有価証券報告書-第123期(平成28年4月1日-平成29年3月31日)

【提出】
2017/06/23 14:57
【資料】
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【項目】
62項目

業績等の概要

(1) 業績
当連結会計年度の世界経済は、米国においては堅調な内需を背景に景気が順調に拡大し、中国やアジア・新興国においても減速感はあるものの成長を維持しました。
わが国経済は、個人消費の低迷が続く中、政府の経済政策や日銀の金融政策の効果が下支えし、景気は緩やかながら回復基調で推移しましたが、欧州の政治リスクや米国の政策動向など海外情勢の懸念材料もあり、先行き不透明な状況が継続しました。
このような環境のもと、当社グループは創業130周年に向け更なる成長を実現するための5ヵ年の中期ビジョン「VISION-130」を掲げ取組みを推進しております。経営環境の変化等もあり、3期目にあたる当期初において目標を一部見直しましたが、経営目標につきましては引き続き、「健全な財務体質の維持」と「収益基盤の拡大」の両立としており、当連結会計年度の進捗は次のとおりであります。
収益基盤の拡大につきましては、ICTソリューション分野において、子会社である兼松エレクトロニクス㈱が、実績ある仮想化ソリューションビジネスを幅広く展開、兼松エレクトロニクス㈱グループ各社との融合による効率化とシナジーの追求を推進し、収益の拡大を図りました。モバイル分野においては、携帯電話販売代理店である子会社の兼松コミュニケーションズ㈱に加え、新たに㈱ダイヤモンドテレコムを当社グループに迎え、事業規模を拡大しました。今年4月1日付で両社は合併し、新生兼松コミュニケーションズ㈱としてスタートしております。今後は経営の効率化を図るとともにシナジーを発揮し、収益拡大を目指して参ります。また、宇宙分野では、昨今、小型衛星の打上げ需要が高まる中、小型衛星用ロケットの打上げおよび関連サービスを手がける米国のVectorへの戦略的投資を通じた業務提携について合意しました。食品分野においても、海外における日本食普及による清酒の輸出市場拡大に合わせ、日本の酒蔵と海外バイヤーを直接結ぶ越境ECサイト「SAKE NETWORK」を立ち上げ、清酒の輸出事業を開始するなど、収益基盤拡大に向けた取組みを推進しました。
健全な財務体質の維持につきましては、利益剰余金の積上げ等により親会社の所有者に帰属する持分(自己資本)が増加しました。その結果、親会社所有者帰属持分比率(自己資本比率)は20.9%、ネット有利子負債資本倍率(ネットDER)は0.6倍と、その健全性を維持しました。
当連結会計年度の業績につきましては、収益は、前連結会計年度比72億5百万円(1.1%)増加の6,755億79百万円となりました。売上総利益は、前連結会計年度比139億1百万円(16.1%)増加の1,001億39百万円となりました。営業活動に係る利益は、販売費及び一般管理費の増加やその他の収益・費用の悪化がありましたが、売上総利益の増加に伴い、前連結会計年度比38億61百万円(20.6%)増加の226億33百万円となりました。また、金融費用の増加や持分法による投資損益の悪化等の結果、税引前利益は、前連結会計年度比2億47百万円(1.4%)減少の178億75百万円となり、親会社の所有者に帰属する当期純利益は、前連結会計年度比9億10百万円(10.2%)減少の80億49百万円となりました。
セグメントの業績は、次のとおりであります。
① 電子・デバイス
ICTソリューション事業は、製造業向け取引を中心に好調に推移しました。また、モバイル事業は、年度後半の市況回復を受け堅調に推移しました。一方、半導体部品事業は、苦戦しました。
その結果、電子・デバイスセグメントの収益は前連結会計年度比192億52百万円増加の2,542億80百万円、営業活動に係る利益は36億90百万円増加の143億48百万円となりました。
② 食料
食品事業は、堅調に推移しました。また、畜産事業は、市況の回復を受け、前年度の落ち込みから回復しました。一方、食糧事業は、国内販売価格の下落により苦戦しました。
その結果、食料セグメントの収益は前連結会計年度比51億87百万円増加の2,277億64百万円、営業活動に係る利益は10億62百万円増加の24億89百万円となりました。
③ 鉄鋼・素材・プラント
エネルギー事業は、冬場の堅調な灯油・重油需要により順調に推移しました。また、プラント事業は、工作機械・産業機械関連取引が堅調に推移しました。一方、鉄鋼事業は、原油価格の低迷により主力の油井管事業が苦戦しました。
その結果、鉄鋼・素材・プラントセグメントの収益は前連結会計年度比40億68百万円減少の1,312億1百万円、営業活動に係る利益は5億68百万円減少の28億20百万円となりました。
④ 車両・航空
車両・車載部品事業は、順調に推移しました。一方、航空・宇宙事業は、航空機部品取引が端境期のため低調な推移となりました。
その結果、車両・航空セグメントの収益は前連結会計年度比133億73百万円減少の504億19百万円、営業活動に係る利益は7億41百万円減少の22億23百万円となりました。
⑤ その他
収益は前連結会計年度比2億8百万円増加の119億14百万円、営業活動に係る利益は4億27百万円増加の7億56百万円となりました。
(2) キャッシュ・フロー
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況については、営業活動によるキャッシュ・フローが118億52百万円の収入、投資活動によるキャッシュ・フローが146億91百万円の支出、財務活動によるキャッシュ・フローが69億4百万円の支出となりました。これらに、現金及び現金同等物に係る換算差額を調整した結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は775億66百万円となり、前連結会計年度末比99億円の減少となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、営業収入の積上げ等により、118億52百万円の収入(前連結会計年度は330億24百万円の収入)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、兼松テレコム・インベストメント㈱による㈱ダイヤモンドテレコムとの吸収合併に対する対価として現金を交付したこと等により、146億91百万円の支出(前連結会計年度は42億14百万円の支出)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払いや借入金の返済等により、69億4百万円の支出(前連結会計年度は67億29百万円の支出)となりました。
(3) IFRSと日本基準との差異に関する事項
(収益の表示方法)
日本基準では、当社グループが当事者として行った取引額および当社グループが代理人として関与した取引額を総額で売上高として表示いたしますが、IFRSでは、代理人として関与したと判断される取引については純額で収益を表示いたします。この影響により、IFRSでは日本基準に比べて、収益および原価が前連結会計年度および当連結会計年度において、それぞれ382,772百万円および424,674百万円減少しております。
(のれんの償却)
日本基準では、のれんの償却については、一定の期間で償却いたしますが、IFRSでは償却を行いません。この影響により、IFRSでは日本基準に比べて、のれん償却額(販売費及び一般管理費)が前連結会計年度および当連結会計年度において、748百万円および906百万円減少しております。