有価証券報告書-第50期(平成29年1月1日-平成29年12月31日)

【提出】
2018/03/28 14:12
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【項目】
116項目

業績等の概要

(1) 業績
当期におけるわが国の経済を振り返りますと、個人消費や設備投資が持ち直し、景気は緩やかに回復しました。
このような経済環境のもと、当社グループは、市場の低迷によりレンズ交換式デジタルカメラやインクジェットプリンターの売上が減少したものの、ITソリューションや産業機器が順調に推移した結果、売上高は6,321億89百万円(前期比0.5%増)となりました。
一方、利益につきましては、収益性の高いサービスやソリューションの順調な推移に加え、業務の効率化による生産性向上、経費の削減等により、営業利益は304億6百万円(前期比9.9%増)、経常利益は314億91百万円(前期比9.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は206億79百万円(前期比13.9%増)となりました。
セグメントの業績は以下のとおりであります。以下の文章における増減に関する記載は、前年同期との比較に基づいております。
なお、当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しており、当期の比較・分析は、変更後の区分に基づいております。
ビジネスソリューション
ビジネスソリューションにおける主力製品の国内市場については、オフィスMFP(複合機)は、市場全体で需要が低調となり、出荷台数は減少しました。また、レーザープリンターは、民間企業・官公庁ともに需要が低調に推移し、出荷台数は減少しました。
(オフィスMFP)
中小企業向け主力カラー機として「imageRUNNER ADVANCE C3500」シリーズを発売し、新規顧客の獲得に努めました。また、大手企業向け大型案件を受注するなどし、売上は増加しました。
(プロダクションプリンティング)
プロダクションプリンティングは、商業印刷、企業内印刷、基幹系帳票印刷等の市場を対象に、プロダクションMFPや連帳プリンター、大判インクジェットプリンター等の販売とサービス・サポートの提供を行っております。当期は、「imagePRESS C850/C650」等のカット紙プリンターは、一般オフィスや印刷業向けで好調に推移しましたが、連帳プリンターの新製品の出荷が遅れたこと等により売上は減少しました。
(レーザープリンター)
一般オフィスにおいてMFPへの集約化が進み出荷台数の減少が続いたものの、複数の大型案件を獲得したことや、注力分野である特定業種への拡販により、売上は増加しました。トナーカートリッジも、プリントボリュームの多い特定業種向けに加え、金融業や官公庁向けに出荷が拡大したこと等により、売上は増加しました。
(ネットワークカメラ)
ネットワークカメラは、セキュリティやマーケティング等のさまざまな用途に向け、機器の販売とサービス・サポートの提供を行っております。当期は、商業施設向けの大型案件に加え、アクシス社やマイルストーンシステムズ社の製品を組み合わせ、さまざまな分野で案件を獲得したこと等により、売上は増加しました。
(保守サービス)
オフィスMFP等の保守サービスは、市場稼働台数の増加等によりプリントボリュームが増加したものの、保守料金の単価下落が続き、売上は対前年微減となりました。
(グループ会社)
キヤノンシステムアンドサポート(株)は、セキュリティソリューションやIT機器の保守サービスなどのITソリューションビジネスが増加し、売上は微増となりました。
キヤノンプロダクションプリンティングシステムズ(株)は、連帳機の新製品の出荷が遅れたこと等により、売上は減少しました。
これらの結果、当セグメントの売上高は3,381億45百万円(前期比1.1%増)、セグメント利益は122億38百万円(前期比1.5%増)となりました。
ITソリューション
ITソリューションの国内市場については、景気の回復に伴い金融業や製造業などにおけるIT投資が拡大し、中堅・中小企業から大手企業まで全般的に順調に推移しました。
(SIサービス事業)
SIサービス事業は、お客さまの要望に合わせた個別システムの開発とソリューションパッケージを用いたシステム開発を行っております。当期は、金融業や文教向け案件が順調に推移し、売上は増加しました。
(ITインフラ・サービス事業)
ITインフラ・サービス事業は、データセンターサービス、クラウドサービス、システム基盤構築サービス、システム運用サービスを提供しております。当期は、データセンターサービスが好調に推移し、売上は増加しました。
(エンベデッド事業)
エンベデッド事業は、製品組込みソフトウェアの開発を行っております。当期は、自動車産業向けが好調に推移したものの、製造業の主要顧客向け案件の減少により、売上は減少しました。
(プロダクト事業)
プロダクト事業は、IT関連のハードウェア、パッケージソフトウェア及びライセンスの販売を行っております。当期は、「ESET」をはじめとするセキュリティ関連製品やITプロダクト商材が順調に推移し、売上は増加しました。
これらの結果、当セグメントの売上高は1,348億96百万円(前期比4.7%増)、セグメント利益は45億59百万円(前期比14.5%増)となりました。
イメージングシステム
(デジタルカメラ)
レンズ交換式デジタルカメラの国内市場は、ミラーレスカメラが好調に推移しましたが、一眼レフカメラは需要が低迷し、レンズ交換式デジタルカメラの出荷台数は減少しました。
当社は、10月にミラーレスカメラの入門機「EOS M100」を発売し、若年層へ積極的にプロモーションを行い、ミラーレスカメラの売上が大きく伸びました。一方、一眼レフカメラは8月に発売した「EOS 6D MarkⅡ」を中心にミドルクラスの売上は増加したものの、エントリークラスでミラーレスカメラへの移行が進んだこと等により減少し、レンズ交換式デジタルカメラ全体の売上は減少しました。
コンパクトデジタルカメラの国内市場は、前年に熊本地震の影響を受け商品供給不足となっていた反動により、出荷台数は増加しました。
(インクジェットプリンター)
インクジェットプリンターは、市場が低調に推移し出荷台数が減少したこと等により売上は減少しました。インクカートリッジは、プリントボリュームの減少等により、売上は減少しました。
(業務用映像機器)
放送局向け案件が減少し、放送用レンズの出荷が低調に推移したことにより、売上は減少しました。
これらの結果、当セグメントの売上高は1,523億39百万円(前期比4.3%減)、セグメント利益は116億88百万円(前期比7.4%増)となりました。
産業・医療
(産業機器)
産業機器は、半導体関連市場が活況を呈したことにより、半導体製造装置及び検査計測装置、保守サービス等が大幅に増加しました。また、半導体関連市場向け以外の事業も順調に推移し、売上は増加しました。
(医療事業)
医療事業は、医療ソリューションの強化と事業構造の改革を推進しているものの、X線フィルムの販売や調剤関連商品等が低調に推移し、売上は減少しました。
これらの結果、当セグメントの売上高は343億8百万円(前期比6.5%増)、セグメント利益は15億43百万円(前期比731.3%増)となりました。
(注) 1 文中の数値には、消費税等は含まれておりません。
(注) 2 各セグメント別の売上高は、外部顧客への売上高にセグメント間の内部売上高又は振替高を加算したも のであります。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(セグメント情報等)」をご参照ください。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ296億93百万円増加して、1,369億79百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローの資金の増加は、288億85百万円(前連結会計年度は333億6百万円の増加)となりました。これは税金等調整前当期純利益309億18百万円に加え、主に減価償却費142億68百万円による資金の増加と、たな卸資産の増加39億17百万円、法人税等の支払91億62百万円による資金の減少によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローの資金の増加は、79億63百万円(前連結会計年度は194億60百万円の減少)となりました。これは主に、有形固定資産の売却による収入213億55百万円、有形固定資産の取得による支出120億70百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローの資金の減少は、71億45百万円(前連結会計年度は60億86百万円の減少)となりました。これは主に、配当金の支払71億27百万円によるものであります。