有価証券報告書-第111期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

【提出】
2021/06/25 14:10
【資料】
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【項目】
137項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針・経営戦略等
① 会社の経営の基本方針
当社グループは、トヨタ自動車㈱の第1号車「G1型トラック」を販売した「日の出モータース㈱」を前身とし、爾来、日本のモータリゼーションの進展とともにトヨタ自動車㈱の多くの製品を取り扱い、いち早く割賦販売や自動車リースなどを導入するなど、自動車販売の先駆者として「現在よりも未来を志向し、お客さまの信頼に応える」をモットーに順調に業績を伸展させてまいりました。
そして、今後予想される市場構造の変化や競争激化といった経営環境の変化に、迅速・的確に対応できる体制づくりを加速するとともに、中長期的にも持続的な成長を実現できる、しなやかで強靭な企業体質への「経営革新=イノベーション」を図ります。この革新を実行するために、今までにも増してグループの総力を挙げて、「営業力の一層の強化」そして「効率性・的確性・公正性・透明性を一層高めたグループ経営」を継続して実現してまいります。
② 目標とする経営指標
当社グループにおいては、自動車関連事業が大きなウェイトを占めており、特に新車販売がその売上高、利益に大きな影響を与えます。新車販売は、市場の動向やモデルチェンジによって大きく左右されるため、その都度的確な対応方針を策定していく必要があり、予め設定するような具体的な目標は有しておりません。
③ 中長期的な会社の経営戦略
当社グループは、自動車関連事業等により長年培ってきたお客さまとの関係や営業力を活かし、自ら新たな需要の創造を行うとともに、グループ戦略企画機能を通じた効率的な組織運営を展開し、収益力の向上、高い競争力と経営基盤の強化に努めてまいります。
また、グループ全体のガバナンス環境を整備し、コンプライアンスの遵守、リスク管理、情報開示、個人情報保護、環境活動等を通じて、お客さま、株主の皆さまをはじめとするステークホルダーとの信頼関係の構築に努めてまいります。
④ 経営環境
イ 企業構造及び販売網等
当社グループは、上述のとおり国内自動車販売市場の伸長とともに、トヨタ自動車㈱の方針のもと、商品別の分社化を行うとともにグループ各社が自立経営を進めてまいりました。2007年には純粋持株会社体制に移行し、グループ戦略企画機能を通じた効率的な組織運営を展開することで、今後予想される市場構造の変化や競争激化といった経営環境の変化に迅速・的確に対応できる体制を構築してまいりました。
また、トヨタ自動車㈱による国内販売店の全チャネル全車種併売化の方針のもと、当社グループにおきましても、2020年5月よりトヨタ車の全車種取扱いを開始したほか、2023年4月を目途としたグループ傘下のトヨタ販売会社4社(愛知トヨタ自動車㈱・トヨタカローラ愛豊㈱・ネッツトヨタ愛知㈱・ネッツトヨタ東海㈱。以下同じ。)の統合に向けて、組織体制や営業戦略、店舗ネットワークなどの事項について検討を進めており、一層の収益力の向上、高い競争力と経営基盤の強化に努め、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を目指してまいります。
ロ 市場の状況
国内自動車販売市場につきましては、後述の「2 事業等のリスク (4) 自動車販売市場に関する今後想定されるリスクについて」に記載のとおり、政府による補助金や各種税制、金融政策等の影響を受けるほか、人口減少や超高齢社会の進行による労働力不足等の問題に加え、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)への対応が企業や個人の経済活動や生活様式に影響を与えるなど、当社グループを取り巻く環境が急速に変化していくことが考えられます。当社グループとしては、このような環境の変化をしっかりととらえ、強みである地域密着の営業活動に加え、グループとしての戦略企画機能の発揮や効率的な組織運営、強い経営基盤の構築により、市場環境の変化に迅速・柔軟に対応してまいります。

(2) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループにおいては、今後の事業遂行にあたり、後述の「2 事業等のリスク」に記載のリスクを認識しておりますが、特に以下の事項を優先的に対処すべき課題として認識し、その対応に取り組んでおります。
① 法令違反による行政処分への対応
2020年12月に愛知運輸支局(国土交通省中部運輸局)により実施された当社のグループ子会社であるネッツトヨタ愛知㈱のプラザ豊橋(愛知県豊橋市)への監査において、指定自動車整備事業に関して道路運送車両法に違反する事実が判明し、2021年3月30日付で行政処分を受けました。今回の処分を真摯に受け止め、対象のお客さまにつきましては、速やかに再点検、再検査のご案内をするとともに、グループ内の他の自動車販売会社の協力のもと迅速かつ着実な検査体制を整備し、検査対応を進めております。また、後述の「2事業等のリスク (1) 法令違反等によるリスクについて」に記載のとおり、これを契機として中長期的な視点からもグループガバナンス体制の再構築に取り組み、お客さまの信頼回復に努めてまいります。
② 新型コロナウイルスへの対応
後述の「2 事業等のリスク (2) 感染症の発生・拡大のリスクについて」に記載のとおり、今般の新型コロナウイルスの感染拡大が、当社グループの当期の経営成績等にも影響を及ぼしましたが、これらの影響を前提とした持続可能な事業活動の在り方や、影響が収束した後の速やかな回復が課題であると認識しております。現在、お客さまをはじめ社員やその家族、お取引先などの感染予防につとめているほか、資金需要への柔軟な対応や固定費の削減などを進める一方で、コロナ収束後の状況にも速やかに対応できるよう、準備や体制構築に取り組んでおります。
③ 競合他社との競争優位性の確保
上述のとおり、トヨタ自動車㈱による国内販売店の全チャネル全車種併売化の方針により、2020年5月よりトヨタ車の全車種取扱いを開始しており、競合他社との競争が激化し、一層の競争優位性確保が課題となっております。当社グループでは、これまで以上に地域密着の営業活動を進めるとともに、DX(※)への対応を強化し、より幅広い層のお客さまに対し、それぞれのお客さまのニーズに即した商品・サービスをご提供していくことで、さらなる競争力強化に努めるとともに、「人」の大切さを念頭に置いて、人材育成や働き方改革の推進、事業に資する人材確保にも取り組んでおります。
また、2023年4月を目途としたグループ傘下のトヨタ販売会社4社の統合に向けて、組織体制や営業戦略、店舗ネットワークなどの事項について準備を進めており、グループを挙げた戦略企画機能を通じて、グループの総合力を活かした資産の効率的かつ効果的な活用などにより、一層の競争優位性の確保に努めてまいります。
(※)「DX」とは、「デジタルトランスフォーメーション」の略称です。
④ 「CASE」(※)など技術革新等への対応
後述の「2 事業等のリスク (4) 自動車販売市場に関する今後想定されるリスクについて」に記載のとおり、いわゆる「CASE」を中心とした新しいモビリティサービスの拡大に加え、DXによる新しいビジネスモデルやお客さまとの新しい関係性の創出、キャッシュレス化等の支払手段の多様化、「2050カーボンニュートラル」に向けた取り組みなど、国内自動車販売市場はさまざまな環境の変化・転換期を迎えており、これらの変化への柔軟な対応、持続可能な事業経営の体制構築が課題となっております。当社グループは、強みである地域密着の営業活動に加え、グループとしての戦略企画機能の発揮や効率的な組織運営、強い経営基盤の構築とともに、DXを一層推進し、市場環境の変化に迅速・柔軟に対応してまいります。
(※)「CASE」とは、
Connected(ネットワークへ常時接続したつながるクルマ)
Autonomous(自動運転)
Shared & Services(シェアリングとサービス)
Electric(電動化)
の自動車産業の4つの重大トレンドの頭文字を取った造語のことです。
以上のような取り組みを通じて、お客さまやお取引先さまへの「感謝」の気持ちを忘れることなく、当社の前身である「日の出モータース」の時代から受け継がれている地域に密着した営業活動をさらに進め、ステークホルダーの皆さまに貢献していくなかで、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を目指し、グループ一丸となって取り組んでまいります。