有価証券報告書-第69期(令和3年2月21日-令和4年2月20日)

【提出】
2022/05/16 9:12
【資料】
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【項目】
136項目

対処すべき課題

1)会社の経営の基本方針
当社は、次の経営理念により、信頼性の高い誠実な企業運営を続けることを基本方針としています。
「商業を通じ消費生活と生活文化の向上に貢献することを基本とする。
常に最先端の商業、流通技術の運用によって高い生産性と適正な企業業績を維持する。
世界的視野と人間尊重の経営を基本とし、普遍的な信用、信頼性をもつ誠実な企業運営を続ける。」
2)経営環境
わが国の今後の経済状況は、新型コロナウイルス変異株の収束時期が見通せないことで、引き続き一定の経済活動抑制が余儀なくされると思われます。また、ウクライナ紛争の動向によっては、エネルギーや農作物の価格高騰がさらに強まり、日本経済にも大きな影響を与える懸念が高まっています。消費環境については、外出自粛の継続によるイベント需要の減退や政府による財政支援の段階的縮小、ガソリンや食品などの価格上昇による消費マインドの冷え込みが懸念されます。
小売業を取り巻く環境は、商品面では、リモートワークによるスーツ離れなどコロナ禍での生活様式の変化が定着
化する一方で、トレンドファッションの再起動が徐々に進みつつあります。また、サプライチェーンにおける環境
や人権問題への消費者意識の高まりから、サステナブルな商品への需要が急速に高まっています。価格面では、原
材料価格や海上運賃の高騰による商品原価の上昇が続いており、販売価格の見直しが迫られる状況となっていま
す。販売面では、インバウンド需要の回復は先行きが不透明な一方で、アパレル市場でのEC化率はコロナ禍でます
ます上昇傾向となっており、実店舗とECサイトのオムニチャンネル化も今後、更に進むと想定されます。
3)目標とする経営指標
当社は小売業としての適切な営業利益率を10%として意識し、連結営業利益率についても10%が適切と認識して
おります。このためにグループ全体を統合した物流システム、情報システムを基本に調達・運営・組織の高度化
を図り、新しい企業構造への仕組みの構築を進めております。
4)中長期的な会社の経営戦略
当社は、経営理念に基づいた企業運営を行うため、「社員」「お客様」「取引先」「株主」「社会」にとって「いい会社」を造ることを、長期に渡る経営ミッションとして掲げております。また、本業を通じてESG課題にも取り組み、全てのステークホルダーに対して価値を創造することで、持続可能な社会の実現、企業価値の向上を目指していきます。
また、持続的成長を目指し、2022年2月期から2024年2月期までの3ヵ年を対象とする中期経営計画を上方修正
し、国内売上高6,150億円、国内営業利益高533億円、国内営業利益率8.7%を2024年2月期の目標としています。
中期経営計画では、基本方針を「リ・ボーン」とし、オンラインストアの拡大、商品力と販売力の強化、経費の最
適化とDXの推進により業績向上を図っていきます。
5)会社が優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
中期経営計画の2年目となる令和4年度のグループ統一テーマを“リ・ボーン2ndステージ『進化と応用』”と
し、再生し、進化した、見て触れて、楽しく選んで、気軽にお買い物が出来る店舗で、お客様に“ワクワク”と
“ウォンツ”を届けるため、商品力と販売力の強化を更に推し進め、事業の基礎と基盤の強化や将来に向けた対応
に力を入れていきます。
①重点課題
a.商品力の強化
各事業で自社開発ブランド(Private Brand、以下PB)とサプライヤーとの共同開発ブランド(Joint Development
Brand、以下JB)のブランド力を進化させます。PBは機能性を追求し認知度も向上させ、JBは品揃えを拡充してト
レンド提案力も強化します。キャラクター商品やインフルエンサー企画などの企画商品は、データの活用で新商
品の開発力を強化し、お客様の「ウォンツ」にヒットする商品作りを進めます。
b.販売力の強化
動画広告などデジタル販促の多様化を進め、チラシ販促も地域やターゲット層に応じたWEBと紙の最適化を進化
させます。地域対応では、気候や客層など店舗特性に合わせた品揃えや販促を拡充し、都市部へのアプローチも
強化します。またタブレット端末の活用により、売場の標準化と陳列の高度化を進めます。
c.基礎と基盤の強化
DXの深耕により、業務の単純化を進め、顧客管理や在庫管理の仕組みを進化させます。データ分析では対応部署
を決めて分析技術を高度化します。人材育成では、再整備した教育カリキュラムで社員のステップアップを後押
しする仕組みを構築します。ESG課題への取組みは、推進チームと関連部署を拡充して対応を強化します。
d.将来に向けた対応
オンラインストアは4事業での展開を拡大し、品揃えとサービスを進化させます。「靴&ファッション」の新事
業としてリスタートするディバロは、そのプロトタイプ店舗(試作店舗)を出店します。都市部への出店強化に
向けては、店舗開発の部署を増設し、用地取得も含めて収益性の高い新店開設を進めます。
②主力のしまむら事業
20代から60代の女性とその家族をターゲットとするしまむら事業では、お客様が気軽に楽しく選んで頂ける品揃え
と売場を更に進化させます。PBはブランディング手法の進化と売場・販促との連動で認知度向上を図り、高価格帯
の商品も拡充します。JBやキャラクター商品等の企画商品は、事業全体での企画を強化して集客力向上に繋げ、SNS分析等により市場ニーズへの対応力も進化させます。販売面では、都市部対応として対策店舗を250店舗に拡大
して専用の商品展開や販促を実施します。新型レイアウトでは、昨年度から進めている寝具・インテリアと子供売
場への平台導入を本年度中に全店舗で完了させて、お客様の買い易さ・選び易さを更に向上させます。
令和4年度も、新規出店と立地や商圏の変化に対応した店舗の再配置を行い、8店舗の開店と6店舗の閉店を予定
し、年度末には1,423店舗とする予定です。
③アベイル事業
10代から40代の男女をターゲットとするアベイル事業では、トレンドからベーシックまで幅広く旬な品揃えを提供
するために、JBを中心にトレンド提案力を強化し、アウター売場で服飾雑貨とのトータルコーディネート提案も開
始します。また、インテリアを中心にキャラクター商品の品揃えと売場を拡大して顧客層の拡大を図ります。
令和4年度は4店舗の開店と5店舗の閉店を予定し、年度末には313店舗とする予定です。
④バースデイ事業
「ベビー・子供用品の総合専門店」として国内№1を目指すため、既存のJB・PBを拡充し、キャラクター商品等の
商品企画の多様化を進め、出産・育児の専門商品や学用品等のオケージョン対応商品の開発力を強化します。
また、ブランドの認知度向上のために、商品の特長が伝わる売場作りを推し進め、ギフト提案力も強化します。
令和4年度は9店舗の開店と2店舗の閉店を予定し、年度末には317店舗とする予定です。
⑤シャンブル事業
10代から60代の女性をターゲットとした「雑貨&ファッション」の専門店であるシャンブルは、アウターと雑貨で
それぞれ軸となるブランドを進化させ、売場と販促との連携も強化します。また、新規キャラクター商品の開拓も
進めます。ギフト対応では、ギフト向け商品の拡充とギフト用資材の見直しで提案力を強化します。
令和4年度は13店舗の開店と2店舗の閉店を予定し、年度末には113店舗とする予定です。
⑥ディバロ事業
令和3年度に20代から50代の女性およびその子供と男性をターゲットとして、レディースのシューズとファッショ
ンの比重を高めた「靴&ファッション」の新事業としてリスタートしました。令和4年度はプロトタイプ店舗(試
作店舗)の出店に向けて、靴とアウター・服飾雑貨の品揃えの完成度を上げて、靴とファッションが融合した店舗
作りを進めます。
令和4年度は1店舗の開店を予定し、年度末には16店舗とする予定です。
⑦EC事業
令和2年度に実店舗との相互送客を主目的とした新たな販売チャネルとして、しまむら事業のオンラインストアを開設しました。令和3年度はバースデイ事業の展開を開始し、商品の店舗受取りも全事業での相互受取を可能にして、ローコスト運営を基本に事業規模の拡大に取り組んでいます。令和4年度はアベイルとシャンブル事業の展開を開始し、各事業で品揃えとサービスを拡充することで会員数を増やし、店舗送客の更なる拡大を図ります。
⑧思夢樂事業
台湾全域で店舗を展開する思夢樂は、20代から60代の女性とその家族をターゲットとした総合衣料の専門店として日常生活で必要なソフトグッズがお客様の欲しい時に必ずある店舗の実現に向けて、事業の再構築を進めています。令和4年度は、日本企画のPB・JBと台湾企画のPBを軸としたブランド再構築による商品力の強化や販促の進化で客数を増加させます。また、部長職の日本人駐在者を1名増員し、組織体制も強化します。
令和4年度は1店舗の閉店を予定し、年度末には41店舗とする予定です。
なお、本項において将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は当連結会計年度末(令和4年2月20日)
現在において当社グループが判断したものです。