四半期報告書-第72期第1四半期(平成26年4月1日-平成26年6月30日)

【提出】
2014/08/13 9:11
【資料】
PDFをみる
【項目】
30項目

財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

文中における将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 業績の状況
当第1四半期連結累計期間における日本経済は、消費税率引上げに伴う駆け込み需要の反動による影響がありましたが、5月以降は一部の個人消費や企業の生産活動に回復の動きが見られ、新興国経済の足踏みによる輸出の伸び悩みなどがあったものの、緩やかな回復基調となりました。
このような状況のもと、当社グループは、中期経営計画「PLAN15」に基づき、「持続的な収益力の向上」と「財務体質の強化」に取り組みました。また、政府の「水素・燃料電池戦略ロードマップ」の発表など水素社会の実現に向けた機運が高まる中、当社グループは燃料電池車の普及に向けて水素供給設備「水素ステーション」の整備等に取り組みました。
この結果、当第1四半期連結累計期間の業績は、売上高1,597億99百万円(前年同四半期比88億10百万円の増収)、営業利益1億49百万円(前年同四半期比1百万円の増益)、経常利益4億3百万円(前年同四半期比28百万円の増益)、四半期純利益1億5百万円(前年同四半期比6百万円の増益)となりました。
なお、当社グループの事業構造はエネルギー関連商品を主力としており、季節変動による影響を大きく受ける傾向にあります。LPガスの消費量は、気温や水温の影響を受けるため、販売量は夏季に減少し、冬季に増加します。このため当社グループは利益が下半期に偏る収益体質を有しています。
セグメントの概況は次のとおりです。
なお、当第1四半期連結会計期間より、従来「その他」に区分しておりました連結子会社1社について「産業ガス・機械事業」に区分変更を行っており、当第1四半期連結累計期間の比較・分析は変更後の区分に基づいております。
①総合エネルギー事業
総合エネルギー事業では、主力の民生用LPガスについては、引き続き消費者戸数の拡大に取り組むとともに、大口顧客向けの需要開拓に努めたことなどから販売数量が増加しました。LPガス輸入価格の影響については、年明けから期初にかけての下落局面で在庫が相対的に高値となったことにより、大幅な減益要因となりました。また、エネルギー関連機器については、非常用LPガス発電機等の販売が減少しました。
この結果、当事業分野の売上高は867億71百万円(前年同四半期比40億35百万円の増収)、営業損失は9億13百万円(前年同四半期比14億44百万円の減益)となりました。
②産業ガス・機械事業
産業ガス・機械事業では、酸素、窒素等のエアセパレートガスについては、電力料金上昇の影響が継続したものの、中国の自動車業界向けを中心に国内外で販売が好調となりました。ヘリウムについては、カタールからの供給が順調に拡大したことで、販売が大きく伸長しました。水素は、新規顧客の獲得により液化水素の販売数量が増加しました。
機械設備等については、半導体業界向けの販売等が減少したものの、自動車業界や造船業界向けに溶接関連設備や溶接材料の販売が増加しました。
この結果、当事業分野の売上高は364億47百万円(前年同四半期比36億39百万円の増収)、営業利益は4億20百万円(前年同四半期比3億39百万円の増益)となりました。
③マテリアル事業
マテリアル事業では、電子マテリアル部門はスマートフォン向けに機能性フィルムや二次電池材料の販売が好調に推移しました。資源・新素材部門は資源価格の回復が見られず厳しい状況が続きました。金属部門はステンレス鋼の販売が微減となったものの、海外向けの高合金の販売が伸長しました。機能樹脂部門はPET樹脂の販売競争激化や、樹脂製品の原料価格高騰の影響などから収益性が低下しました。
この結果、当事業分野の売上高は284億38百万円(前年同四半期比15億46百万円の増収)、営業利益は5億59百万円(前年同四半期比6億54百万円の増益)となりました。
④自然産業事業
自然産業事業では、食品部門は生産国でのコスト上昇や国内での価格競争が続く中、冷凍野菜の販売が伸長しました。農業・畜産部門は畜産設備の販売が増加したものの、疾病の影響により種豚の出荷が低調となりました。
この結果、当事業分野の売上高は64億13百万円(前年同四半期比5億20百万円の増収)、営業利益は10百万円(前年同四半期比37百万円の減益)となりました。
⑤その他
売上高は17億27百万円(前年同四半期比9億30百万円の減収)、営業利益は1億82百万円(前年同四半期比20百万円の減益)となりました。
(注) 記載金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 財政状態の分析
当第1四半期連結会計期間末の総資産は、前連結会計年度末と比べ257億81百万円減少の3,904億38百万円となりました。これは、現金及び預金が5億18百万円の増加、仕掛品が15億30百万円の増加となったものの、受取手形及び売掛金が235億21百万円の減少、商品及び製品が22億48百万円の減少となったこと等によるものです。
当第1四半期連結会計期間末の負債は、前連結会計年度末と比べ234億70百万円減少の2,876億91百万円となりました。これは、支払手形及び買掛金が162億98百万円の減少、未払法人税等が61億82百万円の減少、賞与引当金が16億10百万円の減少となったこと等によるものです。なお、当第1四半期連結会計期間末のリース債務を含めた有利子負債額は、前連結会計年度末と比べ7億14百万円減少の1,603億85百万円となりました。
当第1四半期連結会計期間末の純資産は、前連結会計年度末と比べ23億11百万円減少の1,027億47百万円となりました。これは、その他有価証券評価差額金が11億7百万円の増加となったものの、利益剰余金が28億99百万円の減少、為替換算調整勘定が4億64百万円の減少となったこと等によるものです。
(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第1四半期連結累計期間において、当社グループの事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
なお、当社は財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針を定めており、その内容等(会社法施行規則第118条第3号に掲げる事項)の概要は次のとおりであります。
①当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針(概要)
当社取締役会は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者は、当社グループの企業価値の向上・株主共同の利益の実現に資する者が望ましいと考えますが、最終的には株主の皆様の判断に委ねられるべきと考えます。
また、当社は金融商品取引所に株式を上場している者として、市場における当社株式の自由な取引を尊重し、特定の者による当社株式等の大規模買付行為であっても、当社グループの企業価値の向上ひいては株主共同の利益の実現に資するものである限り、否定的な見解を有するものではありません。
ただし、当社グループの企業価値・株主共同の利益を損なう又は損なう恐れの強い株式等の大規模買付行為を行う者は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者として適切でないと考えております。このため、当社取締役会は、株主の皆様から負託された者の責務として、不適切な株式等の大規模買付提案に対する一定の備えを設けるとともに、株式等の大規模買付提案について株主の皆様が判断をされるために必要な時間や情報の確保、株式等の大規模買付提案者との交渉などを行う必要があると考えます。
②基本方針の実現に資する取り組みについて(概要)
当社は、上記基本方針の実現に資する取り組みとして、グループを挙げて中期経営計画「PLAN15」に取り組み、経営目標である「持続的な収益力の向上」と「財務体質の強化」の推進を通じて、企業価値の向上に努めております。
具体的には、これまでに培ってきた事業基盤をさらに強化することで継続的な利益の拡大及びROA(総資産経常利益率)の向上を図るとともに、投資の吟味と投資効率の改善による有利子負債の削減及び有利子負債依存度の改善を目指しております。
また、中期経営ビジョンとして、以下の4つのビジョンを掲げております。
(a) 収益構造の着実な強化
当社グループの飛躍に向けて、基幹事業の収益構造を強化します。具体的には、LPガス事業における全国規模の事業展開による顧客基盤や、産業ガス・機械事業における液化水素・ヘリウムの供給力など、各事業の強みをより強くするとともに、事業構造を見直し、事業環境の変化に対応した強固な収益基盤を構築します。
(b) 東南アジア市場での成長
成長著しい東南アジアの新興国市場において、当社グループのネットワークを活用し、産業ガス、機械設備、並びに樹脂・金属等の原材料及び加工品など、新たなビジネスを構築することで事業基盤を拡大します。
(c) 技術力の強化
新設の中央研究所が中心となり、水素ステーション及び燃料電池車の普及拡大を支える技術的基盤の更なる強化に取り組むことに加え、ガス利用技術の新規開発、顧客の技術的課題の解決等、当社グループの競争力向上に資する技術力を強化し、「技術のイワタニ」としての当社グループの存在感を高めます。
(d) グループ経営の強化
世の中に必要とされる企業としてさらに成長するため、CSR経営を推進するとともに、グローバルな事業展開への対応や、効果的な連結経営の追求などにより、グループの成長を支える機能・体制を充実させます。
長期的には、水素エネルギー社会の実現に向けて、水素を中心とするクリーンエネルギーの供給や、エネルギーの効率的な利用促進により環境負荷を抑え、持続的な社会の発展に貢献したいと考えております。
また、当社の利益配分に関する基本方針につきましては、安定的な配当により株主の皆様へ還元すると同時に、持続的な成長に繋げるための投資等に活用し、企業価値の最大化を図ることで株主の皆様のご期待に応えて参ります。
当社はこれらの取り組みを着実に実行し、「世の中に必要とされる企業」であり続けることにより、当社グループの企業価値の向上、ひいては株主共同の利益の実現に資することができるものと考えております。
③基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取り組み(概要)
当社は、平成26年6月27日開催の第71回定時株主総会において株主の皆様のご承認をいただき、「当社株式等の大規模買付行為に関する対応策(買収防衛策)」を継続いたしました。概要は以下のとおりです。
(a) 独立委員会の設置
取締役会の恣意的な判断を排し、判断及び対応の客観性及び合理性を担保することを目的として、取締役会から独立した諮問機関である独立委員会を設置しております。
(b) 対象となる大規模買付行為
当社が発行する株式等について、保有者の株式等保有割合が20%以上となる買付行為を対象とします。
(c) 必要情報の提供
当社取締役会は、大規模買付者より、大規模買付行為に対する株主の皆様のご判断のために必要かつ十分な情報の提供を受けます。また、提出を受けた全ての情報を独立委員会に提供します。
(d) 取締役会評価期間
当社取締役会は、必要情報の提供が十分になされたと認めた場合、もしくは必要情報が十分に揃わない場合であっても回答期限に到達した場合には、速やかに開示します。また、60日間又は90日間の評価期間(最大30日間の延長が可能)を設定し、当社の企業価値・株主共同の利益の確保・向上の観点から、買付者等による大規模買付等の内容の検討を行います。
(e) 対抗措置の発動を勧告する場合
独立委員会は、取締役会評価期間内に当社取締役会に対して、対抗措置の発動の是非に関する勧告を行います。
ⅰ) 対抗措置の発動に関する独立委員会の勧告
独立委員会は、大規模買付者が手続きを遵守しなかった場合、又は大規模買付行為が当社の企業価値・株主共同の利益を著しく損なうと認められる場合には、当社取締役会に対して、対抗措置の発動を勧告します。
ⅱ) 対抗措置の不発動を勧告する場合
ⅰ)に定める場合を除き、独立委員会は、対抗措置の不発動を勧告します。
(f) 取締役会の決議
当社取締役会は、独立委員会の勧告を最大限尊重し、当社の企業価値・株主共同の利益の確保・向上の観点から、速やかに対抗措置の発動又は不発動の決議を行います。
(g) 対抗措置の具体的内容
大規模買付者のみが行使できない新株予約権を、株主へ無償で割当てることを対抗措置とします。
(h) 有効期間、変更及び廃止
本買収防衛策の有効期間は、平成29年6月開催予定の定時株主総会終結の時までです。ただし、有効期間の満了前であっても、当社の株主総会において変更又は廃止の決議がなされた場合には、その時点で変更又は廃止されます。また、当社取締役会により廃止の決議がなされた場合には、その時点で廃止されるものとします。
(i) 買収防衛策の手続き
買収防衛策の手続きに関するフローの概要は以下のとおりです。

本買収防衛策の詳細については、当社ウェブサイト(http://www.iwatani.co.jp/)をご覧ください。
④上記取り組みに対する当社取締役会の判断及びその理由
当社の中期経営計画等の各施策及び本買収防衛策の導入は、当社の企業価値・株主共同の利益の確保・向上の目的を持って実施されているものであり、基本方針に沿うものです。
また、本買収防衛策は、導入において株主総会の承認を受けていること、取締役会から独立した独立委員会が対抗措置の発動の是非を勧告すること、対抗措置の発動要件が合理的・客観的であり取締役会による恣意的な発動を防ぐ仕組みとなっていること、並びに、株主総会又は取締役会により廃止できることなどにより、合理性が担保されており、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものではありません。
(4) 研究開発活動
当第1四半期連結累計期間における当社グループ全体の研究開発費は3億4百万円であります。
なお、当第1四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(5) 経営成績に重要な影響を与える要因及び経営戦略の現状
前連結会計年度末以降、当四半期報告書提出日現在において、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因について新たな発生又は消滅はありません。また、経営戦略の現状についても重要な変更又は著しい変化はありません。