有価証券報告書-第71期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)
対処すべき課題
文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社は経営理念として、『私たちは、時代と市場の変化に迅速に対応し、「流通のプロ」として顧客の多様なニーズに応え、広く社会に貢献します。』を掲げております。
この理念の下、顧客第一主義を掲げ、付加価値を高めた商品の流通や顧客ニーズに即応した提案型サービスを提供するユーザー系商社として、「存在感ある商社流通」を追求し、すべてのステークホルダーからの評価・支持を得られる企業価値の向上に努めます。またコンプライアンスを重視し、事業を通じて国際社会や地域社会に貢献することで、「企業の社会的責任」を果たしていきます。
(2) 目標とする経営指標
企業価値の向上と財務体質の強化を図るため、投下資本利益率(ROIC)、ネット負債倍率(Net DER)などを経営指標としております。また、企業活動の裾野を広げて事業の成長性を量る指標として、新規ユーザー獲得数も採用しております。
なお、平成31年3月期の通期目標は、売上高2兆円、営業利益310億円、経常利益300億円、親会社株主に帰属する当期純利益195億円としております。
(3) 中長期的な会社の経営戦略
当社グループは、平成28年度から平成31年度までの4か年にわたる中期経営計画を策定し、重点課題の達成に向けた取り組みを進めております。中期経営計画の概要は、以下の通りです。
《テーマ》
『Sへのこだわり -STEADY, SPEEDY, STRATEGIC- 』
~中長期を見据えたSUSTAINABLEな収益体質と経営基盤の強化~
① STEADY:既存の事業領域から得られる収益の確保と強化
② SPEEDY:グループ企業や国内外の戦略投資からの投資効果の早期実現
③ STRATEGIC:4年間で500億円程度の戦略的投資の継続による将来の追加収益の確保
《業績目標》
最終年度(平成31年度) 売上高2兆円、経常利益350億円
新規ユーザー獲得数2,700社(4年間累計)
※当社は平成30年5月11日開催の取締役会において、最終年度の売上高目標を、これまでの進捗や事業環境などを考慮して、2兆1,000億円に見直しすることを決議いたしました。
当連結会計年度での上記の基本課題、成長戦略に係る主な進捗状況は、次のとおりです。
鉄鋼事業では、そこか(即納・小口・加工)機能を充実させ、地域需要の深堀を推進するべく平成29年4月に鉄鋼卸売業の亀井鐵鋼㈱(愛媛県松山市)、山陽鋼材㈱(広島県広島市)を新たに当グループに加えた他、6月には群馬県伊勢崎市に物流・加工拠点として北関東スチールセンターを開設し、10月には特殊金具製造の最大手であるジャパンライフ㈱もグループ会社化するなど機能強化を進めました。また、海外でもマレーシアのステンレスメーカーBAHRU STAINLESS SDN.BHD.やベトナムの鋼材卸売業SMC TRADING INVESTMENT JSCに出資した他、東南アジア地域での鉄筋加工や製缶加工などを強化し、「第二の阪和を東南アジアに」戦略も進展させました。
金属原料事業では、南アフリカのクロム製造業SAMANCOR CHROME HOLDINGS PROPRIETARY LTD.株式を独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)と共同で取得し、対日向け製品の仕入れソースを強化した他、メキシコで炭酸リチウムの製造プロジェクトを進めているBACANORA MINERALS LTD.(現 BACANORA LITHIUM PLC)にも出資、南アフリカでJOGMEC主導で進められているウォーターバーグ白金族プロジェクトへの参画も決定するなど世界各地からの金属資源調達ネットワークの確立を進めています。また、当社が出資しているインドネシアでの青山控股集団有限公司が進めるステンレスプロジェクトもスラブやステンレス母材の出荷を開始し、当社もその販売の一翼を担っています。
非鉄金属事業では、オランダの三菱マテリアル㈱子会社で一部出資もしている貴金属スクラップ集荷・検品業MM
METAL RECYCLING B.V.の稼働開始に向けて、欧州での集荷・販売体制の構築に努めたほか、銅スクラップやアルミ
ニウムスクラップの輸入事業も拡大しました。
食品事業では、川下展開を進める食品版そこか戦略を推進し、子会社のハンワフーズ㈱と連携して寿司ネタ用商品やかき揚げ、エビ・イカ・タコなどの加工品の商品開発・提案を行いました。
石油・化成品事業では、石油製品需要の縮小を見据えて、出資先のイーレックス㈱と子会社のトーヨーエナジー㈱他で設立した売電事業合弁会社が、トーヨーエナジー㈱の販売ネットワークを活用して低圧・家庭用電力の販売を進めています。また、バイオマス発電所向けに需要が拡大しているPKS(椰子殻)や木質チップ・ペレット類などの安定調達のため、仕入ソースの開拓・出資を含めた提携を引き続き進めています。
企業体制面につきましては、引き続きコンプライアンスの徹底と、コーポレート・ガバナンスや内部統制の強化に努めており、「内部統制システム整備に関する基本方針」に則って企業を運営していくと共に、金融商品取引法に基づく財務報告に係る内部統制報告制度への対応として、内部統制・HKQC推進課が当社の内部統制システムの有効性検証、システム改善を継続して実施しております。また、業務品質の向上を目指すHKQC(Hanwa Knowledge Quality Control)活動を推進しており、業務フローにおけるリスクポイントを洗い出し、ケアすることで、手続きミスや漏れによる収益の取りこぼしを減らす取り組みを進めています。
当社グループとしましては、今後、これらの事業戦略を継続して実行していくことで、総合的な企業価値の向上と持続的な企業成長を実現させ、さらなる顧客満足の向上を図り、合わせて社会貢献にも目配りしてまいります。
(4) 経営環境及び対処すべき課題
世界経済は、米国ではトランプ政権での経済・財政政策や通商問題の動向の他、FRBによるフェデラル・ファンド金利の追加利上げや資産規模の縮小方針の影響に注意が必要ですが、緩やかな回復基調を持続するものと思われます。欧州でも英国のEU離脱問題や欧州中央銀行の資産購入プログラム縮小の影響に加え、移民問題など各国の政情面での不安定要素はあるものの、実体経済面では堅調に推移するものと思われます。また、中国経済も、堅調な個人消費に加え、企業活動や固定資産投資も拡大基調にあり、政府当局も財政支出を継続する方針にあることから景気は底堅く推移するものと思われます。その他の新興諸国も緩やかな成長が続くと予想されますが、国際金融環境や先進国経済の変化による影響には留意が必要です。
国内経済は、雇用・所得環境の改善や働き方改革などの政策効果により、個人消費や住宅投資が引き続き底堅く推移すると思われる他、東京オリンピック・パラリンピック関連やインフラ整備・都市再開発などの建設需要も高い水準を維持していくものと思われます。製造業でも内需の増加や海外景気の持ち直しによる輸出増などにより、生産活動は堅調に推移し、設備投資も回復していくものと思われます。
当社グループとしましては、このような事業環境の中で、各事業分野における需要動向を的確に把握し、取引先のニーズを反映した適切な販売・在庫政策を進めるとともに、新規取引先を積極的に開拓することにより、業績の維持・向上に注力していく所存です。
当社グループの対処すべき課題としては、以下を認識しております。
営業面では、メーカー・サプライヤーからユーザーにいたるバリューチェーンの各段階の効率化や最適化を実現していくことにより、全体に含まれるあらゆる収益機会を確実にとらえて収益を最大化していく必要があり、そのために自律的な成長と事業の多様性の確保を軸に、攻めの戦略を打ち出していきます。また、「第二の阪和を東南アジアに」をコンセプトに、これからの有望・成長市場である東南アジア域内へモノの輸出から機能の輸出への転換を推進するほか、北米での事業展開を強化し、海外での収益力強化を図ります。
経営管理面では、事業規模の拡大やグループ会社の増加に伴い、部分最適からグローバル最適へと、本社の経営資源を効率よく効果的に配分することができるコーポレート体制の構築が必要であり、それぞれのグループ会社や地域の特性に適合した自律性の尊重と収益を漏らさない統合管理のバランスを追求しながら、徹底した効率化も推進していきます。
(5) 株式会社の支配に関する基本方針
※当社は平成30年5月11日開催の取締役会において、現対応方針の有効期間が満了する当社第71回定時株主総会終結の時をもって、現対応方針を継続せず、廃止することを決議いたしましたので、以下の対応方針は失効しております。
① 基本方針の内容
当社は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者は、当社の企業価値及び株主共同の利益の確保・向上を図るという観点から決定されるべきものと考えております。従いまして、結果的に支配権の異動を伴うような株式の大規模な買付提案(以下、「大規模買付提案」といいます。)に応じるか否かは、当社株式を保有する株主の皆
様の判断に委ねられるべきものであると考えます。この考えに基づき、当社株式の大規模買付提案が提起された場合には、株主の皆様が提案に応じるか否かを判断するに足る十分な情報と時間が提供されることが不可欠であると考えます。
しかし、株式の大規模買付行為の中には、大規模買付の対象企業(以下、「対象企業」といいます。)の経営者や株主の皆様に対する買付目的や買付後の経営戦略等について明確な説明がないまま行われるものや、大規模買付者の一方的な考えに基づき買付行為が行われるものなど、対象企業の経営陣との十分な協議や合意のプロセスを経ることなく進められることがあります。
当社は当社の企業価値及び株主共同の利益の確保・向上の観点から、株主の皆様に大規模買付提案に応諾するか否かを検討するための十分な情報と時間が提供されない場合や、当社の支配権が異動するに足る当社株式を取得した特定の株主により、当社の企業価値及び株主の皆様の共同の利益が損なわれるおそれがあると判断される場合には、こうした株主を当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者として不適切であると判断し、必要かつ相当な範囲において、対抗措置をとることができる旨を当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針(以下、「基本方針」といいます。)といたします。
② 基本方針の実現に資する特別な取組み
当社は、平成28年度を初年度とする4か年の中期経営計画を推進しております。本中期経営計画では、『Sへのこだわり -STEADY, SPEEDY, STRATEGIC- 』~中長期を見据えたSUSTAINABLEな収益体質と経営基盤の強化~ をテーマに掲げ、達成すべき具体的な事業戦略を設けております。当社は、具体的な事業戦略を着実に実行していくことで、当社の企業価値及び株主共同の利益の最大化が図れるものと考えております。
③ 不適切な支配の防止のための取組み
当社は、平成27年6月26日開催の当社第68回定時株主総会において、当社の企業価値・株主共同の利益を向上させるため、基本方針に照らして不適切な支配の防止のための取組みとして、「当社株式に対する大規模買付行為への対応方針(買収防衛策)の一部改定及び継続の件」を上程し、株主の皆様のご承認をいただきました(以下、承認後の対応方針を「現対応方針」といいます。)。
現対応方針におきまして、当社は大規模買付者からの事前の情報提供に関する一定のルールを定めるとともに、ルールを遵守しない場合や当社の企業価値や株主共同の利益を毀損することが明らかであると当社取締役会が判断する場合には、一定の対抗措置を講じることがある旨を公表しております。また、大規模買付行為を評価・検討する際や、対抗措置を発動する際等には、当社取締役会は独立した第三者により構成される特別委員会に諮問し、特別委員会の助言・勧告を最大限尊重することとしております。特別委員会は社外有識者、社外取締役、社外監査役の中から選任された3名以上の委員から構成され、これにより当社取締役会の行う判断の公正性、透明性が確保できるものと考えます。
④ 上記取組みについての取締役会の判断
当社取締役会は、上記③の取組みが上記①の当社の基本方針に沿って策定され、当社の企業価値、株主共同の利益を確保するための取組みであり、株主の皆様の共同の利益を損なうものではないと考えます。また、取締役会による恣意的な判断がなされることを防止するため、独立した第三者により構成される特別委員会を設置し、取締役会が対抗措置を発動する際等には特別委員会の助言・勧告を最大限尊重することにより、現対応方針に係る取締役会の恣意的な判断を排除する仕組みを確保しております。
また、当社は、現対応方針の有効期限を当社第68回定時株主総会終結のときから3年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会終結のときまでとしております。
(1) 会社の経営の基本方針
当社は経営理念として、『私たちは、時代と市場の変化に迅速に対応し、「流通のプロ」として顧客の多様なニーズに応え、広く社会に貢献します。』を掲げております。
この理念の下、顧客第一主義を掲げ、付加価値を高めた商品の流通や顧客ニーズに即応した提案型サービスを提供するユーザー系商社として、「存在感ある商社流通」を追求し、すべてのステークホルダーからの評価・支持を得られる企業価値の向上に努めます。またコンプライアンスを重視し、事業を通じて国際社会や地域社会に貢献することで、「企業の社会的責任」を果たしていきます。
(2) 目標とする経営指標
企業価値の向上と財務体質の強化を図るため、投下資本利益率(ROIC)、ネット負債倍率(Net DER)などを経営指標としております。また、企業活動の裾野を広げて事業の成長性を量る指標として、新規ユーザー獲得数も採用しております。
なお、平成31年3月期の通期目標は、売上高2兆円、営業利益310億円、経常利益300億円、親会社株主に帰属する当期純利益195億円としております。
(3) 中長期的な会社の経営戦略
当社グループは、平成28年度から平成31年度までの4か年にわたる中期経営計画を策定し、重点課題の達成に向けた取り組みを進めております。中期経営計画の概要は、以下の通りです。
《テーマ》
『Sへのこだわり -STEADY, SPEEDY, STRATEGIC- 』
~中長期を見据えたSUSTAINABLEな収益体質と経営基盤の強化~
① STEADY:既存の事業領域から得られる収益の確保と強化
② SPEEDY:グループ企業や国内外の戦略投資からの投資効果の早期実現
③ STRATEGIC:4年間で500億円程度の戦略的投資の継続による将来の追加収益の確保
《業績目標》
最終年度(平成31年度) 売上高2兆円、経常利益350億円
新規ユーザー獲得数2,700社(4年間累計)
※当社は平成30年5月11日開催の取締役会において、最終年度の売上高目標を、これまでの進捗や事業環境などを考慮して、2兆1,000億円に見直しすることを決議いたしました。
当連結会計年度での上記の基本課題、成長戦略に係る主な進捗状況は、次のとおりです。
鉄鋼事業では、そこか(即納・小口・加工)機能を充実させ、地域需要の深堀を推進するべく平成29年4月に鉄鋼卸売業の亀井鐵鋼㈱(愛媛県松山市)、山陽鋼材㈱(広島県広島市)を新たに当グループに加えた他、6月には群馬県伊勢崎市に物流・加工拠点として北関東スチールセンターを開設し、10月には特殊金具製造の最大手であるジャパンライフ㈱もグループ会社化するなど機能強化を進めました。また、海外でもマレーシアのステンレスメーカーBAHRU STAINLESS SDN.BHD.やベトナムの鋼材卸売業SMC TRADING INVESTMENT JSCに出資した他、東南アジア地域での鉄筋加工や製缶加工などを強化し、「第二の阪和を東南アジアに」戦略も進展させました。
金属原料事業では、南アフリカのクロム製造業SAMANCOR CHROME HOLDINGS PROPRIETARY LTD.株式を独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)と共同で取得し、対日向け製品の仕入れソースを強化した他、メキシコで炭酸リチウムの製造プロジェクトを進めているBACANORA MINERALS LTD.(現 BACANORA LITHIUM PLC)にも出資、南アフリカでJOGMEC主導で進められているウォーターバーグ白金族プロジェクトへの参画も決定するなど世界各地からの金属資源調達ネットワークの確立を進めています。また、当社が出資しているインドネシアでの青山控股集団有限公司が進めるステンレスプロジェクトもスラブやステンレス母材の出荷を開始し、当社もその販売の一翼を担っています。
非鉄金属事業では、オランダの三菱マテリアル㈱子会社で一部出資もしている貴金属スクラップ集荷・検品業MM
METAL RECYCLING B.V.の稼働開始に向けて、欧州での集荷・販売体制の構築に努めたほか、銅スクラップやアルミ
ニウムスクラップの輸入事業も拡大しました。
食品事業では、川下展開を進める食品版そこか戦略を推進し、子会社のハンワフーズ㈱と連携して寿司ネタ用商品やかき揚げ、エビ・イカ・タコなどの加工品の商品開発・提案を行いました。
石油・化成品事業では、石油製品需要の縮小を見据えて、出資先のイーレックス㈱と子会社のトーヨーエナジー㈱他で設立した売電事業合弁会社が、トーヨーエナジー㈱の販売ネットワークを活用して低圧・家庭用電力の販売を進めています。また、バイオマス発電所向けに需要が拡大しているPKS(椰子殻)や木質チップ・ペレット類などの安定調達のため、仕入ソースの開拓・出資を含めた提携を引き続き進めています。
企業体制面につきましては、引き続きコンプライアンスの徹底と、コーポレート・ガバナンスや内部統制の強化に努めており、「内部統制システム整備に関する基本方針」に則って企業を運営していくと共に、金融商品取引法に基づく財務報告に係る内部統制報告制度への対応として、内部統制・HKQC推進課が当社の内部統制システムの有効性検証、システム改善を継続して実施しております。また、業務品質の向上を目指すHKQC(Hanwa Knowledge Quality Control)活動を推進しており、業務フローにおけるリスクポイントを洗い出し、ケアすることで、手続きミスや漏れによる収益の取りこぼしを減らす取り組みを進めています。
当社グループとしましては、今後、これらの事業戦略を継続して実行していくことで、総合的な企業価値の向上と持続的な企業成長を実現させ、さらなる顧客満足の向上を図り、合わせて社会貢献にも目配りしてまいります。
(4) 経営環境及び対処すべき課題
世界経済は、米国ではトランプ政権での経済・財政政策や通商問題の動向の他、FRBによるフェデラル・ファンド金利の追加利上げや資産規模の縮小方針の影響に注意が必要ですが、緩やかな回復基調を持続するものと思われます。欧州でも英国のEU離脱問題や欧州中央銀行の資産購入プログラム縮小の影響に加え、移民問題など各国の政情面での不安定要素はあるものの、実体経済面では堅調に推移するものと思われます。また、中国経済も、堅調な個人消費に加え、企業活動や固定資産投資も拡大基調にあり、政府当局も財政支出を継続する方針にあることから景気は底堅く推移するものと思われます。その他の新興諸国も緩やかな成長が続くと予想されますが、国際金融環境や先進国経済の変化による影響には留意が必要です。
国内経済は、雇用・所得環境の改善や働き方改革などの政策効果により、個人消費や住宅投資が引き続き底堅く推移すると思われる他、東京オリンピック・パラリンピック関連やインフラ整備・都市再開発などの建設需要も高い水準を維持していくものと思われます。製造業でも内需の増加や海外景気の持ち直しによる輸出増などにより、生産活動は堅調に推移し、設備投資も回復していくものと思われます。
当社グループとしましては、このような事業環境の中で、各事業分野における需要動向を的確に把握し、取引先のニーズを反映した適切な販売・在庫政策を進めるとともに、新規取引先を積極的に開拓することにより、業績の維持・向上に注力していく所存です。
当社グループの対処すべき課題としては、以下を認識しております。
営業面では、メーカー・サプライヤーからユーザーにいたるバリューチェーンの各段階の効率化や最適化を実現していくことにより、全体に含まれるあらゆる収益機会を確実にとらえて収益を最大化していく必要があり、そのために自律的な成長と事業の多様性の確保を軸に、攻めの戦略を打ち出していきます。また、「第二の阪和を東南アジアに」をコンセプトに、これからの有望・成長市場である東南アジア域内へモノの輸出から機能の輸出への転換を推進するほか、北米での事業展開を強化し、海外での収益力強化を図ります。
経営管理面では、事業規模の拡大やグループ会社の増加に伴い、部分最適からグローバル最適へと、本社の経営資源を効率よく効果的に配分することができるコーポレート体制の構築が必要であり、それぞれのグループ会社や地域の特性に適合した自律性の尊重と収益を漏らさない統合管理のバランスを追求しながら、徹底した効率化も推進していきます。
(5) 株式会社の支配に関する基本方針
※当社は平成30年5月11日開催の取締役会において、現対応方針の有効期間が満了する当社第71回定時株主総会終結の時をもって、現対応方針を継続せず、廃止することを決議いたしましたので、以下の対応方針は失効しております。
① 基本方針の内容
当社は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者は、当社の企業価値及び株主共同の利益の確保・向上を図るという観点から決定されるべきものと考えております。従いまして、結果的に支配権の異動を伴うような株式の大規模な買付提案(以下、「大規模買付提案」といいます。)に応じるか否かは、当社株式を保有する株主の皆
様の判断に委ねられるべきものであると考えます。この考えに基づき、当社株式の大規模買付提案が提起された場合には、株主の皆様が提案に応じるか否かを判断するに足る十分な情報と時間が提供されることが不可欠であると考えます。
しかし、株式の大規模買付行為の中には、大規模買付の対象企業(以下、「対象企業」といいます。)の経営者や株主の皆様に対する買付目的や買付後の経営戦略等について明確な説明がないまま行われるものや、大規模買付者の一方的な考えに基づき買付行為が行われるものなど、対象企業の経営陣との十分な協議や合意のプロセスを経ることなく進められることがあります。
当社は当社の企業価値及び株主共同の利益の確保・向上の観点から、株主の皆様に大規模買付提案に応諾するか否かを検討するための十分な情報と時間が提供されない場合や、当社の支配権が異動するに足る当社株式を取得した特定の株主により、当社の企業価値及び株主の皆様の共同の利益が損なわれるおそれがあると判断される場合には、こうした株主を当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者として不適切であると判断し、必要かつ相当な範囲において、対抗措置をとることができる旨を当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針(以下、「基本方針」といいます。)といたします。
② 基本方針の実現に資する特別な取組み
当社は、平成28年度を初年度とする4か年の中期経営計画を推進しております。本中期経営計画では、『Sへのこだわり -STEADY, SPEEDY, STRATEGIC- 』~中長期を見据えたSUSTAINABLEな収益体質と経営基盤の強化~ をテーマに掲げ、達成すべき具体的な事業戦略を設けております。当社は、具体的な事業戦略を着実に実行していくことで、当社の企業価値及び株主共同の利益の最大化が図れるものと考えております。
③ 不適切な支配の防止のための取組み
当社は、平成27年6月26日開催の当社第68回定時株主総会において、当社の企業価値・株主共同の利益を向上させるため、基本方針に照らして不適切な支配の防止のための取組みとして、「当社株式に対する大規模買付行為への対応方針(買収防衛策)の一部改定及び継続の件」を上程し、株主の皆様のご承認をいただきました(以下、承認後の対応方針を「現対応方針」といいます。)。
現対応方針におきまして、当社は大規模買付者からの事前の情報提供に関する一定のルールを定めるとともに、ルールを遵守しない場合や当社の企業価値や株主共同の利益を毀損することが明らかであると当社取締役会が判断する場合には、一定の対抗措置を講じることがある旨を公表しております。また、大規模買付行為を評価・検討する際や、対抗措置を発動する際等には、当社取締役会は独立した第三者により構成される特別委員会に諮問し、特別委員会の助言・勧告を最大限尊重することとしております。特別委員会は社外有識者、社外取締役、社外監査役の中から選任された3名以上の委員から構成され、これにより当社取締役会の行う判断の公正性、透明性が確保できるものと考えます。
④ 上記取組みについての取締役会の判断
当社取締役会は、上記③の取組みが上記①の当社の基本方針に沿って策定され、当社の企業価値、株主共同の利益を確保するための取組みであり、株主の皆様の共同の利益を損なうものではないと考えます。また、取締役会による恣意的な判断がなされることを防止するため、独立した第三者により構成される特別委員会を設置し、取締役会が対抗措置を発動する際等には特別委員会の助言・勧告を最大限尊重することにより、現対応方針に係る取締役会の恣意的な判断を排除する仕組みを確保しております。
また、当社は、現対応方針の有効期限を当社第68回定時株主総会終結のときから3年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会終結のときまでとしております。