有価証券報告書-第100期(令和3年4月1日-令和4年3月31日)
金融商品関係
(金融商品関係)
1.金融商品の状況に関する事項
(1)金融商品に対する取組方針
当行グループは、預金業務、地元中小企業への貸出業務、住宅ローンなどの各種ローン等を主要事業として認識し、地域金融機関としての金融サービス事業を展開しております。また運用の一環として有価証券投資を行っております。
このように、金利変動、元本毀損などの各種リスクが内在する金融資産及び金融負債を有していることから、当行グループはリスク管理を経営の重要課題として位置づけ、リスク管理体制を構築し、各種リスクをコントロールするため「リスク管理の方針」のもと「リスク管理統括規程」を制定、リスクを統合的に管理する部署としてリスク統括部を設置するほか、横断的な組織としてリスク管理委員会を設置し、規程に基づいた管理を実施しております。
(2)金融商品の内容及びそのリスク
当行グループが保有する金融資産は、主として県内の取引先及び個人に対する貸出金であり、顧客の契約不履行によってもたらされる信用リスクに晒されています。その他、貸出金のうち貸出金利を固定とする約定でその期間が長期のものは金利の変動リスクにも晒されています。
また、有価証券は、主に債券、株式、投資信託であり、満期保有目的、純投資目的及び顧客向け売買目的で保有しております。これらは、それぞれ発行体の信用リスク及び金利の変動リスク、市場価格の変動リスクに晒されています。
金融負債のうち主要なものは預金ですが、そのうち定期預金で期間が長期のものは金利の変動リスクに晒されています。
デリバティブ取引は、主として金利スワップ取引及び通貨スワップ取引、為替予約取引があります。これらは、顧客の財務上のニーズにお応えするため、並びに金利・為替変動に対する当行のリスクを軽減することを目的として取り扱っています。
(3)金融商品に係るリスク管理体制
① 信用リスクの管理
当行グループは、信用リスクに関する管理諸規程に従い、個別案件ごとの与信審査、与信限度額、信用情報管理、内部格付、保証や担保の設定、問題債権への対応など与信管理に関する体制を整備し運営しております。
また、与信ポートフォリオ管理の一環である大口与信管理として、リスク統括部は、四半期毎に「大口信用供与等規制管理規程」により大口与信先の状況等を経営へ報告しております。更に与信集中防止の取組みとして、審査部は、「信用貸出(未保全)限度額ガイドライン」に基づき、「信用貸出(未保全)限度額ガイドライン」超過先について、経営宛に方針協議を行い、必要と判断された先については「個社別与信方針検討会」を実施しております。
なお、営業部門(営業店等)や審査部門(審査部)から独立したリスク統括部が、信用リスク全体を統括管理しており、牽制が働く体制としています。
有価証券の発行体、コールローンの相手先の信用リスク及びデリバティブ取引のカウンターパーティーリスクに関しては、リスク統括部において、信用情報や時価の把握を定期的に行うことで管理しています。
② 市場リスクの管理
(ⅰ)金利リスクの管理
当行は金利の変動リスクを管理するため、部門を横断する機関として、ALM委員会を設置しております。
金利リスクを適切にコントロールするために、「市場リスク運営・管理要領」及び「市場リスク計測基準」に基づき、リスク管理部門(リスク統括部)により定期的にギャップ分析や金利感応度分析等によるモニタリングを実施、そのモニタリング結果をALM委員会に報告・協議しております。ALM委員会では、そのモニタリング結果を元に、有効なリスク・コントロールを図るべく協議を行い、定期的に取締役会に金利リスクの状況を報告しています。
(ⅱ)為替リスクの管理
当行は、為替の変動リスクに関して、通貨ごとにポジション限度を定めるとともに全通貨合算ベースにてポジションがスクエアになる様、日常的にコントロールし、管理しております。
(ⅲ)価格変動リスクの管理
有価証券を含む投資商品の保有については、市場リスクに関する管理諸規程に従い、適切にコントロールされています。具体的には半期毎に経営会議等において、自己資本等の経営体力の範囲内で、部門別・リスクカテゴリー別にリスクキャピタルや損失限度額を設定し、管理しています。当行グループが保有している株式の多くは、業務・資本提携を含む事業推進目的で保有しているものであり、取引先の市場環境や財務状況などをモニタリングしており、経営陣に定期的に報告されております。
(ⅳ)デリバティブ取引
デリバティブ取引に関しては、取引の執行、事務管理に関する部門をそれぞれ分離し内部牽制を確立するとともに、市場リスク管理各種規程に基づき実施、管理しております。
(ⅴ)市場リスクに係る定量的情報
当行のリスク統括部において、「貸出金」、「有価証券」のうち市場価格のない株式等以外のもの、「預金」、「外国為替」、「デリバティブ取引」など、いずれもトレーディング目的以外である主たる金融商品に対し、バリュー・アット・リスク(VaR)を用いて市場リスク量を計量しております。
このVaRの算定は、「有価証券」のうち株式についてヒストリカル法(信頼区間99%、観測期間5年、保有期間は純投資目的は60日、それ以外は120日)、株式以外の金融商品については分散・共分散法(信頼区間99%、観測期間1年、保有期間は「貸出金」、「預金」及び「デリバティブ取引」は240日、それ以外は60日)を採用しております。
2022年3月31日(当期の連結決算日)現在で当行グループの市場リスク量(損失額の推計値)は、全体で29,818百万円(前連結会計年度は36,909百万円)であります。
なお、当行グループでは、モデルが算出するVaRと損益を比較するバックテスティングを実施しており、使用する計測モデルは十分な精度により市場リスクを捕捉しているものと考えております。ただし、VaRは過去の相場変動をベースに統計的に算出した一定の発生確率での市場リスク量を計測しており、通常では考えられないほど市場環境が激変する状況下におけるリスクは捕捉できない場合があります。
③ 流動性リスクの管理
流動性リスクは、資金繰りリスクと市場流動性リスクからなります。資金繰りリスクとは、運用と調達の期間のミスマッチや予期せぬ資金の流出により、必要な資金確保が困難になる、又は通常よりも著しく高い金利での資金調達を余儀なくされることにより損失を被るリスクをいいます。また、市場流動性リスクとは、市場の混乱等により市場において取引ができなかったり、通常よりも著しく不利な価格での取引を余儀なくされることにより損失を被るリスクをいいます。
当行は、ALM委員会を通して、経営環境、資金繰り状況、流動性確保状況等を勘案した適切な資金管理を行うとともに、日常の資金繰りは「ローンポジションの堅持」を基本方針として運営し、市場性ある有価証券の保有等、流動性の確保に努めることで、資金繰りリスクを管理しております。また、各市場取引におけるポジション限度枠を設定し、市場流動性リスクをコントロールしています。
(4)金融商品の時価等に関する事項についての補足説明
金融商品の時価の算定においては一定の前提条件等を採用しているため、異なる前提条件等によった場合、当該価額が異なることもあります。
2.金融商品の時価等に関する事項
連結貸借対照表計上額、時価及びこれらの差額は、次のとおりであります。なお、市場価格のない株式等及び組合出資金は、次表には含めておりません((注1)参照)。また、現金預け金及び譲渡性預金は、短期間で決済されるため時価が帳簿価額に近似することから、注記を省略しております。
前連結会計年度(2021年3月31日)
(*1)貸出金に対応する一般貸倒引当金及び個別貸倒引当金を控除しております。
(*2)その他資産・負債に計上しているデリバティブ取引を一括して表示しております。
デリバティブ取引によって生じた正味の債権・債務は純額で表示しており、合計で正味の債務となる項目については、( )で表示しております。
当連結会計年度(2022年3月31日)
(*1)貸出金に対応する一般貸倒引当金及び個別貸倒引当金を控除しております。
(*2)その他資産・負債に計上しているデリバティブ取引を一括して表示しております。
デリバティブ取引によって生じた正味の債権・債務は純額で表示しており、合計で正味の債務となる項目については、( )で表示しております。
(注1)市場価格のない株式等及び組合出資金の連結貸借対照表計上額は次のとおりであり、金融商品の時価情報の「その他有価証券」には含まれておりません。
(*1)非上場株式については、「金融商品の時価等の開示に関する適用指針」(企業会計基準適用指針第19号 2020年3月31日)第5項に基づき、時価開示の対象とはしておりません。
(*2)組合出資金については、「時価の算定に関する会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第31号 2019年7月4日)第27項に基づき、時価開示の対象とはしておりません。
(注2)金銭債権及び満期のある有価証券の連結決算日後の償還予定額
前連結会計年度(2021年3月31日)
(*)貸出金のうち、破綻先、実質破綻先及び破綻懸念先に対する債権等、償還予定額が見込めない34,946百万円、期間の定めのないもの2,098百万円は含めておりません。
当連結会計年度(2022年3月31日)
(*)貸出金のうち、破綻先、実質破綻先及び破綻懸念先に対する債権等、償還予定額が見込めない33,824百万円、期間の定めのないもの2,777百万円は含めておりません。
(注3)社債、借用金及びその他の有利子負債の連結決算日後の返済予定額
前連結会計年度(2021年3月31日)
(*)預金のうち、要求払預金については、「1年以内」に含めて開示しております。
当連結会計年度(2022年3月31日)
(*)預金のうち、要求払預金については、「1年以内」に含めて開示しております。
3.金融商品の時価のレベルごとの内訳等に関する事項
金融商品の時価を、時価の算定に用いたインプットの観察可能性及び重要性に応じて、以下の3つのレベルに分類しております。
レベル1の時価:観察可能な時価の算定に係るインプットのうち、活発な市場において形成される当該時価の算定の対象となる資産または負債に関する相場価格により算定した時価
レベル2の時価:観察可能な時価に係るインプットのうち、レベル1のインプット以外の時価の算定に係るインプットを用いて算定した時価
レベル3の時価:観察できない時価の算定に係るインプットを使用して算定した時価
時価の算定に重要な影響を与えるインプットを複数使用している場合には、それらのインプットがそれぞれ属するレベルのうち、時価の算定における優先順位が最も低いレベルに時価を分類しております。
(1)時価で連結貸借対照表に計上している金融商品
当連結会計年度(2022年3月31日)
(単位:百万円)
(*)「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則等の一部を改正する内閣府令」(2020年3月6日 内閣府令第9号)附則第5条第6項の経過措置を適用した投資信託等については、上記表には含めておりません。連結貸借対照表における当該投資信託等の金額は123,418百万円であります。
(2)時価で連結貸借対照表に計上している金融商品以外の金融商品
当連結会計年度(2022年3月31日)
(単位:百万円)
(注1)時価の算定に用いた評価技法及び時価の算定に係るインプットの説明
資 産
商品有価証券及び有価証券
商品有価証券及び有価証券については、活発な市場における無調整の相場価格を利用できるものはレベル1の時価に分類しております。主に上場株式や国債がこれに含まれます。
公表された相場価格を用いていたとしても市場が活発でない場合にはレベル2の時価に分類しております。主に地方債、社債がこれに含まれます。
相場価格が入手できない場合には、外部ベンダー等の第三者から入手した評価価格または将来キャッシュ・フローの現在価値技法などの評価技法を用いて時価を算定しております。評価に当たっては観察可能なインプットを最大限利用しており、インプットには、TIBOR、信用スプレッド、倒産確率等が含まれます。算定に当たり重要な観察できないインプットを用いている場合には、レベル3の時価に分類しております。
貸出金
貸出金のうち、変動金利及び貸出期間が短期間(1年以内)のものは、短期間で市場金利を反映するため、貸出先の信用状態が実行後大きく異なっていない限り、時価と帳簿価額が近似していることから、当該帳簿価額を時価としております。固定金利による事業性貸出は、債務者の内部格付及び期間に基づく区分ごとに、保全を考慮した予想デフォルト率により算出した将来キャッシュ・フローを、リスク・フリーに近い市場利子率で割り引いて時価を算定しております。固定金利による住宅ローン及び消費者ローンは、期間に基づく区分ごとに、元利金合計額を、同様の新規貸出を行った場合に想定される利率で割り引くことにより時価を算定しております。また、破綻先、実質破綻先及び破綻懸念先に対する債権等については、見積将来キャッシュ・フローの現在価値又は担保及び保証による回収見込額等に基づいて貸倒見積高を算定しているため、時価は連結決算日における連結貸借対照表上の債権等計上額から貸倒引当金計上額を控除した金額に近似しており、当該価額を時価としております。当該時価はレベル3の時価に分類しております。
負 債
預金
要求払預金について、連結決算日に要求に応じて直ちに支払うものは、その金額を時価としております。また、定期預金については、一定の期間ごとに区分して、将来キャッシュ・フローを割り引いた現在価値により時価を算定しております。割引率は、新規に預金を受け入れる際に使用する表示利率を用いております。なお、預入期間が短期間(1年以内)のものは、時価は帳簿価額と近似していることから当該帳簿価額を時価としております。当該時価はレベル2の時価に分類しております。
借用金
借用金のうち、変動金利及び約定期間が短期間(1年以内)のものは、短期間で市場金利を反映し、また、当行及び連結子会社の信用状態は実行後大きく異なっていないことから、時価は帳簿価額と近似していると考えられるため、当該帳簿価額を時価としております。固定金利によるものは、一定の期間ごとに区分した当該借用金の元利金の合計額を同様の借入において想定される利率で割り引いて現在価値を算定しております。当該時価はレベル2の時価に分類しております。
デリバティブ取引
店頭取引は、公表された相場価格が存在しないため、取引の種類や満期までの期間に応じて現在価値技法やブラック・ショールズ・モデル等の評価技法を利用して時価を算定しております。それらの評価技法で用いている主なインプットは、金利や為替レート、ボラティリティ等であります。また、取引相手の信用リスク及び当行自身の信用リスクに基づく価格調整を行っております。観察できないインプットを用いていない又はその影響が重要でない場合はレベル2の時価に分類しており、プレイン・バニラ型の金利スワップ取引、為替予約取引等が含まれます。
(注2)時価で連結貸借対照表に計上している金融商品のうちレベル3の時価に関する情報
(1)期首残高から期末残高への調整表、当期の損益に認識した評価損益
当連結会計年度(2022年3月31日)
(単位:百万円)
(*1)連結損益計算書の「その他業務収益」及び「その他業務費用」に含まれております。
(*2)連結包括利益計算書の「その他の包括利益」の「その他有価証券評価差額金」に含まれております。
(2)時価の評価プロセスの説明
当行グループは財務部門及び市場バック部門において、時価の算定に関する方針及び手続を定めており、これに沿って時価を算定しております。算定された時価は、リスク管理部門において、時価の算定に用いられた評価技法及びインプットの妥当性を検証しております。また、財務部門において、時価のレベルの分類の適切性を検証しております。
時価の算定に当たっては、個々の資産の性質、特性及びリスクを最も適切に反映できる評価モデルを用い、第三者から入手した相場価格を利用する場合は、評価技法及びインプットの確認や時価の時系列推移の分析等の適切な方法により価格の妥当性を検証しております。
1.金融商品の状況に関する事項
(1)金融商品に対する取組方針
当行グループは、預金業務、地元中小企業への貸出業務、住宅ローンなどの各種ローン等を主要事業として認識し、地域金融機関としての金融サービス事業を展開しております。また運用の一環として有価証券投資を行っております。
このように、金利変動、元本毀損などの各種リスクが内在する金融資産及び金融負債を有していることから、当行グループはリスク管理を経営の重要課題として位置づけ、リスク管理体制を構築し、各種リスクをコントロールするため「リスク管理の方針」のもと「リスク管理統括規程」を制定、リスクを統合的に管理する部署としてリスク統括部を設置するほか、横断的な組織としてリスク管理委員会を設置し、規程に基づいた管理を実施しております。
(2)金融商品の内容及びそのリスク
当行グループが保有する金融資産は、主として県内の取引先及び個人に対する貸出金であり、顧客の契約不履行によってもたらされる信用リスクに晒されています。その他、貸出金のうち貸出金利を固定とする約定でその期間が長期のものは金利の変動リスクにも晒されています。
また、有価証券は、主に債券、株式、投資信託であり、満期保有目的、純投資目的及び顧客向け売買目的で保有しております。これらは、それぞれ発行体の信用リスク及び金利の変動リスク、市場価格の変動リスクに晒されています。
金融負債のうち主要なものは預金ですが、そのうち定期預金で期間が長期のものは金利の変動リスクに晒されています。
デリバティブ取引は、主として金利スワップ取引及び通貨スワップ取引、為替予約取引があります。これらは、顧客の財務上のニーズにお応えするため、並びに金利・為替変動に対する当行のリスクを軽減することを目的として取り扱っています。
(3)金融商品に係るリスク管理体制
① 信用リスクの管理
当行グループは、信用リスクに関する管理諸規程に従い、個別案件ごとの与信審査、与信限度額、信用情報管理、内部格付、保証や担保の設定、問題債権への対応など与信管理に関する体制を整備し運営しております。
また、与信ポートフォリオ管理の一環である大口与信管理として、リスク統括部は、四半期毎に「大口信用供与等規制管理規程」により大口与信先の状況等を経営へ報告しております。更に与信集中防止の取組みとして、審査部は、「信用貸出(未保全)限度額ガイドライン」に基づき、「信用貸出(未保全)限度額ガイドライン」超過先について、経営宛に方針協議を行い、必要と判断された先については「個社別与信方針検討会」を実施しております。
なお、営業部門(営業店等)や審査部門(審査部)から独立したリスク統括部が、信用リスク全体を統括管理しており、牽制が働く体制としています。
有価証券の発行体、コールローンの相手先の信用リスク及びデリバティブ取引のカウンターパーティーリスクに関しては、リスク統括部において、信用情報や時価の把握を定期的に行うことで管理しています。
② 市場リスクの管理
(ⅰ)金利リスクの管理
当行は金利の変動リスクを管理するため、部門を横断する機関として、ALM委員会を設置しております。
金利リスクを適切にコントロールするために、「市場リスク運営・管理要領」及び「市場リスク計測基準」に基づき、リスク管理部門(リスク統括部)により定期的にギャップ分析や金利感応度分析等によるモニタリングを実施、そのモニタリング結果をALM委員会に報告・協議しております。ALM委員会では、そのモニタリング結果を元に、有効なリスク・コントロールを図るべく協議を行い、定期的に取締役会に金利リスクの状況を報告しています。
(ⅱ)為替リスクの管理
当行は、為替の変動リスクに関して、通貨ごとにポジション限度を定めるとともに全通貨合算ベースにてポジションがスクエアになる様、日常的にコントロールし、管理しております。
(ⅲ)価格変動リスクの管理
有価証券を含む投資商品の保有については、市場リスクに関する管理諸規程に従い、適切にコントロールされています。具体的には半期毎に経営会議等において、自己資本等の経営体力の範囲内で、部門別・リスクカテゴリー別にリスクキャピタルや損失限度額を設定し、管理しています。当行グループが保有している株式の多くは、業務・資本提携を含む事業推進目的で保有しているものであり、取引先の市場環境や財務状況などをモニタリングしており、経営陣に定期的に報告されております。
(ⅳ)デリバティブ取引
デリバティブ取引に関しては、取引の執行、事務管理に関する部門をそれぞれ分離し内部牽制を確立するとともに、市場リスク管理各種規程に基づき実施、管理しております。
(ⅴ)市場リスクに係る定量的情報
当行のリスク統括部において、「貸出金」、「有価証券」のうち市場価格のない株式等以外のもの、「預金」、「外国為替」、「デリバティブ取引」など、いずれもトレーディング目的以外である主たる金融商品に対し、バリュー・アット・リスク(VaR)を用いて市場リスク量を計量しております。
このVaRの算定は、「有価証券」のうち株式についてヒストリカル法(信頼区間99%、観測期間5年、保有期間は純投資目的は60日、それ以外は120日)、株式以外の金融商品については分散・共分散法(信頼区間99%、観測期間1年、保有期間は「貸出金」、「預金」及び「デリバティブ取引」は240日、それ以外は60日)を採用しております。
2022年3月31日(当期の連結決算日)現在で当行グループの市場リスク量(損失額の推計値)は、全体で29,818百万円(前連結会計年度は36,909百万円)であります。
なお、当行グループでは、モデルが算出するVaRと損益を比較するバックテスティングを実施しており、使用する計測モデルは十分な精度により市場リスクを捕捉しているものと考えております。ただし、VaRは過去の相場変動をベースに統計的に算出した一定の発生確率での市場リスク量を計測しており、通常では考えられないほど市場環境が激変する状況下におけるリスクは捕捉できない場合があります。
③ 流動性リスクの管理
流動性リスクは、資金繰りリスクと市場流動性リスクからなります。資金繰りリスクとは、運用と調達の期間のミスマッチや予期せぬ資金の流出により、必要な資金確保が困難になる、又は通常よりも著しく高い金利での資金調達を余儀なくされることにより損失を被るリスクをいいます。また、市場流動性リスクとは、市場の混乱等により市場において取引ができなかったり、通常よりも著しく不利な価格での取引を余儀なくされることにより損失を被るリスクをいいます。
当行は、ALM委員会を通して、経営環境、資金繰り状況、流動性確保状況等を勘案した適切な資金管理を行うとともに、日常の資金繰りは「ローンポジションの堅持」を基本方針として運営し、市場性ある有価証券の保有等、流動性の確保に努めることで、資金繰りリスクを管理しております。また、各市場取引におけるポジション限度枠を設定し、市場流動性リスクをコントロールしています。
(4)金融商品の時価等に関する事項についての補足説明
金融商品の時価の算定においては一定の前提条件等を採用しているため、異なる前提条件等によった場合、当該価額が異なることもあります。
2.金融商品の時価等に関する事項
連結貸借対照表計上額、時価及びこれらの差額は、次のとおりであります。なお、市場価格のない株式等及び組合出資金は、次表には含めておりません((注1)参照)。また、現金預け金及び譲渡性預金は、短期間で決済されるため時価が帳簿価額に近似することから、注記を省略しております。
前連結会計年度(2021年3月31日)
(単位:百万円) |
連結貸借対照表計上額 | 時 価 | 差 額 | |
(1)商品有価証券 | |||
売買目的有価証券 | 132 | 132 | - |
(2)有価証券 | |||
満期保有目的の債券 | 34,334 | 34,585 | 250 |
その他有価証券 | 492,270 | 492,270 | - |
(3)貸出金 | 2,295,318 | ||
貸倒引当金(*1) | △7,593 | ||
2,287,725 | 2,310,604 | 22,878 | |
資産計 | 2,814,462 | 2,837,592 | 23,129 |
(1)預金 | 2,768,896 | 2,768,948 | 52 |
(2)借用金 | 145,202 | 145,236 | 34 |
負債計 | 2,914,098 | 2,914,185 | 87 |
デリバティブ取引(*2) | |||
ヘッジ会計が適用されていないもの | (136) | (136) | - |
デリバティブ取引計 | (136) | (136) | - |
(*1)貸出金に対応する一般貸倒引当金及び個別貸倒引当金を控除しております。
(*2)その他資産・負債に計上しているデリバティブ取引を一括して表示しております。
デリバティブ取引によって生じた正味の債権・債務は純額で表示しており、合計で正味の債務となる項目については、( )で表示しております。
当連結会計年度(2022年3月31日)
(単位:百万円) |
連結貸借対照表計上額 | 時 価 | 差 額 | |
(1)商品有価証券 | |||
売買目的有価証券 | 154 | 154 | - |
(2)有価証券 | |||
満期保有目的の債券 | 32,887 | 32,993 | 106 |
その他有価証券 | 484,740 | 484,740 | - |
(3)貸出金 | 2,304,777 | ||
貸倒引当金(*1) | △7,434 | ||
2,297,343 | 2,314,989 | 17,646 | |
資産計 | 2,815,125 | 2,832,878 | 17,752 |
(1)預金 | 2,803,335 | 2,803,351 | 15 |
(2)借用金 | 423,646 | 423,667 | 21 |
負債計 | 3,226,982 | 3,227,019 | 37 |
デリバティブ取引(*2) | |||
ヘッジ会計が適用されていないもの | (860) | (860) | - |
デリバティブ取引計 | (860) | (860) | - |
(*1)貸出金に対応する一般貸倒引当金及び個別貸倒引当金を控除しております。
(*2)その他資産・負債に計上しているデリバティブ取引を一括して表示しております。
デリバティブ取引によって生じた正味の債権・債務は純額で表示しており、合計で正味の債務となる項目については、( )で表示しております。
(注1)市場価格のない株式等及び組合出資金の連結貸借対照表計上額は次のとおりであり、金融商品の時価情報の「その他有価証券」には含まれておりません。
(単位:百万円) |
区 分 | 前連結会計年度 (2021年3月31日) | 当連結会計年度 (2022年3月31日) |
非上場株式(*1) | 1,264 | 1,059 |
組合出資金(*2) | 974 | 1,235 |
(*1)非上場株式については、「金融商品の時価等の開示に関する適用指針」(企業会計基準適用指針第19号 2020年3月31日)第5項に基づき、時価開示の対象とはしておりません。
(*2)組合出資金については、「時価の算定に関する会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第31号 2019年7月4日)第27項に基づき、時価開示の対象とはしておりません。
(注2)金銭債権及び満期のある有価証券の連結決算日後の償還予定額
前連結会計年度(2021年3月31日)
(単位:百万円) |
1年以内 | 1年超 3年以内 | 3年超 5年以内 | 5年超 7年以内 | 7年超 10年以内 | 10年超 | |
有価証券 | 46,152 | 85,397 | 78,026 | 103,859 | 102,107 | 39,828 |
満期保有目的の債券 | 8,975 | 16,026 | 8,182 | 1,067 | 82 | - |
うち国債 | - | - | - | - | - | - |
地方債 | - | - | - | - | - | - |
社債 | 8,975 | 16,026 | 8,182 | 1,067 | 82 | - |
その他有価証券のうち満期があるもの | 37,176 | 69,370 | 69,844 | 102,792 | 102,025 | 39,828 |
うち国債 | - | - | - | 6,056 | 15,050 | 8,900 |
地方債 | 4,234 | 9,647 | 14,935 | 30,715 | 38,856 | 22,194 |
社債 | 16,215 | 26,046 | 32,919 | 27,634 | 4,296 | 2,586 |
貸出金(*) | 422,773 | 328,959 | 282,762 | 224,221 | 276,634 | 722,922 |
合 計 | 468,925 | 414,356 | 360,789 | 328,081 | 378,741 | 762,750 |
(*)貸出金のうち、破綻先、実質破綻先及び破綻懸念先に対する債権等、償還予定額が見込めない34,946百万円、期間の定めのないもの2,098百万円は含めておりません。
当連結会計年度(2022年3月31日)
(単位:百万円) |
1年以内 | 1年超 3年以内 | 3年超 5年以内 | 5年超 7年以内 | 7年超 10年以内 | 10年超 | |
有価証券 | 32,461 | 96,504 | 105,013 | 87,921 | 80,846 | 39,794 |
満期保有目的の債券 | 10,432 | 14,521 | 7,377 | 506 | 49 | - |
うち国債 | - | - | - | - | - | - |
地方債 | - | - | - | - | - | - |
社債 | 10,432 | 14,521 | 7,377 | 506 | 49 | - |
その他有価証券のうち満期があるもの | 22,029 | 81,983 | 97,636 | 87,415 | 80,797 | 39,794 |
うち国債 | - | - | - | 8,017 | 23,835 | 8,648 |
地方債 | 5,412 | 11,456 | 24,863 | 41,560 | 24,693 | 25,596 |
社債 | 5,948 | 41,106 | 33,936 | 17,227 | 3,358 | 2,645 |
貸出金(*) | 390,553 | 352,769 | 274,071 | 217,294 | 268,518 | 764,969 |
合 計 | 423,015 | 449,274 | 379,085 | 305,216 | 349,364 | 804,763 |
(*)貸出金のうち、破綻先、実質破綻先及び破綻懸念先に対する債権等、償還予定額が見込めない33,824百万円、期間の定めのないもの2,777百万円は含めておりません。
(注3)社債、借用金及びその他の有利子負債の連結決算日後の返済予定額
前連結会計年度(2021年3月31日)
(単位:百万円) |
1年以内 | 1年超 3年以内 | 3年超 5年以内 | 5年超 7年以内 | 7年超 10年以内 | 10年超 | |
預金(*) | 2,668,261 | 94,013 | 6,620 | - | - | - |
借用金 | 138,304 | 6,173 | 723 | - | - | - |
合 計 | 2,806,566 | 100,187 | 7,344 | - | - | - |
(*)預金のうち、要求払預金については、「1年以内」に含めて開示しております。
当連結会計年度(2022年3月31日)
(単位:百万円) |
1年以内 | 1年超 3年以内 | 3年超 5年以内 | 5年超 7年以内 | 7年超 10年以内 | 10年超 | |
預金(*) | 2,706,881 | 85,964 | 10,490 | - | - | - |
借用金 | 416,575 | 5,767 | 1,304 | - | - | - |
合 計 | 3,123,456 | 91,731 | 11,794 | - | - | - |
(*)預金のうち、要求払預金については、「1年以内」に含めて開示しております。
3.金融商品の時価のレベルごとの内訳等に関する事項
金融商品の時価を、時価の算定に用いたインプットの観察可能性及び重要性に応じて、以下の3つのレベルに分類しております。
レベル1の時価:観察可能な時価の算定に係るインプットのうち、活発な市場において形成される当該時価の算定の対象となる資産または負債に関する相場価格により算定した時価
レベル2の時価:観察可能な時価に係るインプットのうち、レベル1のインプット以外の時価の算定に係るインプットを用いて算定した時価
レベル3の時価:観察できない時価の算定に係るインプットを使用して算定した時価
時価の算定に重要な影響を与えるインプットを複数使用している場合には、それらのインプットがそれぞれ属するレベルのうち、時価の算定における優先順位が最も低いレベルに時価を分類しております。
(1)時価で連結貸借対照表に計上している金融商品
当連結会計年度(2022年3月31日)
(単位:百万円)
区分 | 時価 | |||
レベル1 | レベル2 | レベル3 | 合計 | |
商品有価証券及び有価証券 | ||||
売買目的有価証券 | ||||
国債・地方債等 | - | 154 | - | 154 |
その他有価証券 | ||||
国債・地方債等 | 40,502 | 133,583 | - | 174,085 |
社債 | - | 104,222 | - | 104,222 |
株式 | 38,503 | - | - | 38,503 |
その他 | - | 41,607 | 2,902 | 44,510 |
デリバティブ取引 | ||||
金利関連 | - | 451 | - | 451 |
通貨関連 | - | 321 | - | 321 |
資産計 | 79,005 | 280,341 | 2,902 | 362,249 |
デリバティブ取引 | ||||
金利関連 | - | 246 | - | 246 |
通貨関連 | - | 1,386 | - | 1,386 |
負債計 | - | 1,633 | - | 1,633 |
(*)「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則等の一部を改正する内閣府令」(2020年3月6日 内閣府令第9号)附則第5条第6項の経過措置を適用した投資信託等については、上記表には含めておりません。連結貸借対照表における当該投資信託等の金額は123,418百万円であります。
(2)時価で連結貸借対照表に計上している金融商品以外の金融商品
当連結会計年度(2022年3月31日)
(単位:百万円)
区分 | 時価 | |||
レベル1 | レベル2 | レベル3 | 合計 | |
有価証券 | ||||
満期保有目的の債券 | ||||
社債 | - | - | 32,993 | 32,993 |
貸出金 | - | - | 2,314,989 | 2,314,989 |
資産計 | - | - | 2,347,982 | 2,347,982 |
預金 | - | 2,803,351 | - | 2,803,351 |
借用金 | - | 423,667 | - | 423,667 |
負債計 | - | 3,227,019 | - | 3,227,019 |
(注1)時価の算定に用いた評価技法及び時価の算定に係るインプットの説明
資 産
商品有価証券及び有価証券
商品有価証券及び有価証券については、活発な市場における無調整の相場価格を利用できるものはレベル1の時価に分類しております。主に上場株式や国債がこれに含まれます。
公表された相場価格を用いていたとしても市場が活発でない場合にはレベル2の時価に分類しております。主に地方債、社債がこれに含まれます。
相場価格が入手できない場合には、外部ベンダー等の第三者から入手した評価価格または将来キャッシュ・フローの現在価値技法などの評価技法を用いて時価を算定しております。評価に当たっては観察可能なインプットを最大限利用しており、インプットには、TIBOR、信用スプレッド、倒産確率等が含まれます。算定に当たり重要な観察できないインプットを用いている場合には、レベル3の時価に分類しております。
貸出金
貸出金のうち、変動金利及び貸出期間が短期間(1年以内)のものは、短期間で市場金利を反映するため、貸出先の信用状態が実行後大きく異なっていない限り、時価と帳簿価額が近似していることから、当該帳簿価額を時価としております。固定金利による事業性貸出は、債務者の内部格付及び期間に基づく区分ごとに、保全を考慮した予想デフォルト率により算出した将来キャッシュ・フローを、リスク・フリーに近い市場利子率で割り引いて時価を算定しております。固定金利による住宅ローン及び消費者ローンは、期間に基づく区分ごとに、元利金合計額を、同様の新規貸出を行った場合に想定される利率で割り引くことにより時価を算定しております。また、破綻先、実質破綻先及び破綻懸念先に対する債権等については、見積将来キャッシュ・フローの現在価値又は担保及び保証による回収見込額等に基づいて貸倒見積高を算定しているため、時価は連結決算日における連結貸借対照表上の債権等計上額から貸倒引当金計上額を控除した金額に近似しており、当該価額を時価としております。当該時価はレベル3の時価に分類しております。
負 債
預金
要求払預金について、連結決算日に要求に応じて直ちに支払うものは、その金額を時価としております。また、定期預金については、一定の期間ごとに区分して、将来キャッシュ・フローを割り引いた現在価値により時価を算定しております。割引率は、新規に預金を受け入れる際に使用する表示利率を用いております。なお、預入期間が短期間(1年以内)のものは、時価は帳簿価額と近似していることから当該帳簿価額を時価としております。当該時価はレベル2の時価に分類しております。
借用金
借用金のうち、変動金利及び約定期間が短期間(1年以内)のものは、短期間で市場金利を反映し、また、当行及び連結子会社の信用状態は実行後大きく異なっていないことから、時価は帳簿価額と近似していると考えられるため、当該帳簿価額を時価としております。固定金利によるものは、一定の期間ごとに区分した当該借用金の元利金の合計額を同様の借入において想定される利率で割り引いて現在価値を算定しております。当該時価はレベル2の時価に分類しております。
デリバティブ取引
店頭取引は、公表された相場価格が存在しないため、取引の種類や満期までの期間に応じて現在価値技法やブラック・ショールズ・モデル等の評価技法を利用して時価を算定しております。それらの評価技法で用いている主なインプットは、金利や為替レート、ボラティリティ等であります。また、取引相手の信用リスク及び当行自身の信用リスクに基づく価格調整を行っております。観察できないインプットを用いていない又はその影響が重要でない場合はレベル2の時価に分類しており、プレイン・バニラ型の金利スワップ取引、為替予約取引等が含まれます。
(注2)時価で連結貸借対照表に計上している金融商品のうちレベル3の時価に関する情報
(1)期首残高から期末残高への調整表、当期の損益に認識した評価損益
当連結会計年度(2022年3月31日)
(単位:百万円)
期首 残高 | 当期の損益又はその他の包括利益 | 購入、売却、発行及び決済の純額 | レベル3の時価への振替 | レベル3の時価からの振替 | 期末 残高 | 当期の損益に計上した額のうち連結貸借対照表日において保有する金融資産及び金融負債の評価損益(*1) | ||
損益に計上 (*1) | その他の包括利益に計上 (*2) | |||||||
有価証券 | ||||||||
その他有価証券 | ||||||||
社債 | 80 | - | 20 | △100 | - | - | - | - |
その他 | 5,092 | △60 | △189 | △1,939 | - | - | 2,902 | - |
(*1)連結損益計算書の「その他業務収益」及び「その他業務費用」に含まれております。
(*2)連結包括利益計算書の「その他の包括利益」の「その他有価証券評価差額金」に含まれております。
(2)時価の評価プロセスの説明
当行グループは財務部門及び市場バック部門において、時価の算定に関する方針及び手続を定めており、これに沿って時価を算定しております。算定された時価は、リスク管理部門において、時価の算定に用いられた評価技法及びインプットの妥当性を検証しております。また、財務部門において、時価のレベルの分類の適切性を検証しております。
時価の算定に当たっては、個々の資産の性質、特性及びリスクを最も適切に反映できる評価モデルを用い、第三者から入手した相場価格を利用する場合は、評価技法及びインプットの確認や時価の時系列推移の分析等の適切な方法により価格の妥当性を検証しております。