有価証券報告書-第67期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)

【提出】
2019/06/20 16:46
【資料】
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【項目】
155項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは、社是「誠実」、企業使命「インテリアを通じて社会に貢献し、豊かな生活文化の創造に寄与します」、サンゲツ三則「創造的デザイン」「信頼される品質」「適正な市場価格」、ブランド理念“Joy of Design”を企業理念に掲げ、経営の基本方針としております。
企業活動においては、成長の基盤となる組織体制の整備や成長戦略の推進、資本政策を発表、実行し、「安定企業」から「成長企業」へと生まれ変わるとともに、全てのステークホルダーからの評価向上を目指しております。
(2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、企業価値の向上を目的とし、自己資本当期純利益率(ROE)を重要な経営指標と位置付けております。中期経営計画(2017-2019)「PLG 2019」においては、成長のための事業推進及び収益管理体制の強化を実行し、2019年度(最終年度)の定量目標としてROE8%~10%、付随目標として売上高1,650億円~1,750億円、当期純利益80億円~100億円、自己資本1,050億円~1,000億円、CCC(キャッシュ・コンバージョン・サイクル)75日~60日の達成を目指してまいります。
(3)経営戦略等、経営環境、事業上及び財務上の対処すべき課題
当社グループが主に事業を展開している建設業界(主にインテリア業界)は、商品が決定するまで、一般施主からプロユーザーまで多数の顧客(決定権者)が存在し、住宅から非住宅まで多様な市場で構成されています。オフィスビルの建設が計画された場合、事業主とその業務を請負った設計事務所、ゼネコン、内装仕上事業者など、多層な決定権者が携わり、それぞれに対するきめ細かい営業活動が必要となります。また、天井から壁面・床と、多種多様な内装材料を小ロットから取り扱う必要があり、インテリア市場は非常に複層的・複合的で多種・多様な市場となっております。このような業界構造は非効率ゆえに、利益を創出するためにはデザイン、品質、在庫、配送、提案力などを通じてそれぞれの顧客との信頼関係を構築することで市場シェアを獲得し、規模を確保することが必要不可欠です。当社は1953年の株式会社山月堂商店設立当初から、トータルインテリアの考えに基づく商品バリエーションの拡充や、全国を網羅するジャストインタイムの物流体制構築を行い、これらの施策が奏功し、会社設立以来赤字に陥ることなく、長期にわたって安定的な業績を継続してまいりました。
しかしながら、急激なグローバル化や消費者ニーズの多様化、人口減少による住宅市場の縮小等、市場環境は常に変化しており、当社グループもこれに合わせた変革をさらに加速させる必要があります。そのため当社グループでは、バリューチェーンでの各機能の強化に努め、有力調達先とのアライアンスや物流網の整備、重点市場・商品に特化した営業活動を積極化したほか、海外子会社の買収等、よりグローバルな事業展開に向けた取り組みを進めています。
今後の見通しにつきましては、米中通商問題の長期化や中国経済の減速、欧州における政策の不確実性などが日本経済に与える影響とその規模は、依然不透明な状況であり、引き続き留意していく必要があります。当社事業に関係の深い建設市場においては、首都圏の再開発や東京オリンピックを見通した底堅い建築需要の継続が期待される一方、新築住宅着工戸数の伸び悩みや建設業界の人手不足、原材料費や輸送費の高騰など、引き続き厳しい経営環境に予断を許さない状況が予想されます。
このような市場環境のもと、当社は2017年5月に中期経営計画(2017-2019)「PLG 2019」を発表しました。P・L・Gとは多様な商品と機能と、高い専門性を持ち、国内外で強固な市場を持つ企業グループを構築するために重要な3つの要素を表しています。
Personal:専門性を持ったプロ人材・社外との強い人的関係
Local :各地域での強固な市場ポジション
Global :市場間を結ぶ商品・デザイン
この3カ年の計画に基づき、当社はグループ全体を通じた連結経営の強化を図り、更なる企業価値向上に努めます。また、資本政策を着実に実施し、ROE水準8-10%の達成、ステークホルダーからの評価向上を目指します。
そのための方策は以下の通りです。
1)成長のための事業戦略
基本方針:内装材事業(企画・調達・物流・販売)の地理的拡大、機能強化
①安定的かつ基礎的収益源である日本市場において、バリューチェーンでの機能強化・取組領域の拡大により収益の安定的成長を実現する。
②成長力のある海外市場での活動を強化、地理的な展開を拡大するとともに商品面・機能面での拡充を実行する。
③デザインのグローバル化、製造メーカーのグローバル化に呼応し、グローバルな商品の企画・調達体制を構築する。
④地域での事業を担う関係会社・機能を担う関係会社・専門市場を担う関係会社を統合的に経営し、トータルシナジーを生むための連結経営体制を強化する。
⑤次期中期経営計画を睨み、業態の転換の試行を重ねる。
2)人的資源の強化
①プロ人材の育成
②能力主義の徹底
③ダイバーシティの推進
④働き方改革
⑤健康経営の推進
3)収益管理体制の強化
①販売管理費の削減と管理の徹底
②グループ各社へのCCC管理の導入
③サンゲツ各事業部・各支社での経営管理指標の明確化と進捗管理
4)ESG/CSR方針
①環境
・サンゲツグループの事業全体の環境負荷を把握し、地球温暖化防止や持続可能な資源循環に向けての体制を構築
②社会
・グループ各社の多様な従業員の活躍を支援するとともに社会的弱者の就労支援
・サプライチェーンにおける社会的責任の推進
・社員が主体的となった社会貢献活動の拡大
③ガバナンス
・コーポレートガバナンスの透明性の維持と向上、コンプライアンスの徹底
5)資本政策
①資本効率向上に向けた財務方針
・資本市場の状況を鑑みつつ、引き続き自己株式取得と安定的増配を行い、自己資本1,050億円~1,000億円への削減を目指す。
②中期経営計画期間中の株主還元政策
・3年間トータルの連結総還元性向は100%超とする。
・長期安定的な増配の基本方針に基づき、安定的増配を実行する。
・株式市場の状況に応じて機動的に自己株式を取得する。
以上の取り組みを実行することにより当社は、インテリアを通じたデザインするよろこび“Joy of Design”を提供し、社会に貢献し続ける企業を目指してまいります。
その他の対処すべき課題
1)2016年11月に買収したKoroseal Interior Products Holdings,Inc.において、当初計画に比して収益が低迷しており、同社収益向上のため、経営体制の強化、商品力の向上、販売数量の増大、新規設備のスタートによるコスト競争力強化等の収益改善策を着実に進めてまいります。
2)特定の仕入先からの壁装材において品質問題が発生しており、お客様相談室を設置の上、当該仕入先と連携しつつ、当該商品の施工先住居、施設等に対する補修対策を継続的に実施してまいります。この補修に係る費用は仕入先によって全額負担されており、当社において損失は計上されておりません。