四半期報告書-第91期第3四半期(平成29年10月1日-平成29年12月31日)

【提出】
2018/02/13 9:18
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27項目

財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)業績の状況
当第3四半期連結累計期間における日本経済は、政府の経済対策により雇用情勢や企業収益の改善がみられ、緩やかな回復基調が続きましたが、世界経済は米国の政策動向や地政学リスクなどにより依然として先行き不透明な状況で推移しました。
このような経営環境のもと、創立90周年を迎えた当社グループは、100年ブランドとしての企業価値向上を推進し、長期的な安定成長を目指すことを基本方針とした中期経営計画「Resonate2018」で掲げる主要戦略と基盤づくりに取り組んでまいりました。
国内では、教室・販売・調律サービスを一体化した地域ユニット体制による営業活動の強化に継続して取り組み、カワイブランドの発信拠点となる中核店舗のリニューアルを進めております。また、音楽教室ではピアノコースの募集強化や、学研教室とカワイ音楽教室の相互開設など、教室の高付加価値化に取り組み、事業と収益力の拡大を図りました。
海外では、販売基盤の強化として米国のヒューストンに続いて昨年10月にダラスに直営店をオープンし、12月には欧州でのさらなる販売拡大・ブランド力強化を目指し、フランスに新たに販売会社を設立しました。
特に重要市場である中国においては、各地でプロモーション活動を展開して鍵盤楽器の拡販に努めるとともに、カワイ音楽教育システムによる幼児教育の普及や、調律技術指導者の育成事業に取り組むなど、中長期的な成長に向け楽器販売・音楽教室・調律サービスの三位一体での事業展開を着実に進めております。
商品政策面では、90周年記念モデルとして、オンキヨー株式会社の最新オーディオ技術を採用し、グランドピアノの鍵盤アクションを搭載したハイブリッドデジタルピアノ『NOVUS NV10』を発売しました。昨年10月発表の最上位モデル「CAシリーズ」にもその高付加価値技術を展開し、デジタルピアノの全世界での販売拡大を図りました。
また、創立90周年の節目に合わせ創設した『Shigeru Kawai 国際ピアノコンクール』では、世界25カ国から351名ものピアニストがエントリーして熱い演奏が繰り広げられ、各方面から高い評価を頂きました。引き続きその評価に応えるべく、本年8月にも予選枠を拡大するなど内容をより充実させて、第2回のコンクールを開催致します。今後も次世代を担うピアニストを世界各地から発掘して育成を進めるとともに、国際交流の推進や世界の音楽文化の振興を目指してまいります。
これらの結果、当第3四半期連結累計期間の売上高は 51,769百万円(前年同四半期比 3,262百万円増)、営業利益は 2,127百万円(前年同四半期比 240百万円増益)、経常利益は 2,414百万円(前年同四半期比 358百万円増益)、親会社株主に帰属する四半期純利益は 1,655百万円(前年同四半期比 238百万円増益)となりました。
セグメント別の業績は、次のとおりであります。
なお、第1四半期連結会計期間より、報告セグメントの区分を変更しており、以下の前年同四半期比較について
は、前年同四半期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しております。
(楽器教育事業)
楽器教育事業は、鍵盤楽器販売については、フラッグシップモデルの『Shigeru Kawai』は国内での伸長をはじめ全世界で好調を継続し、ピアノ全体につきましても中国での伸長や北米などで堅調に推移し販売が増加しました。デジタルピアノについては、音色や操作パネル、外装デザインを刷新した主力の「CNシリーズ」が欧州や北米を中心に伸長しました。音楽教室では、引き続きピアノコースの拡大や運営効率の改善など収益性重視の活動により売上が増加しました。この結果、売上高は 41,148百万円(前年同四半期比 2,232百万円増)となり、営業利益は 1,340百万円(前年同四半期比 90百万円増益)となりました。
(素材加工事業)
素材加工事業は、半導体関連部品や自動車関連部品の受注が増加し、売上高は 8,339百万円(前年同四半期比894百万円増)となり、営業利益は 898百万円(前年同四半期比 124百万円増益)となりました。
(その他)
その他の事業は、医療機関向けIT機器の販売が増加し、売上高は 2,282百万円(前年同四半期比 138百万円増)となり、営業損失は 55百万円(前年同四半期比 32百万円改善)となりました。
(2)財政状態の分析
当第3四半期連結会計期間末の資産合計は、現金及び預金や投資有価証券の時価評価額の増加などにより 52,322百万円(前連結会計年度末比 2,494百万円の増加)となりました。
負債合計は、短期借入金の増加などにより 29,178百万円(前連結会計年度末比 1,387百万円の増加)となりました。
純資産合計は、利益剰余金及びその他有価証券評価差額金の増加などにより 23,143百万円(前連結会計年度末比 1,106百万円の増加)となりました。
(3)事業上及び財務上の対処すべき課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
なお、当社は当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針を定めており、その内容等(会社法施行規則第118条第3号に掲げる事項)は次のとおりであります。
① 当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針
当社は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者(以下「方針決定を支配する者」といいます。)の在り方について、基本的には、株主の自由な判断に基づいた当社株式の自由な取引を通じて決定されるべきものであると考えており、上場企業として多様な投資家に当社の株主となっていただき、また、その様々な意見を当社の財務及び事業の方針の決定に反映させることが望ましいと考えております。
昨今のわが国の資本市場においては、経営陣の同意なく、会社支配権の取得を意図して株式を大量に買付けようとする事例も少なくありません。このような買付けの中には、当社及び当社グループの顧客、取引先、地域社会、従業員等ステークホルダーの利益を著しく損なう蓋然性の高いものや、株主に十分な判断の時間や判断の材料を与えないものなど、当社の企業価値及び株主共同の利益に照らして望ましくない買付けが行われることも予想される状況にあります。
当社は、このような当社の企業価値及び株主共同の利益に照らして、望ましくない買付けを行おうとする者に対して、方針決定を支配する者となる機会を与えることは、株主からの様々な意見を当社の財務及び事業の方針の決定に反映させるためには望ましくないものと考えております。
また、当社事業の主軸は音楽・教育分野にあり、これらの事業は単にハードやソフトを提供することにとどまるものではなく、文化に深く関わる事業であると考えております。このような事業の運営においては、経済的側面のみならず、文化的側面も視野に入れたバランスのとれた経営姿勢が不可欠であると考えております。かかる観点から、方針決定を支配する者においては、このような経営姿勢についても、十分に理解していることが望ましいと考えております。
② 基本方針に関する取組み
(ⅰ)財産の有効な活用、適切な企業集団の形成その他の基本方針の実現に資する特別な取組み
当社は、以下のような取組みを鋭意実行することが、当社の企業価値及び株主共同の利益を向上させることとなり、さらなる多様な投資家からの当社への投資を促進させ、結果として、上記①の基本方針の実現に資するものであると考えております。
(a)当社は、平成31年3月までの3ヵ年を対象期間とする中期経営計画「Resonate2018」を平成28年4月1日より遂行中であります。同計画では、ビジョンとして「Resonate2018-100周年に向けて-トップブランドであるために」の下、「信頼と革新を追求し、感動体験を提供することで、KAWAIファンを拡大する。また音楽文化の更なる普及に努め続けることで、次の100年も選ばれ続けるピアノトップブランドを目指す。」を掲げ、100年ブランドとしての企業価値を推進し、長期的な安定成長の実現を目指すことを基本方針に、目標指標である営業利益率5%以上に向け、収益力の向上を図るべく、主要戦略とこれを推進していくための基盤づくりに取り組んでおります。
(b)当社は適切な組織体制の構築のために、以下の取組みを行っております。
当社は、意思決定の迅速化と経営陣の責任の明確化のために、執行役員制度を採用し、業務執行と監督の分離に取り組むとともに、取締役の任期を1年としております。
また当社は、独立性の高い社外取締役及び社外監査役を選任し、取締役の業務執行の監督、監査に当たらせております。加えて、平成27年6月からは社外取締役を2名選任し、同年12月には社外役員4名と社内取締役3名から構成されるコーポレートガバナンス委員会を設けることにより、さらなるコーポレートガバナンスの強化を図っております。
(c)上記のほかにも、機関投資家や証券アナリストへの説明会の開催、個人投資家向けのIR活動の推進により株主との長期安定的な信頼関係の構築に努めてまいります。
(ⅱ)基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組み
平成25年6月27日開催の当社第86期定時株主総会に基づき更新いたしました当社株式の大規模買付行為に関する対応方針(以下「旧プラン」といいます。)を平成28年6月28日開催の第89期定時株主総会における株主の承認により基本的に旧プランを継承し、新たな対応方針(以下「本プラン」といいます。)として更新しております。(本プランの詳細につきましては、当社ホームページに掲載されている平成28年5月24日付プレスリリース「当社株式の大規模買付行為に関する対応方針(買収防衛策)の更新について」に開示しております。)
③ 当社の取組みが、基本方針に沿い、株主共同の利益を害するものではなく、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものではないことについて
(ⅰ)②(ⅰ)の取組みについて
中期経営計画「Resonate2018」に関する当社の取組みは、究極的にはステークホルダー全体の利益を実現するための施策として当社経営陣に課せられた課題であると考えておりますので、株主共同の利益を害するものではなく、また、当社の会社役員の地位を維持することを目的とするものでもありません。
執行役員制度、取締役の1年任期制、社外取締役の増員、社外監査役による取締役の業務執行監査、コーポレートガバナンス委員会の設置については、いずれも適正な業務執行を担保するために導入したものであり、株主共同の利益を害することにはなりませんし、また当社の会社役員の地位を維持するためのものでもありません。
機関投資家や証券アナリストへの説明会の開催、個人投資家向けのIR活動の推進についても、株主共同の利益を害するものではなく、投資家の判断に資することを目的として行おうとするものですので、当社の会社役員の地位を維持するものでもないと考えております。
(ⅱ)②(ⅱ)の取組みについて
本プランは、以下のような点から、基本方針に沿い、株主共同の利益を害するものではなく、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものではないものと考えております。
(a)本プランの内容は、大規模買付者に対して事前に大規模買付情報の提供及び大規模買付行為の是非を判断する時間を確保することを求めることによって、大規模買付者の提案に応じるか否かについて株主の適切な判断を可能とするものです。したがって、株主共同の利益を害するものではなく、基本方針に沿う内容となっております。
(b)本プランにおいて、対抗措置が発動される場合としては、大規模買付者が予め定められた大規模買付ルールを遵守しない場合や、当社企業価値及び株主共同の利益を著しく損なうと認められる場合に限定しております。このように、対抗措置の発動は当社の企業価値及び株主共同の利益に適うか否かという観点から決定することとしておりますので、基本方針に沿い、株主共同の利益を害するものではなく、また、当社の会社役員の地位の維持を目的としないものとしております。
(c)本プランにおいては、独立性の高い社外者を構成員とした独立委員会を設置し、対抗措置の発動を当社取締役会が判断するにあたっては、独立委員会の勧告を最大限尊重することとしております。また、当社取締役会において、必要に応じて外部専門家等の助言を得ることができるものとしております。このように、対抗措置を発動できる場合か否かの判断について、当社取締役会の恣意的判断を排除するための仕組みを備える内容となっており、株主共同の利益を害するものではなく、また、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものでもないといえます。
本プランは、更新後3年毎に、本プランの期間更新又は廃止について、定時株主総会の議案として上程し、株主に対して本プランの継続の是非を直接判断いただくこととしております。また、取締役の任期を1年としていることを前提として、毎年、定時株主総会における取締役の選任議案に各取締役候補者の本プランに関する賛否を記載するとともに、定時株主総会後、最初に開催される取締役会において、株主より選任された取締役が本プランの継続または廃止の決議を行い、決議結果を速やかに株主及び投資家へ開示することとしております。
このように、本プランの継続については、株主の意思が直接反映されるよう努めており、株主共同の利益を害することのないよう、また、当社の会社役員の地位の維持につながることのないよう努めております。
(4)研究開発活動
当第3四半期連結累計期間の研究開発費の総額は、500百万円であります。