・ガバナンス体制を採用した理由
当社が指名委員会等設置会社形態を採用している理由は、当社のコーポレート・ガバナンスに関する基本的な方針、即ち顧客満足(CS)、従業員満足(ES)、株主満足(SS)の向上を追求し、「各ステークホルダーの利益の共通化」を実現するためであります。利益の共通化とは、顧客の利益は従業員・株主の利益であり、従業員の利益は顧客・株主の利益であり、株主の利益は顧客・従業員の利益となることです。ガバナンスの基本は、適正な意思決定がなされ、一方のステークホルダーの利益が他のステークホルダーの損失となることを防止することにあると当社は考えております。そのため、当社は迅速かつ的確な意思決定制度と、適切な内部統制システムを構築し、さらに経営の透明性を図るべく、独立性を保てる社外取締役を選任し、必要情報を積極的に開示しております。
《指名委員会等設置会社の機構図》2024年11月25日現在
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《取締役会及び各委員会の構成》(2024年11月25日現在)
地位/氏名取締役会指名委員会報酬委員会監査委員会戦略委員会
代表執行役社長 渡部眞也
執行役副社長 髙橋一夫
取締役 髙井壽秀
社外取締役 矢野達司
社外取締役 森山裕紀子
社外取締役 光定洋介
社外取締役 松井幸郎

(注)1.◎議長又は委員長 ◇副議長又は副委員長 〇委員
2.戦略委員会の委員には、上記以外に執行役専務以上の3名も加わります。
③企業統治に関するその他の事項
内部統制システムの整備及びリスク管理体制の整備の状況
取締役及び執行役の経営幹部が有効な内部統制を構築し充実していくことが、経営の健全性を高めコーポレート・ガバナンスの体制維持と企業価値の向上につながると認識しています。その実行のため、リスク管理を重視した体制を作り、社内規程の整備及び法令等の順守(コンプライアンス)体制と有効性を確認する内部監査などを重要視しています。なお、当社の内部統制システム及びリスク管理体制の整備状況については以下のとおりです。
内部統制システムについては、「財務報告に係る内部統制システム」を構築し、日本版SOX法対応のための組織体制の整備、運用、評価のためのシステムを構築しています。
コンプライアンス体制については、当社グループの経営基本方針に「順法精神」、行動規範に「Integrity(誠実さ)」を定め、法令順守を社員全員の行動の前提としております。またコンプライアンス委員会を設置し、コンプライアンス体制の整備及び社内の意識向上を継続するとともに、業務運営における法令遵守を徹底するため、コンプライアンス・マニュアルを制定し、定期的な研修を行うことにより、社員の意識を向上させております。
リスク管理体制については、当社は取締役会および執行役会等の会議体における慎重な審議及び決裁手続を経て、当社グループ全体のリスクを網羅的・総括的に管理しています。また、リスクマネジメントを所管する執行役として、CRO(Chief Risk management Officer:最高リスク管理執行責任者)を設置し、CROの下、子会社含めた当社グループ全体のリスクマネジメント体制を整備・運用しております。さらに当社グループの品質を所管する責任役員、労働安全衛生を所管する総括安全衛生責任者を設置し、ISO準拠の品質管理、労働安全衛生体制を整備・運用しております。
情報管理体制については、執行役の職務遂行に係る情報を、法令及び書類管理規程等の社内規定に基づき、文書(電磁的媒体・電子メールを含む。)で保存し、取締役は常時これらの文書を閲覧できるようになっております。
当社グループにおける業務の適正を確保するための体制については、当社はグループ会社に関する所管部署、所管部署の役割、当社グループ会社から当社に対して承認を求める事項及び報告事項ならびに連結決算作成に必要な会計報告事項等を規定し、当社グループとして適切な業務運営を行っております。また、当社グループの機能または業務区分毎に、それぞれの責任を負う執行役を任命し、当該執行役は、所管するグループ会社の経営管理を行うとともに、当該グループ会社の法令順守体制、リスク管理体制の整備を監督しています。さらに、当社グループ会社に対する管理・運営状況については、監査室による内部監査を実施し、監査委員会は執行側の内部監査の状況も含めたグループ経営を監査しております。また、監査委員会は会計監査人と会計監査の確認の会合を設定するとともに、監視機能として監査委員会の下位組織である実行機関として、監査委員会室を設置しております。
④責任限定契約の内容の概要
当社と取締役(業務執行取締役等であるものを除く)は、会社法第427条第1項の規定に基づき、同法第423条第1項の損害賠償責任を限定する契約を締結しております。当該契約に基づく損害賠償責任の限度額は、1百万円又は法令が定める額のいずれか高い額としております。なお、当該責任限定が認められるのは、当該取締役が責任の原因となった職務の遂行について善意かつ重大な過失がないときに限られます。
⑤役員等賠償責任保険契約の内容の概要
当社は、会社法第430条の3第1項に規定する役員等賠償責任保険契約を保険会社との間で締結し、被保険者がその職務の執行に関し責任を負うこと又は当該責任の追及に係る請求を受けることによって生ずることのある損害について、当該保険契約により塡補することとしております。当該保険契約の被保険者の範囲は当社及び当社子会社の取締役、執行役ならびに管理職であり、保険料は当社が全額負担しております。ただし、被保険者の職務の執行の適正性が損なわれないようにするため、法令違反の行為であることを認識して行った行為に起因して生じた損害等の場合には填補の対象としないこととしております。
⑥取締役の定数及び資格制限
当社の取締役は、8名以内を置き、うち2名以上は社外取締役とする旨定款(第22条)に定めております。
⑦取締役の選任の決議要件
当社の取締役の選任決議は、議決権を行使することができる株主の議決権の3分の1以上を有する株主が出席し、その議決権の過半数をもって行う旨定款(第23条第2項)に定めております。
また、取締役の選任決議は、累積投票によらないものとする旨定款(第23条第3項)に定めております。
⑧株主総会の特別決議要件
当社は、会社法第309条 第2項に定める株主総会の特別決議要件について、議決権を行使することができる株主の議決権の3分の1以上を有する株主が出席し、その議決権の3分の2以上をもって行う旨定款(第19条第2項)に定めております。これは、株主総会における特別決議の定足数を緩和することにより、株主総会の円滑な運営を行うことを目的とするものであります。
⑨剰余金の配当等の決定機関
当社は、剰余金の配当等会社法第459条 第1項各号に定める事項について、法令に別段の定めがある場合を除き、株主総会の決議によらず取締役会の決議により定める旨定款(第55条)に定めております。これは、剰余金の配当等を取締役会の権限とすることにより、株主への機動的な利益還元を行うことを目的とするものであります。
⑩自己の株式の取得
当社は、会社法第165条 第2項の規定により、取締役会の決議によって同条第1項に定める市場取引等により自己の株式を取得することができる旨定款(第8条)に定めております。これは、機動的な資本政策の遂行を可能とすることを目的とするものであります。
⑪取締役及び執行役の責任免除
当社は、会社法第426条 第1項の規定により、取締役会の決議をもって同法第423条第1項の行為に関する取締役及び執行役(取締役及び執行役であった者を含む。)の責任を法令の限度において免除することができる旨定款(第37条第1項及び第52条)に定めております。これは、取締役及び執行役が職務を遂行するにあたり、その能力を十分に発揮して、期待される役割を果たしうる環境を整備することを目的とするものであります。
⑫取締役会及び委員会の当事業年度の活動状況
a.取締役会
取締役の構成
取締役会は過半数が社外取締役になるよう構成されており、社内取締役である齊藤雅彦、髙橋一夫、髙井壽秀、社外取締役である矢野達司、森山裕紀子、渡部眞也、光定洋介の7名で構成されております。取締役会議長は執行役を兼務しない取締役が務めることを原則とし、2024年7月まで社外取締役の渡部眞也が務め、その後を社外取締役の光定洋介が務めております。
取締役会議長の交代は、2024年7月に社外取締役の渡部眞也の代表執行役社長の内定に伴う異動であります。
なお、取締役会の実効性を確保するため、取締役会全体としての知識・経験・能力・性別等のバランスに配慮した人員構成としております。
取締役会の運営
当社の取締役会は、重要な会社の意思決定及び執行役の監督を通じて経営を監視するとともに、取締役会が執行役に業務執行の決定権限を委任することで経営の監督と業務執行の分離を図り、迅速かつ効率的な業務執行を実現しております。
取締役会の果たすべき役割は、中長期的な企業価値の向上を図り統制機能を強化するとともに、適正な経営者の選任をしております。
当事業年度においては取締役会を19回開催しており、全ての取締役が100%出席しております。
当社取締役会は毎回活発な議論が行われており、社外取締役が有する各専門的見地から取締役会の意思決定の妥当性・適正性を確保するための助言・提言及び審議・決定を行っております。
2024年8月期取締役会における主な審議テーマは次のとおりです。
テーマ審議内容
中期経営計画の主要戦略中期経営計画の進捗
北米戦略等グローバル営業戦略
花岡スマートファクトリーの進捗
新製品開発の進捗
財務関係2024年8月期経営計画進捗、2025年8月期経営計画策定
中長期の資本政策
ガバナンス関係代表執行役社長交代、経営陣の強化
足元のリスク認識、リスク対応の取り組み
コンプライアンス領域の取り組み
取締役会実効性評価
内部監査・当局対応関連報告
その他経営上の重要課題人的資本経営、企業風土改革
製品開発体制強化
システム戦略、デジタルトランスフォーメーション戦略

b.指名委員会
指名委員会の構成
指名委員会は、社外取締役の矢野達司及び2024年4月まで渡部眞也、後任に光定洋介ならびに社内取締役の髙井壽秀の3名で構成され、委員長は矢野達司が務めております。
指名委員会の運営
取締役の選任及び解任に関する議案の決定ならびに取締役会に提出する執行役の選任及び解任、代表執行役・役付執行役の選定及び解職に関する議案を決定しております。
当事業年度においては指名委員会を20回開催しており、全ての委員が100%出席しております。
指名委員会では「執行役候補者選考に関する基準」「取締役候補者選考に関する基準」「取締役解任議案付議基準」を作成し、これを毎期見直し、運用しております。また、社外取締役の選任に関しては、会社からの独立性を選考基準として定め、原則就任6期を超える者を次期社外取締役候補者に選任しないこととしております。
c.報酬委員会
報酬委員会の構成
報酬委員会は、社外取締役の森山裕紀子及び光定洋介ならびに社内取締役の髙井壽秀の3名で構成され、委員長は森山裕紀子が務めております。
報酬委員会の運営
取締役及び執行役の報酬等の内容にかかる決定に関する方針ならびに個人別の報酬等の内容を決定しております。 当事業年度においては報酬委員会を13回開催しており、全ての委員が100%出席しております。
報酬委員会では「取締役及び執行役の個人別の報酬の内容の決定に関する方針」を作成し、これを毎期見直し、運用しております。当該方針及び他社の報酬水準等を踏まえ、取締役及び執行役の基本報酬及び業績連動報酬、当社の企業価値の持続的な向上を図るインセンティブを与えるとともに、株主との一層の価値共有を進めることを目的に譲渡制限付株式報酬等の報酬制度の構築ならびに個人別の報酬額につき審議・決定しております。なお、2022年10月26日開催の報酬委員会にて、これまで執行役に支給していたパフォーマンスユニット及び役員退職慰労金制度を廃止し、新たに譲渡制限付株式報酬の導入を決定しております。
d.監査委員会
監査委員会の構成
監査委員会は、社外取締役の矢野達司、森山裕紀子、光定洋介の3名で構成され、委員長は矢野達司が務めております。
監査委員会の運営
監査委員会では、取締役及び執行役の職務の執行の監査ならびに監査報告の作成、株主総会に提出する会計監査人の選任及び解任ならびに会計監査人を再任しないことに関する議案の内容を決定しております。当事業年度においては、下記(3)監査の状況に記載しております。
e.戦略委員会
戦略委員会の構成
戦略委員会は、社外取締役の渡部眞也、光定洋介ならびに社内取締役の齊藤雅彦、髙橋一夫の4名で構成され、委員長は渡部眞也が務めております。
戦略委員会の運営
当事業年度においては戦略委員会を10回開催しており、全ての委員が100%出席しております。
取締役会の責務のひとつである企業戦略の大きな方向性の提示するための一助として、中長期的な企業戦略についての検討と取締役への意見具申を行うことを目的に2023年11月より新たに設置いたしました。
戦略委員会では、取締役会の果たすべき役割の一つである「中長期的な企業価値の向上」のうち、戦略に関わるテーマを中心に実効的な「審議」を行うことにより経営陣と社外取締役がビジョンと計画を共有し、経営陣による成長戦略を迅速に進めることで、組織能力の強化、戦略プロセスの確立、外部リソースの活用など、戦略プロセスや実務を組織に定着させる機会としております。
2025年8月期は、さらに「中長期的な企業価値向上」に資する実効的な審議を行うことを予定しております。