有価証券報告書-第46期(平成25年1月1日-平成25年12月31日)

【提出】
2014/03/27 12:47
【資料】
PDFをみる
【項目】
137項目

業績等の概要

(1)業績
当連結会計年度におけるわが国の経済を振り返りますと、不安定な海外景気等一部に懸念があったものの、安倍政権の経済政策「アベノミクス」への期待を背景に個人消費が着実な持ち直しを見せ、期の後半には企業の設備投資も徐々に改善の兆しが現れる等、景気は回復基調で推移しました。
このような経済環境のもと、当社グループは、“サービス創造企業グループ”への成長を図るべく、「中期経営計画(2013年~2015年)」において定めた
①キヤノングループとの連携を強化し、さらに当社グループのソリューション力を付加して、キヤノン製品の圧倒的世界シェアNo.1に貢献する。
②キヤノングループ・当社グループの独自の強みやノウハウを活かし、独自性ある高付加価値ソリューションを創出する。
③“Beyond CANON, Beyond JAPAN”の発想のもと、商社機能の強化とビジネスモデルの抜本的な変革を推進し、グローバルキヤノングループに貢献する。
の3つの経営基本方針に基づき、新製品の拡販やさまざまなソリューション提案等に積極的に取り組みました。これらの結果、期の前半は進捗の遅れが発生したものの、期の後半は売上が前年同期を上回る等順調に推移し、売上高は6,572億15百万円(前年同期比0.3%減)と、ほぼ前期並みとなりました。
利益面につきましては、期の前半は進捗の遅れが見られましたが、期の後半は前年同期に比べ大幅な増益となったことにより、営業利益は170億12百万円(前年同期比1.3%増)、経常利益は182億10百万円(前年同期比0.6%増)と、前年同期に比べ増益となりました。一方、当期純利益は、レンタル資産廃却を含む固定資産除売却損等の特別損失を計上したことにより、101億67百万円(前年同期比3.9%減)となりました。
また、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 会計方針の変更 (売上高の会計処理の変更)」に記載のとおり、従来、販売費及び一般管理費に計上していた販売促進費の一部について、当連結会計年度より、売上高から控除する方法(純額表示)に変更いたしました。当該会計方針の変更は遡及適用され、前年同期増減率については遡及適用後の数値を記載しております。
セグメントの業績は以下のとおりであります。
当連結会計年度より、従来の「コンスーマイメージング」から「イメージングシステム」へとセグメント名称を変更しております。なお、セグメント名称変更によるセグメント情報に与える影響はありません。
ビジネスソリューション
MFP(複合機)の国内市場は、出荷台数は前年同期に比べ増加しました。当社グループは、オフィスMFPの「imageRUNNER ADVANCE」シリーズにおいて、カラー機で普及モデルの「C5200」シリーズやコンパクトモデルの「C2200」シリーズ、中小オフィス向けの「C2218F-V」を中心に、大手から中小まで新規顧客の開拓等、積極的な拡販に努めました。また、商業印刷市場向けのプロダクションMFPにおいても、「imagePRESS」シリーズや「Océ VarioPrint 6000 Ultra+」シリーズ等の業務用プリンターの受注促進に注力しました。これらの結果、MFP全体の出荷台数は業界を上回る伸びを達成し、売上は前年同期を上回りました。
レーザープリンターの国内市場は、医療・流通等を中心とした専用用途案件が回復傾向にあるものの、一般オフィスでの需要低迷が続き、出荷台数は前年同期を下回りました。当社グループは、A3モノクロ機の「Satera LBP8630/8610」等を中心に拡販に取り組むとともに、11月には片面・両面同速プリントを実現したA3モノクロ機の「Satera LBP8730i」等を新規投入しましたが、前年同期に大型案件があったこともあり、売上は前年同期を下回りました。しかしながら、出荷台数はシェアNo.1を維持しました。また、トナーカートリッジは前年同期に同大型案件に伴う大量購入があったこともあり、売上は前年同期を下回りました。
大判インクジェットプリンターは、CAD(コンピューター支援設計)向けのエントリーモデル「imagePROGRAF iPF605L」シリーズがレンタル業や流通業向けを中心に順調に売上を伸ばすとともに、インクカートリッジも順調に推移し、売上は前年同期を上回りました。また、出荷台数もシェアNo.1を維持しました。
MFPの保守サービスは、景気回復に伴う企業活動の活発化と市場稼働台数の増加により、プリント需要の増加傾向が続きました。しかしながら、保守料金の単価下落の影響により、売上は前年同期を下回りました。なお、当分野では引き続き、MFPの遠隔監視システム「ネットアイ」の登録拡充等、さまざまなコストダウンに取り組みました。また、ドキュメントソリューションでは、中小オフィス向けIT支援サービス「HOME」の導入促進に努め、契約件数を着実に伸ばしました。
グループ会社のキヤノンシステムアンドサポート株式会社は、新規顧客の積極的な開拓やソリューション提案の強化等により、オフィスMFPやレーザープリンターの出荷台数を伸ばすとともに、ITソリューション部門も基幹業務のソリューションやIT保守、「Windows XP」サポート終了を契機としたシステム改修や増設のソリューションが順調に推移し、売上は前年同期を上回りました。また、昭和情報機器株式会社は、主力のプロダクションプリンターが順調に売上を伸ばすとともに、POP(店頭広告)制作用プリンターも堅調に推移し、売上は前年同期を上回りました。
これらの結果、当セグメントの売上高は3,272億63百万円(前年同期比1.1%減)、セグメント利益は55億35百万円(前年同期比12.1%減)となりました。
ITソリューション
ITソリューションの国内市場は、引き続き金融機関等を中心にIT投資が増加傾向となり、緩やかに拡大しました。当社グループは、市場の回復に合わせ積極的な受注活動を展開した結果、金融機関向けのSI(システムインテグレーション)サービス事業やプロダクト事業が順調に推移し、売上は前年同期を上回りました。
(SIサービス事業)
SIサービス事業は、お客さまの要望に合わせた個別システムの開発と、プロダクトをベースとするシステム開発を行っております。当連結会計年度は、金融機関向けを中心に個別システム開発案件が増加し、売上は前年同期を上回りました。
(ITインフラ・サービス事業)
ITインフラ・サービス事業は、基盤系商品や構築サービス並びにクラウドサービス、システム運用サービス、データセンターサービス、BPO(業務の外部委託)サービスといったアウトソーシングサービスを提供しております。当連結会計年度は、クラウドサービスやデータセンターサービス等が増加したことにより、売上は前年同期に比べ微増となりました。
(エンベデッド事業)
エンベデッド事業は、製品組込みソフトウェアの開発を行っております。当連結会計年度は、製造業の主要顧客向け案件が減少し、売上は前年同期を下回りました。
(プロダクト事業)
プロダクト事業は、IT関連のハードウェア、ソフトウェア及びライセンスの販売を行っております。当連結会計年度は、「Windows XP」のサポート終了に伴う入れ替え需要の発生等により、ビジネスPCが好調に推移しました。また、メモリー関連製品の販売が堅調に推移し、売上は前年同期を大幅に上回りました。
これらの結果、当セグメントの売上高は1,422億99百万円(前年同期比8.6%増)、セグメント利益は3億87百万円(前年同期比97.6%増)となりました。
イメージングシステム
(デジタルカメラ)
レンズ交換式デジタルカメラの国内市場は、新規ユーザー層の拡大や買い替えのニーズの高まり等により需要が拡大し、出荷台数は前年同期を上回りました。当社は、4月発売の一眼レフカメラ「EOS Kiss X7」等のエントリーモデルや、「EOS M2」を12月に発売しラインアップを拡充したミラーレスモデルが大幅に出荷台数を伸ばすとともに、8月発売のミドルクラスの「EOS 70D」も強い製品力と積極的なプロモーション活動によって円滑な立ち上げと勢いの維持に成功する等、各カテゴリーとも好調に推移しました。また、高価格帯の一眼レフカメラを対象として11月から実施した「ザ・ゴールドラッシュ プレミアム キャンペーン」等の積極的な販売促進策により、フルサイズセンサーを搭載した「EOS 5D Mark III」や「EOS 6D」等のミドルクラス製品、「Lレンズ」等の高級タイプの交換レンズも好調に推移しました。さらに消費税増税前の駆け込み需要を見越したディーラーの先行仕入れもありました。これらの結果、本体及び交換レンズともに過去最高の出荷台数となり、売上は前年同期を大幅に上回りました。また、プロ・ミドル・エントリーのすべてのカテゴリーでシェアNo.1を達成しました。
コンパクトデジタルカメラの国内市場は、スマートフォンの普及の影響等により出荷台数は前年同期を下回りました。当社は、9月発売の「PowerShot S120」等のプレミアムモデルや、4月発売の動画機能を強化した光学20倍ズームレンズ搭載の「PowerShot SX280 HS」、エントリーモデルの「IXY 620F」が好調に推移しました。これらの結果、プレミアムからエントリーまでバランスのよいラインアップを取り揃える戦略を継続することで、シェアNo.1を獲得しました。しかしながら、市場の縮小等により、売上は前年同期を下回りました。
(インクジェットプリンター)
インクジェットプリンターの国内市場は、市場の成熟化等により、出荷台数は前年同期を下回りました。当社は、9月発売の「PIXUS MG7130」等の円滑な立ち上げと、6色ハイブリッド・低ランニングコスト等の特徴の訴求によって、期の後半は出荷台数が前年同期を上回る等堅調に推移しました。しかしながら、期の前半の進捗の遅れにより、年間の売上は前年同期を下回りました。インクカートリッジも、店頭流通在庫が期の前半に調整局面にあったこと等により、売上は前年同期を下回りました。
(業務用映像機器)
放送や監視用途の情報カメラが順調に推移したことに加え、総務省が推奨する「4K/8K 次世代放送への推進」を背景に、映像制作用のカメラやレンズで構成される「CINEMA EOS SYSTEM」が4K対応製品を含め好調に推移しました。また、6月発売のHDハンディビデオカメラの新製品「XA20/25」も好調に推移し、売上は前年同期を上回りました。
これらの結果、当セグメントの売上高は1,917億29百万円(前年同期比0.1%減)、セグメント利益は124億91百万円(前年同期比14.4%増)となりました。
産業機器
産業機器(半導体製造関連機器等)は、検査計測機器等が期の後半に前年同期を上回る等、徐々に回復の兆しが現れました。また、産業用3Dプリンター等新規取扱商品の導入を図りました。しかしながら、期の前半に国内半導体関連の投資が低迷した影響により、売上は前年同期を下回りました。
医療機器は、ヘルスケア分野で全自動分包機や滅菌機が好調に推移し、売上は前年同期を上回りました。医療イメージング分野は、「CXDI-401G COMPACT」等のデジタルラジオグラフィー(X線デジタル撮影装置)が期の後半に出荷台数を大幅に伸ばしたものの、市場のデジタル化の進展により、フィルム等の消耗品販売が減少したことに加え、前年同期に大型案件があったこともあり、売上は減少しました。このため、医療機器全体の売上は前年同期を下回りました。
これらの結果、当セグメントの売上高は261億6百万円(前期比14.9%減)、セグメント損失は17億65百万円(前年同期は12億1百万円のセグメント損失)となりました。
(注)1 文中の数値には、消費税等は含まれておりません。
(注)2 各セグメント別の売上高は、外部顧客への売上高にセグメント間の内部売上高又は振替高を加算したも のであります。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(セグメント情報等)」をご参照ください。
(2)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ60億77百万円減少し、1,021億82百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローの資金の増加は287億80百万円(前連結会計年度は337億67百万円の増加)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益170億54百万円に加え、減価償却費174億47百万円、仕入債務の増加41億91百万円による資金の増加と、売上債権の増加47億30百万円、法人税等の支払84億17百万円による資金の減少によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローの資金の減少は257億57百万円(前連結会計年度は160億66百万円の減少)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出136億91百万円、短期貸付金の純増加99億98百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローの資金の減少は91億5百万円(前連結会計年度は118億13百万円の減少)となりました。これは主に、自己株式の取得による支出50億5百万円、配当金の支払34億58百万円によるものであります。