有価証券報告書-第74期(平成28年4月1日-平成29年3月31日)

【提出】
2017/06/29 9:55
【資料】
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【項目】
136項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、創業以来、「世の中に必要な人間となれ、世の中に必要なものこそ栄える」を企業理念として掲げ、常に世の中が求める新しい価値、お客様が求める価値の創造に努め、社会に貢献することを目指しています。
この観点から、株主様、お取引先様、従業員などからの信頼と期待に応えることが、会社繁栄の絶対条件と考え日々の事業経営に取り組んでおります。
(2)目標とする経営指標
平成31年3月期を最終年度とする中期経営計画「PLAN18」では、基本方針を「成長戦略の推進」及び「経営基盤の拡充」としており、具体的な数値目標は平成31年3月期において、経常利益240億円、ROA(総資産経常利益率)5.5%以上、ROE(自己資本利益率)10.0%以上としております。
(3)中長期的な経営戦略
当社は、基本方針の実現に資する取り組みとして、中期経営計画「PLAN18」を策定し、「成長戦略の推進」と「経営基盤の拡充」に取り組んでおります。
具体的には、基本戦略として以下の5つを掲げております。
(a) エネルギー流通革命
LPガスを川上から川下まで一貫して全国で事業展開している強みを活かし、流通改革の実施、保安体制の強化などにより、事業の更なる拡充に努めるとともに、消費者戸数の拡大に取り組むことで、エネルギー生活総合サービス事業の基盤拡大を図ります。
(b) 水素エネルギー社会の推進
水素がエネルギーとして利用される社会の早期実現を支えるために、液化水素を核としたサプライチェーンの構築に取り組みます。
(c) 海外事業強化
海外売上高比率の拡大を目的として、事業セグメントを超えた組織横断的視点で事業展開を図るために、新たに海外事業本部を発足しました。ASEAN域内の関税撤廃を視野に入れ、特に東南アジアでの事業拡大に努めます。
(d) 新規事業立ち上げ
当社グループの企業理念である「世の中に必要な人間となれ、世の中に必要なものこそ栄える」に基づき、BtoC事業を展開する中で、顧客のニーズを捉えた新規事業に取り組みます。
(e) コンプライアンス遵守
当社グループ全体でコンプライアンス遵守に努めることで、企業としての社会的責任を果たすとともに、顧客、取引先などの多様なステークホルダーからの信頼を高め、地域社会や地球環境に貢献します。
また、当社の利益配分に関する基本方針につきましては、安定的な配当により株主の皆様へ還元すると同時に、成長戦略を支えるための投資等に活用し、企業価値の最大化を図ることで株主の皆様のご期待に応えてまいります。
当社はこれらの取り組みを着実に実行し、「世の中に必要とされる企業」であり続けることにより、当社グループの企業価値の向上、ひいては株主共同の利益の実現に資することができるものと考えております。
(4) 当面の対処すべき内容等
今後の見通しにつきましては、政府の経済政策や所得の拡大により本格的な回復が期待されますが、米国の政策動向による影響、世界各地の政情不安の高まりなどから、先行きは不透明な状況が続くと予想されます。
また、エネルギー事業を取り巻く環境は、電力・都市ガス小売事業の全面自由化に伴い、競争が激化することが予想されます。
このような状況のもと、当社グループでは、平成31年3月期を最終年度とする中期経営計画「PLAN18」を通じて、「成長戦略の推進」と「経営基盤の拡充」に取り組みます。
総合エネルギー事業は、引き続きM&Aの推進によりLPガス消費者戸数の拡大を図るとともに、燃料転換推進による工業用LPガスの拡販を進めるなど、LPガス販売数量の増加に努めます。また、ガス関連機器や「カセットこんろ」シリーズの新商品開発、「富士の湧水」などのBtoC商品の販売を強化するとともに、LPガス事業で培った保安や営業力を活かし、新たに都市ガスエリアでの事業展開を図ることで、エネルギー生活総合サービス事業の拡充に取り組みます。
産業ガス・機械事業は、エアセパレートガスや液化水素のさらなる顧客拡大と新需要の開拓に努めるとともに、ヘリウムの国内外での拡販と収益改善に取り組みます。ロボットなどの機械設備については、産業ガス事業との相乗効果を発揮し、電子部品や自動車業界などを中心に販売拡大に努めます。
マテリアル事業は、既存ビジネスの収益基盤強化を図るとともに、バイオマス燃料やバイオPET樹脂、ナノニッケルなどの成長が期待される事業を推進します。また、新事業・新商材の開発に取り組み、事業規模の拡大に努めます。
自然産業事業は、品質管理を徹底し、国内外で安心・安全な食品の販売拡大に努めるとともに、京野菜の冷凍加工事業に続く新規事業の開発に取り組みます。また、種豚事業の強化と、農業・畜産での省力化をテーマに設備の開発・販売に努めます。
(5) 株式会社の支配に関する基本方針
①当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針(概要)
当社取締役会は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者は、当社グループの企業価値の向上・株主共同の利益の実現に資する者が望ましいと考えますが、最終的には株主の皆様の判断に委ねられるべきと考えます。
また、当社は金融商品取引所に株式を上場している者として、市場における当社株式の自由な取引を尊重し、特定の者による当社株式等の大規模買付行為であっても、当社グループの企業価値の向上ひいては株主共同の利益の実現に資するものである限り、否定的な見解を有するものではありません。
ただし、当社グループの企業価値・株主共同の利益を損なう又は損なう恐れの強い株式等の大規模買付行為を行う者は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者として適切でないと考えております。このため、当社取締役会は、株主の皆様から負託された者の責務として、不適切な株式等の大規模買付提案に対する一定の備えを設けるとともに、株式等の大規模買付提案について株主の皆様が判断をされるために必要な時間や情報の確保、株式等の大規模買付提案者との交渉などを行う必要があると考えます。
②基本方針の実現に資する取り組み
当社は、基本方針の実現に資する取り組みとして、平成31年3月期を最終年度とする中期経営計画「PLAN18」に取り組んでおります。詳細については、「3経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(3)中長期的な経営戦略」をご参照下さい。
③基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取り組み(概要)
当社は、平成29年6月28日開催の第74回定時株主総会において株主の皆様のご承認をいただき、「当社株式等の大規模買付行為に関する対応策(買収防衛策)」を継続いたしました。概要は以下のとおりです。
(a) 独立委員会の設置
取締役会の恣意的な判断を排し、判断及び対応の客観性及び合理性を担保することを目的として、取締役会から独立した諮問機関である独立委員会を設置しております。
(b) 対象となる大規模買付行為
当社が発行する株式等について、保有者の株式等保有割合が20%以上となる買付行為を対象とします。
(c) 必要情報の提供
当社取締役会は、大規模買付者より、大規模買付行為に対する株主の皆様のご判断のために必要かつ十分な情報の提供を受けます。また、提出を受けた全ての情報を独立委員会に提供します。
(d) 取締役会評価期間
当社取締役会は、必要情報の提供が十分になされたと認めた場合、もしくは必要情報が十分に揃わない場合であっても回答期限に到達した場合には、速やかに開示します。また、60日間又は90日間の評価期間(最大30日間の延長が可能)を設定し、当社の企業価値・株主共同の利益の確保・向上の観点から、買付者等による大規模買付等の内容の検討を行います。
(e) 対抗措置の発動を勧告する場合
独立委員会は、取締役会評価期間内に当社取締役会に対して、対抗措置の発動の是非に関する勧告を行います。
ⅰ) 対抗措置の発動に関する独立委員会の勧告
独立委員会は、大規模買付者が手続きを遵守しなかった場合、又は大規模買付行為が当社の企業価値・株主共同の利益を著しく損なうと認められる場合には、当社取締役会に対して、対抗措置の発動を勧告します。
ⅱ) 対抗措置の不発動を勧告する場合
ⅰ)に定める場合を除き、独立委員会は、対抗措置の不発動を勧告します。
(f) 取締役会の決議
当社取締役会は、独立委員会の勧告を最大限尊重し、当社の企業価値・株主共同の利益の確保・向上の観点から、速やかに対抗措置の発動又は不発動の決議を行います。
(g) 対抗措置の具体的内容
大規模買付者のみが行使できない新株予約権を、株主へ無償で割当てることを対抗措置とします。
(h) 有効期間、変更及び廃止
本買収防衛策の有効期間は、平成32年6月開催予定の定時株主総会終結の時までです。ただし、有効期間の満了前であっても、当社の株主総会において変更又は廃止の決議がなされた場合には、その時点で変更又は廃止されます。また、当社取締役会により廃止の決議がなされた場合には、その時点で廃止されるものとします。
(i) 買収防衛策の手続き
買収防衛策の手続きに関するフローの概要は以下のとおりです。
本買収防衛策の詳細については、当社ウェブサイト(http://www.iwatani.co.jp/)をご覧ください。
④具体的取り組みに対する当社取締役会の判断及びその理由
当社の中期経営計画等の各施策及び本買収防衛策の導入は、当社の企業価値・株主共同の利益の確保・向上の目的を持って実施されているものであり、基本方針に沿うものです。
また、本買収防衛策は、導入において株主総会の承認を受けていること、取締役会から独立した独立委員会が対抗措置の発動の是非を勧告すること、対抗措置の発動要件が合理的・客観的であり取締役会による恣意的な発動を防ぐ仕組みとなっていること、並びに、株主総会又は取締役会により廃止できることなどにより、合理性が担保されており、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものではありません。