有価証券報告書-第64期(令和2年1月1日-令和2年12月31日)

【提出】
2021/03/31 10:30
【資料】
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【項目】
151項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1)経営の基本方針
当社グループは、経営理念を「愛」とし、「赤ちゃんをいつも真に見つめ続け、この世界をもっと赤ちゃんにやさしい場所にします」を存在意義として事業展開しております。当社グループはこの考えに基づき、「世界の赤ちゃんとご家族に最も信頼される育児用品メーカー(Global Number One)」を中長期的な「ビジョン(到達したい姿)」としております。
当社グループでは、これら「存在意義(Purpose)」及び「ビジョン(Vision)」、さらに業務上で社員個々が大切にする3つの「基本となる価値観(Values)」、すべての行動のベースでありガイドとなる5つの「行動原則(Action Principles)」から構成される『Pigeon Way』を制定しております。
(2)経営環境
当連結会計年度では、世界的な新型コロナウィルス感染症拡大の影響もあり、一部地域ではロックダウンによる営業自粛等の厳しい状況にみまわれましたが、「総合育児用品ブランド」としての強みと高いブランド力を活かし、グループ事業の拡大と経営品質の向上を目指しております。
①日本事業
新型コロナウイルス感染症拡大による訪日外国人の激減等により、特にインバウンド需要が大きく、かつ利益率が高い商品である哺乳瓶、スキンケアの売上が大きな影響を受けております。その一方で、哺乳瓶を含む基幹商品の市場シェアは拡大しており、売上減少を補う形になっております。
②中国事業
中国経済は、期初においては新型コロナウイルス感染症拡大の影響を大きく受けたものの、中国本土での消費は急速に回復しており、当社グループにとっても追い風となっております。ただし、オンライン取引、オフライン取引いずれも市場競争が激化、特に消耗品の価格競争が進んでおり経営環境は厳しさを増しております。
③シンガポール事業
当社グループが事業を展開するインド、マレーシア両国では、断続的にロックダウンが実施され、経済活動の停滞に伴う営業活動等の自粛などの影響を受けております。当事業が管轄するASEAN地域及びインドでは、オフライン(実店舗)販売がメインのベビー用品市場が多いため、他の事業と比較しますと、小売店の店舗休業や閉店といった経営環境の変化が経営成績に与える影響は大きいと言わざるをえません。
④ランシノ事業
主要な市場である北米は、新型コロナウイルス感染症拡大が深刻でしたが、主力商品である乳首クリームや消耗品は生活必需品の色合いが強く、Eコマースチャネルの伸長に伴う販売好調が続いてる状況です。その一方で、消耗品の小売価格の引き下げによる競争激化が経営環境の課題となっております。
(3)経営戦略等
当社グループは、「第7次中期経営計画(2020年12月期~2022年12月期)」において、以下の3つのテーマを掲げ、グループの事業拡大と経営品質向上を目指してまいります。
① Pigeon Wayをベースとしたブランド戦略と事業戦略の一体化を推進することで、経済価値の最大化と同時に、育児に関する社会課題の解決に向けた取組みを強化し、「商品を買ってもらう」から、「ビジネスに共感し、選んでもらう」ブランドへの進化を目指す。
② グローバルで自社の優位性を活かせる基幹商品カテゴリでの成長を加速させ、競合他社との一層の差別化を図り、強固な収益基盤を構築する。
③ 4事業体制及び各事業への権限移譲を推進し、現場での意思決定を迅速化することで、各地域の市場特性に合わせた「開発・生産・販売」サイクルを構築し、スピードを持った事業運営を行う。
なお、各事業戦略の概要は、下記のとおりであります。
また、売上高目標については、新収益認識基準を考慮後の数値となっております。
「日本事業」
売上高目標 43,000百万円(2022年12月期)
・ベビーカー市場でトップシェア奪取
・スキンケアカテゴリ強化のための投資
「中国事業」
売上高目標 46,000百万円(2022年12月期)
・「こだわり」のモノづくりで高価格化
・Ssenseでの新ビジネスモデル構築
・最新トレンドを掴むための「深圳Creative Studio」創設
「シンガポール事業」
売上高目標 14,300百万円(2022年12月期)
・インドネシア工場拡大による生産能力の増加と取扱品目の拡大
・新興市場での現地調達品の拡充(インド・インドネシア)
「ランシノ事業」
売上高目標 14,000百万円(2022年12月期)
・"Breastfeeding"から"Maternal health"へブランド拡張
・さく乳器リーダーとしての地位確立(病産院向け商品、臨床研究の拡充)
(目標とする経営指標)
当社グループは、2020年12月期を初年度とする第7次中期経営計画に沿った取組みを着実に実行していくことで、最終年度である2022年12月期の到達目標水準、売上高1,086億円、営業利益183億円、親会社株主に帰属する当期純利益123億円としております(※)。また収益性、資本効率の一層の改善を図るために、PVA(Pigeon Value Added)・ROICなどを経営指標として重視し、さらなる向上を目指してまいります。
※なお、2020年2月13日に発表いたしました「第7次中期経営計画(2020年12月期~2022年12月期)」につきましては、当連結会計年度の業績及び新型コロナウイルス感染症動向を踏まえ、定量目標の修正を行っております。
また、各目標値については、新収益認識基準を考慮後の数値となっております。
(4)対処すべき課題
当社グループの経営環境は、世界的な新型コロナウイルス感染症の拡大に加え、中国における成長鈍化への懸念や日本国内でのインバウンド需要低迷や少子化、また欧米を中心とした世界経済の動向等不透明な状況が続くものと予想されますが、中国でのEコマース拡大を主とした消費動向は依然として堅調であり、またアジア各国やその他新興国の経済成長が一時的に鈍化する中でも、Eコマースの浸透・発達等による成長は十分期待できるものと考えております。
そのような状況の中、当期を初年度とする「第7次中期経営計画(2020年12月期~2022年12月期)」において新たに掲げた3つのテーマ及び各事業戦略に基づく諸施策を確実に実行してまいります。
「日本事業」におきましては、既存カテゴリの市場シェア向上及び新規商品カテゴリの育成、また引き続き成長分野として位置付けております海外市場に関しましては、「中国事業本部」、「シンガポール事業本部」及び「ランシノ事業本部」の3つの事業部体制を一層推進し、各事業運営上の迅速な意思決定を促すとともに、海外既存市場での事業拡大、深耕に加えて、新規市場への積極的参入や各市場に合わせた商品ラインアップの充実を図ることで、業績のさらなる拡大を目指してまいります。
加えて、さらなる企業価値向上のため、当社グループ全体を統括するグローバルヘッドオフィス(GHO)の機能をさらに強化してまいります。これにより、地域別に事業の運営と成長を担う4つの事業部門(日本事業、中国事業、シンガポール事業及びランシノ事業)の役割と責任を明確にし、グローバルヘッドオフィスと連携することで、永続的な成長の実現を図ってまいります。
なお、当社グループにおける事業継続計画につきましては、既に構築されておりますグローバルリスクマネジメント体制をより一層充実させてまいります。
また、当社では、Pigeon ESG/SDGs基本方針を設定し、環境(E)や社会(S)、ガバナンス(G)の観点から持続可能なオペレーションを追求するとともに、製品やサービスの提供による新たな価値の創造により、SDGsに代表される社会課題の解決に貢献すべく事業活動を展開してまいります。当社の事業活動を通してステークホルダーの皆さまとの信頼関係の構築に努め、企業価値を向上させることで、持続可能な社会の展開に貢献していくことを目指してまいります。