有価証券報告書-第42期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

【提出】
2021/06/23 11:59
【資料】
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【項目】
141項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、ゲームというエンターテインメントを通じて「遊文化」をクリエイトし、多くの人に「感動」を与えるソフト開発をメインとする「感性開発企業」を経営理念としております。また、当社株主、顧客および従業員などステークホルダーの満足度向上や信頼構築に努めるとともに、共存共栄を基軸とした経営展開を図っております。
(2) 目標とする経営指標
当社グループは、事業の継続的な拡大を通じて、企業価値を向上させていくことを経営の目標としております。
経営指標として「毎期10%営業利益増益」の中期経営目標に加え、現金の動きを把握するキャッシュ・フロー経営を重視するとともに、資本効率の観点から、ROE(自己資本利益率)向上による企業価値の増大に努めてまいります。また、連結配当性向について、将来の事業展開や経営環境の変化などを勘案のうえ、30%を基本方針とし、かつ安定配当の継続に努めてまいります。
(3) 経営環境および中長期的な会社の経営戦略
通信規格の高速大容量化への移行、コンテンツの提供チャネルの増加、デバイスの多様化、グローバルベースでのユーザーの拡大など、大きく環境が変化しつつある状況下、成長シナリオを進めていくためには、環境の変化に影響を受けることなく安定した利益の確保ができる企業体質の確立が経営の重要課題と認識しております。
当社は、IPの積極的な活用により、グローバルでのさらなるブランド価値向上とユーザー数の拡大に努め、主力事業のデジタルコンテンツ事業を成長させ、中期経営目標の「毎期10%営業利益増益」の達成に取り組んでまいります。
具体的には、開発人員の増強と開発環境の整備を図り、主要IPの活用と新規IPの創出によりパイプラインの拡充に努めてまいります。また、新作タイトルの継続的な投入とリピートタイトルのデジタル販売強化により、総販売本数の増加に注力してまいります。
(4) 優先的に対処すべき事業上および財務上の課題
上記(3)を推進するため、以下の課題に取り組んでまいります。
①次期の事業別戦略
次期においても新型コロナウイルス感染症の影響は予測し難い面が多くありますが、上記(3)の戦略に基づき以下の点を中心に取り組んでまいります。
ア.デジタルコンテンツ事業
当事業におきましては、当期発売の『モンスターハンターライズ』および『バイオハザード RE:3』等リピートタイトルの販売の促進に加えて、次期は主力シリーズの最新作『バイオハザード ヴィレッジ』(プレイステーション 5、プレイステーション 4、Xbox Series X|S、Xbox One、パソコン用)や『モンスターハンターストーリーズ2 ~破滅の翼~』(Nintendo Switch、パソコン用)などを投入し、収益の最大化に努めてまいります。
イ.アミューズメント施設事業
当事業におきましては、新業態店舗の展開を継続し、引き続き機動的な「スクラップ・アンド・ビルド」に取り組み効率的な店舗出店、運営を進めてまいります。
次期は出店3店舗、退店1店舗を予定しております。
ウ.アミューズメント機器事業
当事業におきましては、人気IPを活用し、業界での自主規制への変化に対応した筐体を適宜投入してまいります。
次期は4機種の投入により販売台数28千台を予定しております。
エ.その他事業
その他事業につきましては、コンテンツの映像化や他業種とのコラボレーションを通じ、ブランド価値の最大化に努めてまいります。また、eスポーツビジネスにおいてはより多くの方々に参画していただけるよう、オンライン大会のさらなる活用を進め、グローバル規模での裾野拡大を一層積極化してまいります。
②コーポレート・ガバナンスに関する取組み
当社は持続的な成長のためには取締役会の多様性確保が重要であると認識しており、性別、国籍、年齢等に関係なく、人格および識見に基づいて候補者を選定し、「多様な視点」「豊富な経験」「多様かつ特化した高度なスキル」を持ったメンバーで構成するよう努めております。
加えて、当社は創業者のリーダーシップのもと強固な経営基盤と当社独自の開発体制、ビジネスモデルを強みとしております。また、任意の委員会を含めた社外取締役の積極的な参画により取締役会の監督機能を強化するなど、コーポレート・ガバナンスの向上に努めております。
そのうえで、さらなる取締役会の機能強化のため、当期は取締役会の実効性評価を行いました。実施に当たっては取締役全員を対象に個別アンケートやインタビューなど、個々の意見を求めやすい方法で実施し、その分析結果をもとに意見交換を行いました。
その結果、今回の実効性評価において、当社取締役会の実効性は確保されているとの結果が得られるとともに、以下のような経営の監督機能強化に向けた新たな課題を確認することができました。今後も、当社取締役会の強みを活かすとともに、課題への理解を深め、さらなる機能向上に努めてまいります。
主な課題改善策と今後の方針について
コーポレート・ガバナンスの機能強化ガバナンスをテーマとした議論および意見交換の機会の
さらなる拡充
コミュニケーションの質・量の維持・向上取締役会への議案上程に関する基準および規則の精査と
見直し
取締役会における審議活性のための効率的な資料提供

③情報セキュリティの強化への取組み
近年の個人情報管理体制等の重要性に鑑み、情報漏洩の未然防止やEUの「一般データ保護規則(GDPR)」対応など、国内外の様々なサイバーリスクの対策が不可欠です。この一環としてコンピュータウイルスや不正アクセス等、外部からのサイバー攻撃による情報システムの機能不全や混乱を防ぐため、専門知識を有する人材の確保、育成や社内教育の徹底、定期的なチェックなどにより、情報セキュリティ体制の強化に取り組んでおります。
しかしながら、これらの取組みにもかかわらず、2020年11月に当社への不正アクセス攻撃が確認され、個人情報および企業情報の流出が判明いたしました。このような事態を受けて、当社は、外部の専門企業の協力のもと不正アクセスおよび情報流出に関する調査を進めるとともに、外部の専門家から成るアドバイザリー組織「セキュリティ監督委員会」を設置し、指導・助言を得て再発防止に向けた種々のセキュリティ強化策を講じております。
今後も同委員会の協力のもと、継続的に運営・監視機能および情報セキュリティのさらなる強化に取り組んでまいります。
④人材の確保、育成
当社は、事業環境の変化に則して多様な人材を見出し、性別、国籍、年齢等に関係なく採用や評価等を行っており、先進的かつ独創性のある人材確保などに注力しております。さらに、優秀な人材への育成、確保に向けて階層別研修を充実させるなど、環境の変化に対応した人事制度や適材適所の配置等を行っております。
⑤政策保有株式に対する基本方針
当社は、政策保有株式について慣例的な相互保有や人的関係の情実等を排除しております。将来の取引関係や持続的な企業価値の向上に資するか否かなど、中長期的な観点から得失等を総合的に勘案のうえ、現状最小限の3銘柄のみ保有しており、当期末現在の当該政策保有株式の保有額は、純資産の0.5%未満であります。
なお、継続して保有する基準として、簿価が50%以上下落した場合や保有先の企業価値が著しく毀損するなど持続して保有する経済合理性が乏しいと判断した場合は、経済情勢等を勘案のうえ、当該保有先との対話を経て、適切な時期に削減や売却を行います。
銘柄保有目的当社株式の
保有の有無
株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループ円滑な取引を維持するため
株式会社みずほフィナンシャルグループ円滑な取引を維持するため
イオンモール株式会社円滑な取引を維持するため

⑥ESG、SDGsへの取組み
当社は、「遊文化をクリエイトする感性開発企業」の企業理念のもと、これまでもコンテンツのデジタル販売推進に取り組み、ディスク製造に伴う環境負荷への削減に貢献することを目指してまいりました。今後も現在問題提起されている気候変動をはじめとする社会の共通課題の解決に積極的に取り組んでまいります。そうした観点からSDGsが掲げる持続可能な社会づくりの目標を踏まえ、以下のESGへの取組みを推進し、ステークホルダーの皆様との信頼関係を構築しながら、持続的な成長を図ってまいります。
E(環境)当社グループは、事業が及ぼす気候変動への負の影響[CO2・GHG(温室効果ガス)排出等]を最小化するとともに、汚染、資源利用などに対し、照明のLED化や販売ソフトのデジタル化の推進による資源の削減を図っておりますが、引き続き取組みを進めてまいります。
S(社会)人権の尊重と人種、宗教、性別、年齢、性的指向、障害、国籍などによる差別の禁止、弱者保護による不平等の排除を徹底し、従業員が働きやすい環境を作り、人材の確保および育成を推し進めるほか、貧困で困窮する子供たちの健全育成を願い支援活動を行うなど、地域社会・顧客との健全な関係の構築に向けた取組みを進めてまいります。
G(ガバナンス)経営の透明性、健全性を高めるとともに、環境の変化に対応できる体制の構築に努め、任意の委員会の活用などコーポレート・ガバナンスの機能強化による企業価値向上を図っておりますが、今後も株主、顧客および従業員などステークホルダーの皆様のご期待に応えられるよう取組みを進めてまいります。