有価証券報告書-第58期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

【提出】
2020/06/30 16:17
【資料】
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【項目】
78項目

対処すべき課題

(1) 経営方針
当社は、「すべては、お客様と社員のために」を経営理念としており、お客様に「楽しかった、美味しかった」と喜んでいただけるように、COLOWIDE(コロワイド)の社名にこめた4つのファクター(CO:勇気(Courage)、LO:愛(Love)、WI:知恵(Wisdom)、DE:決断(Decision))を社員一人一人が心に刻み、日々の業務にまい進することにより、会社の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を図ることを経営方針としております。
この経営方針の下、長期ビジョンとして「外食日本一企業の実現、そしてグローバル外食企業へ」を掲げ、売上高・お客様満足度で日本一を目指します。
長期ビジョン達成の為、中期・短期のミッションとして下記の項目を掲げております。
中期ミッション
① 国内においては人口減少の市場環境の中、M&Aによるシェア拡大
② 海外においては磨き上げた業態を市場環境に会わせ直営又はFCにて展開することによる事業拡大
③ 持続的な成長と歩調を合わせた財務体質の強化
短期ミッション
① 消費習慣の変化に対応した居酒屋業態の店舗統廃合と業態変更を推進
② テイクアウト及びデリバリー事業の推進と、ファーストフード業態の更なる事業強化
③ 新型コロナウイルス感染症等による事業環境の変化に対応し、テレワークも含めた組織的な事業運営体制の再構築と人材育成
④ 顧客・従業員の安全と健康のための接触の回避、ソーシャルディスタンス確保目的も含めたキャッシュレス対応の強化
挑戦テーマ
① 社員食堂の給食事業を手始めに、介護施設・病院などの給食事業への業務拡大
② 海外店舗網の拡大に伴う海外マーチャンダイジングの確立
(2) 経営環境と対処すべき課題
国内外における新型コロナウイルスの感染拡大を受け、政府は本年4月に大都市圏の7都府県に留まらず全国40道府県に対しても緊急事態宣言を発令しました。このため不要不急の外出自粛による来店客数の激減とともに、営業店舗の全国規模での臨時休業や時短営業を余儀なくされました。提出日現在、緊急事態宣言は解除されておりますものの、第二波・第三波への懸念等もあり消費活動の停滞がいつまで続くのか見通しが困難な状況となっております。
しかしながら当社グループにおきましては、下記のような「フューチャーバリューの獲得」を精力的に進めることによって、この非常事態を乗り切り業績の回復を実現させる所存です。
まず減損損失につきましては、過去数年に亘り継続して計上してまいりましたが、当連結会計年度において想定し得る発生リスクについて区切りをつけたと考えております。今後お客様の生活習慣の変化によって将来的に収益性が低下すると予想される店舗についても、今回減損対象に含めて処理を致しました。
具体的には新型コロナウイルスの感染拡大が引き金となって、多くの職場においてテレワーク(在宅勤務)の勤務形態が広がり、教育現場でもオンライン授業が一部で始まっております。このため新型コロナウイルスが沈静化した後も、このような勤務形態や生活形態が定着すると考えられます。したがって消費習慣やアフター5の過ごし方も大きく変化すると見込まれることから、これらに速やかに対応すべく店舗の統廃合の推進や商品のテイクアウト及びデリバリーサービス等も強化・充実してまいります。
また閉店につきましては、居酒屋業態を中心に196店舗の直営店及び北海道CKに対し、減損損失の計上、閉店損失引当金繰入の計上を行いました。これにより上述の変化を見据えた準備と共に、2021年3月期における事業利益は、減損損失処理による減価償却費の減少及び閉店による赤字額削減等により、3,258百万円の利益押し上げ効果が発現致します。
次に、中期経営計画において示していた通り給食事業を加速させます。現在既にコロワイドグループ以外の企業数社の社員食堂に対してランチメニューを提供しており好評を博しております。この給食事業の対象を社員食堂に限定せず、介護施設や病院、更には公務員関連の施設などに鋭意拡大させてまいります。またこの度、関西を中心に広範な地域で「牛角」のエリアフランチャイズ事業を手掛けていた㈱アスラポートから当該事業を譲り受けましたが、これにより牛角事業のロイヤリティ収益が向上すると共に、FCビジネスの更なる拡大も図ってまいります。
以上のような各種施策によって、新型コロナウイルス禍が長引いたとしてもこれに打ち勝ち、業績の回復を図る所存です。
更に、当社グループと致しましては、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を目指し、継続的にM&Aによる成長の機会を検討してまいります。海外においては、日本食の認知度・人気の高まりを踏まえ、既存の進出国を中心に「牛角」や「しゃぶしゃぶ温野菜」の新規出店を継続してまいります。これらにより、財務体質及び収益構造の強化を継続して図り、売上収益事業利益率、売上収益EBITDA比率、純有利子負債 / EBITDA倍率、連結資本比率等を経営指標として重視してまいります。
これまで、M&Aを活用し居酒屋事業からレストラン事業へと事業領域を拡大してまいりましたが、新型コロナウイルス感染症の影響による消費習慣の変化に対応すべく居酒屋業態の店舗統廃合と業態変更を推進します。また、ウィズコロナと言われる消費動向を踏まえ、テイクアウトやデリバリーサービスへの対応を進め、親和性の高いファーストフード事業の強化も行います。
当社グループとしてお客様の支持を得るためには、商品力の強化とサービスレベルの一層の向上が重要と考えております。電子マネー普及を背景としたキャッシュレス決済に積極対応することで、業務効率向上による従業員の労務負担の軽減と同時に顧客間口拡大を図ってまいります。尚、キャッシュレス決済は、現金を直接受け渡す必要がないことから、ウィズコロナの社会生活の中で「接触の回避」「ソーシャルディスタンスの確保」の観点からも重要と認識しております。一方、マーチャンダイジング機能の更なる増強のため、適切なタイミングでの食材調達、食材の業態間での共同利用による歩留まり向上、食材ロスの削減を意識したメニュー作成、セントラルキッチンでの内製化推進による生産性向上、物流センターの集約・再編など鋭意推進しております。また、事業規模の拡大に伴い必要となる経営人材の育成プログラムの充実と海外展開の強化に向けての海外人材受け入れ体勢整備と登用の強化を図ると同時に、テレワーク対応を念頭に置いた業務の見直し、ワークライフバランスの実現と「生き生きと働ける職場づくり」によるモーチベーション・生産性の向上を店舗・工場・本部等総ての部門で継続・推進し、お客様の支持と従業員の働き甲斐の一層の向上を図ってまいります。
「食の安全・安心の確保」や「品質管理の徹底」が、今後益々外食産業には求められると考えておりますが、食材の誤表示の一掃等は無論のこと、食材の産地・加工工程・添加物等をデータベース化しトレーサビリティの確保に努めるとともに、食材に対する放射性物質や細菌等の検出検査を行うほか、製造工程及び店舗での食材管理状況の定期的確認なども実施しております。更に、企業としての社会貢献策として、受動喫煙防止、CO2排出削減、食品リサイクル、飲酒運転根絶などについても、積極的に対応してまいりたいと考えております。