有価証券報告書-第62期(平成30年2月1日-平成31年1月31日)

【提出】
2019/04/26 9:24
【資料】
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【項目】
111項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針及び経営戦略
当社グループは、経営理念である「愛」を製品やサービスの形にして提供することによって、世界中の赤ちゃんとご家族に喜び、幸せ、そして感動をもたらすことを「使命(Mission)」として事業展開しております。当社グループはこの考えに基づき、「世界の赤ちゃんとご家族に最も信頼される育児用品メーカー(Global Number One)」を中長期的な「ビジョン(到達したい姿)」としております。
当社グループでは、これら「使命(Mission)」および「ビジョン(Vision)」、さらに業務上で社員個々が大切にする3つの「基本となる価値観(Values)」、すべての行動のベースでありガイドとなる5つの「行動原則(Action Principles)」から構成される『Pigeon Way』を2014年に制定しております。
また、2018年1月期を初年度とする第6次中期経営計画においては、スローガンを”Building our dreams into the future~Global Number Oneの育児用品メーカーになるための橋をかける”と掲げるとともに、基本戦略およびそれに基づく重点戦略を下記のとおり定め、グループ事業の拡大と企業価値のさらなる向上のため、国内外すべての当社グループ社員に、『Pigeon Way』を一層の浸透を図りつつ、全社一丸となって「ビジョン(Vision)」および当中期経営計画の実現、達成を目指しております。
基本戦略
「社会価値向上」
①Pigeon Wayに基づき、社会の中で「なくてはならない会社」、そして、我々のVision「世界中の赤ちゃんとご家族に最も信頼される育児用品メーカー“Global Number One”」の実現に向け、必要な施策を立案し、実行する
「経済価値向上」
②事業収益性・効率性の改善やキャッシュフローの最大化により、企業価値のさらなる向上を目指すとともに、中長期的に成長が持続するための組織体制、マネジメントシステム、ガバナンス体制を整備・強化する
③第6次中期経営計画の3年間に、重点カテゴリに対する経営資源の優先的投入と戦略的投資を行い、その後のピジョンの2桁成長につながる土台作りを行う
重点戦略
①事業効率性・収益性の改善
高収益体とキャッシュフロー経営へのさらなる進化
*グループ(連結)総利益率の改善
(売上増加、ミックスの改善、生産性・調達の改善等)
*物流費削減
*CCC改善
②重点カテゴリ拡大戦略
圧倒的強さをもつ哺乳器・乳首の強さを周辺カテゴリに拡大
従来の「三種の神器」
哺乳器・乳首、カップ類、おしゃぶり・歯がため
新「三種の神器」
母乳関連商品、スキンケア・トイレタリー・洗剤、電気製品
地域展開商品
紙おむつ(中国)、大型商品(日本)
なお、各事業及び機能戦略の概要は、下記のとおりとしております。
「中国事業」
売上高305億円(2017年1月期)⇒390億円(2020年1月期)
*事業成長
・重点6カテゴリにおけるシェアアップ
・ベビー用紙おむつの売上拡大
*事業基盤の強化
・ECチャネルの成長に対応した販売・流通体制のさらなる強化
※EC:Eコマース
*お客様コミュニケーションの強化
・病産院との関係強化
・ダイレクトコミュニケーション強化
「海外事業」
売上高231億円(2017年1月期)⇒290億円(2020年1月期)
*事業成長
・重点6カテゴリにおけるシェアアップ
・ランシノ事業(北米、欧州、トルコ、中国等)の成長
*ブランディング
・各国でのNICUとの取り組み強化
※NICU : Neonatal Intensive Care Unit(新生児特定集中治療室)
*育成市場
・成長市場強化
インド・インドネシア・フランス(ベネルクス)・ランシノ中国
※ベネルクス:ベルギー、オランダ、ルクセンブルクの3か国の集合を指し示す名称
・新規市場開拓
アフリカ(ナイジェリア・ケニア・西海岸各国)
「国内ベビー・ママ事業」
売上高318億円(2017年1月期)⇒365億円(2020年1月期)
*既存事業の拡大
・重点6カテゴリにおけるシェアアップ
*事業成長
・大型商品カテゴリでの成長
*消費者コミュニケーションの強化
・病産院活動の再構築・再強化
・ダイレクトコミュニケーション強化
「ヘルスケア・介護事業」
売上高69億円(2017年1月期)⇒80億円(2020年1月期)
*事業成長・収益性の向上
・社内営業体制及び流通体制の強化
・自社以外の協力パートナーとの取組みによる、消費者・介護者のインサイトに寄り添った新商品の開発・販売
・消費者・介護者ベネフィットに即した4つのテーマでのプロモーション強化
「子育て支援事業」
売上高73億円(2017年1月期)⇒30億円(2020年1月期)
*事業品質の向上
・子供の個性に沿った専門性の高い保育の実践
・安心・安全な管理体制のさらなる深耕
・保育人材の育成による保育品質の確保
「機能戦略」
① 研究・開発
*重点6カテゴリの新商品・リニューアル品の上市
*哺乳器と共にさく乳器を最重要商品として研究・開発を強化
*大型商品カテゴリにおける当社独自の価値がある商品の上市
*グループの成長スピードに対応した生産・開発体制の整備
*病院ルート向け(特にNICU)の新商品の開発
*AI、 IoT、 Smart Connectedを意識した商品・サービスの開発
※AI:Artificial Intelligence(人口知能)
※IoT:Internet of Things(モノのインターネット)
② 品質管理
*PIGEON PRODUCTIVE MANAGEMENT (PPM)活動の更なる深耕
*生産技術及び良品率向上の為のサポート強化
③ 生産・調達・物流
*内製化比率増加等による収益性の向上
*国内外のグループ内生産拠点の効率的な活用を目指したグローバルでの生産分担と管理体制の確立
*製品調達の迅速化と主原料一括購買の促進(グローバルSCM)
※SCM: Supply Chain Management
④ グローバル人事制度
*グローバルに活躍できる人材の獲得・育成
*「働きがいの向上」と「働き方改革」
*目標管理制度のグローバル化
⑤グローバルガバナンス
*グループ業績管理効率化のためのITシステム投資・整備
*GHO(Global Head Office)としての機能強化
→「全社的な将来像を描き、その実現のための経営資源を準備し、全社最適の視点から配分し、その結果を評価・改善する機能」の強化
→GHOの3つの機能:束ねる力・事業を推進する力・将来を創造する力
(2)目標とする経営指標
当社グループは「第6次中期経営計画(2018年1月期~2020年1月期※)」を策定し、スローガンを”Building our dreams into the future~Global Number Oneの育児用品メーカーになるための橋をかけよう~”と掲げております。中期目標に沿った取組みを着実に実行していくことで、最終年度である2020年1月期の到達目標水準、売上高1,100億円、営業利益200億円、親会社株主に帰属する当期純利益138億円としております。また収益性、資本効率の一層の改善を図るために、PVA(Pigeon Value Added)・ROICなどを経営指標として重視し、さらなる向上を目指します。
※2019年4月25日開催の第62期定時株主総会にて決算期を1月31日から12月31日へ変更することが承認決議されております。
(3)対処すべき課題
当社グループの経営環境は、中国の成長鈍化の懸念や欧米を中心とした世界経済の動向等不透明な状況が続くものと予想されますが、中国や日本の消費動向は底堅く、またアジア各国やその他新興国の経済成長も期待できるもの考えております。
そのような状況の中、「第6次中期経営計画(2018年1月期~2020年1月期)」においては、「重点カテゴリー戦略」及び各事業戦略に基づく諸施策を各確実に実行してまいります。特に引き続き成長分野として位置付けております海外市場に関しましては、2019年1月期より「中国事業本部」「シンガポール事業本部」「ランシノ事業本部」の3つの事業本部体制とし、各事業運営上の迅速な意思決定を促すとともに、海外既存市場での事業拡大、深耕に加えて、新規市場への積極的参入を図ることで、業績のさらなる拡大を目指してまいります。
また、さらなる企業価値向上のため、2019年1月16日付の組織改正により、本社機能を、グループ全体を統括するグローバルヘッドオフィス(GHO)として位置付け、 その機能の集約・強化を図ります。また、事業の運営と成長を担う事業部門を地域別に4つに分割し、日本事業(国内ベビー・ママ事業、ヘルスケア・介護事業、子育て支援事業)、中国事業、シンガポール事業およびランシノ事業として、その役割と責任を明確にし、グローバルヘッドオフィスと連携しつつ、永続的な成長の実現を図ります。
なお、当社グループにおける事業継続計画については、既に構築されておりますグローバルリスクマネジメント体制をより一層充実させてまいります。
また、今後もさらなる経営の健全性と透明性を高めるべく、コンプライアンス体制をはじめとする内部統制システムの徹底を図り、コーポレートガバナンスを強化してまいります。
(4)株式会社の支配に関する基本方針
当社は、2008年3月6日開催の取締役会において、当社の企業価値及び株主共同の利益を確保・向上させることを目的として、当社の会社の支配に関する基本方針(以下「本基本方針」といいます。)を定め、本基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取り組みの一つとして、2008年4月28日開催の第51期定時株主総会の決議により承認を得て、「当社株式の大規模買付行為に関する対応策(買収防衛策)」(以下「本プラン」といいます。)を導入しておりましたが、法制度の改正等により株式の大規模買付行為に関する手続が一部整備された状況も勘案し、中期経営計画を着実に実行していくことこそが、当社の企業価値ひいては株主共同の利益の確保・向上に繋がるものと判断し、2011年3月7日開催の取締役会の決議により、2011年4月27日開催の第54期定時株主総会終結の時をもって本基本方針を廃止し、本プランは有効期限が満了いたしました。
なお、当社は、本プランの有効期間満了後も引き続き、当社株式の取引や異動の状況を把握し、万一大規模買付行為を行う者(以下「大規模買付者」といいます。)が出現した場合、当社の社外取締役及び社外監査役並びに社外専門家等の意見等を慎重に考慮のうえ、当該大規模買付者の提案内容の評価を行い、必要に応じて当該大規模買付者との交渉を行うものとしております。さらに、もし速やかな措置を講じなければ、当社の企業価値及び株主共同の利益を毀損する恐れがあると合理的に判断されるときには、株主の皆様から経営を負託された当社取締役会の当然の責務として、大規模買付者に対して情報開示を積極的に求め、株主の皆様が適切な判断を行うための情報と時間の確保に努めるとともに、必要に応じて会社法、金融商品取引法その他関係法令の許容する範囲内において最も適切と考えられる具体的な対抗策の要否及び内容等を速やかに決定し、実行する措置を講じることにより、当社の企業価値及び株主共同の利益の確保に努めてまいります。