有価証券報告書-第61期(平成25年3月1日-平成26年2月28日)

【提出】
2014/05/23 10:05
【資料】
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【項目】
128項目

対処すべき課題

当社グループを取り巻く環境は、政府主導による経済政策や日銀の金融緩和政策等により安定した為替の状況が続き、株式市場は活況を呈し、企業業績も回復の期待が高まるところとなりました。また、平成26年4月に実施された消費税増税前の駆け込み需要により、個人消費が増加傾向で推移いたしましたが、その一方で消費税増税後の消費低迷への懸念など、景気の先行きにつきましては、依然として不透明な状況が続いております。
家電販売業界においては、家電市場を支えてきた携帯電話の売上が前年より減少し、AV商品も前年を下回りました。反面白物商品は、冷蔵庫・エアコンを中心に夏場の気温上昇による需要増と消費税増税前の駆け込み需要もあり、前年比伸長となりましたが、家電市場全体では需要が伸び悩むなか、企業間競争はますます激しいものになると思われます。
このような環境の下、当社におきましては、平成24年7月に株式会社ヤマダ電機との資本・業務提携契約を締結いたしました。本業務提携契約により相乗効果を存分に発揮するべく相互密接に連携し、共同実施の各種施策に全力で取り組んでおります。営業面での協力はもとより管理面におきましても、質の向上・効率改善のため相互協力を図り、業績拡大を実現させます。
店舗戦略においては、九州・山口・沖縄圏内では当社の知名度を活かしたエリア戦略、西日本・東日本・北海道では株式会社ヤマダ電機の知名度を活かしたテックランドでのエリア戦略によって収益性の向上を図り、さらに既存店舗の活性化を積極的に推進することで営業体制の強化を図って参ります。
商品面では、資本・業務提携先の株式会社ヤマダ電機との相乗効果として、共同商品調達による価格競争力の向上により売上ならびに顧客支持の拡大を図るとともに、消費税増税後の消費低迷への対応策として、今後も市場の拡大が大きく見込めるタブレットPC等の販売力強化を図って参ります。
太陽光事業については、政府の再生可能エネルギー政策の認知拡大に伴い、施設屋根や遊休地を利用した産業用太陽光発電システムの取組み拡大を図って参ります。また、新たに住宅リフォームの事業化を図り、主にキッチン・バス・トイレ等の水回りリフォームの体制を構築いたします。
海外事業においては、今後インドネシア・マレーシアは、従来の首都圏中心の展開から中間所得層の増加が著しい市郊外へ、シンガポールについても郊外の住宅エリアへの展開を図り、積極的な出店政策を継続して参ります。
(1) 会社の支配に関する基本方針
①基本方針の内容
当社の株式は譲渡自由が原則であり、当社の株主は、当社株式の市場における自由な取引を通じて決まるものです。したがって、当社の経営の支配権の移転を伴うような買付提案等に応じるかどうかの判断も、最終的には株主全体の自由な意思に基づき行われるべきものと考えております。
一方、当社グループは、家電製品の小売業において、長年にわたって培ってきたノウハウにより顧客の支持を獲得して参りました。それを実現するうえで当社グループが有する人材が重要な経営資源として位置づけられることは勿論のこと、取引先との長期にわたる信頼関係が当社グループの事業活動の重要な基盤をなしております。当社といたしましては、これからの経営基盤を長期的に継続していくことが、当社の企業価値・株主共同の利益の確保・向上に資するものと認識しております。
そのため、当社が後記②で述べるような様々な取組みを実行し、企業価値・株主共同の利益の確保・向上のために努めている中で、当社株式の買付け等の提案を受けた場合、当社といたしましては、それが当社の企業価値・株主共同の利益に資するものであるか否かを当社株主の皆様に適切に判断していただくために、当該買付けが当社の経営基盤やこれまでの経営上の取組みに与える影響、当社株式の買付け等の提案をした者による買付け後の当社の企業価値・株主共同の利益の向上に向けた取組み等について、当社株主の皆様に十分に把握していただく必要があると考えております。
しかしながら、当社株式の買付け等の提案の中には、当社や株主に対して買付けに係る提案内容や代替案等を検討するための十分な時間や情報を与えないもの、買付目的や買付け後の経営方針等に鑑み、当社の企業価値・株主共同の利益を損なうことが明白であるもの、買付けに応じることを株主に強要するような仕組みを有するもの等、当社の企業価値・株主共同の利益を毀損するおそれのあるものも想定されます。このような企業価値・株主共同の利益を毀損するおそれのある不適切な大規模買付行為や買付提案を行う者は、当社の財務および事業の方針の決定を支配するものとしては適切ではないと考えております。
②基本方針の実現に資する取組み
当社では、以下のとおり、あらかじめ定めた経営計画に基づく具体的施策とコーポレートガバナンスの強化の両面から、当社の企業価値・株主共同の利益の向上に取り組んでおります。
イ 経営計画に基づく具体的施策による企業価値・株主共同の利益の向上の取組み
当社は、これまでに当社の企業価値・株主共同の利益の確保・向上のための様々な取組みを行って参りました。その一例として、平成24年7月13日に締結した株式会社ヤマダ電機との資本・業務提携契約に基づき、相乗効果を最大限に発揮するべく、相互密接に連携し、共同実施の各種施策に全力で取り組んでおります。
当社は「第61期経営指針」として以下の取組みを実践して参りました。(1)ヤマダ電機との商流統合による価格競争力強化で売上とお客様からの支持の拡大を図りました。(2)ベスト電器独自の新戦略パターン(売価・長期無料保証等)導入による競合対策の強化を図りました。(3)店舗売上高と店舗POS粗利の明確な管理・運用の徹底による収益基盤の確立を図りました。(4)新システム導入による店長マネジメントの改革と生産性の向上を図りました。(5)新たな大型店戦略と地域密着の小型店戦略による競合店との差別化を図りました。(6)間接コストのヤマダ電機との一本化による経費削減効果の最大化と競争原資の確保を図りました。(7)ヤマダ電機教育制度・有資格制度と当社の教育制度の融合による人材育成の強化を図りました。
また、店舗戦略においては、株式会社ヤマダ電機との資本・業務提携契約締結以降の新スタイル店舗として、平成25年6月マリナ通店(福岡市西区)を皮切りに計10店舗の既存店活性化と、西日本・東日本・北海道の21店舗についてはヤマダ電機の知名度を活かし、テックランド店舗として順次リニューアルオープンして収益性の向上を図りました。
さらに、太陽光事業については政府の再生可能エネルギー政策の認知拡大により、産業用太陽光発電システムが好調に推移しております。また、新たに住宅リフォームの事業化を図り、主にキッチン・バス・トイレ等の水回りリフォームの体制を構築しております。
当社といたしましては、上記のとおり、「第61期経営指針」を中心とした様々な取組みを着実に実行するとともに、次期は決めたことをやり遂げる「強い会社」を目指して、「人材」:使命感を持ち、自発的、能動的に行動する。「組織」:目標を共有し、一致団結した集団となる。「利益」:結果を追求し、成長を継続させる。以上のキーワードとベスト電器が目指すべき姿としての「ベスト電器がそこに存在する意義」を追求することにより、引き続き企業価値・株主共同の利益の確保・向上のために努めて参ります。
ロ コーポレートガバナンスの強化による企業価値・株主共同の利益の向上の取組み
当社では、株主総会の下に取締役会と監査役会、内部監査室を置くとともに、経営会議を設けることにより、経営課題を十分に議論し、迅速なる意思決定を行う体制づくりをして参りました。
また、当社は業務執行を行う経営陣から独立している社外監査役が、当社の意思決定の客観性および合理性を担保することにより、コーポレートガバナンスの強化を図り、当社の企業価値・株主共同の利益の向上のために取り組んで参ります。
③不適切な者によって当社の財務および事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組み
当社は、前述①で述べた基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務および事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組みとして、「当社株式等の大規模買付行為への対応策(買収防衛策)」を平成24年の第59期定時株主総会において、継続の承認をいただいておりましたが、平成25年1月19日開催の当社取締役会において、本対応策の取扱いについて慎重に検討いたしました結果、株式等の大規模な買付行為に関する法制度の整備が一定程度実現しており、また平成24年7月13日開催の当社取締役会において、株式会社ヤマダ電機を割当先とする第三者割当による新株式の発行を決議(平成24年12月13日払込手続を完了)した結果、同社が当社の総議決権数の51.16%を保有したことなどにより、本対応策を継続する根拠が薄くなったことを勘案し、本対応策を廃止することを決議いたしました。
なお、本対応策廃止後も引続き大規模買付があった場合は、株主の皆様の利益確保のため情報収集と適切な開示に努めるとともに、企業価値の最大化および株主共同の利益の確保の点から適切な対応をして参ります。