有価証券報告書-第58期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

【提出】
2021/06/17 15:36
【資料】
PDFをみる
【項目】
154項目
当社グループは、「最先端の技術と確かなサービスで、夢のある社会の発展に貢献します」という基本理念のもと、技術革新が速く活発なエレクトロニクス産業の中で、半導体製造装置及びFPD製造装置のリーディングサプライヤーとして、ビジネスを積極的に展開しております。
① 経営方針
当社グループは、技術専門商社からスタートし、開発製造機能をもつメーカーへの移行、グローバルな販売・サポート体制の構築など、事業環境の変化をいち早く捉え、その変化に素早く応えることにより、世界の市場に高い付加価値をもつ製品・サービスを提供してまいりました。また、当社は、半導体製造装置やその関連分野を中心に、技術革新が新たな価値を生み、高付加価値かつ高収益を期待できる事業領域において、独創的な技術で時代をリードすることを通じて成長を続けてきました。
当社の原動力は、業界のリーディングカンパニーとして育んだ豊かな技術力、確かな技術サービスに基づく顧客からの信頼、そして環境変化に柔軟かつ迅速に対応できる社員と、そのチャレンジ精神です。
今後も技術革新による価値創出が見込まれるエレクトロニクス技術を基盤とした成長分野において、当社のもつ最先端技術を活かして事業を推進し、ワールドクラスの高収益企業を目指してまいります。
② ビジョン
当社グループは、「革新的な技術力と、多様なテクノロジーを融合する独創的な提案力で、半導体とFPD産業に高い付加価値と利益を生み出す真のグローバルカンパニー」を目指しております。
③ 事業環境
ICT(情報通信技術)の普及、デジタルトランスフォーメーション(DX)の進展、そして脱炭素の実現を目指す動きなど、世界は今、“デジタル×グリーン社会”の構築に向けて様々な取り組みがおこなわれています。そして、それを支えるのが半導体の技術革新です。大容量、高速、高信頼性、低消費電力など、半導体の進化に向けた追求は止まることがありません。トランジスタの誕生から約70年。これまで半導体デバイス市場は着実な成長を遂げ、2020年に約4,400億ドルになりましたが、2030年頃には、現在の2倍以上となる1兆ドルに到達するなど高い伸びが予想されています。また、人とICTをつなぐインターフェイスとして、FPDも新たな進化が求められ、技術革新が続いています。有機ELの普及に伴い、高精細化、低消費電力化、薄くフレキシブルな特性を活かした大型化やデザイン性の向上など、用途はさらに拡大していきます。データ社会への移行が加速するなか、当社グループが参入する両事業は、社会の重要インフラである半導体とFPDを支え、夢のある社会の発展に向け、今後も大きく成長していくものと予想しております。
④ 中長期的な成長を見据えた取り組み
前述のような将来の成長ポテンシャルを踏まえ、2019年5月に中期経営計画を策定しました。売上高の規模別に営業利益率、自己資本利益率(ROE)の関係を示す目指すべき財務モデルを定めたもので、2024年度までに売上高2兆円、営業利益率30%以上、ROE30%以上、というモデルをその中核目標に掲げました。この目標を実現すべく、「メーカー」である当社グループは、引き続きベストプロダクト、ベストテクニカルサービスを追求してまいります。
・将来、顧客が必要とする高付加価値の最先端技術製品をいち早く市場に投入するとともに最良の技術サービスを提供してまいります。
・ベストプロダクトの創出に向け、当社が得意とする分野、蓄積された技術、経営ノウハウが活きる分野でビジネスを展開してまいります。
・世界をリードする技術革新力を維持向上させるため、2022年度においても1,600億円の研究開発費を投入する予定にしており、中期経営計画で公表している3年間で約4,000億円の研究開発費の投入を計画通り推進しております。将来の成長を見据え、強い財務基盤を活かした積極的な投資を継続してまいります。
・サービスの分野につきましても、当社がこれまで出荷した業界最多となる76,000台以上の半導体及びFPD製造装置をもとに、パーツ販売、装置のアップグレード改造、装置の稼動率向上や顧客が生産するデバイスの歩留まり向上などの課題解決に努めるとともに、これら高度なフィールドソリューションの提供を通じて、アフターマーケットにおける収益拡大を図ります。加えて、やがて10万台以上となる装置サポートに備え、遠隔保守などのスマートカスタマーサポートや装置の稼動データやAIの活用などによる予知保全など、高効率、高付加価値サービスの構築にも注力してまいります。
■ 人材に関する取り組み
「企業の成長は人。社員は価値創出の源泉」という考えのもと、会社の将来に対する期待と夢がもてる経営目標の設定、その達成に向けた成長投資に伴う様々な活動やキャリア機会、成果に見合う競争力のある公正な報酬、社員と経営層の積極的な対話を通じ、社員のやる気と会社へのエンゲージメントを重視した夢と活力のある会社の維持向上に努めております。
また、当社グループは、事業に関わるすべての人々の安全と健康を最優先することを経営理念で明示しておりますが、経済産業省と日本健康会議が共同で認定する健康経営優良法人「ホワイト500」に3年連続で選ばれております。社員がもてる力を最大限に発揮するために、社員の心身の健康保持・増進をサポートしています。
加えて、持続的成長を支える次世代の経営執行を担う人材を育成するため、「TELサクセッションプラン」に基づき後継候補者の育成をおこなっております。指名委員会はその育成状況を分析、精査の上、取締役会に報告するとともに、取締役会は後継候補者育成プランが適切に実行されるよう監督しております。
■ 環境・社会・ガバナンス(ESG)に関する取り組み
当社グループは、半導体製造装置及びFPD製造装置のリーディングカンパニーとして、高性能・高品質の製品やサービスの継続的な提供を通じ、より高い利益をあげて経済価値を高めるとともに、持続可能な社会の発展に貢献し社会価値を高めることで経営基盤を強化し、企業価値の向上を図ります。
環境・社会・ガバナンス(ESG)の側面では、国連の持続可能な開発目標(SDGs)に対応した活動テーマを設定し、事業活動を通じて産業や社会の課題解決と発展に寄与し、ステークホルダーとの信頼関係の構築に努めます。
とりわけ環境面においては、昨年12月に、2030年に向けた「中期環境目標」を改定しました。これは、当社製品におけるウェーハ1枚当たりのCO2排出量を2018年比で30%削減すること、及び当社グループの各事業所におけるCO2総排出量を2018年比で70%削減するというものです。例えば、装置サイズの縮小は、顧客の量産ラインの省スペース化の実現によるエネルギー効率向上でウェーハ1枚当たりのCO2排出量を削減するとともに、トラックや航空機輸送、梱包などのロジスティクス、製造及び倉庫スペースの効率化により、CO2排出量削減に直結するものです。持続可能で豊かな社会の発展のため、事業活動を通じた環境負荷低減の実現に、グループ全体で積極的に取り組んでまいります。
このような当社グループの取り組みは、外部からも高い評価を受けており、日本経済新聞社とQUICK ESG研究所が実施した「第2回ROESGランキング(2020年度版)」にて国内首位を獲得しました。「ROESG」は、資本効率性を表すROEと持続可能性を表す非財務指標であるESGを統合した指標として考案され、今回初めて国内ランキングの発表があり、当社グループの資本効率の高さや積極的なESGへの取り組みが評価されました。これからも中長期的な企業価値の向上を追求していきます。
⑤ 資本政策
当社グループの資本政策は、成長投資に必要な資金を確保し、積極的な株主還元に継続的に取り組み、中長期的成長の視点をもって、適切なバランスシート・マネジメントに努めることを基本としております。具体的には、営業利益率、資産効率をさらに高め、キャッシュ・フローの拡大に努めることで、持続的な成長を目指し、ROE向上など高い資本効率を追求します。
当社の配当政策につきましては、業績連動型を基本とし、親会社株主に帰属する当期純利益に対する配当性向50%を目処とします。また、自己株式の取得については、機動的に実施を検討することとしております。この方針に基づき、当事業年度においては、年間配当781円を実施しました。
当社グループは、以上のような取り組みを実行することで中期経営計画を達成し、さらなる持続的成長と企業価値の向上を通じて、世の中になくてはならない会社として、「最先端の技術と確かなサービスで、夢のある社会の発展に貢献します」という基本理念の実現を目指してまいります。
⑥ 目標とする経営指標
当社グループは、2019年5月27日に財務モデルを改定いたしました。売上高2兆円、営業利益率30%以上を目指すモデルを新たに追加するとともに、ROEは30%以上を目指すものとし、実現時期を5年以内としております。
なお、当社グループが示す財務モデルは、将来の売上高規模の予想ではなく、売上高規模ごとに目指すべき経営の効率性を示したものであります。これらの財務モデルの実現を通して、当社グループはワールドクラスの営業利益率とROEを目指してまいります。
売上高15,000億円17,000億円20,000億円
営業利益率26.5%28.0%30.0%以上
ROE(自己資本利益率)30.0%以上

なお、文中の将来に関する記述は、本有価証券報告書の提出日現在において入手可能な情報をもとに、当社グループが合理的であると判断した一定の前提に基づいており、当社グループとしてその実現を約束する趣旨のものではありません。