有価証券報告書-第70期(平成28年4月1日-平成29年3月31日)

【提出】
2017/06/30 10:03
【資料】
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【項目】
137項目

業績等の概要

(1) 業績
当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度比0.1%増の1,514,037百万円となりました。また、損益面につきましては、営業利益は主に食品事業や鉄鋼事業での増益により前連結会計年度比28.9%増の23,426百万円、経常利益は営業利益の増加に加え、前連結会計年度に発生した持分法による投資損失のような大きな下押し要素がなかったことなどにより、前連結会計年度比48.5%増の22,907百万円となりました。また、親会社株主に帰属する当期純利益は特別利益の減少や前連結会計年度での過年度損失の損金算入のような法人税等の低減事象がなかったことなどから、前連結会計年度比35.8%減の16,363百万円となりました。
① 鉄鋼事業
鋼材需要は堅調に推移はしたものの、国内消費や輸出の伸び悩み、建設分野での工事着工の遅れなどにより、盛り上がりに欠けた状況にありました。また、鋼材価格についても、年度後半に鉄鋼原料価格の上昇により底打ちしたものの、前連結会計年度での市況下落の影響から、前連結会計年度に比べ低い価格水準にありました。利益面では、前連結会計年度に発生した持分法による投資損失のような大きな下押し要素がなかったことや採算の良い請負工事の完工計上があったこと、海外のコイルセンターの収益が改善したことなどから、利益率が改善しました。これらの結果、当事業の売上高は前連結会計年度比1.5%減の786,892百万円、セグメント利益は前連結会計年度比21.9%増の18,082百万円となりました。
② 金属原料事業
ニッケルを始めとして国際商品価格の停滞した時期が長く、当連結会計年度前半の円高の影響も相まって前連結会計年度より低い価格帯にありましたが、フェロクロムやニッケル化合物などの販売増が売上高に寄与しました。一方、利益面では為替差損益が前連結会計年度では差益であったものが、当連結会計年度においては差損に転じたことや、子会社の昭和メタル㈱での長期在庫の処分損などが利益を押し下げました。これらの結果、当事業の売上高は前連結会計年度比2.6%増の134,624百万円、セグメント利益は前連結会計年度比36.3%減の1,413百万円となりました。
③ 非鉄金属事業
前連結会計年度に下落した国際商品価格は反転し切り上がってきたものの、当連結会計年度前半は為替が円高傾向にあり、円貨での価格水準が前連結会計年度に比べ低位にあったことから、売上高を押し下げました。一方、利益面では年度後半の価格上昇局面においてアルミニウムスクラップや貴金属スクラップなどの収益性が改善しました。これらの結果、当事業の売上高は前連結会計年度比3.5%減の79,206百万円、セグメント利益は前連結会計年度比27.8%増の1,084百万円となりました。
④ 食品事業
北米でのエビ類の販売が前連結会計年度に比べ減少したことに加え、国内消費も依然として低調な状態が続き、販売数量が伸び悩んだことから、売上高は低調な推移となりました。一方、利益面では、主力商品で市況が上向いたことにより利幅が向上したことに加え、前連結会計年度にエビ市況の下落により損失を出していたSEATTLE SHRIMP & SEAFOOD COMPANY, INC.が黒字化しました。これらの結果、当事業の売上高は前連結会計年度比1.8%減の89,011百万円、セグメント利益は2,872百万円となりました(前連結会計年度は、75百万円の利益)。
⑤ 石油・化成品事業
前連結会計年度に下落した原油価格が当連結会計年度に入り持ち直し、石油製品価格も連動して底打ちしたものの、前連結会計年度に比べ低い価格帯にあった他、需要面でも海運市場の停滞により舶用石油需要が減少したことなどから、売上高は減少しました。一方、冬場の灯油販売の収益性が改善したことや、当連結会計年度前半までの原料安や円高基調により、輸入日用雑貨品販売の採算が好転したことが利益を押し上げました。これらの結果、当事業の売上高は前連結会計年度比4.3%減の264,465百万円、セグメント利益は前連結会計年度比24.7%増の2,461百万円となりました。
⑥ 海外販売子会社
鋼材製品へのアンチダンピング措置の適用範囲が拡大されたことによる米国での鉄鋼事業収益の減少や、中国華南での鋼材扱いの減少に加え、為替水準が前連結会計年度に比べ円高であったことも円貨換算での売上高の減少を招きました。一方、利益面では新たに連結対象としたインドネシアのPT. HANWA INDONESIAの利益やシンガポールでの非鉄金属事業の収益改善が利益に貢献しました。これらの結果、当事業の売上高は前連結会計年度比1.9%減の174,280百万円、セグメント損益は196百万円の利益となりました(前連結会計年度は、708百万円の損失)。
⑦ その他の事業
木材事業での欧州材などの拡販やレジャー機械の完工収入が収益を押し上げました。これらの結果、売上高は前連結会計年度比8.6%増の73,054百万円、セグメント利益は前連結会計年度比11.0%増の1,526百万円となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ1,401百万円(5.4%)増加し、27,206百万円となりました。
これは主に単価下落による売上高の減少が底を打ち、運転資金需要が増加に転じてきたことに対し、借入金などによる調達を増やしたことなどによるものであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動による収入は3,959百万円となり、前連結会計年度に比べ49,139百万円(92.5%)の減少となりました。これは主に前連結会計年度は販売単価の下落による売上高の低下により運転資金需要が低下傾向にありましたが、当連結会計年度においては、月が進むにつれ売上高が増加し、運転資金需要が増加に転じたことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動による支出は18,427百万円となり、前連結会計年度に比べ7,981百万円(76.4%)の増加となりました。これは主に有形固定資産や投資有価証券の取得に係る支出は減少したものの、有形固定資産の売却収入が減少したことや、短期貸付金の実行があったことによるものであります。
この結果、営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローを合計したフリー・キャッシュ・フローは、14,468百万円の支出となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動による収入は15,447百万円となりました(前連結会計年度は41,751百万円の支出)。これは主に運転資金需要の増加に対応して、短期借入金やコマーシャル・ペーパーによる調達が増加したことによるものであります。