有価証券報告書-第71期(平成28年4月1日-平成29年3月31日)

【提出】
2017/06/29 9:12
【資料】
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【項目】
112項目

業績等の概要

(1)業績
当連結会計年度における経済環境は、欧米先進国においては、米国では雇用環境の改善により個人消費や住宅投資が引き続き底堅く、企業の設備投資も堅調に推移しました。欧州では英国のEU離脱決定等による先行き不透明感が増したものの、ユーロ圏では、雇用環境の改善が続き、製造業での受注は緩やかながらも増加傾向となりました。また、中国では不動産投資が過熱する一方で、製造業の設備投資の成長鈍化に歯止めがかからず、ブラジルでも景気減速傾向が続きましたが、インドでは景気は緩やかに持ち直すなど、新興国においては、各国で景気の方向感にばらつきのある状況となりました。一方、国内では、「アベノミクス景気」が戦後3番目の長さとなり、経済対策に伴う公共事業の増加を背景に建設関連が堅調に推移するなど、企業収益の改善が持続した反面、米国新政権の政策の見極めや英国のEU離脱問題に端を発する先行き不透明感が拭えず、設備投資には慎重な動きもみられました。また、個人消費は、雇用や所得は回復傾向にあるものの、台風などの天候不順により、全体としては弱含みで推移しました。
当社グループを取り巻く事業環境は、国内生産財分野では、政府の経済政策の効果は限定的となりましたが、年度の後半からスマートフォン向けだけでなく、車載や産業機械向けなど電子部品・デバイス類の用途の拡大を背景に、半導体出荷額が急増しました。海外生産財分野では、自動車の新車販売台数が好調に推移した米国の設備投資需要が上向きとなりました。中国では経済の減速により設備投資が低調となりましたが、スマートフォン需要によりEMS関連の設備投資は、年度の後半から回復の動きがみられました。国内消費財分野では、新設住宅着工戸数の増加を背景に、住宅設備関連商品の需要が底堅く推移しました。
このような情勢下、当社グループは、創立70年の節目の年として、新3ヵ年中期経営計画『ONEXT YAMAZEN 2018(ワンネクスト ヤマゼン 2018)』の方針に基づき、新たな成長戦略を描き企業価値の一層の向上に取り組んでまいりました。生産財事業では、世界のマーケットがボーダレス化するなかで、市場のニーズを的確に取り込み、収益力の向上につなげるために、国内事業と海外事業を一本化する組織再編を行いました。家庭機器事業では、多品種・小ロット出荷の機能を強化し、高速物流に対応しながら、物流コスト増の抑制を実現させるため、当社国内最大の物流拠点「ロジス関東」(群馬県伊勢崎市)を稼働させました。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は、447,698百万円(前期比0.0%減)となりました。利益面につきましては、営業利益は13,113百万円(同、1.1%減)、経常利益は12,931百万円(同、4.2%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は8,518百万円(同、7.3%減)となりました。
セグメント別の概況は次のとおりであります。
当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しており、以下の前期比較については、前期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しております。
[生産財関連事業]
国内機械事業では、政府の経済政策の効果は限定的なものとなり、政府支援策を待って投資を先送りする傾向がみられました。また、世界の政治・経済の先行き不透明感を背景に、特に中小規模のユーザーでは設備投資に慎重になる傾向が目立ち、工作機械の販売は前期に比べ減少しました。
国内機工事業では、年度の前半は円高の進行に加えて、中国経済の停滞への懸念から販売が伸び悩みましたが、後半からはアジアでの需要回復や半導体関連の需要が伸長したことから、工作機器、測定機器、また補要工具や切削工具等の出荷が緩やかながらも上向きに推移し、とりわけ鉄骨・鍛圧機器は前期を大きく上回る受注となりました。
海外においては、米国市場は、航空機関連産業や自動車関連産業向けの受注が堅調に推移しました。中国市場においては、年度の後半からEMS向け工作機械の需要が伸長したものの、景気の減速が続いたことから全体的には大きく落ち込みました。ASEAN市場においては、タイ、インドネシアは横ばいで推移しましたが、フィリピンやベトナムでは日系企業等からの受注増により好調に推移しました。その結果、生産財関連事業の売上高は302,187百万円(前期比1.9%減)となりました。
[消費財関連事業]
[住建事業]
リフォーム・リノベーション市場が低調となりましたが、堅調な新設住宅着工戸数の推移を背景に、浴室機器や衛生機器等の水廻り商品の販売が増加しました。また、太陽光発電システムの販売は減少しましたが、空調機器を中心とした省エネ機器更新の提案受注を強化した結果、住建事業部の売上高は58,171百万円(前期比3.1%増)となりました。
[家庭機器事業]
夏物季節商品(扇風機・レジャー用品)の出荷は年度の初めは好調に推移したものの、その後の首都圏での台風などの天候不順の影響で、厳しい商戦となりました。冬物季節商品(暖房機器等)も暖冬の影響で出荷の伸びに勢いを欠きましたが、家事家電や健康機器等での新商品の投入効果、また販路の拡大等により、全体を押し上げました。その結果、家庭機器事業部の売上高は79,151百万円(前期比5.3%増)となりました。
なお、上記金額には消費税等は含まれておりません。
(2)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ3,033百万円増加し、56,359百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動による資金は8,248百万円の増加(前年同期は10,465百万円の増加)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益(13,005百万円)、退職給付信託の設定額(1,700百万円)、売上債権の増加(5,323百万円)、たな卸資産の増加(1,270百万円)、仕入債務の増加(4,957百万円)及び法人税等の支払(3,135百万円)によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動による資金は213百万円の減少(前年同期は1,534百万円の増加)となりました。これは主に、投資有価証券の取得による支出(1,151百万円)、有形及び無形固定資産の取得による支出(1,282百万円)、有形及び無形固定資産の売却による収入(298百万円)、利息及び配当金の受取(1,694百万円)によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動による資金は5,324百万円の減少(前年同期は4,149百万円の減少)となりました。これは主に、利息及び配当金の支払(4,937百万円)によるものであります。