有価証券報告書-第40期(2023/11/01-2024/10/31)

【提出】
2025/01/30 15:30
【資料】
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【項目】
163項目
(4)継続企業の前提に関する重要事象等について
当社グループは、主軸である蔦屋書店事業の売上減少の影響により、2022年10月期以降、3期連続の営業損失を計上しており、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在していると認識しております。
このような中、当社グループは、当該状況を解消又は改善するために、2024年10月期を初年度とする3カ年の中期経営計画を策定しており、主に以下の施策を実行して早期の黒字化を目指すこととしておりました。
①新たな売上高の創出
“蔦屋書店”のリモデル化へのチャレンジとして、DAISOの導入、ふるいちトップブックスへの切り替え拡大、ガシャポンバンダイオフィシャルショップの強化・拡大、フィットネス事業への進出(フランチャイズ加盟)、リーシング(テナント誘致)の強化を進め、新たな売上高を創出してまいります。
②不採算店の早期撤退・新規出店
撤退選定方針に基づき、収益改善が難しい店舗は契約満了時及び早期での撤退を検討・計画しております(最大19店舗)。また、2022年9月30日に長野県佐久市にオープンした蔦屋書店佐久平店を一つの収益店舗モデルとして、新規出店を最大6店舗想定しております。
③グループ企業との連携
当社グループ企業のそれぞれの強みを生かしサービス連携し相互売上UPを目指してまいります。ライフバリューを提案し、新たな経済圏の創出をしてまいります。
2024年10月期における中期経営計画の進捗状況は下記のとおりであります。
①新たな売上高の創出
2024年10月末現在において、DAISOは6店舗への導入を完了し、ふるいちトップブックスへの切り替えは29店舗にて完了、ガシャポンバンダイオフィシャルショップは23店舗へ導入完了しております。フィットネス事業への進出(フランチャイズ加盟)につきましては、出店コストや事業リスク等を勘案し、現在は、当社が新規事業で行う形ではなく、フィットネスジムの運営会社を当社物件へテナントとして誘致する形で進めております。フィットネス事業については中期経営計画において当連結会計年度より導入する計画としておりましたので、フィットネス事業の展開方法の変更及び遅れは、中期経営計画において計画した連結営業損失と乖離する要因となりました。なお、将来的に、フィットネス事業を当社の新規事業として行うことも並行して検討を続けております。
リーシング(テナント誘致)の強化については、建築単価の上昇により小売業全体での出店コストが増加傾向であることから、当社店舗へテナントとして出店したいという引き合いは増加しております。前述のフィットネスジムに加えて様々な案件の交渉を進めており、テナント料や当社事業へのシナジー効果を勘案し、テナント選定を進めております。
上述のほか、「1.事業の経過及びその成果」に記載しましたとおり、ドロップシッピングモデルのEC店舗(楽天市場トップカルチャーBOOKSTORE、楽天市場2号店、Amazon店、ANAモール店)をオープンさせ、また、コスメのECサイトを運営するノイン株式会社と提携し、初のリアル店舗である「NOIN beauty」を4店舗オープンするなど、新たな売上高の創出に向けて取り組んでおります。
②不採算店の早期撤退・新規出店
2024年10月期においては、11店舗の撤退、1店舗の新規出店を計画しておりましたが、6店舗を閉店し、1店舗を新規出店いたしました。閉店時期が当初計画より遅れている店舗がありますが、これは主として当社の撤退後の店舗に後継の賃借人をマッチングさせ、撤退コストを縮小させることを目的としております。閉店時期の遅れは、中期経営計画において計画した連結営業損失と乖離する要因となりますが、撤退コストは縮小しているため、特別損失の減少に寄与しております。
③グループ企業との連携
当社グループ企業のそれぞれの強みを生かしサービス連携し相互売上UPを目指しており、特に2023年6月にタリーズコーヒーを運営する株式会社メソッドカイザーを子会社化し、当社との連携強化に努めてまいりました。その結果、株式会社メソッドカイザーの売上高は前年比114%の1,145百万円となり、順調に推移しております。また、グループ企業間における会員連携により、新しい顧客体験やサービスを提供するために、自社会員IDの構築を準備しております。
このような状況において、当連結会計年度の業績は、連結売上高18,414百万円、連結営業損失501百万円、連結当期純損失717百万円の実績となり、中期経営計画において計画していた連結売上高178億円は達成しましたが、連結営業損失4億円は未達となりました。連結営業損失の未達要因は上述しております、フィットネス事業への展開方法の変更及び遅れが生じたこと、不採算店舗の撤退の遅れが生じたことが主な要因となります。また、中期経営計画をベースに作成しております当期の連結業績予想は、当期純損失8億円と発表しており、当連結会計年度の業績は連結業績予想から上振れております。これは上記の営業損失の乖離はあるものの、撤退コストの縮小に成功したことによるものであります。
中期経営計画の一部に変更・遅れが生じているものの、中期経営計画で計画している施策の多くは計画どおり進捗しており、収益改善は進んでおります。
また、メインバンクをはじめとした取引金融機関とは密接な関係を引き続き維持できるよう努力しております。今後の資金調達においても、資金計画に基づき想定される需要に対応できる資金も十分確保できるものと考えており、加えて、在庫圧縮を進めていくことで資金繰りの更なる改善を図る計画であります。したがって、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないと判断しております。
(5)東京証券取引所「スタンダード市場」の上場維持基準に適合しないリスク
当社は2022年4月4日の東京証券取引所新市場区分の一斉移行におきまして、定められた上場維持基準を満たしたスタンダード市場に移行致しました。東京証券取引所の関連規則に基づき算定される流通時価総額が10億円以上であることがスタンダード市場上場維持基準の要件の一つですが、2024年10月31日時点で、流通時価総額が10億円未満となっております。中期経営計画の遂行の他、株主への還元、IR活動の強化など、必要に応じて様々な対策を講じてまいります。ただし、当社の努力にもかかわらず、当該要件を満たすことができない場合には、スタンダード市場において当社株式の上場を維持することができず、株価または流動性に悪影響を及ぼす可能性があります。