有価証券報告書-第93期(2025/04/01-2026/03/31)

【提出】
2026/06/17 9:40
【資料】
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【項目】
191項目
(2)戦略
気候変動への対応は、リスクへの対処であると同時に大きなビジネス機会でもあると捉えております。
そのため、事業に影響を与えると見込まれる気候関連のリスクを整理するとともに、脱炭素社会の実現に向けて、本業である金融商品・サービスの開発・提供を通じた機会を整理しております。
このようなリスクと機会の認識に基づき、気候変動へのレジリエンスを高めるための戦略的な取り組みを検討し、推進してまいります。
なお、当行グループでは、短期を0~3年(中期経営計画と合わせた期間)、中期を3~10年、長期を10~30年と定義しております。
① 気候変動に関する機会
機会時間軸
・当行グループにおける投資銀行ビジネス(ストラクチャードファイナンス等)との更なるシナジー発揮
・グリーン・ファイナンス、トランジション・ファイナンス等の取り組み拡大(地熱発電、洋上風力発電、蓄電池システム等)
・お客さまの脱炭素に向けた移行計画の実行ニーズを捉えた非金融領域における脱炭素ソリューション提供機会の拡大
・様々な観点でESGを考慮した個人向け資産運用商品の提供機会の拡大
・排出権取引や脱炭素関連のイノベーション企業(ベンチャー企業含む)との協業による新たなビジネス機会の発掘
短期~中期
・水素・アンモニア、CCS、DAC等エネルギー関連の新技術開発に対するファイナンス機会の増加
・製造・運輸セクターでの抜本的な原燃料転換や省エネ推進に対するファイナンス機会の増加
・“脱炭素社会実現への貢献“という新たな価値観を共有する個人のお客さまとの多様な取引機会の増加
中期~長期

② 気候変動に関するリスク
気候変動は、当行グループに影響を与える全てのリスクに関与するため、統合的リスク管理の枠組みにて以下のようなリスクを認識しております。今後の環境変化に応じて、リスクの分類や各種事例について見直しを行ってまいります。
リスクの分類移行リスク時間軸物理的リスク時間軸
信用リスク・政策、技術の進歩、消費者の嗜好変化等により、お客さまの業績や財務状況が悪化し、与信ポートフォリオが毀損し、損失を被るリスク短期~長期・自然災害によるお客さまの業績悪化や担保毀損に伴い、与信ポートフォリオが毀損し、損失を被るリスク
・熱中症や疫病のパンデミック等の発生頻度が高まり、当行又は当行のお客さまの事業に重大な悪影響が生じるリスク
短期~長期
市場リスク・お客さまの収益減少や既存資産の減損等により、保有有価証券、金融派生商品等の価値が変動し、損害を被るリスク短期~長期・異常気象の影響による市場の混乱、市場参加者の中長期的な見通しや期待の変化により、保有有価証券の価格等が変動し、損失を被るリスク短期~長期

リスクの分類移行リスク時間軸物理的リスク時間軸
流動性リスク・移行リスクへの対応の遅延などによる当行の信用悪化による資金調達手段の限定、預金流出・資金繰り悪化のリスク短期~長期・異常気象で被災した顧客の資金需要の高まり、復旧・復興に向けた資金流出の増加によるリスク短期~長期
オペレーショナル・リスク・GHG排出量削減対策や事業継続性強化のための設備費用の増加短期~長期・異常気象による被災に伴う本支店やデータセンターにおける業務の中断、損害が発生するリスク短期~長期
風評
リスク
・気候変動への対応不足やステークホルダーから不適切又は不十分と評価されることにより当行の風評が悪化するリスク
・環境への配慮が不十分なお客さまとの取引継続や、当行の移行遅延による評判悪化、雇用への悪影響のリスク
短期~長期・異常気象の影響を受けたお客さまの支援不足による評判の悪化、事業の中断リスク短期~長期

③ カーボンニュートラルに向けたロードマップ
気候変動関連のリスクと機会に対する中長期的な取り組みとして、パリ協定の合意事項を踏まえたカーボンニュートラルの実現に向けたロードマップ及び具体的な行動計画を策定しております。
2030年度までに、省エネ活動や使用電力の再エネ化等を通じて、事業者としてのGHG排出量実質ゼロを推進いたします。2050年度までに、サプライチェーン全体での脱炭素化実現のために、投融資ポートフォリオのGHG排出量実質ゼロを推進いたします。目標達成のための施策を環境の変化にあわせて逐次検討してまいります。
また、お客さまの脱炭素化への取り組みを支援するために、再生可能エネルギープロジェクト・ファイナンス等の環境ファイナンスをご提供するとともに、石炭火力発電所向けのアセットはフェーズアウトを進めてまいります。
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④ お客さまの脱炭素化に向けた取り組み支援
脱炭素社会の実現に向けて、お客さまの脱炭素化の取り組みを支援していくことは、金融機関である当行グループが果たすべき重要な役割であり、さまざまなビジネス機会が想定されます。
従来からの強みである再生可能エネルギープロジェクト・ファイナンスなど金融面の支援に加えて、外部パートナーとの連携による非金融面での脱炭素化ソリューションの開発・提供に注力しております。
当行グループは、お客さまの環境に対する取り組みを総合的に支援することで、社会的価値と経済的価値を両立した環境ビジネスを展開しております。
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⑤ シナリオ分析
2050年までを対象とした定量的なシナリオ分析は以下の通りであります。
リスクの分類移行リスク物理的リスク
シナリオIEA(国際エネルギー機関) World Energy Outlook STEPS(3℃)シナリオ、NZE(1.5℃)シナリオIPCC(気候変動に関する政府間パネル) RCP8.5シナリオ(4℃シナリオ)/RCP2.6シナリオ(2℃シナリオ)
分析手法パラメーターや公開情報などを基に将来の投資負担の増加についても考慮に加え、取引先企業の業績影響への度合い(信用力低下の程度)を把握し、引当コストの増加額を試算河川氾濫、高潮による浸水被害における建物損傷率を算出し、使途物件の損傷に起因した引当コストの増加額を試算
(物件の毀損による直接被害と事業停滞期間による影響)
分析対象電力、エネルギー、自動車、不動産(ノンリコースローン、REITを除く)、素材セクター*
(当該対象向け貸出金が貸出金残高全体に占める割合18.4%)
※2023年3月末時点
国内外の不動産ノンリコースローンの担保物件
(当該ノンリコースローンが貸出金残高全体に占める割合15.1%)
※2021年6月末時点
分析結果以下のことを確認
・電力セクターにおいては、炭素価格上昇に伴うコスト増に加えて、GHG排出削減技術の開発及び電源構成の変化が重要
・エネルギーセクター、自動車セクターにおいては脱炭素社会への移行に向けた市場ニーズの変化への対応が重要
・素材セクターにおいては、炭素価格上昇に伴うコスト増の影響を比較的受けやすい
以下のことを確認
・災害の影響を受けにくい立地や堅牢な担保物件が多いことから、洪水/高潮による被害の可能性が認められた物件は限定的
増加が予想される引当コスト現時点における引当コストとの比較において、2040年まで最大200億円程度増加し、2050年にはネットゼロ社会への移行の進展に伴い財務状況が改善するため最大40億円の増加と予想2050年までの期間において10億円程度の増加と予想

移行リスク物理的リスク
財務的影響への評価等貸出ポートフォリオや炭素関連資産の構成割合、前提となるマクロ環境(将来の炭素価格やエネルギー構成、投資などの見通し)に大きな変動は生じていないことから、財務的な影響は大きく変化しないと判断し、2025年度は新たな分析は実施していない。今後必要に応じて適宜見直しを行っていく自然災害や異常気象の増加等に起因する影響は顕在化の前提が数年単位で変化する性質のものではないことから、2025年度は新たな分析は実施していない。今後必要に応じて適宜見直しを行っていく

* 移行リスクの分析対象:気候変動による影響度に基づいたリスクマップを用いて与信ポートフォリオにおける重要なセクターの特定を行い、素材セクター、不動産セクター(ノンリコースローン、REITを除く)に加えて、エクスポージャーは比較的大きくないものの影響度が大きい電力・エネルギーセクター、自動車セクターを対象として選定

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