有価証券報告書-第54期(平成28年4月1日-平成29年3月31日)
当社グループは、「最先端の技術と確かなサービスで、夢のある社会の発展に貢献します」という基本理念のもと、技術革新の激しいエレクトロニクス産業のなかで、半導体及びFPD製造装置のリーディングサプライヤーとして、ビジネスを積極的に展開しております。
① 経営方針
当社グループは、技術専門商社からスタートし、開発製造機能を持つメーカーへの移行、グローバルな販売・サポート体制の構築など、環境の変化をいち早く捉え、その変化に素早く対応していくことにより、世界の市場に高い付加価値を提供してまいりました。また、当社は、半導体製造装置やその関連分野など、技術革新が新たな価値を生み、かつ高収益を期待できる事業分野において、独創的な技術で時代をリードすることにより成長を続けてきました。
当社の原動力は、創業時から継承されている徹底した顧客第一主義、技術革新を実現できる高い技術力、そして環境変化に柔軟かつ迅速に対応できる社員のチャレンジ精神です。
今後も技術革新による価値創出が見込まれる既存の事業分野を含め、エレクトロニクス技術を基盤とした成長分野において、当社で培った最先端技術を応用して事業創出に取り組み、ワールドクラスの高収益企業を目指してまいります。
② 中期ビジョン
当社グループは、革新的な技術力と、多様なテクノロジーを融合する独創的な提案力で、半導体産業とFPD産業に高い付加価値と利益を生み出す真のグローバルカンパニーを目指しております。
中期ビジョン実現のための施策
IoT時代を迎え、インターネットにつながるモノの台数は飛躍的に伸び、データ通信の情報量は年率22%で成長すると見込まれています。自動車の自動運転や、リモートヘルスケアなどの高信頼かつ待ち時間のない次世代通信規格(5G)への移行や、仮想現実(AR、VR)、人工知能などの新しいアプリケーションの組み合わせによる高度ネットワーク社会が構築されようとしております。
これに伴い、半導体の用途は多様化、拡大基調にあり、大容量、高速、高信頼性、低消費電力など、デバイス性能向上のニーズが高まっております。このような環境を受け、微細化、新構造、新材料、新メモリー、新パッケージ技術など、顧客の技術要求も益々高度化しております。
また、ディスプレイにおいても、超高精細、低消費電力、大型化、加工自由度の高さなどの性能が求められ、有機ELディスプレイの急成長が市場を牽引していることもあり、FPD製造装置市場は再び1兆円を超えることが見込まれます。
このように、半導体・FPD産業の成長が次のフェーズに入っており、技術革新に対する期待が益々高まっている状況です。
上述の事業環境を背景に当社の業績も着実に向上しておりますが、当社が理想とする目標に向け、一昨年より掲げてきた、以下の3つの強化項目を念頭に、強固な成長基盤の構築に努める所存です。
昨年1月、顧客対応力強化に向け、顧客ごとに営業と技術それぞれの担当ジェネラルマネージャーを設け、当社内の体制を強化いたしました。また、開発グループ内にプロセスインテグレーションセンターを設立し、豊富な製品ラインナップを有する当社の優位性を活かし、顧客ニーズ創造型の提案ができるよう体制を整えました。このような体制のもと、顧客の最先端開発部門と定期的な開発会議を開催し、次世代デバイスにおける課題の明確化と、それに対する当社の提案で、早期に顧客との連携を深め、唯一無二の戦略パートナーとしての位置づけを確保するよう努めます。
そのためには、当社内の効率化が必要であるため、半導体製造装置のプロダクトBUを6つから4つに再編し、とくに市場の拡大が見込まれる成膜部門では、東京エレクトロン山梨㈱と東京エレクトロン東北㈱の統合を決定し、開発リソース等の効率化を図る取り組みを行っております。また、昨年来の開発一元化のコンセプトは維持しつつ、市場規模が拡大していることから4つの開発生産本部に再編し、各戦略セグメントにおける機動性の向上と付加価値の高い製品の創出に努めます。
さらに、IoT時代には、半導体用途が大幅に拡がり、最先端のデバイスだけでなく汎用デバイスの需要も飛躍的に拡大すると考えられます。このように多世代の半導体デバイスが同居する環境下において、当社の6万台を超える世界最大の出荷実績を活かし、フィールドソリューションビジネスを積極的に推進しております。また、装置の機能向上・改造ビジネスに加え、創業当時から培ってきた当社の誇りでもある、品質の高いサービスを広く展開し、更なる利益の創出に努めてまいります。
他方で、当社グループ内のIT基盤を整備し、ヒト・モノ・カネのリソースや事業進捗の一元管理を進めることで、リソースの重複や無駄を排除し、生産性の向上を図ります。また、経営リソースは無限ではないことから、常に選択と集中を続けることが利益率向上には重要であり、経営リソースの重点配分分野は継続的に見直しを行います。一方で、市場規模やシェア拡大に伴う設備投資につきましては、投資対効果を慎重に精査した上で、成長に向けた投資を継続してまいります。このような取り組みを通じ、当社はグローバルレベルの利益水準を目指し、一時的な景気変動がおきても、安定的な成長投資が出来る環境を作ってまいります。
当社グループはグローバルに事業展開しており、海外売上高比率は8割を超え、海外拠点で働く社員の比率は約4割となっています。このため、人材マネジメント・システムをグローバル共通の考え方として構築するため、新しい等級制度・評価制度を導入し、フレキシブルな人材活用と職責と貢献度に適う人事・報酬制度を構築してまいります。当社グループは、社員がワクワクして躍動する夢と活力のある会社を目指しています。半導体製造装置及びFPD製造装置事業において、革新的新製品を継続的に創出し、成長に向けて新たなチャレンジを続けることができる会社、そして成果に対して公正な報酬を得ることができる会社、これが夢と活力のある会社の姿であると考えています。
③ 資本政策
上述の経営戦略や事業戦略を踏まえ、資本政策の基本方針について、当社グループは次のように考えております。
資本効率についての考え方
成長投資に必要な資金を確保・創出しつつ、積極的な株主還元にも対処し、中長期的成長の視点をもって、適切なバランスシート・マネジメントに努めてまいります。具体的には、営業利益率、総資産回転率を向上させ、引き続きキャッシュ・フローの創出に努め、ROE(自己資本利益率)の向上を図ります。
株主還元策
当社の配当政策は業績連動型を基本とし、親会社株主に帰属する当期純利益に対する配当性向50%を目処とします。ただし、1株当たりの年間配当金は150円を下回らないこととします。なお、2期連続で当期利益を生まなかった場合は、配当金の見直しを検討します。
また、自己株式の取得については、機動的に実施を検討します。
④ 企業の社会的責任に関する取り組み
当社グループが持続的な成長と中長期的な企業価値を創出するためには、株主、顧客、取引先及び地域社会などステークホルダーの皆さまと良好な関係を構築することが重要であると考えております。平成25年に制定したCSR方針のもと、法令及び社会規範の遵守はもとより、地球温暖化防止活動、生物多様性の保全活動、人権尊重などグローバルな視点で様々な社会的課題に本業を通じて取り組んでおります。加えて、当社グループでは、顧客における環境負荷を低減すべく、製品の省エネルギー化に取り組んでいます。
以上の様々な取組みを通して、当社グループは、革新的な技術力と多様なテクノロジーを融合する独創的な提案力で、半導体産業とFPD産業に高い付加価値を生み出してまいります。
⑤ 目標とする経営指標
当社グループは、平成29年5月31日に新たな中期経営計画を策定いたしました。平成32年3月期までの達成を目指す経営指標は以下のとおりです。
※半導体製造工程には、ウェーハ状態で回路形成・検査をする前工程と、チップごとに切断・組立・検査をする後工程があります。半導体前工程製造装置は、この前工程で使用される製造装置であり、ウェーハレベルパッケージング用の装置を含んでいます。
また、文中の将来に関する事項は、本「有価証券報告書」提出日現在において当社グループが判断したものであります。
① 経営方針
当社グループは、技術専門商社からスタートし、開発製造機能を持つメーカーへの移行、グローバルな販売・サポート体制の構築など、環境の変化をいち早く捉え、その変化に素早く対応していくことにより、世界の市場に高い付加価値を提供してまいりました。また、当社は、半導体製造装置やその関連分野など、技術革新が新たな価値を生み、かつ高収益を期待できる事業分野において、独創的な技術で時代をリードすることにより成長を続けてきました。
当社の原動力は、創業時から継承されている徹底した顧客第一主義、技術革新を実現できる高い技術力、そして環境変化に柔軟かつ迅速に対応できる社員のチャレンジ精神です。
今後も技術革新による価値創出が見込まれる既存の事業分野を含め、エレクトロニクス技術を基盤とした成長分野において、当社で培った最先端技術を応用して事業創出に取り組み、ワールドクラスの高収益企業を目指してまいります。
② 中期ビジョン
当社グループは、革新的な技術力と、多様なテクノロジーを融合する独創的な提案力で、半導体産業とFPD産業に高い付加価値と利益を生み出す真のグローバルカンパニーを目指しております。
中期ビジョン実現のための施策
IoT時代を迎え、インターネットにつながるモノの台数は飛躍的に伸び、データ通信の情報量は年率22%で成長すると見込まれています。自動車の自動運転や、リモートヘルスケアなどの高信頼かつ待ち時間のない次世代通信規格(5G)への移行や、仮想現実(AR、VR)、人工知能などの新しいアプリケーションの組み合わせによる高度ネットワーク社会が構築されようとしております。
これに伴い、半導体の用途は多様化、拡大基調にあり、大容量、高速、高信頼性、低消費電力など、デバイス性能向上のニーズが高まっております。このような環境を受け、微細化、新構造、新材料、新メモリー、新パッケージ技術など、顧客の技術要求も益々高度化しております。
また、ディスプレイにおいても、超高精細、低消費電力、大型化、加工自由度の高さなどの性能が求められ、有機ELディスプレイの急成長が市場を牽引していることもあり、FPD製造装置市場は再び1兆円を超えることが見込まれます。
このように、半導体・FPD産業の成長が次のフェーズに入っており、技術革新に対する期待が益々高まっている状況です。
上述の事業環境を背景に当社の業績も着実に向上しておりますが、当社が理想とする目標に向け、一昨年より掲げてきた、以下の3つの強化項目を念頭に、強固な成長基盤の構築に努める所存です。
3つの強化項目 ・製品競争力強化・・・付加価値の高い次世代製品の創出 ・顧客対応力強化・・・顧客にとって当社が唯一無二の戦略パートナーとなる ・利益体質強化・・・オペレーションの効率を追求 |
昨年1月、顧客対応力強化に向け、顧客ごとに営業と技術それぞれの担当ジェネラルマネージャーを設け、当社内の体制を強化いたしました。また、開発グループ内にプロセスインテグレーションセンターを設立し、豊富な製品ラインナップを有する当社の優位性を活かし、顧客ニーズ創造型の提案ができるよう体制を整えました。このような体制のもと、顧客の最先端開発部門と定期的な開発会議を開催し、次世代デバイスにおける課題の明確化と、それに対する当社の提案で、早期に顧客との連携を深め、唯一無二の戦略パートナーとしての位置づけを確保するよう努めます。
そのためには、当社内の効率化が必要であるため、半導体製造装置のプロダクトBUを6つから4つに再編し、とくに市場の拡大が見込まれる成膜部門では、東京エレクトロン山梨㈱と東京エレクトロン東北㈱の統合を決定し、開発リソース等の効率化を図る取り組みを行っております。また、昨年来の開発一元化のコンセプトは維持しつつ、市場規模が拡大していることから4つの開発生産本部に再編し、各戦略セグメントにおける機動性の向上と付加価値の高い製品の創出に努めます。
さらに、IoT時代には、半導体用途が大幅に拡がり、最先端のデバイスだけでなく汎用デバイスの需要も飛躍的に拡大すると考えられます。このように多世代の半導体デバイスが同居する環境下において、当社の6万台を超える世界最大の出荷実績を活かし、フィールドソリューションビジネスを積極的に推進しております。また、装置の機能向上・改造ビジネスに加え、創業当時から培ってきた当社の誇りでもある、品質の高いサービスを広く展開し、更なる利益の創出に努めてまいります。
他方で、当社グループ内のIT基盤を整備し、ヒト・モノ・カネのリソースや事業進捗の一元管理を進めることで、リソースの重複や無駄を排除し、生産性の向上を図ります。また、経営リソースは無限ではないことから、常に選択と集中を続けることが利益率向上には重要であり、経営リソースの重点配分分野は継続的に見直しを行います。一方で、市場規模やシェア拡大に伴う設備投資につきましては、投資対効果を慎重に精査した上で、成長に向けた投資を継続してまいります。このような取り組みを通じ、当社はグローバルレベルの利益水準を目指し、一時的な景気変動がおきても、安定的な成長投資が出来る環境を作ってまいります。
当社グループはグローバルに事業展開しており、海外売上高比率は8割を超え、海外拠点で働く社員の比率は約4割となっています。このため、人材マネジメント・システムをグローバル共通の考え方として構築するため、新しい等級制度・評価制度を導入し、フレキシブルな人材活用と職責と貢献度に適う人事・報酬制度を構築してまいります。当社グループは、社員がワクワクして躍動する夢と活力のある会社を目指しています。半導体製造装置及びFPD製造装置事業において、革新的新製品を継続的に創出し、成長に向けて新たなチャレンジを続けることができる会社、そして成果に対して公正な報酬を得ることができる会社、これが夢と活力のある会社の姿であると考えています。
③ 資本政策
上述の経営戦略や事業戦略を踏まえ、資本政策の基本方針について、当社グループは次のように考えております。
資本効率についての考え方
成長投資に必要な資金を確保・創出しつつ、積極的な株主還元にも対処し、中長期的成長の視点をもって、適切なバランスシート・マネジメントに努めてまいります。具体的には、営業利益率、総資産回転率を向上させ、引き続きキャッシュ・フローの創出に努め、ROE(自己資本利益率)の向上を図ります。
株主還元策
当社の配当政策は業績連動型を基本とし、親会社株主に帰属する当期純利益に対する配当性向50%を目処とします。ただし、1株当たりの年間配当金は150円を下回らないこととします。なお、2期連続で当期利益を生まなかった場合は、配当金の見直しを検討します。
また、自己株式の取得については、機動的に実施を検討します。
④ 企業の社会的責任に関する取り組み
当社グループが持続的な成長と中長期的な企業価値を創出するためには、株主、顧客、取引先及び地域社会などステークホルダーの皆さまと良好な関係を構築することが重要であると考えております。平成25年に制定したCSR方針のもと、法令及び社会規範の遵守はもとより、地球温暖化防止活動、生物多様性の保全活動、人権尊重などグローバルな視点で様々な社会的課題に本業を通じて取り組んでおります。加えて、当社グループでは、顧客における環境負荷を低減すべく、製品の省エネルギー化に取り組んでいます。
以上の様々な取組みを通して、当社グループは、革新的な技術力と多様なテクノロジーを融合する独創的な提案力で、半導体産業とFPD産業に高い付加価値を生み出してまいります。
⑤ 目標とする経営指標
当社グループは、平成29年5月31日に新たな中期経営計画を策定いたしました。平成32年3月期までの達成を目指す経営指標は以下のとおりです。
半導体前工程製造装置※ 市場規模 | 420億米ドル | 450億米ドル |
売上高 | 10,500億円 | 12,000億円 |
営業利益率 | 24% | 26% |
ROE(自己資本利益率) | 20%~25% |
※半導体製造工程には、ウェーハ状態で回路形成・検査をする前工程と、チップごとに切断・組立・検査をする後工程があります。半導体前工程製造装置は、この前工程で使用される製造装置であり、ウェーハレベルパッケージング用の装置を含んでいます。
また、文中の将来に関する事項は、本「有価証券報告書」提出日現在において当社グループが判断したものであります。