訂正有価証券報告書-第52期(2024/01/01-2024/12/31)
(1)経営成績等の状況の概要
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当社における事業環境は、電子工業分野では、半導体関連の製造装置メーカー、電子材料関連及び電子部品メーカーのクリーンエアーシステムの設備投資計画が引続き堅調であり、受注残は高水準を維持しております。一方、バイオロジカル分野においては、研究用及び再生医療用クリーンルームの他、製薬分野における設備投資が堅調でしたが、感染症対策機器の販売が減少しました。
営業面におきましては、販売代理店向けの製品説明会をウェビナー方式にて6月20日に実施し、全国の電子・バイオ分野の代理店へ配信し多くの方々に視聴していただきました。展示会についても積極的に取組み、「第10回 インターフェックスWeek 大阪(3月)」、「FOOMA JAPAN 2024(6月)」、「第26回インターフェックスWeek 東京(6月)」、「SEMICON JAPAN 2024(12月)」にて、「再生医療用クリーンルーム」、「クリーンブース」の他、脱炭素社会に貢献する低消費電力を特徴とした新製品等を拡販しました。また、海外においても「SEMICON CHINA(中国、3月)」、「中国国際製薬機械博覧会(CIPM)(中国、5月)」、「ACHEMA(ドイツ、6月)」等の展示会に出展しました。 当社の脱炭素社会実現への総合的な取組みにつきましては、越谷工場へ太陽光発電・蓄電池設備を設置(6月)したことに加え、GHG 排出量の算定をより精緻なものとするための取組みを進めております。また、エアーシャワー等の製品におけるカーボンフットプリントをクリーンルーム業界で初めて発表し、引続き指標と目標の検討を進め適宜開示する予定です。
当社は2024年11月13日に開示しました「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた当社の対応について」に記載のとおり、事業成長と収益性の向上を図る各種方策に取組み、ROE、PER双方の改善によりPBR向上を目指しております。中期経営計画(最終年度 2028年12月期)を推進し、その結果としてROE7%以上とすることを目標としております。その施策の一環として、同日に450,000 株及び6億円を上限とした自己株式取得を公表し、2024年12月31日までに318,200株(3億94百万円)を取得しており、総還元性向は79.3%となりました。さらに同日、「赤城スマートファクトリー第2工場(仮称)」の建設についても公表しました。赤城スマートファクトリー用地内に2026年12月を目標に、組立工場兼倉庫(2階建、床面積 8,680㎡)を建設し、工場機器生産能力の増強及び倉庫賃借料の削減と物流効率の改善を目標としております。総工費は約16億円を見込んでおります。また、2024年3月28日の発行決議により従業員持株会向け譲渡制限付株式インセンティブとして、6月21日に14,370株の新株式発行を完了しております。
製品別の販売状況は、「エアーシャワー」、「パスボックス」等の半導体・電子工業及び自動車分野向け製品が増加しました。また、「クリーンパーティション」、「SS-MAC」、「安全キャビネット」等の機器及び「クリーンルーム」が減少したため、わずかな減収となりました。
収益面におきましては、原価低減及び経費削減に加え販売価格の改定により全般的なコスト増加分の回収に努めた結果、「クリーンルーム機器」、「据付・保守サービス」等の利益率が向上し、営業利益、海外からの配当金等を加えた経常利益、当期純利益はいずれも前期比増加となりました。
以上の結果、当事業年度における業績は、売上高135億17百万円(前期比0.9%減)、営業利益10億98百万円(同55.3%増)、経常利益15億29百万円(同51.4%増)、当期純利益は11億37百万円(同55.4%増)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、前事業年度末に比べ25億円減少し、21億92百万円となりました。
各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度の営業活動において減少した資金は、6億67百万円(前年同期は4億54百万円の収入)となりました。主な内訳は、税引前当期純利益15億35百万円、売上債権及び契約資産の増加3億86百万円、棚卸資産の増加3億65百万円、仕入債務の減少16億16百万円及び法人税等の支払額2億9百万円となります。なお、仕入債務の減少は取引先への支払サイト短縮の影響等によります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度の投資活動において使用した資金は、8億84百万円(前年同期比1億9百万円の支出増)となりました。主な内訳は、定期預金の預入による支出6億71百万円、定期預金の払戻による収入8億18百万円、草加多目的センターの建設及び伊勢崎工場への板金加工設備導入等有形固定資産の取得による支出10億2百万円となります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度の財務活動において使用した資金は、9億64百万円(同2億88百万円の支出増)となりました。主な内訳は、配当金の支払額6億20百万円、自己株式の取得による支出3億94百万円となります。
③ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
(注)金額は販売価格で表示しております。
b.商品仕入実績
c.受注実績
(注)金額は販売価格で表示しております。
d.販売実績
(注)上記の金額には、輸出販売額87,771千円を含んでおります。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成に当たりましては、決算日における資産・負債の報告数値及び報告期間における収益・費用の報告数値に影響を与える見積り及び判断を行っております。過去の実績や状況に応じて合理的と考えられる様々な要因に基づき見積り及び判断を行っておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性により、これらと異なる場合があります。
なお、財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは、第5[経理の状況]1[財務諸表等](1)財務諸表[注記事項](重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。
② 当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.当事業年度の業績全般の概況
当期の概況は、第2[事業の状況]4[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析](1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況に記載のとおりであります。当期は、半導体・電子工業及び自動車分野向け「クリーンルーム機器」の販売が増加し、感染症対策機器や安全キャビネット等の「バイオロジカリー機器」及び「クリーンルーム」の販売が減少したため、わずかな減収となりました。収益面では、原価低減及び経費削減に加え販売価格の改定により全般的なコスト増加分の回収に努めた結果、「クリーンルーム機器」、「据付・保守サービス」等の利益率が向上し、営業利益が増加しました。海外関係会社等からの受取配当金等が3億97百万円と想定を上回った結果、経常利益及び当期純利益ともに増益となりました。
b.当事業年度の品目別の概況
クリーンルーム
「クリーンルーム」は、感染症研究関連のクリーンルーム及び再生医療分野の細胞加工用クリーンルーム等が堅調でしたが、電子部品製造関連クリーンルームが減少したことにより、全体での売上高は前期比15.0%の減少となりました。
クリーンルーム機器
半導体・電子分野及び自動車分野の設備投資が活発であり、「エアーシャワー」、「パスボックス」が増加したことにより全体での売上高は前期比13.7%の増加となりました。
クリーンブース
半導体・電子分野の設備投資が活発であり各種クリーンブースが増加し、全体での売上高は前期比2.0%の増加となりました。
クリーンベンチ
標準的な「クリーンベンチ」の売上が増加し、全体での売上高は前期比28.1%の増加となりました。
バイオロジカリー機器
製薬分野向け「安全キャビネット」及び感染症対策用機器が減少し、全体での売上高は前期比49.7%の減少となりました。
据付・保守サービス
搬入・据付作業を伴う「エアーシャワー」、「パスボックス」が増加したことにより、全体での売上高は前期比15.7%の増加となりました。
その他の製品
半導体・電子分野向けの製品が増加し、全体の売上高は前期比8.8%の増加となりました。
クリーンサプライ商品
クリーンルーム内で使用される「棚及び作業台」、「滅菌済み消耗品」等の売上が増加し、全体の売上高は前期比14.9%の増加となりました。
③ 目標とする経営指標の達成状況等
当期の営業利益は、2024年8月8日発表の業績予想値の9億30百万円に対し、10億98百万円(予想値増減比18.1%増)となりました。主な要因は、原価低減及び経費削減に加え販売価格の改定により全般的なコスト増加分の回収に努めた結果、「クリーンルーム機器」、「据付・保守サービス」等の利益率が向上したことによるものです。経常利益は同業績予想値の13億10百万円に対し、15億29百万円(予想値増減比16.8%増)となりました。主な要因は、海外関係会社等よりの受取配当金が予想値を上回ったことによるものです。その結果、当期のROEは8.0%となりました。
④ 次期の見通し
2025年度における経営環境は、地域紛争による国際情勢不安定化や米国新大統領就任に伴う政策変更及び円安等に伴う原材料価格の高止まり等により、依然として不透明な状況にあります。世界的に気候変動、環境問題が深刻化しており、地球環境への配慮と持続的な企業成長を両立させるようサステナビリティへの積極的な取組みが必要とされています。また国内では、賃金アップによる人件費と採用コストの増加に加え、社会全般の働き方改革の流れ等により、コストを売価へ転嫁するインフレ傾向が継続すると予想されます。
次期の営業活動においては、世界的にAIに代表される半導体への大型投資が継続され、国内でも製造装置会社、半導体関連の部品・素材供給会社及び製薬・再生医療関連の投資は好調が見込まれます。また、2050年までのカーボンニュートラル実現に向けGHG排出量に関する公表が進んでおり、各種設備及び機器の省エネルギー化対策推進を目的とした設備投資の増加が見込まれます。このような背景により全体としては回復傾向が予想されております。
電子工業分野では、半導体製造関連の新工場建設及び既存設備の拡充等による設備投資が高い水準にて継続することが見込まれます。脱炭素対応として省電力機器の新規導入や老朽化した設備の入替需要も見込まれます。また、バイオロジカル分野では、製薬工業分野、感染症研究分野の設備投資及び再生医療、食品分野等への設備投資が堅調に推移すると見込まれます。しかしながら、2025年度の売上予定案件の工事が想定より早く進行し2024年度の売上に取込まれたことにより、2025年度の売上目標は前年と同額といたしました。クリーンルーム、クリーンルーム機器、クリーンブースの3品目の需要が好調でありますので、これらの売上増加及び販売コストの回収に向けた全般的な価格改定による営業利益増加にも注力し、業績拡大に努めてまいります。
以上により、通期の売上高は135億円(当期比0.1%減)、営業利益は10億50百万円(当期比4.4%減)、経常利益13億50百万円(当期比11.7%減)、当期純利益は9億70百万円(当期比14.7%減)を見込んでおります。
(注)本業績見通しは、現在入手可能な情報から得られた当社経営者の判断に基づき作成しております。実際の業績は今後様々な要因により本業績見通しと異なる可能性があります。
(3)当事業年度の財政状態
a. 資産、負債及び純資産の状況
(資産)
当事業年度末における総資産は185億12百万円であり、前事業年度末に比べ10億76百万円(前期比5.5%)の減少となりました。
流動資産は118億65百万円であり、前事業年度末に比べ18億89百万円(同13.7%)の減少となりました。主な内訳は、現金及び預金26億40百万円の減少、電子記録債権3億21百万円の増加及び棚卸資産3億65百万円の増加となります。なお、現金及び預金の減少は取引先への支払サイト短縮の影響等によります。
固定資産は66億47百万円であり、前事業年度末に比べ8億12百万円(同13.9%)の増加となりました。主な内訳は、草加多目的センターの建設及び伊勢崎工場への板金加工設備導入等による有形固定資産8億17百万円の増加となります。
(負債)
当事業年度末における負債は42億11百万円であり、前事業年度末に比べ12億70百万円(同23.2%)の減少となりました。
流動負債は35億97百万円であり、前事業年度末に比べ10億93百万円(同23.3%)の減少となりました。主な内訳は、電子記録債務13億9百万円の減少、未払法人税等1億80百万円の増加となります。なお、電子記録債務の減少は取引先への支払サイト短縮の影響等によります。
固定負債は6億13百万円であり、前事業年度末に比べ1億76百万円(同22.4%)の減少となりました。主な内訳は、長期借入金1億2百万円の減少及び退職給付引当金79百万円の減少となります。
(純資産)
純資産は143億1百万円であり、前事業年度末に比べ1億94百万円(同1.4%)の増加となりました。主な内訳は、配当金6億26百万円の利益処分による減少、当期純利益11億37百万円の計上及び自己株式3億94百万円の取得による減少となります。
b. キャッシュ・フローの状況
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況及び要因につきましては、 第2[事業の状況] 4[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析] (1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況の分析・検討並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報をご参照ください。
なお、キャッシュ・フロー関連指標の推移は以下のとおりです。
(注)自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
※ 各指標は、いずれも財務数値により算出しております。
※ 株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。
※ 有利子負債は、貸借対照表に計上されている負債のうち、利子を払っている全ての負債(リース債務を除く)を対象としております。
※ 利払いについては、キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
(4)資本の財源及び資金の流動性
当社の手元資金活用方法の基本的な考え方は、生産性向上を目的とした設備投資及び顧客ニーズに合致した製品開発投資に備えることであり、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としております。
なお、当事業年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は5億43百万円となっております。また、当事業年度末における現金及び現金同等物の残高は21億92百万円となっております。
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当社における事業環境は、電子工業分野では、半導体関連の製造装置メーカー、電子材料関連及び電子部品メーカーのクリーンエアーシステムの設備投資計画が引続き堅調であり、受注残は高水準を維持しております。一方、バイオロジカル分野においては、研究用及び再生医療用クリーンルームの他、製薬分野における設備投資が堅調でしたが、感染症対策機器の販売が減少しました。
営業面におきましては、販売代理店向けの製品説明会をウェビナー方式にて6月20日に実施し、全国の電子・バイオ分野の代理店へ配信し多くの方々に視聴していただきました。展示会についても積極的に取組み、「第10回 インターフェックスWeek 大阪(3月)」、「FOOMA JAPAN 2024(6月)」、「第26回インターフェックスWeek 東京(6月)」、「SEMICON JAPAN 2024(12月)」にて、「再生医療用クリーンルーム」、「クリーンブース」の他、脱炭素社会に貢献する低消費電力を特徴とした新製品等を拡販しました。また、海外においても「SEMICON CHINA(中国、3月)」、「中国国際製薬機械博覧会(CIPM)(中国、5月)」、「ACHEMA(ドイツ、6月)」等の展示会に出展しました。 当社の脱炭素社会実現への総合的な取組みにつきましては、越谷工場へ太陽光発電・蓄電池設備を設置(6月)したことに加え、GHG 排出量の算定をより精緻なものとするための取組みを進めております。また、エアーシャワー等の製品におけるカーボンフットプリントをクリーンルーム業界で初めて発表し、引続き指標と目標の検討を進め適宜開示する予定です。
当社は2024年11月13日に開示しました「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた当社の対応について」に記載のとおり、事業成長と収益性の向上を図る各種方策に取組み、ROE、PER双方の改善によりPBR向上を目指しております。中期経営計画(最終年度 2028年12月期)を推進し、その結果としてROE7%以上とすることを目標としております。その施策の一環として、同日に450,000 株及び6億円を上限とした自己株式取得を公表し、2024年12月31日までに318,200株(3億94百万円)を取得しており、総還元性向は79.3%となりました。さらに同日、「赤城スマートファクトリー第2工場(仮称)」の建設についても公表しました。赤城スマートファクトリー用地内に2026年12月を目標に、組立工場兼倉庫(2階建、床面積 8,680㎡)を建設し、工場機器生産能力の増強及び倉庫賃借料の削減と物流効率の改善を目標としております。総工費は約16億円を見込んでおります。また、2024年3月28日の発行決議により従業員持株会向け譲渡制限付株式インセンティブとして、6月21日に14,370株の新株式発行を完了しております。
製品別の販売状況は、「エアーシャワー」、「パスボックス」等の半導体・電子工業及び自動車分野向け製品が増加しました。また、「クリーンパーティション」、「SS-MAC」、「安全キャビネット」等の機器及び「クリーンルーム」が減少したため、わずかな減収となりました。
収益面におきましては、原価低減及び経費削減に加え販売価格の改定により全般的なコスト増加分の回収に努めた結果、「クリーンルーム機器」、「据付・保守サービス」等の利益率が向上し、営業利益、海外からの配当金等を加えた経常利益、当期純利益はいずれも前期比増加となりました。
以上の結果、当事業年度における業績は、売上高135億17百万円(前期比0.9%減)、営業利益10億98百万円(同55.3%増)、経常利益15億29百万円(同51.4%増)、当期純利益は11億37百万円(同55.4%増)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、前事業年度末に比べ25億円減少し、21億92百万円となりました。
各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度の営業活動において減少した資金は、6億67百万円(前年同期は4億54百万円の収入)となりました。主な内訳は、税引前当期純利益15億35百万円、売上債権及び契約資産の増加3億86百万円、棚卸資産の増加3億65百万円、仕入債務の減少16億16百万円及び法人税等の支払額2億9百万円となります。なお、仕入債務の減少は取引先への支払サイト短縮の影響等によります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度の投資活動において使用した資金は、8億84百万円(前年同期比1億9百万円の支出増)となりました。主な内訳は、定期預金の預入による支出6億71百万円、定期預金の払戻による収入8億18百万円、草加多目的センターの建設及び伊勢崎工場への板金加工設備導入等有形固定資産の取得による支出10億2百万円となります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度の財務活動において使用した資金は、9億64百万円(同2億88百万円の支出増)となりました。主な内訳は、配当金の支払額6億20百万円、自己株式の取得による支出3億94百万円となります。
③ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
区分 | 金額(千円) | 前年同期比(%) |
クリーンルーム | 1,300,386 | 85.2 |
クリーンルーム機器 | 4,636,479 | 116.6 |
クリーンブース | 2,549,598 | 113.8 |
クリーンベンチ | 263,963 | 156.8 |
バイオロジカリー機器 | 1,082,834 | 49.6 |
据付・保守サービス | 3,287,711 | 118.0 |
その他の製品 | 495,867 | 111.9 |
計 | 13,616,840 | 102.2 |
(注)金額は販売価格で表示しております。
b.商品仕入実績
区分 | 金額(千円) | 前年同期比(%) |
クリーンサプライ商品 | 274,374 | 116.8 |
計 | 274,374 | 116.8 |
c.受注実績
区分 | 受注高(千円) | 前年同期比(%) | 受注残高(千円) | 前年同期比(%) |
製品 | ||||
クリーンルーム | 1,796,857 | 157.4 | 1,002,008 | 201.4 |
クリーンルーム機器 | 4,564,163 | 126.4 | 1,725,519 | 107.5 |
クリーンブース | 2,128,817 | 95.4 | 725,762 | 70.1 |
クリーンベンチ | 251,346 | 128.5 | 72,918 | 134.8 |
バイオロジカリー機器 | 1,323,314 | 77.9 | 521,210 | 195.4 |
据付・保守サービス | 3,298,475 | 122.2 | 998,985 | 109.4 |
その他の製品 | 446,201 | 98.6 | 273,763 | 83.7 |
小計 | 13,809,176 | 114.8 | 5,320,167 | 113.2 |
商品 | ||||
クリーンサプライ商品 | 365,013 | 119.2 | 81,730 | 180.8 |
小計 | 365,013 | 119.2 | 81,730 | 180.8 |
合計 | 14,174,190 | 114.9 | 5,401,897 | 113.8 |
(注)金額は販売価格で表示しております。
d.販売実績
区分 | 金額(千円) | 前年同期比(%) |
製品 | ||
クリーンルーム | 1,292,493 | 85.0 |
クリーンルーム機器 | 4,444,033 | 113.7 |
クリーンブース | 2,438,846 | 102.0 |
クリーンベンチ | 232,539 | 128.1 |
バイオロジカリー機器 | 1,068,876 | 50.3 |
据付・保守サービス | 3,212,997 | 115.7 |
その他の製品 | 499,505 | 108.8 |
小計 | 13,189,291 | 98.7 |
商品 | ||
クリーンサプライ商品 | 328,482 | 114.9 |
小計 | 328,482 | 114.9 |
合計 | 13,517,774 | 99.1 |
(注)上記の金額には、輸出販売額87,771千円を含んでおります。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成に当たりましては、決算日における資産・負債の報告数値及び報告期間における収益・費用の報告数値に影響を与える見積り及び判断を行っております。過去の実績や状況に応じて合理的と考えられる様々な要因に基づき見積り及び判断を行っておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性により、これらと異なる場合があります。
なお、財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは、第5[経理の状況]1[財務諸表等](1)財務諸表[注記事項](重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。
② 当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
売上高 (百万円) | 営業利益 (百万円) | 経常利益 (百万円) | 当期純利益 (百万円) | 1株当たり 当期純利益 (円) | 自己資本 当期純利益率 (%) | |
2024年12月期 | 13,517 | 1,098 | 1,529 | 1,137 | 109.75 | 8.0 |
2023年12月期 | 13,646 | 707 | 1,010 | 731 | 70.85 | 5.2 |
増減率(%) | △0.9 | 55.3 | 51.4 | 55.4 | 54.9 | 2.8pt |
a.当事業年度の業績全般の概況
当期の概況は、第2[事業の状況]4[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析](1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況に記載のとおりであります。当期は、半導体・電子工業及び自動車分野向け「クリーンルーム機器」の販売が増加し、感染症対策機器や安全キャビネット等の「バイオロジカリー機器」及び「クリーンルーム」の販売が減少したため、わずかな減収となりました。収益面では、原価低減及び経費削減に加え販売価格の改定により全般的なコスト増加分の回収に努めた結果、「クリーンルーム機器」、「据付・保守サービス」等の利益率が向上し、営業利益が増加しました。海外関係会社等からの受取配当金等が3億97百万円と想定を上回った結果、経常利益及び当期純利益ともに増益となりました。
b.当事業年度の品目別の概況
区分 | 売 上 高(百万円) | 売 上 総 利 益(百万円) | ||||
2023年12月期 | 2024年12月期 | 増 減 | 2023年12月期 | 2024年12月期 | 増 減 | |
クリーンルーム | 1,520 | 1,292 | △228 | 126 | 145 | 19 |
クリーンルーム機器 | 3,907 | 4,444 | 536 | 753 | 1,044 | 290 |
クリーンブース | 2,390 | 2,438 | 48 | 675 | 674 | △1 |
クリーンベンチ | 181 | 232 | 51 | 35 | 60 | 25 |
バイオロジカリー機器 | 2,123 | 1,068 | △1,054 | 523 | 281 | △241 |
据付・保守サービス | 2,777 | 3,212 | 435 | 859 | 1,153 | 293 |
その他の製品 | 459 | 499 | 40 | 77 | 88 | 11 |
製品小計 | 13,360 | 13,189 | △171 | 3,051 | 3,449 | 397 |
クリーンサプライ商品 | 285 | 328 | 42 | 40 | 48 | 8 |
合計 | 13,646 | 13,517 | △128 | 3,091 | 3,497 | 405 |
クリーンルーム
「クリーンルーム」は、感染症研究関連のクリーンルーム及び再生医療分野の細胞加工用クリーンルーム等が堅調でしたが、電子部品製造関連クリーンルームが減少したことにより、全体での売上高は前期比15.0%の減少となりました。
クリーンルーム機器
半導体・電子分野及び自動車分野の設備投資が活発であり、「エアーシャワー」、「パスボックス」が増加したことにより全体での売上高は前期比13.7%の増加となりました。
クリーンブース
半導体・電子分野の設備投資が活発であり各種クリーンブースが増加し、全体での売上高は前期比2.0%の増加となりました。
クリーンベンチ
標準的な「クリーンベンチ」の売上が増加し、全体での売上高は前期比28.1%の増加となりました。
バイオロジカリー機器
製薬分野向け「安全キャビネット」及び感染症対策用機器が減少し、全体での売上高は前期比49.7%の減少となりました。
据付・保守サービス
搬入・据付作業を伴う「エアーシャワー」、「パスボックス」が増加したことにより、全体での売上高は前期比15.7%の増加となりました。
その他の製品
半導体・電子分野向けの製品が増加し、全体の売上高は前期比8.8%の増加となりました。
クリーンサプライ商品
クリーンルーム内で使用される「棚及び作業台」、「滅菌済み消耗品」等の売上が増加し、全体の売上高は前期比14.9%の増加となりました。
③ 目標とする経営指標の達成状況等
当期の営業利益は、2024年8月8日発表の業績予想値の9億30百万円に対し、10億98百万円(予想値増減比18.1%増)となりました。主な要因は、原価低減及び経費削減に加え販売価格の改定により全般的なコスト増加分の回収に努めた結果、「クリーンルーム機器」、「据付・保守サービス」等の利益率が向上したことによるものです。経常利益は同業績予想値の13億10百万円に対し、15億29百万円(予想値増減比16.8%増)となりました。主な要因は、海外関係会社等よりの受取配当金が予想値を上回ったことによるものです。その結果、当期のROEは8.0%となりました。
④ 次期の見通し
2025年度における経営環境は、地域紛争による国際情勢不安定化や米国新大統領就任に伴う政策変更及び円安等に伴う原材料価格の高止まり等により、依然として不透明な状況にあります。世界的に気候変動、環境問題が深刻化しており、地球環境への配慮と持続的な企業成長を両立させるようサステナビリティへの積極的な取組みが必要とされています。また国内では、賃金アップによる人件費と採用コストの増加に加え、社会全般の働き方改革の流れ等により、コストを売価へ転嫁するインフレ傾向が継続すると予想されます。
次期の営業活動においては、世界的にAIに代表される半導体への大型投資が継続され、国内でも製造装置会社、半導体関連の部品・素材供給会社及び製薬・再生医療関連の投資は好調が見込まれます。また、2050年までのカーボンニュートラル実現に向けGHG排出量に関する公表が進んでおり、各種設備及び機器の省エネルギー化対策推進を目的とした設備投資の増加が見込まれます。このような背景により全体としては回復傾向が予想されております。
電子工業分野では、半導体製造関連の新工場建設及び既存設備の拡充等による設備投資が高い水準にて継続することが見込まれます。脱炭素対応として省電力機器の新規導入や老朽化した設備の入替需要も見込まれます。また、バイオロジカル分野では、製薬工業分野、感染症研究分野の設備投資及び再生医療、食品分野等への設備投資が堅調に推移すると見込まれます。しかしながら、2025年度の売上予定案件の工事が想定より早く進行し2024年度の売上に取込まれたことにより、2025年度の売上目標は前年と同額といたしました。クリーンルーム、クリーンルーム機器、クリーンブースの3品目の需要が好調でありますので、これらの売上増加及び販売コストの回収に向けた全般的な価格改定による営業利益増加にも注力し、業績拡大に努めてまいります。
以上により、通期の売上高は135億円(当期比0.1%減)、営業利益は10億50百万円(当期比4.4%減)、経常利益13億50百万円(当期比11.7%減)、当期純利益は9億70百万円(当期比14.7%減)を見込んでおります。
(注)本業績見通しは、現在入手可能な情報から得られた当社経営者の判断に基づき作成しております。実際の業績は今後様々な要因により本業績見通しと異なる可能性があります。
(3)当事業年度の財政状態
a. 資産、負債及び純資産の状況
(資産)
当事業年度末における総資産は185億12百万円であり、前事業年度末に比べ10億76百万円(前期比5.5%)の減少となりました。
流動資産は118億65百万円であり、前事業年度末に比べ18億89百万円(同13.7%)の減少となりました。主な内訳は、現金及び預金26億40百万円の減少、電子記録債権3億21百万円の増加及び棚卸資産3億65百万円の増加となります。なお、現金及び預金の減少は取引先への支払サイト短縮の影響等によります。
固定資産は66億47百万円であり、前事業年度末に比べ8億12百万円(同13.9%)の増加となりました。主な内訳は、草加多目的センターの建設及び伊勢崎工場への板金加工設備導入等による有形固定資産8億17百万円の増加となります。
(負債)
当事業年度末における負債は42億11百万円であり、前事業年度末に比べ12億70百万円(同23.2%)の減少となりました。
流動負債は35億97百万円であり、前事業年度末に比べ10億93百万円(同23.3%)の減少となりました。主な内訳は、電子記録債務13億9百万円の減少、未払法人税等1億80百万円の増加となります。なお、電子記録債務の減少は取引先への支払サイト短縮の影響等によります。
固定負債は6億13百万円であり、前事業年度末に比べ1億76百万円(同22.4%)の減少となりました。主な内訳は、長期借入金1億2百万円の減少及び退職給付引当金79百万円の減少となります。
(純資産)
純資産は143億1百万円であり、前事業年度末に比べ1億94百万円(同1.4%)の増加となりました。主な内訳は、配当金6億26百万円の利益処分による減少、当期純利益11億37百万円の計上及び自己株式3億94百万円の取得による減少となります。
b. キャッシュ・フローの状況
2023年12月期 | 2024年12月期 | 増 減 | |
営業活動によるキャッシュ・フロー | 454百万円 | △667百万円 | △1,121百万円 |
投資活動によるキャッシュ・フロー | △774百万円 | △884百万円 | △109百万円 |
財務活動によるキャッシュ・フロー | △675百万円 | △964百万円 | △288百万円 |
現金及び現金同等物に係る換算差額 | 15百万円 | 15百万円 | 0百万円 |
現金及び現金同等物の増減額 | △980百万円 | △2,500百万円 | △1,519百万円 |
現金及び現金同等物期末残高 | 4,692百万円 | 2,192百万円 | △2,500百万円 |
借入金期末残高 | 537百万円 | 535百万円 | △2百万円 |
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況及び要因につきましては、 第2[事業の状況] 4[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析] (1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況の分析・検討並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報をご参照ください。
なお、キャッシュ・フロー関連指標の推移は以下のとおりです。
2021年12月期 | 2022年12月期 | 2023年12月期 | 2024年12月期 | |
自己資本比率(%) | 67.2 | 69.6 | 72.0 | 77.3 |
時価ベースの自己資本比率(%) | 61.3 | 55.9 | 64.8 | 61.1 |
キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年) | 0.4 | 2.9 | 1.2 | △0.8 |
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍) | 643.6 | 111.5 | 284.2 | △366.8 |
(注)自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
※ 各指標は、いずれも財務数値により算出しております。
※ 株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。
※ 有利子負債は、貸借対照表に計上されている負債のうち、利子を払っている全ての負債(リース債務を除く)を対象としております。
※ 利払いについては、キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
(4)資本の財源及び資金の流動性
当社の手元資金活用方法の基本的な考え方は、生産性向上を目的とした設備投資及び顧客ニーズに合致した製品開発投資に備えることであり、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としております。
なお、当事業年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は5億43百万円となっております。また、当事業年度末における現金及び現金同等物の残高は21億92百万円となっております。