有価証券報告書-第33期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは、エンジニアリングをコアとしたトータルソリューションプロバイダーとして、顧客企業が求める多様なニーズにお応えすることをビジネスとしております。当社グループの基本方針として、以下の「我々が目指すもの」を常に念頭に置いた企業活動を行っております。
「我々が目指すもの」
・エレクトロニクスビジネスを通じて、人々の生活を豊かで快適なものにし、「未来社会に貢献」する
・創造力を駆使、携わるエレクトロニクス業界の技術の進歩に寄与し、「不可欠な存在」になる
・我々の真の事業は「問題を解決すること」であり、顧客に満足いただく労苦を惜しまない
・先端技術に挑戦し続ける「パイオニア」になる
・創造力を発揮できる会社の仕組みづくりに心血を注ぐ、「誇りの持てる」会社を実現する
(2)経営戦略等
当社グループは創業以来の商社から転換し、「自社製品・サービスを軸に、顧客企業の設計・開発・検証・テストをサポートするソリューションプロバイダー」としての成長を目指します。商社ビジネスで培った顧客のニーズを把握する力を土台とし、最先端の技術を採用したさまざまなハードウェア・ソフトウェア・サービスの提供を可能とするのが当社グループの強みであると認識しており、利益成長の機会が豊富に存在していると考えております。
具体的な戦略として、2019年2月に新たに公表した中期経営計画(2019年度から2023年度)においては、以下5つを掲げ実行してまいります。
利益成長の追求を図る戦略
・テストソリューション事業の成長
・自社製品売上の増加/メーカー機能の強化
・顧客ベースの拡大/海外市場の開拓
・新規分野での積極的な取組み
資本政策・投資戦略
・「資本政策に関する基本方針」(2018年2月7日公表)に則した資本効率の向上(資本コストを意識した投資)
また、長期的に企業価値向上に繋がる施策として、いわゆるESG分野の活動も充実させてまいります。
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、2014年度から2018年度を対象とした中期経営計画において、以下の数値目標を掲げておりました。
・売上高:350~400億円(2018年度)
・営業利益:25~30億円(2018年度)
・自己資本当期純利益率(ROE):短期5% 中期8%
当該期間中、これら目標の達成に向け事業構造改革を積極的に進め、事業ポートフォリオの転換に努めてまいりました。電子部品販売事業からの撤退やHDD販売事業の譲渡を進めた一方で、買収した子会社のビジネス拡大など事業構造改革には一定の成果があったと考えております。ただし、策定当時に想定していた新規事業の立ち上げや一定規模のM&Aによる事業拡大は充分な成果には至らず、売上高や営業利益の目標数値は達成することができませんでした。
また、自己資本当期純利益率(ROE)については前連結会計年度まで3%台と低迷してまいりましたが、足元の利益拡大に加え「資本政策に関する基本方針」に基づき自己株式取得等の施策を行った結果、中期目標には届かなかったものの、当連結会計年度においては6.6%まで高めることができました。
以上の結果を踏まえ、当社グループが2019年2月に新たに公表した中期経営計画における主な数値目標は以下のとおりであります。
・自己資本当期純利益率(ROE):中期8%超(目標を達成するための営業利益の目安:30~35億円)
・投下資本利益率(ROIC):ROICと加重平均資本コスト(WACC)のスプレッド拡大を実現し、8%を目指す
・負債資本倍率(D/Eレシオ):有利子負債による資金調達を行う場合においては0.5倍以下を目安とする
・配当性向:連結配当性向30%を下回らないこととし、急激な業績変化等が起こらなければ50%程度を目安とする。また、自己株式取得を機動的に行い、総還元性向を高め、自己資本額を適正に保つ
(4)経営環境及び事業上、財務上の対処すべき課題
わが国経済は、米中貿易摩擦や新興国経済の減速など世界経済の不透明感が増すなか、企業活動への影響や業績の悪化、消費増税に伴う個人消費の低迷などが懸念され、予断を許さない状況が予想されます。
当社グループが参画する先端エレクトロニクス業界は、足元では市況が低迷しているものの、中国や新興国の生産能力の拡大や自動車産業のエレクトロニクス化の進展など中長期的には大きな成長が見込まれ、また先進国での人口減少に伴う生産性向上要求にもエレクトロニクス技術のさらなる活用が必須であると考えられます。
このような状況の下、当社グループは、多様化する顧客ニーズを読み取り、最適なソリューションを取り揃え提供していくことで、顧客にとって不可欠なパートナーであり続けることを目指して取り組んでおります。当社グループが対処すべき当面の課題として以下の事項に取り組み、企業価値をさらに高めていく所存です。
①テストソリューション事業の成長
半導体製造装置の輸入販売事業から撤退したのち、ゼロから参入した自社製メモリーテスター事業は、現在当社グループの主力事業に成長しております。2014年度には台湾に本拠を置くSTAr Technologies, Inc.を買収して事業範囲を拡げ、さらなる成長機会を探っております。これまでテストソリューション事業は、強みである顧客ニーズの把握とそれに応じた柔軟な設計に基づく小型で低価格な専用テスターの開発により、限られた分野ではあるものの確固たるポジションを築いてきました。こうした強みを他の用途のテスターに応用するとともに、中国を中心とした海外顧客の獲得によってさらなる成長を目指します。
②自社製品売上の増加/メーカー機能の強化
近年、当社グループは先端的な自社ソリューション、自社製品の開発・展開を図ってまいりました。ガイオ・テクノロジー社やレグラス社の買収を含め、ここ数年で当社グループにおける自社製品売上の比率は急激に上昇してきており、この傾向は新中期経営計画の期間においてもさらに進行する見込みです。売上高研究開発費比率も上昇してきており、メーカーとしての機能を充実させるべきステージにあります。自社製の電子マネー決済端末を核としたクラウドサービス、エッジコンピューティング技術を充実させた自社製組込みボードシステムによる顧客ニーズの実現、画像処理技術を活かしたインテリジェントカメラシステムによるソリューション提供など、IoTやクラウドに関わるサービスを自社開発のハードウェアやソフトウェアにより実現してまいります。また、自動車産業を中心として浸透してきているモデルベース開発のノウハウを活かした開発支援サービス、制御ソフトウェアの検証用ツールの提供といった最先端技術を活かした事業にも注力してまいります。
③顧客ベースの拡大/海外市場開拓
当社グループの顧客は、従来の輸入商社ビジネスにおいては国内の大手エレクトロニクス企業に大きく偏っておりました。近年、テリトリー制限のない自社製品/サービス事業の展開により、当社グループの顧客層は車載、インフラ、医療などの他業種へ、さらにはアジアを中心とした海外へと拡大を見せ始めており、今後もさらにこの流れを推し進めてまいります。
④新規分野への積極的な取組み
長期的な成長機会の獲得を見据え、新規事業の開拓にも積極的に取り組んでまいります。コーポレートベンチャーキャピタルとして設立したFenox Innotech Venture Company VI, L.P.によるベンチャー企業への投資を含め、さまざまなビジネスチャンスを模索し、人工知能、ロボティクス、クラウド、ビッグデータ解析といった分野の事業立ち上げを目指しております。
⑤資本効率の向上
2018年2月7日に公表した「イノテックグループの資本政策に関する基本方針」を新中期経営計画においても踏襲し、ROE8%超の実現のため資本政策についても柔軟に対応するとともに、株主還元の充実にも引き続き注力してまいります。
⑥ESG活動の推進
わが国の企業を取り巻く規制や経営環境は日々変化しており、当社グループの事業や関連する外部環境も大きく変動しております。このような状況の下、当社グループでは国際的なビジネスに対応するためのガバナンス体制の構築、地域社会へ貢献、社員に対する教育の充実、環境へ配慮等に関して、これまで以上に積極的に取り組むとともに、こうした活動についての情報開示を充実させることで、当社グループが社会にとって不可欠な存在であるということを理解していただけるよう努め、中長期の持続的成長の実現へと繋げてまいります。
(1)経営方針
当社グループは、エンジニアリングをコアとしたトータルソリューションプロバイダーとして、顧客企業が求める多様なニーズにお応えすることをビジネスとしております。当社グループの基本方針として、以下の「我々が目指すもの」を常に念頭に置いた企業活動を行っております。
「我々が目指すもの」
・エレクトロニクスビジネスを通じて、人々の生活を豊かで快適なものにし、「未来社会に貢献」する
・創造力を駆使、携わるエレクトロニクス業界の技術の進歩に寄与し、「不可欠な存在」になる
・我々の真の事業は「問題を解決すること」であり、顧客に満足いただく労苦を惜しまない
・先端技術に挑戦し続ける「パイオニア」になる
・創造力を発揮できる会社の仕組みづくりに心血を注ぐ、「誇りの持てる」会社を実現する
(2)経営戦略等
当社グループは創業以来の商社から転換し、「自社製品・サービスを軸に、顧客企業の設計・開発・検証・テストをサポートするソリューションプロバイダー」としての成長を目指します。商社ビジネスで培った顧客のニーズを把握する力を土台とし、最先端の技術を採用したさまざまなハードウェア・ソフトウェア・サービスの提供を可能とするのが当社グループの強みであると認識しており、利益成長の機会が豊富に存在していると考えております。
具体的な戦略として、2019年2月に新たに公表した中期経営計画(2019年度から2023年度)においては、以下5つを掲げ実行してまいります。
利益成長の追求を図る戦略
・テストソリューション事業の成長
・自社製品売上の増加/メーカー機能の強化
・顧客ベースの拡大/海外市場の開拓
・新規分野での積極的な取組み
資本政策・投資戦略
・「資本政策に関する基本方針」(2018年2月7日公表)に則した資本効率の向上(資本コストを意識した投資)
また、長期的に企業価値向上に繋がる施策として、いわゆるESG分野の活動も充実させてまいります。
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、2014年度から2018年度を対象とした中期経営計画において、以下の数値目標を掲げておりました。
・売上高:350~400億円(2018年度)
・営業利益:25~30億円(2018年度)
・自己資本当期純利益率(ROE):短期5% 中期8%
当該期間中、これら目標の達成に向け事業構造改革を積極的に進め、事業ポートフォリオの転換に努めてまいりました。電子部品販売事業からの撤退やHDD販売事業の譲渡を進めた一方で、買収した子会社のビジネス拡大など事業構造改革には一定の成果があったと考えております。ただし、策定当時に想定していた新規事業の立ち上げや一定規模のM&Aによる事業拡大は充分な成果には至らず、売上高や営業利益の目標数値は達成することができませんでした。
また、自己資本当期純利益率(ROE)については前連結会計年度まで3%台と低迷してまいりましたが、足元の利益拡大に加え「資本政策に関する基本方針」に基づき自己株式取得等の施策を行った結果、中期目標には届かなかったものの、当連結会計年度においては6.6%まで高めることができました。
以上の結果を踏まえ、当社グループが2019年2月に新たに公表した中期経営計画における主な数値目標は以下のとおりであります。
・自己資本当期純利益率(ROE):中期8%超(目標を達成するための営業利益の目安:30~35億円)
・投下資本利益率(ROIC):ROICと加重平均資本コスト(WACC)のスプレッド拡大を実現し、8%を目指す
・負債資本倍率(D/Eレシオ):有利子負債による資金調達を行う場合においては0.5倍以下を目安とする
・配当性向:連結配当性向30%を下回らないこととし、急激な業績変化等が起こらなければ50%程度を目安とする。また、自己株式取得を機動的に行い、総還元性向を高め、自己資本額を適正に保つ
(4)経営環境及び事業上、財務上の対処すべき課題
わが国経済は、米中貿易摩擦や新興国経済の減速など世界経済の不透明感が増すなか、企業活動への影響や業績の悪化、消費増税に伴う個人消費の低迷などが懸念され、予断を許さない状況が予想されます。
当社グループが参画する先端エレクトロニクス業界は、足元では市況が低迷しているものの、中国や新興国の生産能力の拡大や自動車産業のエレクトロニクス化の進展など中長期的には大きな成長が見込まれ、また先進国での人口減少に伴う生産性向上要求にもエレクトロニクス技術のさらなる活用が必須であると考えられます。
このような状況の下、当社グループは、多様化する顧客ニーズを読み取り、最適なソリューションを取り揃え提供していくことで、顧客にとって不可欠なパートナーであり続けることを目指して取り組んでおります。当社グループが対処すべき当面の課題として以下の事項に取り組み、企業価値をさらに高めていく所存です。
①テストソリューション事業の成長
半導体製造装置の輸入販売事業から撤退したのち、ゼロから参入した自社製メモリーテスター事業は、現在当社グループの主力事業に成長しております。2014年度には台湾に本拠を置くSTAr Technologies, Inc.を買収して事業範囲を拡げ、さらなる成長機会を探っております。これまでテストソリューション事業は、強みである顧客ニーズの把握とそれに応じた柔軟な設計に基づく小型で低価格な専用テスターの開発により、限られた分野ではあるものの確固たるポジションを築いてきました。こうした強みを他の用途のテスターに応用するとともに、中国を中心とした海外顧客の獲得によってさらなる成長を目指します。
②自社製品売上の増加/メーカー機能の強化
近年、当社グループは先端的な自社ソリューション、自社製品の開発・展開を図ってまいりました。ガイオ・テクノロジー社やレグラス社の買収を含め、ここ数年で当社グループにおける自社製品売上の比率は急激に上昇してきており、この傾向は新中期経営計画の期間においてもさらに進行する見込みです。売上高研究開発費比率も上昇してきており、メーカーとしての機能を充実させるべきステージにあります。自社製の電子マネー決済端末を核としたクラウドサービス、エッジコンピューティング技術を充実させた自社製組込みボードシステムによる顧客ニーズの実現、画像処理技術を活かしたインテリジェントカメラシステムによるソリューション提供など、IoTやクラウドに関わるサービスを自社開発のハードウェアやソフトウェアにより実現してまいります。また、自動車産業を中心として浸透してきているモデルベース開発のノウハウを活かした開発支援サービス、制御ソフトウェアの検証用ツールの提供といった最先端技術を活かした事業にも注力してまいります。
③顧客ベースの拡大/海外市場開拓
当社グループの顧客は、従来の輸入商社ビジネスにおいては国内の大手エレクトロニクス企業に大きく偏っておりました。近年、テリトリー制限のない自社製品/サービス事業の展開により、当社グループの顧客層は車載、インフラ、医療などの他業種へ、さらにはアジアを中心とした海外へと拡大を見せ始めており、今後もさらにこの流れを推し進めてまいります。
④新規分野への積極的な取組み
長期的な成長機会の獲得を見据え、新規事業の開拓にも積極的に取り組んでまいります。コーポレートベンチャーキャピタルとして設立したFenox Innotech Venture Company VI, L.P.によるベンチャー企業への投資を含め、さまざまなビジネスチャンスを模索し、人工知能、ロボティクス、クラウド、ビッグデータ解析といった分野の事業立ち上げを目指しております。
⑤資本効率の向上
2018年2月7日に公表した「イノテックグループの資本政策に関する基本方針」を新中期経営計画においても踏襲し、ROE8%超の実現のため資本政策についても柔軟に対応するとともに、株主還元の充実にも引き続き注力してまいります。
⑥ESG活動の推進
わが国の企業を取り巻く規制や経営環境は日々変化しており、当社グループの事業や関連する外部環境も大きく変動しております。このような状況の下、当社グループでは国際的なビジネスに対応するためのガバナンス体制の構築、地域社会へ貢献、社員に対する教育の充実、環境へ配慮等に関して、これまで以上に積極的に取り組むとともに、こうした活動についての情報開示を充実させることで、当社グループが社会にとって不可欠な存在であるということを理解していただけるよう努め、中長期の持続的成長の実現へと繋げてまいります。