有価証券報告書-第111期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

【提出】
2021/06/25 14:10
【資料】
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【項目】
137項目

事業等のリスク

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
当社グループ(当社及び連結子会社)は、リスク管理体制を整備し、以下のリスクを識別した上で、事態の発生の予防・回避及び発生時の対応に真摯に努める所存であります。
なお、文中には、将来に関する事項が含まれておりますが、有価証券報告書提出日(2021年6月25日)現在で当社グループが判断したものであります。
(1) 法令違反等によるリスクについて
当社グループは、『ATグループ企業行動憲章』のもと、グループ子会社がそれぞれ『CSR基本方針』等を定め、社内啓発等の実施や内部通報制度の整備・運用等を通じて、コンプライアンスの徹底に努めておりますが、コンプライアンス違反が発生した場合には、法的制裁・罰則の適用、営業活動の制限、社会的信用の低下などにより、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
これら全てのリスクを完全に排除することは困難であるほか、当該リスクが顕在化する可能性の程度及び時期について予測することは困難でありますが、前述の「1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題 ①法令違反による行政処分への対応」に記載のとおり、指定自動車整備事業において道路運送車両法に違反する事実が判明し、行政処分を受けました。今回の処分を真摯に受け止め、再発防止に向けて3月30日を「ATグループ再出発の日」として位置づけ、教訓を風化させないための取り組みのなかで経営トップ自ら従業員に向けてメッセージを発信し、コンプライアンス意識の向上を訴えるとともに、実務面における業務基準・業務手順の見直し、コンプライアンス教育の再徹底及び監査体制の強化を進めるなど、中長期的な視点からもグループガバナンス体制の再構築に取り組んでまいります。
(2) 感染症の発生・拡大のリスクについて
今般、新型コロナウイルスの感染拡大が、当社グループの当期の経営成績等にも影響を及ぼしましたが、今後、さらなる感染拡大や影響の長期化並びにその他の異なるウイルス感染等が発生・拡大した場合には、自動車市場の縮小や消費者需要の低迷に加え、生産面における供給体制の悪化など、当社グループの経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。
現時点では、新型コロナウイルス感染症の収束時期など、未だ不確定要素が多いことから、当該リスクが顕在化する可能性の程度及び時期について予測することは困難でありますが、当社グループにおきましては、消毒液の各店舗・事業所への設置、社員へのマスク着用や手洗いの徹底、在宅勤務など出勤体制の調整によるいわゆる3密状態の回避などの対応を行うことで、お客さまをはじめ社員やその家族、お取引先などの感染予防に努めているほか、当社グループが採用しておりますCMS(※)により資金需要への柔軟な対応を行うとともに、固定費の削減などにも努めております。また、状況が改善した場合には速やかに対応できるよう、準備や体制構築を進めることで、その影響を最小限にとどめるよう取り組んでおります。
(※)CMS(キャッシュマネジメントシステム)とは、流動性資金の有効活用を図るグループ内の資金取引であります。
(3) トヨタ自動車㈱との販売店契約など経営上の重要な契約について
「第2 事業の状況 3経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」に記載のとおり、当社グループでは、自動車関連事業において、グループ傘下のトヨタ販売会社4社がトヨタ自動車㈱との販売店契約を締結しているほか、愛知トヨタ自動車㈱及びトヨタカローラ愛豊㈱がフォルクスワーゲン グループ ジャパン㈱と販売店契約を締結しております。これに加えて、㈱トヨタレンタリース愛知のトヨタ自動車㈱とのフランチャイズ契約、愛知スズキ販売㈱のスズキ㈱との販売店契約、トヨタL&F中部㈱の㈱豊田自動織機との販売店契約、トヨタホーム愛知㈱のトヨタホーム㈱との販売店契約など重要な契約を締結しております。これらの取引関係は良好な状態を保っておりますが、契約内容に重要な変更があった場合や、取引関係の継続が困難となった場合には、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。とりわけ、新車等の仕入におけるトヨタ自動車㈱に対する依存度が高く、売上高においてもトヨタ車の販売がその中心となっているため、その方針等によっては経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。
契約内容の取り決めなどは外部に起因する側面が大きいため、当該リスクが顕在化する可能性の程度及び時期について予測することは困難でありますが、トヨタ自動車㈱による国内販売店の全チャネル全車種併売化の方針により、当社グループにおきましても、2020年5月よりトヨタ車の全車種取扱いを開始、これまで以上にお客さまのニーズに柔軟に対応できる体制の構築に努めているほか、2023年4月を目途としたグループ傘下のトヨタ販売会社4社の統合に向けて、組織体制や営業戦略、店舗ネットワークなどの事項について準備を進めており、経営の効率化や財務体質の強化に取り組んでまいります。
(4) 自動車販売市場に関する今後想定されるリスクについて
自動車販売市場は、政府による「2050カーボンニュートラル」など環境政策への取り組みに加え、補助金や各種税制、金融政策等の各種政策による事業遂行上の制約や市場の需給変動の影響を受ける可能性があります。また、取引先の不祥事案等によるブランドイメージの毀損や自動車メーカーによる自動運転などのいわゆる「CASE」を中心とした新しいモビリティサービスの拡大などにより、当社が提供する商品・サービスの市場における評価が大幅に変化した場合には、経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。これらに加えて、消費嗜好・生活スタイルの変化や自動車の品質向上によるユーザーの保有期間の長期化、少子高齢化の進行に伴う人口動態の変化などにより、国内販売市場の規模が縮小する可能性があります。
法令や市場環境など外部に起因する側面が大きいため、当該リスクが顕在化する可能性の程度及び時期について予測することは困難でありますが、当社グループは、強みである地域密着の営業活動に加え、グループとしての戦略企画機能の発揮や効率的な組織運営、強い経営基盤の構築により、市場環境の変化に迅速・柔軟に対応してまいります。
(5) 商品の供給に関するリスクについて
自然災害や政情不安、生産工場の事故等により、商品の仕入元である会社及びその供給体制等に何らかの深刻な問題が生じ、供給が滞った場合には、当社の経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。
供給側の体制などに起因することから、当該リスクが顕在化する可能性の程度及び時期について予測することは困難でありますが、問題が生じた場合には、仕入元の会社等と緊密な連携をとり、販売計画や営業活動の見直しなどにより影響を最小限に抑えるとともに、お客さまへの正確な情報提供に努めてまいります。
(6) 法的規制等による影響について
自動車販売に関連する法的規制等としては、自動車リサイクル法や道路運送車両法、自動車公正競争規約等の販売・整備に関する各種規制があり、自動車販売以外におきましても、保険契約の募集や損害保険の代理業、建築業等の特定事業に係る規制の適用があります。さらに、事業全体の遂行におきましても、租税・労働・環境面並びに個人情報の保護や反社会的勢力の排除に係るものなど、各種法的規制や当局の監督を受けております。従って、事業に重大な影響を及ぼす法的規制等の制定や改廃が行われた場合には、当社の経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。法的規制など外部に起因する側面が大きいため、当該リスクが顕在化する可能性の程度及び時期について予測することは困難でありますが、これらの法的規制等に関するリスクに対して、当社グループの取り組み水準の引き上げを図るべく、当社CSR推進部の主導のもと、環境に関するリスクも含め、グループ各社の対応の強化に努めております。
(7) 残価設定型ローン販売による影響について
ユーザーのコスト意識の高まりにより、新車販売の一形態として、新車販売時にあらかじめローン終了時の車両残価を設定し、車両代から残価控除後の金額を分割して回収するタイプの「残価設定型ローン」による販売が増加傾向にあります。この最終支払いまで据え置かれた残価の決済方法には、現金精算・再分割支払・車両返却の3通りありますが、今後、当該ローンによる販売で、車両返却による決済が増加した場合には、中古車相場の動向等によっては、返却車両の時価が販売時の設定残価を下回るケースも起こりうるため、当社の経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
中古車相場など外部に起因する側面が大きいため、当該リスクが顕在化する可能性の程度及び時期について予測することは困難ではありますが、当社グループでは、「残価設定型ローン」で販売した車両の販売時の設定残価と当該車両の返却後の売価データを照合・蓄積し、損失等の発生状況を的確に把握した上で、今後の対応を図ってまいります。
(8) 自然災害による影響について
当社グループの主要事業は多店舗展開の販売業であるとともに、営業拠点が愛知県に集中しております。このため、大規模な自然災害、とりわけ規模が大きいと想定される南海トラフ巨大地震等の災害が発生した場合には、事業継続が困難となることが想定されます。
自然災害の発生時期やその影響の度合いなど不確定要素が多く、当該リスクが顕在化する可能性の程度及び時期について予測することは困難でありますが、当社グループでは、これら災害発生時の迅速な初動対応や業務の早期復旧・継続を目的とする『ATグループ事業継続基本方針』及びこれに基づく『BCP(事業継続計画)』を策定したほか、グループ各社が共有する緊急時のポータルサイトを設置するとともに、グループ合同の防災訓練を定期的に実施しております。今後も『BCP』の定着化と『BCM(事業継続マネジメント)』の推進など、継続的に体制強化を図ってまいります。
(9) インターネットを介した情報流出及び風評被害等の影響について
当社グループでは、販売事業を行う上で多数のお客さま情報をはじめ、重要情報を保有しております。このため、万一不測の事態が発生し、重要情報が外部に流出した場合や、ソーシャルメディア等を介した従業員等の意図的な漏洩があった場合、また、インターネット上の掲示板等への書き込みやその急速な拡散による風評被害等が発生した場合には、その真偽にかかわらず、社会的信用の低下に伴う販売事業への影響により、当社の経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。
これら全てのリスクを完全に排除することは困難であるほか、当該リスクが顕在化する可能性の程度及び時期について予測することも困難でありますが、当社グループでは、コンプライアンスの徹底に加え、いわゆる「個人情報保護法」に対応したグループの全体方針である『情報セキュリティポリシー』を策定し、これを軸に規程類の整備、従業員教育、本社等建物への入退室管理など、社内管理体制の整備・情報保護の徹底を図っております。さらに、ソーシャルメディアの適切な利用について定めた『ソーシャルメディアポリシー』の策定や、ウェブ上での不適切な情報発信等を検出するサービスを活用して外部からの情報収集など適切な対応に努めるほか、グループ内の情報を多く取り扱うトヨタ情報システム愛知㈱においては、情報セキュリティマネジメントシステムの国際規格「ISO27001」を取得し、情報セキュリティの維持・強化を図り、リスクの低減に取り組んでおります。
(10) 情報システム設備の障害による影響について
当社グループの主要な事業で運用されている各種情報システムのうち、一部は、トヨタ情報システム愛知㈱のコンピュータ設備により管理されております。この設備が災害等による被害を受けるなどして、何らかの障害が発生した場合には、業務遂行に支障をきたし、当社の経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。
あらゆる障害からのリスクを完全に排除することは困難であるほか、当該リスクが顕在化する可能性の程度及び時期について予測することも困難でありますが、これらの設備があるデータセンターは、震度7の地震にも耐えうる構造となっており、また、バックアップデータは週に一度オフサイト(愛知県外)に移送し別途保管するなどしており、障害・セキュリティ等のリスク軽減策を実施しております。
(11) 金利水準の変動による影響について
当社グループでは、割賦販売資金や設備資金、運転資金等を主として金融機関等からの借入金により調達しているため、有利子負債が多額となっており、今後、大きく金利水準が変動した場合には、当社グループの業績・財務状況に影響を及ぼす可能性があります。また、自動車関連事業以外に、トヨタホーム愛知㈱が住宅関連事業を行っておりますが、当該事業における消費者の購入マインドは長期金利の変動の影響を受けやすい傾向がみられることから、長期金利が大幅に変動した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
金利水準の変動など外部に起因する側面が大きいため、当該リスクが顕在化する可能性の程度及び時期について予測することは困難でありますが、当社グループとして、これまでもCMS(キャッシュマネジメントシステム)の運用などにより、資金の効率化に取り組んでおりますが、さらに保有資産の見直しなどを行い、リスクの低減を図ってまいります。
(12) その他有価証券評価差額金による自己資本及び包括利益に与える影響について
当社グループが保有する投資有価証券は、そのほとんどが取引関係によるものであり、中でもトヨタ自動車㈱の株式が大きなウエイトを占めております。また、当連結会計年度末における自己資本のうち、「その他有価証券評価差額金」は16.5%と高い割合となっており、期末のトヨタ自動車㈱の株価によって、自己資本が変動し、自己資本比率及び包括利益等に影響を及ぼす可能性があります。
株価など外部に起因する側面が大きいため、当該リスクが顕在化する可能性の程度及び時期について予測することは困難でありますが、こうした投資有価証券の保有につきましては、取引関係や保有の経済合理性などを確認するとともに、考慮すべき事情などを総合的に検討して、適切に判断をしてまいります。