有価証券報告書-第37期(2022/04/01-2023/03/31)

【提出】
2023/06/30 14:04
【資料】
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【項目】
162項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
会社の経営の基本方針は、当社グループの企業理念「美道五原則 髪・顔・装い・精神美・健康美」に基づく事業の拡大を図るとともに、事業を通じて社会課題の解決へ向けた貢献を行うことです。
現在、更なる企業成長を図るため中期経営計画の策定とともに企業理念体系の整理にも取り組んでおります。これら新たに策定する中期経営計画や企業パーパス等の浸透を通じ、社員一人ひとりが主体的にパーパス実現に取り組む風土へ変革し、人と社会の持続可能な未来に貢献する企業を目指します。
当社グループを取り巻く事業環境は、原材料・エネルギー価格高騰、円安、インフレ等の環境変化や、生活者の消費行動の変化に柔軟に対応していくことが求められており、そのような状況の下、当社グループが持続的な成長を実現していくために、「中長期目線経営の強化」、「事業ポートフォリオの強化」、「業務効率化と生産性向上への取り組み」、「サステナビリティ経営の強化」を進めてまいります。
① 中長期目線経営の強化
当社グループを取り巻く環境の大きな変化に迅速に対応し、グループの成長と拡大を目指していくために、中長期の将来を見据えた経営が必要であると認識し、グループの企業理念の再整理と中期経営計画の策定に取り組んでおります。中期的な経営戦略を検討するに当たっては、以下を重点課題と考えております。
・事業ポートフォリオの強化
外部環境変化への耐性に優れ、柔軟性を内包する事業ポートフォリオの構築を目指し取り組んでまいります。事業ごとの収益構造や効率性・成長性を踏まえた経営資源の配分を行い、定期的な評価・見直しを行ってまいります。
・M&A戦略との一体化
グループの成長戦略の柱であるM&A戦略により、新たな事業領域の開発をさらに推進するとともに、販売チャネル多様化とグループシナジーによる収益力強化の両面から、中期経営戦略と一体化したM&A戦略を進めてまいります。
・資本コスト・キャッシュフローの重視
企業価値の向上を図るため、キャッシュフローの最大化を目指すとともに、投資家との対話の充実を図り、資本コストを意識した経営を進めてまいります。
② 事業ポートフォリオの強化
・既存事業(美容・和装宝飾・DSM(訪問販売))
永年当社の商品やサービスをご愛顧くださっているお客様に対して、商品・サービスのヤマノクオリティを引き続きお約束するとともに、「ソフトと価値の提供」を通じて新たな喜びや驚きを提供し、事業基盤の強化を図り、産業全体のイメージ向上にも取り組んでまいります。また、新たなお客様に当社を知ってもらう新たな手法やルートも検討し、より多くのお客様に笑顔になっていただくことで事業の強化に取り組んでまいります。
・新規事業(教育・リユース)
事業基盤が整いつつある教育事業は、グループの中でも収益性が高い事業です。信頼性の高いコンテンツと指導により既存教室の取り組みを一層強化するとともに、新教室の開設や水平方向のM&A等の可能性等を含め、更なる市場領域の拡大や生産性の向上、シナジー効果の創出も視野に入れてまいります。
市場成長性の高いリユース事業は、ビジネスモデル自体が社会貢献に繋がっており、成長に向けての体制を整えつつ強化してまいります。まだ事業基盤は小さいこともあり、より多くのお客様に当社店舗・ビジネスモデルを知ってもらい、知名度を向上させながら、成長させていきたいと考えております。
・新規事業(新規M&A)
当社の事業ポートフォリオ強化に繋がる新規事業案件については、一定以上の市場成長性期待と収益性期待を前提に、財務の健全性を確保しつつ、前向きに検討してまいります。
③ 業務効率化と生産性向上への取り組み
当社では従前より、管理業務の効率化及び各事業での生産性向上を図っていくことが重要課題と認識し、店舗管理・運営の効率化に努めてまいりましたが、コロナ禍やロシア・ウクライナ情勢に端を発したエネルギー価格を始めとする諸コスト増加に対応していくため、業務効率化と生産性向上への取り組みはさらに強化が必要と認識しております。
従来から行っている管理コストの削減への取り組みを継続しつつ、同時に、販売・サービス単価の見直しの検討も進め、売上総利益率の維持・向上に努めてまいります。
また、現場システムの一部リプレイスを実施することで、従業員一人ひとりの新たな時間の創出に繋げ、営業力強化を図ってまいります。
さらに、管理業務でのIT化を推進し、一層の業務効率化を図るとともに、経営数値目標の整理を加速させ、経営の透明性を向上させることで、一層の生産性・収益性向上を図ってまいります。
④ サステナビリティ経営の強化
当社は、サステナビリティ経営の推進を通じて経営基盤の強化を図るべく、当社が重視し取り組むべき活動について検討を継続しております。当該検討を加速させ、今後のサステナビリティに関する重要課題への取り組みを適切に担っていく主体として、「サステナビリティ委員会」を2023年7月1日に新設いたします。
当社グループでは、事業拡大・収益拡大への取り組みを推進する一方で、企業に求められる法的責任、経済的責任、社会貢献を重視しており、これら取り組みが中長期的な視点での持続可能な成長と企業価値向上に繋がっていくものと認識しております。
これまでも企業市民としての社会貢献活動の取り組みとして、美容事業では、医療用ウィッグ作成プロジェクトであるヘアドネーション「つな髪」への協賛提携を継続して行っており、また和装事業では、純国産の生糸を守る活動としての桑苗の植樹活動や、振袖を親から子へ受け継ぎつつ現代に蘇らせる「ママ振り」の提案を行うなど、日本の伝統文化の伝承に努めてまいりました。
今後、サステナビリティを巡る取り組みについて企業が果たすべき社会的責任は一層重要度を増すと考えており、自社のサステナビリティに関する基本的な方針を定め、適切な対応を進めることが重要であると認識しております。また、ダイバーシティの推進として、性別や年齢、国籍、障がいの有無に関わらない人財の活躍に向けた環境整備や、一人ひとりが能力を発揮できる人材マネジメントに取り組み、新たな価値創造を目指してまいります。
当社では、新設する「サステナビリティ委員会」を通じて、従来の社会貢献活動を維持しつつ、サステナビリティ経営への取り組みを深化させるため、SDGsの17ゴールと関連付けた当社の目標設定の検討を進めてまいります。具体的な取り組みについてはグループ内での意識共有を図りつつ、グループ重点戦略とも連動し、事業面においても持続可能な社会の実現に繋がるビジネスモデルの構築を積極的に進め、企業価値向上に努めてまいります。