有価証券報告書-第47期(2024/09/01-2025/08/31)
(2) 戦略
① リスク・機会の評価と対応策
気候変動および自然資本によるリスク・機会について、事業に影響を与える内容を洗い出し、これらを事業戦略上の重要度、売上・コストなどの財務影響、発生するまでの期間などから、影響度の大きさを定性・定量で評価し、対応策を実行しています。これらの結果を、TCFD/TNFD提言で示された項目を軸に、以下の通り整理しました。
各種リスクに対応し、その影響を緩和、排除するとともに、環境負荷に配慮した商品を供給することにより、地球環境保全に貢献し、顧客の環境志向の高まりや期待に応えることで、当社の成長戦略を加速する計画です。
<気候変動に関連する重要なリスク・機会の影響評価と対応策>
<自然資本に関連する重要なリスク・機会の影響評価と対応策>
自然資本に関する重要な機会は特定されませんでしたが、天然資源の持続可能な利用の機会において、再生綿の使用による調達コストの削減と、土壌栽培以外も含めた綿調達の多様化による将来の調達地変更に伴うコスト減が期待されます。良品計画では、製造工程から出る端材などを活用し、再生綿を使用した商品開発を行っています。再生綿の使用量拡大については、今後も検討を続けていきます。
(注)影響度評価 :売上 ・・・「大」-100億円以上、「中」-10億円以上100億円未満、「小」-10億円未満
コスト・・・「大」-10億円以上、「中」-1億円以上10億円未満、「小」-1億円未満
時間軸(発現までの期間):「短期」-2年以内、「中期」-2年超10年以内、「長期」-10年超
② シナリオ分析の実施
当社では、リスクを低減し、機会を拡大することが、持続的な企業価値と社会価値の向上に不可欠であると考え、気候変動がもたらすリスクと機会に関するシナリオ分析を実施しました。
参照したシナリオは、国際エネルギー機関IEAの「World Energy Outlook2022」によるSTEPS(公表政策シナリオ:各国が現時点で公表している政策を基に、産業革命以前に比べて世界の平均気温上昇が2100年頃に2.6℃程度となるシナリオ)、SDS(持続可能な開発シナリオ:産業革命以前に比べて世界の平均気温の上昇を1.5℃未満に抑えるため、段階的に排出量を低減させていくシナリオ)、気候変動に関する政府間パネルIPCCによるRCP8.5(温室効果ガス最大排出量に相当するシナリオ)、OECDの「Global Plastics Outlook Policy Scenarios to 2060」によるグローバル野心政策シナリオ(2060年までにプラスチック漏出をほぼゼロにすることを目標に国際レベルの協調が進むシナリオ)等を参考に、「1.5℃シナリオ(脱炭素推進)」と「4℃シナリオ(温暖化進行)」の2つを設定し、中長期的な将来の影響度を分析しました。
(注)財務影響度評価 :売上 ・・・「大」-100億円以上、「中」-10億円以上100億円未満、「小」-10億円未満
コスト・・・「大」-10億円以上、「中」-1億円以上10億円未満、「小」-1億円未満
物理的リスク・機会については、温暖化進行による気象災害の増加が、短期に発生する可能性の高い重大なリスクとなります。そこで、この傾向がさらに強まる4℃シナリオを基に、国内・海外の主な事業拠点について、気象災害がもたらす影響を定性的に分析しました。
① リスク・機会の評価と対応策
気候変動および自然資本によるリスク・機会について、事業に影響を与える内容を洗い出し、これらを事業戦略上の重要度、売上・コストなどの財務影響、発生するまでの期間などから、影響度の大きさを定性・定量で評価し、対応策を実行しています。これらの結果を、TCFD/TNFD提言で示された項目を軸に、以下の通り整理しました。
各種リスクに対応し、その影響を緩和、排除するとともに、環境負荷に配慮した商品を供給することにより、地球環境保全に貢献し、顧客の環境志向の高まりや期待に応えることで、当社の成長戦略を加速する計画です。
<気候変動に関連する重要なリスク・機会の影響評価と対応策>
| 重要なリスク・機会 | 想定される影響の具体例 | 影響 種類 | 影響度 | 時間軸 | 対応策 | |||
| 移行リスク・機会 | 規制 | 炭素税等のGHG排出量規制強化 | リスク | ・GHG排出量に対する炭素税の導入 ・調達品への炭素税等の導入、またはGHG削減対応による操業、調達コストの増加 ・物流センター/事業所、配送車両への炭素税等の導入による輸送、保管コストの増加 | コスト | 中~大 | 中期 | ・中期経営計画に基づいたGHG排出量の削減 ・サプライチェーン全体でのGHG排出量見える化、削減取組みの推進 ・店舗への再生可能エネルギーの導入 |
| プラスチックに関する規制強化 | リスク | ・再生プラスチック、バイオマスプラスチックの使用率の上昇による調達コストの増加 | コスト | 大 | 中期 | ・商品本体や包材資材の脱プラスチック、薄・軽量化、代替素材への切替えによるコスト上昇の抑制 | ||
| 市場 | 化石資源の価格変化 | リスク | ・自社/サプライヤーで消費するエネルギーの価格上昇による操業、調達コストの増加 ・化石資源由来原料の価格上昇による調達コストの増加 | コスト | 中~大 | 中期 | ・自社及びサプライヤーとの省エネルギー推進や再生可能エネルギー導入の推進 ・商品本体や包材資材の脱プラスチック、薄・軽量化、代替素材への切替え促進 | |
| ・倉庫・配送業者が消費するエネルギーの価格上昇 | コスト | 大 | 中期 | ・物流倉庫での省エネ取組み実施、再生可能エネルギーの導入 ・物流事業者との協働による輸送効率向上、相乗り物流等によるエネルギー使用の低減、再生可能資源由来の燃料への転換 | ||||
| 製品の長期使用 | リスク | ・製品の長期使用による買替え頻度の低下と売上の減少 ・新品衣料品の需要の相対的な低下による売上の減少 | 売上 | 中~大 | 中期 | ・リユース・リサイクルの推進 ・再生原料を活用した商品開発の推進 ・長期使用可能な商品の開発 ・二次流通の事業化など、持続可能な仕組みの構築 | ||
| 移行リスク・機会 | 評判 | サステナブルなブランドイメージの認知 | 機会 | ・サステナブル志向の新規顧客の獲得による売上の増加 | 売上 | 中 | 中期 | ・企業理念や創業以来のESG思想、ものづくりの視点、社会課題解決を目指す新たな取組み等の、グローバル発信強化によるサステナブル/ESGの認知向上 |
| リスク | ・サステナブル対応の遅れに伴う競争優位低下による、顧客の流出と売上の減少 | 売上 | 中 | 長期 | ・中期経営計画に基づいたESG経営の推進と、情報開示・発信の強化 ・ESG外部評価を踏まえた重点課題の正確な認識と適切な対応 | |||
| サステナブル原料を使用した製品の需要の高まり | 機会 | ・環境配慮製品の需要増加による売上の増加 | 売上 | 中~大 | 中期 | ・カポック、ヘンプなど環境配慮素材の育成、活用 ・環境配慮素材への切り替え、製品開発の推進 | ||
| ・低炭素なたんぱく質食品の需要増加による売上の増加 | 売上 | 中~大 | 長期 | ・害獣や大豆ミートを活用した商品の拡充 ・低炭素な食材を活用した商品開発 | ||||
| 物理的リスク・機会 | 急性 | 気象災害の増加 | リスク | ・洪水、台風などによる店舗、物流センター等の罹災増加に伴う商品等の廃棄損の増加 | コスト | 中 | 短期 | ・店舗、物流センターの物理的リスク評価 ・ハザードリスク高拠点の浸水対策、BCP策定の実施 ・店舗、物流センターの災害対策点検の強化や、罹災時の早期復旧にむけた防災備品の常備 |
| 慢性 | 海面の上昇 | リスク | ・店舗や物流センター所在地域の浸水リスクが高まることによる移転コストの発生 | コスト | 中 | 長期 | ・浸水リスクの高い店舗、物流センターの浸水対策実施 ・出店時の気候変動を踏まえたリスク評価の徹底 | |
| 平均気温の上昇 | リスク | ・店舗の冷房コストの増加 | コスト | 中 | 中期 | ・太陽光発電設備、蓄電池の導入推進 ・省エネ設備の導入 | ||
| 降水・気象パターンの変化や平均気温上昇 | リスク | ・洪水・干ばつの増加に伴う、コットン、リネン等の素材価格の上昇による調達コストの増加 ・生態系の変化にともなう木材供給量の減少による木材調達コストの増加 | コスト | 中~大 | 長期 | ・各国の価格状況を継続的にモニタリング ・原材料生産地の分散 | ||
<自然資本に関連する重要なリスク・機会の影響評価と対応策>
| 重要なリスク・機会 | 想定される影響の具体例 | 影響 種類 | 影響度 | 時間軸 | 対応策 | |||
| 移行リスク | 評判 | サステナブルなブランドイメージの認知 | リスク | ・過剰な水利用や水質汚染、森林破壊等の地域コミュニティへの負の影響やグリーンウォッシュに伴う製品や企業の評判低下による売上減 | 売上 | 大 | 中期 | ・中期経営計画に基づいたESG経営の推進と、情報開示・発信の強化 ・社会や環境に配慮された綿として評価(GOTS、CmiA、GRSなどの認証取得)した綿の使用 ・環境負荷が低減された綿の調達に向け、農地やサプライヤーの自然への影響の把握(トレーサビリティの向上) |
| 物理的リスク | 急性 | 気象災害の増加 | リスク | ・地滑り、洪水や嵐、異常気象による調達量の減少と、それに伴う調達地の変更によるコスト増 | コスト | 中 | 短期 | ・調達地域のリスク評価 ・調達地域の多様化 |
| 慢性 | 気温変化や水資源不足 | リスク | ・気温変化や水資源不足による綿の品質低下・生産量減少と、それに伴う調達地の変更によるコスト増 | コスト | 大 | 長期 | ・調達地域の多様化 | |
自然資本に関する重要な機会は特定されませんでしたが、天然資源の持続可能な利用の機会において、再生綿の使用による調達コストの削減と、土壌栽培以外も含めた綿調達の多様化による将来の調達地変更に伴うコスト減が期待されます。良品計画では、製造工程から出る端材などを活用し、再生綿を使用した商品開発を行っています。再生綿の使用量拡大については、今後も検討を続けていきます。
(注)影響度評価 :売上 ・・・「大」-100億円以上、「中」-10億円以上100億円未満、「小」-10億円未満
コスト・・・「大」-10億円以上、「中」-1億円以上10億円未満、「小」-1億円未満
時間軸(発現までの期間):「短期」-2年以内、「中期」-2年超10年以内、「長期」-10年超
② シナリオ分析の実施
当社では、リスクを低減し、機会を拡大することが、持続的な企業価値と社会価値の向上に不可欠であると考え、気候変動がもたらすリスクと機会に関するシナリオ分析を実施しました。
参照したシナリオは、国際エネルギー機関IEAの「World Energy Outlook2022」によるSTEPS(公表政策シナリオ:各国が現時点で公表している政策を基に、産業革命以前に比べて世界の平均気温上昇が2100年頃に2.6℃程度となるシナリオ)、SDS(持続可能な開発シナリオ:産業革命以前に比べて世界の平均気温の上昇を1.5℃未満に抑えるため、段階的に排出量を低減させていくシナリオ)、気候変動に関する政府間パネルIPCCによるRCP8.5(温室効果ガス最大排出量に相当するシナリオ)、OECDの「Global Plastics Outlook Policy Scenarios to 2060」によるグローバル野心政策シナリオ(2060年までにプラスチック漏出をほぼゼロにすることを目標に国際レベルの協調が進むシナリオ)等を参考に、「1.5℃シナリオ(脱炭素推進)」と「4℃シナリオ(温暖化進行)」の2つを設定し、中長期的な将来の影響度を分析しました。
| 1.5℃シナリオで示される2030年時点の移行リスクと機会 | 移行リスクと機会を踏まえた方針・対応策 | |
| 炭素税 | ・炭素税負担による財務影響 は「大」となる見込み。 ・当社のグローバル全体のGHG排出量(スコープ1,2)は、2030年に向けて削減に取り組まなかった場合、事業成長に伴い2021年8月期比の約2.7倍まで増加すると想定される。 | ・GHG排出量の削減に向け、グループ全体の排出量可視化を進め、削減ロードマップを策定。店舗の出店地域や特性に合わせた方法で再生可能エネルギーの導入に取り組む。 ・スコープ3のGHG排出量削減も視野に入れ、サプライチェーン全体でのGHG排出量の可視化を進める。 |
| 化石資源の価格変化 | ・エネルギーコスト上昇による財務影響 は「大」となる見込み。 ・当社のグローバル全体の電力使用量は、2030年に向けて使用量削減に取り組まなかった場合、事業成長に伴い2021年8月期比の約5.4倍まで増加すると想定される。 | ・省エネルギー推進による電力使用量の削減や再生可能エネルギーの導入などを進め、化石資源由来のエネルギー使用削減に取り組む。 ・サプライヤーと省エネルギー推進や再生可能エネルギー導入などを進め、生産コストの上昇を抑制する。 |
| ・プラスチック原料価格の上昇による財務影響は「中」となる見込み。 ・参照したシナリオをもとに、プラスチック原料の単価は2021年8月期比1.3倍まで増加すると想定され、調達するプラスチック原料のうちリサイクル由来原料比率は60%になると想定される。 | ・化石資源由来のプラスチック削減に向け、商品や包材資材の脱・省プラスチック、軽量化に取り組む。 ・化石資源由来からリサイクル由来原料、代替素材への移行を進める。 | |
| プラスチックの規制強化と市場変化 | ・化石資源由来プラスチック製品の売上減少による財務影響は「大」となる見込み。 ・リユース、リサイクル由来プラスチック製品の売上拡大による財務影響は、「大」となる見込み。 ・参照したシナリオをもとに、規制や製品寿命の長期化などによる化石資源由来プラスチック製品が20%減少、需要の変化に伴いプラスチック製品のリサイクル由来原料比率が60%を占めると想定される。 | ・サステナブルな商品やサービスへの需要拡大を見込み、環境配慮型素材の活用や製品開発を進める。 ・自社製品の回収・リサイクルなど再資源化を進め、化石資源由来からリサイクル由来原料への移行に取り組む。 ・二次流通の事業化など持続可能な仕組みの構築を進め、リユースの推進に取り組む。 |
(注)財務影響度評価 :売上 ・・・「大」-100億円以上、「中」-10億円以上100億円未満、「小」-10億円未満
コスト・・・「大」-10億円以上、「中」-1億円以上10億円未満、「小」-1億円未満
物理的リスク・機会については、温暖化進行による気象災害の増加が、短期に発生する可能性の高い重大なリスクとなります。そこで、この傾向がさらに強まる4℃シナリオを基に、国内・海外の主な事業拠点について、気象災害がもたらす影響を定性的に分析しました。
| 4℃シナリオで示される2050年時点の物理的リスクと機会 | 物理的リスクと機会を踏まえた方針・対応策 | |
| 自然災害による被害 | ・洪水・高潮により3m以上の浸水被害が想定される主要拠点数は、国内2ヵ所、海外11ヵ所の見込み。 ・分析対象となる拠点は、当社が事業展開をしている国・地域の店舗、物流センター、サプライヤー生産拠点のうち、売上高や在庫額、調達額などをもとに影響の大きい拠点を選定。 | ・店舗、物流センター、サプライヤー生産拠点においてハザードリスクの高い拠点の浸水対策の推進に取り組む。 ・被災した地域の店舗の営業を早期に再開し、必要な物資を届けることで、地域社会への責任と貢献を果たす。 |