有価証券報告書-第31期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)

【提出】
2018/06/27 14:31
【資料】
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【項目】
72項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、当事業年度末日現在において当社が判断したものであります。
(1) 経営方針
当社は、医療分野での知的価値の高い製品・サービスの提供を通じて社会に貢献すべく、独自性のあるOnly Oneの製品・サービスの提供を目指してまいります。
(2) 経営戦略等
国内市場においては、信頼性および品質の向上と、開発技術の創造により売上増収を目指します。海外市場においては、ニッチマーケット市場に特化し、当社の技術力を活かした製品の拡販を目指します。
また、開発技術の向上によりヘルスケア分野での存在感のある企業を目指し、採血管準備装置・検体検査装置に続く第三の柱を作り、ニッチマーケットでの安定的な成長を目指してまいります。
(3) 経営環境
雇用や所得の改善により緩やかな国内景気の回復基調が続くことが予想される一方、世界経済においては、米国の金融政策、通商政策をめぐる先行き不透明感や、東アジア地域をはじめとした地政学的リスクに対する懸念も依然として残り、予断を許さない状況が続くものと予想されます。
また、医療費を含めた社会保障費の抑制が必要とされ続ける中で、医療機関においても一層の効率化、合理化が求められており、医療機器業界は引き続き厳しい競争環境が続くものと予想されます。
(4) 事業上および財務上の対処すべき課題
少子化・高齢化の速度が速いわが国では、医療費の増大が国家財政上の大きな負担となり、医療保険財政の悪化に対応するための医療財政の緊縮化、医療費適正化政策の維持・強化等、政府の医療費抑制政策が継続して推進されております。
臨床検査医療費は、医療保険制度のもと、診療体系による支払制度が基準となっておりますため、制度改革論議のもとにおいて恒常的に2年毎におこなわれる診療報酬の改定は、医療機関の収入に影響し、必然的に当社が主要なターゲットとしている臨床検査市場全体へと響くことが予想されます。
また医療施設では、臨床検査装置の自動化、ブランチラボ(受託先の検査センターが、病院内のスペースに新たに検査室を作る仕組み。)やFMS(Facility Managed Systemの略。臨床検査を担当する技師・スペースを病院が提供し、設備、試薬等のランニングコストや検査部運営のためのノウハウを受託先の検査センターが負担する仕組み。)方式による検査の外注・委託の増加、医療施設の統廃合が引続きおこなわれ、今後益々の値下げ要請及びメーカー間の競争が激しくなると予想されます。
医療施設におけるコスト削減および効率化がおこなわれていく一方、医療の安全への関心の高まり、質の向上、QOL(Quality Of Life)を重視する風潮は強まり、病気の診断治療から予防へ、治療技術からQOL重視へと医療の質が転機を迎えつつある現在、医療機器メーカーについても新たな視座に立ち、その有り方を検討することが必要とされております。
このような見通しの中、医療財政やQOLの観点からも、長期療養を要する生活習慣病やストレス診断等のセルフケア、プライマリーケアを実施できるよう、今後も保険点数の影響に左右されにくい検体検査装置やヘルスケア製品の研究開発に引続き注力をしてまいります。
医療施設でのコスト削減および業務効率化に寄与する採血管準備装置については、付加価値の高い新製品の積極的な営業活動を展開してまいります。
一方で、医療費抑制政策が推進される中で、国内市場における案件数は飽和状態に達しつつあることから、海外ニッチマーケットへの進出による販路の拡大を図るべく、世界市場で競争できる製品の開発を進めてまいります。